「うむう、...」 「どうしたの?ファミ通のこれから出るゲームソフト欄なんか見て...」 「ゲームじゃない!DVDのソフトだよ!すごいよこれ!」 ぼくがファミ通を呼んでいると、トホホ妖精が現れました。プレステ2が出て以来、ゲーム雑誌はDVDソフトの情報も載せるようになっていたとは、こりゃびっくり。さらに最近のラインアップにはぼく好みの超しぶいヨーロッパ映画、たとえば、「ミツバチのささやき」、「コーカサスの虜」、「C階段」などがめじろ押しだったのです! 「うむう!デーブイデーが見たい!」 「プレステ2買うの?」 「G4かう」 「...」 アップルの誇る強力マシーン「パワーマックG4」は、プレステ2よりはかなり高いけど、これまでに買ったマックよりははるかにコストパフォーマンスが上です!二十万ちょっとで最高の環境が手に入るのです!グラフィックボードも必要ありません。もうAGPバスにはATI の16メガのが入ってるのです。しかもデーブイデーロム再生が標準装備でできます。発売から半年以上たったので、ソフトとかもこなれてもいるでしょう!これはやるしか! 「電源をとっかえるのも楽しみだ!」 「とーぜんHDDもとっかえるんだよね!」 「おうよ!ウルトラ160スカジーにするさ!」 G4の下品な筐体には、底部にハードディスクベイが3つもあるんです。むりすれば5台くらいは積めそうです。 「どこでかうの!?」 「ビックカメラ。」 「...」 だって、いちばん安いんです。商品の優位にふんぞりかえって価格統制するメーカーはみんな公取委にひっかかるといいですね! 池袋で買いたかったのですが、とろとろさんぽしてるうちに池袋には八時までに行けない時間になってしまいました。今は三鷹。でも新宿になら間に合います。 「これください!」 ビックカメラは店員さんもていねいだし、話も切り出しやすい。訓練ができてるのでしょう。気分よく買い物ができました。ところが。 梱包が終わったG4の箱は、かなりの大きさです。7300の時より大きな気がします。 「だいじょうぶですか?」 店員さんが親切に聞いてくれたので、 「だいじょうぶですよ」 と答えました。もちろんていねいにね。おまけもつけてくれたし。 でもやっぱり重たい。箱には「20kg」とかかいてあります。 おまけにばかでかいので、手でつり下げるとひざが当たってうまく歩けません。それでもどうにか電車に乗り込みました。池袋で乗り換えます。池袋で買えば乗り換えはなかったのにね。でも信号があるか... 池袋駅で、腕から力が抜けました。ぶらさげるのはやめて、両手で抱えることにします。箱の底の角を腰骨に乗っけます。腕の力は箱を体に押し付けることにのみ使うようにします。 「まえがみえない!」 「Fw190のちゃくりくみたいだね!」 とほほ妖精は手ぶらなので勝手なことをいって面白がっています。ぼくは西武線の階段を昇りきりました。うでがだめにならないうちに一気に上がりたかったのに、前にとろとろ歩く若い男女の一団が邪魔してくれたのはお約束。でもなんとか電車に乗れました。また一息。でも、こういうときは電車はあっという間に目的地に着きます。なんとか電車を降りました。 「エスカレータがあってよかったね。」 「もう、タクシーに乗りたい...」 「今日日曜だよ」 げ、日曜にはタクシーはいない気がする!しかもタクシー乗り場はぼくの家の方向とは正反対。もしもタクシーがいなかった場合はもう一度階段を上り下りして線路を越えなければいけません! 「あるこう!」 ぶらぶらして邪魔なかたかけかばんをコインロッカーに放り込みます。300円くらいやすいもんです! 両手に大きな箱を抱えたまま階段を降りました。足元が全然見えません!ああ、おっかない! 「Fw190の着陸みたいだね!」 陸海軍のパイロットが鍾馗や雷電の着陸を怖がったわけがよくわかりました。下が全然見えなくて、しかもスピードが300キロもでてたら!しかも日本の滑走路は小さい! そんなことをとりとめもなく考えちゃったのはかなり参っている証拠です。でもどうにか平らな地面にたどり着きました。一生懸命歩きます。腕が痛い。 街道をよたよた歩きます。20メートルおきに荷物をガードレールに預けて休みながら。 今日は夜なのに人通りが多い。みんなでぼくの背後の空を見上げています。 「今日は月蝕。ほら、みてみな!」 お月さまが半分に削れています。丸みのない影で割れています。でも、あいにく今日のぼくはアンデルセンの気分とはほど遠いのでした。タクシーが何台も通りすぎていきます。でも、もう半分きたもんね!ぐす。 季節はもうすっかり真夏です。汗がどばどばでます。ハンカチは絞れそう。 「なんか、一年に最低二回くらいこんなことしてるね!」 トホホ妖精の指摘通り。ぼくは重たいものをもって歩くのは好きなようです。でも冷蔵庫やモニターは持ち歩きたくないかも。 「やった〜!いえだ〜」 ああ、今ぼくは、オデュッセウスの気持ちがわかりました。家というのはなんていいものなんだろう。家が見えただけで、腕に力が帰ってきました。 「ただいま〜」 もう気力はゼロ。Tシャツは汗でベッチャベチャ。洗濯機にたたき込みます。 「さあ、フタを開けるぞ〜」 こうして、2000年の最終兵器、パワーマックG4/400はぼくのものになったのです!でもぼくは、そこで完全にガス欠状態。そこへ友人から電話がきたので長電話をしてしまいました。これで、少し気力が戻ったみたいです。 「シャワーだシャワー。」 ああ、文字通り汗を流せていい気分です。出てすぐにセットアップを始めます。 「置き場所がない。」 ラックにはパソコンだらけ。新参者の居場所はありません。 「台所に置けば?」 「そこしかないか...」 台所の一角が開けられました。 「ここでいいや」 電源とキーボード、ランにつなげられます。キーボードにマウスをつなごうとして... 「しまった!コインロッカーだ!」 アップルのUSBマウスの使いづらさは周知の事実。あの、黄金バットの大和根博士のスーパーカーみたいな形は、完ぺきにデザイナーのマスターベーションです。実用品としては評価は0点。ぼくは使えない道具はそのデザインもクズと見なします。というわけで、使いやすそうなふつうの形のマウスを買っておいたのですが、そいつは駅のコインロッカーの中のかばんの中なのでした! 「あ、お月さまのかけが反対側になってる!」 風呂上がりにする、夏の夜道の散歩はとてもきもちのいいものです。ピークを過ぎて、明るくなり始めた月を眺めながら駅へ歩きました。 「やっぱり300円追加されてる...」 .「ま、まあ、タクシー代よりは少し安かったかな...」 家に帰って、ついにセットアップ完了!電源をオンします! 「まあ、立ち上がるのは当たり前として...」 大昔に買ったペインター3を入れてみます。040のころはかなり重たかったソフトです。 「うわあ!花火みたいだ!」 今まで一個づつ開いていたパレットが、全部いっぺんに開きました。これはいい!インターネットも早くなっているのは、ブラウザの処理速度が上がったためでしょう。 「わははははは!こりゃしばらくこのままでいいや!」 「電源は?」 「お、そうそう、あれだきゃ変えとかんとな!」 筐体の後ろを見たら、「480ワット」とか書いてありました.........ほんとかいな.... 「くそおおおお!これだからアップルはいやなんだ!」 今回は改造するとこがなくてトホホだったとさ。 でもキーボードも取っ換えました。だって、DOS/Vのキーボード、使いにくいんだもん。 |
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