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19回目・2000 春の北海道旅日記−2

[4月30日 北斗星81号] (5月1日 洞爺・大沼公園) [5月2日 礼文島] 
[5月3日 富良野] [5月4日 野付半島] [5月5日 美瑛] [5月5日 北斗星2号] 

5月1日


さて今日はこれから、洞爺に向かいます。
函館で、小樽・倶知安経由・札幌行き臨時特急「北斗61号」に乗り換えます。
車両は、283系気動車で見た目は、「スーパー北斗」そのままです。が、ヘッドマークも行き先表示も“臨時”としか出ていない。せめて、“札幌行き”くらいは出せばいいのにと思ってしまう。(のちにこの表示のせいで・・・・・・)
隣のホームには、こちらも函館止まりとなっている、「北斗星3号」が到着し、多くの旅行者を吐き出しています。

函館駅名物「鮭ハラス弁当」を購入して、定刻より少し遅れた7時10分頃、函館を後にします。函館を出発した「北斗61号」は、快調に走ります。ほとんど「スーパー北斗」と変わらない走りっぷりです。283系だからあたりまえか・・・・。
 さて、初めて食べる「鮭ハラス弁当」ですが、ごはんとおかずが別々の器に入っていて、おかずは、鮭のハラスを焼いた物と、小さな容器に入ったイクラが入っています。で、このハラスがとても柔らかく美味しい。イクラも美味しく、大満足です。
  函館をでて1時間ちょっと、長万部に着き、ここで下車します。
「北斗61号」はここ長万部から、函館本線・倶知安経由で札幌に向かいます。

さて一度改札をでてみます。
さして広くない駅の中には、やはり、有珠山の影響による、臨時ダイヤの案内が、至る所に貼ってあります。5月1日現在、日中3往復の普通列車が、運転されているようです。
 駅前には、函館本線の普通列車代行バスのポールが立っており、また、駅の隣は臨時の長万部駅貨物集荷場が設置されて、列車からトラックへのコンテナ乗せ替作業が、行われており、噴火の影響が見て取れます。

 そして、室蘭本線今日最初の列車に乗り込みます。
東室蘭行きは、気動車2両の編成。乗客は、ふだんと変わらないような、地元の人や、高校生が乗っています。いつもと変わらない風景が、あります。
ただ、この列車はワンマンカーですが、後ろの車両には、車掌が乗っています。厳密には、運転士でしょう。この列車は、避難指示区域を走るため、万が一に備えて、すぐ後退できるように、後ろにも運転士が乗務しているのです。
  さて、列車はいつもと変わらず内浦湾を眺めながら、走ります。車掌が、洞爺より先に行く乗客を確認しています。 そして、豊浦に到着。ここで、現実を目にします。

ここ、豊浦から多くの地元客が乗ってきますが、その中に、オレンジの服・・。レスキュー隊、いや、災害救助隊の人たちが、大勢乗ってきます。所属は、東京消防庁・・・。
そして、乗車した人のほとんどが、避難指示区域の方たちでしょう。車内に、少し緊張が走ります。 そして豊浦をでて、7分。ついに、洞爺につきました。

噴煙・・・
噴火の様子を間近に・・・。

列車は、洞爺駅2番線に到着しました。 同じホーム向かいの3番には、軌道観測車が待機しています。列車の通行前に室蘭側から、レールの異常をチェックしてきたのでしょう。
 有珠山の噴火による、地殻変動の影響で、室蘭本線のレールも、一部が曲がるなどの 被害を受けています。
ここ洞爺で、たくさんの観測機材みたいな物を積み込み、列車は避難指示区域へ 走っていきました。
 
 改札を抜けて、最初に目に飛び込んできたのが、「噴火になんか負けないぞ、ガンバロー虻田町」の小さな応援幕・・・・・・。
ただ、駅構内は、去年の夏に来た時と、ほとんど変わりません。が、駅の外に出てみると、虻田町の現実が飛び込んできました・・・。   駅前には、国道37号線がはしってます。
その国道を普通の一般車に混じって、陸上自衛隊のトラックに、警察、消防の輸送車。上空には、ヘリコプターが数機飛んでいます。
 そして、洞爺駅の向こう側には、噴煙が見えます・・・・。
 一応、歩行者の規制はしていないみたいなので、とりあえず、国道を長和方面に歩いてみます。   町の風景は、ほとんど厳戒態勢です。(あたりまえですが・・・・)国道の交差点すべてに警官が待機しています。

交差する道路には、パイロンが設置され、許可無しには市街地に入ることができません。それは、信号機のある交差点でも、例外ではありません。とにかく、国道以外は走ることが許されないのです。
 それでも、商店やスーパーは営業しており、不安におびえながらも、必死にこの町で生活していく、地元の人たちの決意みたいなものが、感じられます。
駅を出て5分、夜間通行止め区域に入ります。

夜間通行止め区域に入り、しばらく歩きます。
この辺まで来ると、噴火口がよく見えるようになります。ちょうど住宅の切れ目があったので、少し脇道に入ってカメラを向けていると、
警「すみません、報道の方ですか?」
ほ「いいえ、アマチュアですけど」
警「脇道も住民の方以外は、一応立入禁止ですので、国道沿いならいいですよ・・・」

 結構ソフトな語り口でした。やっぱり、警戒はきついようです。
言われた通り、国道上に撮影ポイントを限定して、もう少し先に進みます。駅から歩いて15分くらい、視界が開けた小さい橋の上に着きます。ここより先は、さらに警戒が厳重みたいなので、ここで先に進むのを止めることにします。

 しかし、この橋の上からは、噴火の様子が手に取るように見ることが出来ます。200ミリレンズに1.4倍のテレコン付けて、300ミリ相当でファインダーを覗きます。が、ファインダーを覗いた直後、比較的大きな噴火があり、噴煙が上空に昇っていく・・・。
 なんだろう、ファインダーを覗いていると、現実感が全然ない・・・・。映画でも見ているような感じです。でも実際には、直線距離で5キロもないでしょう。ホント、目と鼻の先で、噴火が起こっているのです。

 僕は夢中でシャッターを切っていました。地球の息吹を感じているのか、それとも、知らずのうちに恐怖が走っているのか、撮影を終えた時には、指がかすかに震えていました・・・。
するとそこにまた警察の方が・・・。
警「報道の方ですか・・・」(どうやらカメラで判断しているらしい・・) ほ「いいえ、アマです」
警「写真の方は撮られましたか?」 ほ「はい。」
警「それならいいんですけど、この地域も避難勧告でてますので、もし、火山弾が飛んできた場合、非常に危険ですので・・・・。」

と言うわけで、駅に引き返します。
 目の前で噴火が起こっているわけですから、いつ噴石が飛んできても、おかしくないんですよね。少し急いで駅に戻りました。
駅前横の駐車場には、警官が40人ほど集まっています。改めて、現実をかいま見た気がしました。
 そして、11時8分の長万部行きに乗り込んで、洞爺駅をあとにしました。車内は比較的混んでいます。でも、次の豊浦で半分以上が降りていきました。避難している方達でしょうか。最後まで現実でした・・・。列車は来た道を戻り、長万部に到着しました。

 列車は、長万部駅に着きました。
長万部からは、函館行き臨時特急「北斗60号」に乗り換えて。大沼公園に 行く予定です。
長万部での乗り換え時間は、5分。しかし、洞爺からの列車が2分遅れで到着したので、正味3分。到着ホーム向かいの特急列車がそうだろうと思い、急いで乗り込もうとする、が、なんか変・・!? 車両の行き先表示を見る。 「特急北斗 札幌」 ・・・・。「ちょっとまて、札幌行き〜?」しかし、車内の座席の向きを見ると、函館方面を向いている。それにこの時間は、函館行きの接続しかないはず・・・・。なのに・・・?
駅員に確認をとろうにも、いない・・・。あたふたしている間に、列車のドアが、まるでスローモーションのように閉まっていく・・・。「ひぇ〜〜〜〜〜」
ちょうど前から、引き継いだ運転手が歩いてきたので、慌てて状況を説明し、間一髪ドアを開けてもらい、乗り込むことが出来ました・・・。 「あぶなかった〜〜〜〜」
危うく乗り遅れるところでした・・。 「行き先表示くらい、ちゃんと出しとけよー」と、愚痴りながら、一路、大沼公園をめざしたのでした・・・・。

大沼湖
大沼湖から駒ヶ岳を見る。

1時間で、大沼公園に到着。降りる際、もう一度列車表示を見てみると、 「臨時」のみの表示・・・。「おいお〜い・・・」
改札を抜け、リュックをコインロッカーに突っ込み、外へ。さっそくレンタサイクルを借りて、大沼湖を一周。
左手に湖を見ながら走るのだが、とにかく寒い・・・・。道南とはいえ、やはり北海道、天気が曇りというのも一因だろう・・・。
 それでも、道端のいたる所にミズバショウを見ることが出来る。なかには、一面がミズバショウの群生地もあり、自転車を降りては、少しぼ〜っとしながら、眺めたりもする。 大沼湖の周囲は、あまりアップダウンもなく、比較的快適に走ることが出来る。
 これで天気が良く、また季節が夏だったら、景色ももっとよく、最高の気分でしょう。今度は夏に来てみたい・・・。  

 1時間と少しで、駅に到着。まだ少し時間があるので、散策路の方に行ってみます。と、途中で、じゃがソフトなるものを発見。ご当地ソフトマニア(?)の僕としては、見逃せないのだが帰りに後回し。そして、散策路手前で、イカスミソフトを発見。さっそく買い、食べながら散策路を歩いてみる。
 このイカスミソフト、見た感じ火山灰を食べているみたいなんだけど、これが、めっちゃ美味い!バニラにビターチョコをまぶしたような味がして、Good!
  ところでこの散策路、小さな島をつなげた様な感じで、なんとなくメルヘンの世界。全部まわると、1時間半くらい掛かるらしい。が、ここは時間がないので、すぐに 戻ります。
その帰り道、気になった「じゃがソフト」を買って、さっそく一口・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「う〜〜〜っ」まっ、不味いのか、不味くないのか・・・・、食べた瞬間“バター”の味が・・・。味はじゃがバターなのだが、バターの味が強い・・・・。食べなきゃ よかった・・・・(笑)。  
大沼からは「北斗62号」で函館へ。

ここ函館の常風呂、「若松湯」で疲れをとります・・・。駅から歩いておよそ5分のこの銭湯、とてもきれいで、おすすめ銭湯です。  
名物駅弁「北への想い」を買い、さっき乗ってきた「北斗62号」の折り返し、183系編成の札幌行き臨時特急「北斗69号」に乗り込みます。
となりのホームに、函館発となる大阪行き「トワイライトエクスプレス」が入線。入れ替わり、「北斗69号」は、少し遅れて函館を後にしました。

 函館を出発した「北斗69号」は、夕暮れ時の大沼公園を走り、日没前の内浦湾を眺めながら、快走します。 その車窓景色を眺めながら、僕は、風呂上がりのビールを・・・(笑)。
長万部を出発した列車は、所定のルートである、室蘭線のレールを右に見て、函館本線に入ります。
 特急「北海」が廃止されてから、もう10年以上。久々復活の函館本線・倶知安経由の特急の車窓景色、楽しもうにも外は真っ暗・・・。仕方ないです・・・・。
 いかめし・いくら・鮭そぼろなどが入った駅弁「北への想い」を食べた後は、ぼ〜っと暗闇を眺める・・・・と、熱郛(ねっぷ)駅で、上野行き「カシオペア」とすれ違う。思わず、食い入るように見た(笑)あとは、ウトウトし、夢の中へ・・・・。  
 札幌で、翌日の朝食を購入し、3月の改正で特急になった、「利尻」で稚内に 向かいます。
「スーパー宗谷」と同じ様な、派手な色使いのシートに身を埋め、函館からの臨時特急「北斗71号」の連絡を受け、「利尻」は一路稚内に向かいました。

 

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