流轉　明石元二郎　碇豊長の漢詩　拙作紹介

huanying xinshang Ding Fengzhang de zhuye

流轉　明石元二郎

一枝欲供至蓬萊，
墓志林森靑草埋。
寶島浪浪爭覇後，
今眠最北望鄕臺。

　　　　流轉( るてん)　明石元二郎

一枝　供(そな)へんと欲して　　蓬萊(ほうらい)に至れば，
墓志(ぼし)は　林森(りんしん)　　靑草(せいさう)に埋(うづ)もる。
寶島(はうたう)　浪浪(らうらう)たり　　爭覇(そうは )の後，
今　眠る　最北(さいほく)の　　望鄕(ばうきゃう)臺に。

　　　　＊＊＊＊＊　　　　　

　今度、明石元二郎台湾総督のお墓（の跡）にお参りをして来る。
　明石元二郎大佐は、日露戦争時に、欧洲にあって謀略工作に従事し、ロシア国内の革命派を援助する工作を行った。更に、大正七年、台湾総督となって、台湾近代化に努め、民生の向上を謀った。墓所は、日本で病没したものの、遺言によって台湾・台北市内に埋葬され、台湾人民を鎮護し続けた。戦後、墓地は無くなったが、やがて、台湾の北方、海の向こうに日本を望める三芝郷の地に再び葬られた。（この地は正確に言うと、正面方向（＝西北）に大陸が望める地であって、台湾に住む大陸系の人にとっての最高の地。）

　　　　------------------

・蓬莱：	ここでは、台湾を指す。
・林森：	第一義的には、台北市内の地名。明石元二郎台湾総督の墓所のあったところ。現・林森公園内。
・寶島：	台湾のこと。曽て、ポルトガル人が台湾の美しい島影に、「Ilha Formosa!（イラ・フォルモサ!）」と感嘆の声をあげたことに始まる。「麗しの島」「宝の島」。
・浪浪：	涙の盛んに流れるさま。足のよろめくさま。
・争覇：	戦中・戦後の混乱期を指す。
・望鄕臺：	台北縣三芝鄕店子村龜子山の福音山基督徒墓園（福音山キリスト教徒墓園）を指す。