2017.11.15
ワールド工芸のC53(標準タイプ)キットの新しいバリエーションです。今までプラ成型だった動輪輪心がダイカストに変更されたため、ロッドの取り付けなどに若干の変更があります。
どんなものなのか楽しみに、組み立ててみました。
上廻りやテンダーの組み立て方法や部品構成は、従来のC53シリーズとまったく同じです。
新しい動輪です。ただし特徴あるC53の専用動輪ではなく、右90度先行の汎用品になっています。
プラ製の輪心のときは、カウンターウェイトなどに結構なヒケがみられることもありましたが、このダイカスト輪心は平滑な仕上がりです。
下廻りフレームの組み立ても、ここまでは今までと同じです。
塗装を終えたフレームの軸受けに動輪を置き、車輪押さえを取り付けたところです。よく転がります。
プラ製輪心のときは、クランクピンは圧入式でしたが、今回はネジ式になっています。
第1・第3動輪用は頭にマイナスドライバー用のすり割りがあります。第2動輪用は、あとで頭にリターンクランクをハンダ付けします。
これらのピンは特殊ですから、なくすとそこでアウツです。
なくす前に、第2動輪ピンをねじ込んでおきました。
裏側から瞬間接着剤で固定するよう指示があります。それでは外したいときに外せなくなるではないの!と思って最初は固定しませんでしたが、結局は固定することになりました。リターンクランクを付けると緩みやすくなるのです。
サイドロッドを動輪の穴に合わせ、両端を第1・第3動輪にネジ式ピンで取り付けました。
ネジは締めすぎ注意とあります。ねじ切って穴に詰まってしまったら最悪ですね。あり得るのかどうか、わかりませんが(私など理解できないことに、ピンバイスのチャックをねじ切ったことがあるんですよ)…。
ここでレールに載せて、転がりを確認します。このあとも何か動輪に取り付けるたびに確認します。
ラジアスロッドです。この部品は今までと同じです。
後端の穴にM1.0タップを立てました。板から部品を切り離す前にやっておくと楽です。時々、メーカーでタップ済みのことがあるのですが、今回はありませんでした。
中央付近の穴は、あとで加減リンクの裏のピンが入る穴です。折り返して重ね、表面をヤスっておきました。
ラジアスロッドの仮止めです。
1. モーションプレート台座の前あたりで、先端を少し車体内側に寄せるように曲げました。
2. 後ろの穴をモーションプレート台座に重ね、内側からM1.0ネジで軽く留めました(ネジが落ちない程度に)。
3. 前端の穴に、コンビネーションレバーを引っ掛けておきました。
次には加減リンクを取り付けますが…
せっかくメーカーでカシメ済みのはずなのに、リターンクランクが取れてしまっていました。
外れた以上、また付けられるだろうと(いやそうではないこともあるゾ)、カシメ部をもとの穴に通して、ヤットコでカシメ直しました。
ピンの先端を押しつぶして広げる方式のカシメなので簡単です。鉄道模型のカシメにはいくつか方法があって、場合によって使い分けられていますね。
1. 加減リンクをモーションプレートの下から差し込み、上側まで通しました。狭いのでひねりながら何とか入れました。
2. 加減リンクの裏側の短いピンを、ラジアスロッドの穴にはめ込みました。
1. 加減リンクを付けたまま、ラジアスロッドを水平に動かして、先端をバルブスピンドルガイドの裏側にはめました。
2. M1.0ネジをきちんと締め直しました。
後ろ側のリターンクランク部は、まだぶらぶらしています。先にメインロッドを付けないと、固定できません。
ピストン棒は、根元から約8.5mmの長さにカットしました。
最初は少し長めにして、実際にシリンダー内を往復させながら、ぎりぎり前につっかえない長さにしました。
ピストン棒や、クロスヘッド裏側の溝は、ざらつきがないように磨いておきます。
メインロッドは第1動輪ピンに当たらないよう、少し曲げるよう指定があります。曲げ方として2つが例示されています。 今回はビッグエンド側だけを曲げる方法にしてみました。
1. ピストン棒をまっすぐに修正し、シリンダーの穴に後方から差し込みました。
2. クロスヘッドをスライドバーに引っ掛けました。
3. メインロッドを動かして、第2動輪クランクピンに引っ掛けました。
1. コンビネーションレバーは先にユニオンリンクと結んでしまいました。ぶらぶらしていると、引っかかったりして邪魔になるためです。
2. リターンクランクを第2動輪クランクピンに差し込み、角度を決めてハンダ付けしました。
メインロッドやサイドロッドまで一緒にハンダ付けしないよう注意です(そこまでドバッとハンダが流れることはまれでしょうけど…)。
これで転がりを確認します。よく転がって一安心です。
リターンクランクの角度調整が必要なときは、ハンダを溶かしてクランクを外し、位置を決めてハンダ付けし直します。
非公式側も同じ要領で組み立てました。
よく転がりましたが、すぐに第2動輪のネジ式クランクピンが緩んで、角度がずれてしまいました。
締め直して、説明書の指示通り、裏側から接着剤で固定してしまいました。第2動輪の場合、ハンダを外して表からロッド類を外す方式なので、ピンが固定されていても特に問題はありませんでした。
転がりの確認は、通過させたい曲線レールの上で前後に転がし、向きを変えてそれぞれ行いました。
私はR280を通過するようにしました。とはいっても特にすることはありませんでした。説明書指定の通過半径はR320以上です。
あとは今までのキットと同じです。先台車・従台車を付け、補助ウェイトを付けて、テンダーを連結し走行テストしました。
走行に関しては今までのキットも良好でしたが、今回は動輪が金属製なので、何となく安定感があるようで気分的によいです。
実力的にきちんとできなかったところもありますが、配管などの現物合わせの箇所も比較的少なく、組み立てやすいキットだと思います。
後期型のうち汽車会社製ということで、煙室扉の手すりが扉の外周上側に付いています。
このために真鍮ロストの煙室扉パーツが新規製作されています。手すりはステンレスのエッチングで、大変細くできていました。
名鉄デフで組み立てましたが、大鉄デフも付属しています。
ワールド工芸のC53(標準タイプ)は、製品化までかなり時間がかかったものの、その後ずっと発売が続いているのは大変ありがたいです。薄い金属の利点がよく活きています。ダブルルーフのスハ32などを牽かせると、とても重厚な編成になって楽しいです。時代設定は…全然気にしていません。