昭和の時代の浜寺では、(わたしの小さい時には貝殻拾いをしたのを覚えているが)今や静かな住宅地となって、公園以外では当時の面影が失われている。そこには曽て日露戦争時のロシア俘虜収容所があった、とはなかなか思えない。ただ、道筋が広く通っているのが其の名残りと云う。
この詩、ロシアの勢力が東漸し、やがて満洲に到り、更には日本と衝突して、その(ロシアの)兵士は、俘虜となって更に東の方、海を渡って浜寺に来た…ということを詠った。
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・濱寺俘虜収容所: |
日露戦争で捕虜となったロシア兵の収容所の一。そこでの捕虜の自由度は高かったと云う。その地は、現在は閑静な住宅街となり、曽ての面影はない。 |
・浜寺: |
大阪府堺市から高石市にかけての地名。かつての高師の浜(たかしのはま)の一部の名称。 |
・綺甍: |
美しい甍(いらか)。閑静な住宅街を謂う。 |
・露: |
露西亜。ロシア。(即,俄羅斯。) |
・俘營: |
捕虜の収容所。 |
・沙皇: |
ツァー。=ツァーリ。皇帝。帝政ロシアの専制君主支配体制。 |
・東進: |
東漸。勢力が東の方へ次第に移り進むこと。 |
・興安: |
興安嶺。満洲にある大山脈。膨脹するロシア帝国の勢力は、ここに及んだ。現・中国東北区にある。 |
・海鳴: |
〔かいめい:hai3ming2●○〕海鳴(うみな)り。 |
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