百姓馬鹿にすんのゆぐねぇずら、っつーズッコケ・コメディ、『郷土喜劇 植物医師 一幕』。
っつーことで、『賢治童話を丸写しシリーズその80』だよん。(^ ^;
爾薩待(にさったい)「いや、それはそうだろう。けれどもね、ぼくもここでこうやって、医者を開業して
みれば、別に夜逃げをする訳でもないんだから、月末まで待ってくれたまえ。」
ペンキ屋「ええ、ですけれど、そう言いつかって来たんですから。」
爾薩待「まあ、いいさ。僕だって、とにかくこうやって病院をはじめれば、まあ、院長じゃないか。
五円いくらぐらいきっと払うよ。そうしてくれ給え。」
ペンキ屋「だって、病院だって、人の病院でもないんでしょう。」
爾薩待「勿論(もちろん)さ。植物病院さ。いまはもう外国ならどこの町だって植物病院はあるさ。
ここではぼくがはじめてだけれど。」
ペンキ屋「だって現金でないと私帰って叱られますから。そんなら代金引替ということにねがい
ます。」
(すばやく看板を奪う)
爾薩待「君、君、そう頑固なこと言うんじゃないよ。実は僕も困ってるんだ。先月まではぼくは
県庁の耕地整理の方へ出てたんだ。ところが部長と喧嘩してね、そいつをぶんなぐって
やめてしまったんだ。商売をやるたって金もないしね、やっとその顕微鏡を友だちから借
りてこの商売をはじめたんだ。同情してくれ給え。」
ペンキ屋「だって、そんな先月まで交通整理だかやっていて俄(にわ)かに医者なんかできるん
ですか。」
爾薩待「交通整理じゃないよ。耕地整理だよ。けれどもそりゃぁ、医者とはちがわぁね。しかし
ね、百姓のことなんざ何とでもごまかせるもんだよ。ぼく、きっとうまくやるから、まあ置い
とけよ。置いとけよ。」
(また取り返す)
ペンキ屋「そうですか。そいじゃ月末にはどうか間ちがいなく。困っちまうなあ。」
爾薩待「大丈夫さ。君を困らしぁしないよ。ありがとう。じゃ、さよなら。」
ペンキ屋徒弟退場。
(丸写しオシマイ)
『賢治童話を丸写しシリーズその80』でした。
「オノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語)なんて集めてどうすんの?」
みっしり:【「さあ、あべじゃ。医者さんもあんまり、がおれなぃで、折角みっしりやったら
いがべ。」】
岩手弁がみっしり入っちょりますけん、よぉわからんとたい、だなす。
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『植物医師』のオノマトペ
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@そわそわ:【爾薩待(にさったい)正(ただし)、椅子に坐り心配そうに新聞を見て居る。立ってそわ
そわそこらを直したりする。】
Aきっ:【「五円いくらぐらいきっと払うよ。」】
Bさっぱり:【「はあ、おりゃの陸稲(おかぼ)ぁ、さっぱりおがらなぃです。」】
Cだんだん:【「この位になって、だんだん枯れはじめです、なじょにしたらいが、教えてくなん
せ。」】
Dぼさぼさ:【「いいえおりゃのあそごぁひでえ谷地(やじ)で、なんぼ旱(ひでり)でも土ぼさぼさづぐ
なるづごとのなぃどごだます。」】
Eさっ:【「曇ってまず、土のさっと湿けだずぎだら、なんぼこりゃにすたらいがべす。」】
Fちゃん:【「立枯病(たちがれびょう)です。ちゃんと見えてます。」】
Gやっ:【爾薩待(汗を拭いてやっと安心という風)】
Hほくほく:【ほくほくして室(へや)の中を往来する。】
Iすっかり:【「この証明書を持って薬屋へ行って亜砒酸を買って水へとかしてあなたの陸稲
へおかけなさい。すっかり直りますから。」】
Jみっしり:【「さあ、あべじゃ。医者さんもあんまり、がおれなぃで、折角みっしりやったらいが
べ。」】
『植物医師』のオノマトペ、まんず、これで、おすめえだぁ。えがっだなす。 スネオ 拝 (^
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2006.7.03.
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