『イーハトーヴ・オノマトペ症候群』やってます。(^ ^;

                                                                .
  ★                                                      .
                                                                               これら三つの劇は、                                                    『種山が原の夜』とともに                                           大正十三年八月、                                                  花巻農学校の生徒により上演。                                   同年十二月、                                                        童話集『注文の多い料理店』自費出版。                                     花巻農学校教師:宮沢賢治28歳 (^ ^;   ベル、                                                              人数の歓声、                                                         Hacienda,the society Tango のレコード、                 オーケストラの演奏、かぶとむしの羽音、
お祭りミュージカルだにゃぁ。『ポランの広場』


イーハトーヴオノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語)
                           幕 あく。                        舞台は、中央よりも少し右手に、                                  赤楊(あかやなぎ)の木二本、                                      電灯やモールで美しく飾られる。   その左に小さな演壇。   
宮沢賢治童話の私設ファンコーナー18です。

                               ★宮沢賢治童話を是非ぜひゼヒ読んでネ★
                んで、18回目の今回は、


    ******** 銀河鉄道の夜 ********
           新潮文庫  280円 256p 表紙:加山又造 解説:巽聖歌 .
                           右手にオーケストラバンド、                                          指揮者と楽手二名だけ見える。                                   そのこっち側、右手前列に白布をかけたテーブルと椅子、       給仕が立ち、                                                         山猫博士がコップをなめながら腰掛けて見ている。
             虔十
(けんじゅう)公園林◆2─────── 11p
             よだかの星─────────────10p
             やまなし
◆1───────────── 8p
             雪渡り
────────────── 17p
             銀河鉄道の夜
 ─────────── 84p
             双子の星
 ───────────── 25p ここまでは17ページです。
             ざしき童子(ぼっこ)のはなし ────── 5p
             グスコーブドリの伝記
◆3 ─────── 47p
             ポランの広場──────────── 11p
             植物医師
 ───────────── 17p
             饑餓陣営 ───────────── 21p の11短編です。

           注:
は『注文の多い料理店2』ご覧ください。

             ◆1は『新編 風の又三郎』ご覧ください。

             ◆2は『新編 風の又三郎2』ご覧ください。

             ◆3は『新編 風の又三郎3』ご覧ください。

                   


 
 


『銀河鉄道の夜』の第九話です。


            田園紳士、村の娘たち、牧者、葡萄園農夫等 円舞。       衣裳係は六七着の上着を右手にかけて、                        後ろ向きに左手を徘徊して新しい参加者を待つ。     背景はまっくろな夜の野原と空、                                   空にはしらしらと銀河が亘(わた)っている。      すべてしろつめくさの                                                  いちめんに咲いた野原のまん中の心持。     円舞終わる。コンフェットー。歓声。            かぶとむしの羽音が一そう高くなる。            衣裳係やみをすかし見て左手から退場。           みんなせわしくコップをとる。            給仕酒を注いでまわる。                                            山猫博士ばかり残る。

ファンタジー              .
********* 『ポラン広場』 第二幕 11p *********
   

 お祭りミュージカルだにゃぁ、『ファンタジー ポランの広場 第二幕』。

 っつーことで、『
賢治童話丸写しシリーズその79』だよん。(^ ^;

山猫博士(立ち上がりながら)「おいおい、給仕、なぜおれには酒を注がんか。」
給仕(あわてて来る。)「はいはい、相済みません。坐っておいでだったもんですから、つい。」
山猫博士「坐っておいでになっても立っておいでになっても我輩は我輩じゃないか。おっと、よ
   ろしい。諸君は乾杯しようというんだな。よしよし。プ、プ、プロージット。」
 乾杯。山猫博士首を動かしながら歩き回る。
 ファゼロ続いてキュステ登場。
ファゼロ「あ、山猫博士も来ているよ。」
キュステ「あれかい。山猫博士というのは何だい。」
ファゼロ「あの人は山へ行って山猫を釣って来て、ならしてアメリカに売る商売なんだ。こわい
   そうだよ。」
 田園紳士一、山猫博士と握手する。
紳士 「いや、今晩は。先日は失礼いたしました。」
山猫博士「どうです、カンヤヒョウ問題もいよいよ落着ですな。」
紳士 「ええ、どうも大へんに不利なことになりました。」
 (紳士言いながらガラスのコップを二つ取ってファゼロとキュステに渡す。
  紳士自分のコップに藁酒
(わらざけ)をつぐ。)
紳士 「あなたには何をあげましょう。」
キュステ「そうだね。葡萄水
(ぶどうすい)をおくれ。」
給仕 「そうですか、坊ちゃんも。」
ファゼロ「「うん。」
 (山猫博士、紳士と盃を合わせ、酒をなめ、横眼で二人を見ながら言う。)
山猫博士「どうも水を呑むやつらが来ると、広場も少ししらばっくれるね。」
紳士四「ええ、何せまだ子供ですから。それにそちらはたぶんカトリックの信者でいらっしゃい
   ますから。」
山猫博士「ああ、カトリックですか。私も祖父がきついカトリックでしたがね。どうもいかんね、
   カトリックは。おい注いでくれ。」
 (オーケストラはじまる。)
山猫博士「おいおい、そいつでなしに、キャッツホイスカアというやつをやってもらいたいな。」
楽長 「冗談じゃない、猫のダンスなんて。」
山猫博士「やれ、やれ、やらんか。」
 (オーケストラはじまる。)
               (丸写しオシマイ)
 『
賢治童話丸写しシリーズその79』でした。

ps.藁酒
(わらざけ)、っつーのは、麦酒、つまり、ビールのことだべな。(^ ^;


 ポランの広場 お気に入りオノマトペ
                     黄いろな藁(わら)の酒は尽きようが、   
    もっときれいな、すきとおった露は、                                 一晩そらから降りてくる。      おお娘たち、         (町の人形どものように、                                              手数を食った馬鹿げた着物を着ないでも)    おまえたちはひときれの白いきれをかぶれば、   
 季節: 1920年代、6月30日夜
    あとは葡萄いろの宵やみや、       銀河から来る鈍い水銀、       さまざまの 木の 黒い影やらが、       ひとりでに おまえたちを 飾るのだ。   

◆オラが好きなオノマトペ(初読)=なし

ボクの好きなオノマトペ(再読)=5つが最高。)
@しらしら:【背景はまっくろな夜の野原と空、空にはしらしらと銀河が亘(わた)っている。】

 

 「オノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語)なんて集めてどうすんの?」

 芝居の脚本のせいか、たった4つしかオノマトペがなかったのら、がっかり。


 

    キュステ「よし、酒を呑まなきゃ物を言えないような、                          そんな卑怯なやつの相手は子供でたくさんだ。                    おい、ファゼロ、しっかりやれ、                                       こんなやつは野原の松毛虫だ。                                     おれが介添えをやろう。                                              めちゃくちゃにぶん撲(なぐ)ってしまえ。」

 

  山猫博士「よし、おい、誰かおれの介添人になれ。」   

 

   田園紳士二「まあまあ、あんな子供のことですから                               どうか大目に見てやって下さい。                                    今夜はたのしい夏まつりの晩ですから。」

 

   山猫博士(なぐりつける。)                                                      「やかましい。そんなことはわかっている。                             黙っておれ。おい、誰かおれの介添えをしろ。                     おい、ミラア、きさまやれ。」

 
 

   葡萄園農夫「おいらぁやだよ。」   

 

   山猫博士「臆病者、おい、ケルン、きさまやれ。」   

 

   田園紳士三「おいらぁやだよ。」   

 

   山猫博士「おい、てめいやれ。」   

 

   田園紳士四「おいらぁやだよ。」   

 

********* ポランの広場オノマトペ *********
 

@しらしら:【背景はまっくろな夜の野原と空、空にはしらしらと銀河が亘(わた)っている。】
Aめちゃくちゃ:【「こんなやつは野原の松毛虫だ。おれが介添えをやろう。めちゃくちゃにぶん
      撲
(なぐ)ってしまえ。」】
Bしらじら:【「見たまえ。天の川はおれはよくは知らないが、何でも
という字の形になってしら
      じらとそらにかかっている。」】
Cぶんぶん:【かぶとむしやびろうどこがねは列になってぶんぶんその下をまわっている。」】

 『ポランの広場』のオノマトペ、まんず、これで、おすめえだぁ。えがっだなす。 スネオ 拝
(^ ^;
                                                    2006.7.01.

 
 



『銀河鉄道の夜』の第十話です。


           幕 あく。           粗末なバラック室、卓子(テーブル)二、                          一は顕微鏡を載せ一は客用、                                     椅子二、爾薩待(にさったい)正(ただし)、椅子に坐り           心配そうに新聞を見て居る。                                        立ってそわそわそこらを直したりする。   「今日はあ。」                                                         「はぁい。」(爾薩待(にさったい)忙しく身づくろいする)   (ペンキ屋徒弟登場 看板を携(たずさ)える)      爾薩待「ああ、君か、出来たね。」         ペンキ屋(汗を拭きながら渡す)                                              「あの、五円三十銭でございます。」      爾薩待「ああ、そうか。                                                         ずいぶん急がして済まなかったね。                                  何せ今日から開業で、                                              新聞にも広告したもんだからね。」   ペンキ屋「はあ、それでようございましょうか。」        爾薩待「ああ、いいとも、立派にできた。                                      あのね、お金は月末まで待って呉れ給え。」    ペンキ屋「あのう、実は                                                           どちらさまにも現金に願ってございますので。」


郷土喜劇             .
********** 『植物医師』 一幕 17p **********

 百姓馬鹿にすんのゆぐねぇずら、っつーズッコケ・コメディ、『郷土喜劇 植物医師 一幕』。

 っつーことで、『
賢治童話丸写しシリーズその80』だよん。(^ ^;

爾薩待
(にさったい)「いや、それはそうだろう。けれどもね、ぼくもここでこうやって、医者を開業して
   みれば、別に夜逃げをする訳でもないんだから、月末まで待ってくれたまえ。」
ペンキ屋「ええ、ですけれど、そう言いつかって来たんですから。」
爾薩待「まあ、いいさ。僕だって、とにかくこうやって病院をはじめれば、まあ、院長じゃないか。
   五円いくらぐらいきっと払うよ。そうしてくれ給え。」
ペンキ屋「だって、病院だって、人の病院でもないんでしょう。」
爾薩待「勿論
(もちろん)さ。植物病院さ。いまはもう外国ならどこの町だって植物病院はあるさ。
   ここではぼくがはじめてだけれど。」
ペンキ屋「だって現金でないと私帰って叱られますから。そんなら代金引替ということにねがい
   ます。」
      (すばやく看板を奪う)
爾薩待「君、君、そう頑固なこと言うんじゃないよ。実は僕も困ってるんだ。先月まではぼくは
   県庁の耕地整理の方へ出てたんだ。ところが部長と喧嘩してね、そいつをぶんなぐって
   やめてしまったんだ。商売をやるたって金もないしね、やっとその顕微鏡を友だちから借
   りてこの商売をはじめたんだ。同情してくれ給え。」
ペンキ屋「だって、そんな先月まで交通整理だかやっていて俄
(にわ)かに医者なんかできるん
   ですか。」
爾薩待「交通整理じゃないよ。耕地整理だよ。けれどもそりゃぁ、医者とはちがわぁね。しかし
   ね、百姓のことなんざ何とでもごまかせるもんだよ。ぼく、きっとうまくやるから、まあ置い
   とけよ。置いとけよ。」
      (また取り返す)
ペンキ屋「そうですか。そいじゃ月末にはどうか間ちがいなく。困っちまうなあ。」
爾薩待「大丈夫さ。君を困らしぁしないよ。ありがとう。じゃ、さよなら。」
   ペンキ屋徒弟退場。
            
   (丸写しオシマイ)
 『
賢治童話丸写しシリーズその80』でした。


 植物医師 お気に入りオノマトペ
           「申し。」          爾薩待(居ずまいを直し身繕いする) 「はあ。」           農民一(登場 枯れた陸稲(おかぼ)を持っている)                       「稲の伯楽(ばくろう)づのぁ、こっちだべすか。」     爾薩待 「はあ、そうです。」           農民一「はあ、おりゃの陸稲(おかぼ)ぁ、                                    さっぱりおがらなぃです。                                              この位になって、だんだん枯れはじめです、                         なじょにしたらいが、教えてくなんせ。」(出す)
 季節: 1920年代、夏
       爾薩待(手にとって見る)                                                     「ははあ、あんまり乾き過ぎたな。」        農民一「いいえおりゃのあそごぁひでえ谷地(やじ)で、                     なんぼ旱(ひでり)でも                                               土ぼさぼさづぐなるづごとのなぃどごだます。」     爾薩待 「ははあ、あんまり水のはけないためだ。」          農民一(考える)                                                              「すた、去年なも、すいぶん雨降りだたんとも、                      ずいぶんゆぐ穫(と)れだます、まんつ、                             おらあだりでば大谷地中(おおやじうち)で                         おれのこれぁとったもの無ぃがったます。」     爾薩待 「ははあ、あんまり厚く蒔(ま)きすぎたな。」   

◆オラが好きなオノマトペ(初読)=5つが最高。)
H
ほくほく:【ほくほくして室(へや)の中を往来する。】

ボクの好きなオノマトペ(再読)=5つが最高。)
J
みっしり:【「さあ、あべじゃ。医者さんもあんまり、がおれなぃで、折角みっしりやったら
      いがべ。」】

 

 「オノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語)なんて集めてどうすんの?」

 
みっしり:【「さあ、あべじゃ。医者さんもあんまり、がおれなぃで、折角みっしりやったら
      いがべ。」】

 岩手弁が
みっしり入っちょりますけん、よぉわからんとたい、だなす。 (^ ^;



 

   農民一「何病だべす。」   

 

    爾薩待(もったいらしく顕微鏡に掛ける)                                    「ははあ、立枯病(たちがれびょう)ですな。                         立枯病です。ちゃんと見えてます。立枯病です。」

 

  農民一「はでな、病気よりも何が虫だなぃがべすか。」  

 

   爾薩待 「虫もいますか。葉にですか。」   

 

      農民一「いいえ、根にす。                                                     小せぁ虫こぁ居るようだます。」

 
 

      爾薩待 「ああなるほど虫だ。                                                    ちゃんと根を食ったあとがある。                                      これは病気と虫と両方です。                                        主に虫の方です。」

 

   農民一「はあ、私もそうだと思ってあんすた。」   

 

     爾薩待(汗を拭いてやっと安心という風)                                   「ええ、そうですとも、これはもう明らかに虫です。                    しかも根切虫だということは極めて明白です。                     つまりこの稲は                                                        根切虫の害によって枯れたのですな。」

 

      農民一「はあ、それで、その根切虫、                                         無ぐするになじょにすたらいがべす。」

 

      爾薩待 「そうですなあ。虫を殺すとすればやっぱり                           亜砒酸(あひさん)などが一番いいですな。」

 

 ********** 植物医師オノマトペ **********.
 

@そわそわ:【爾薩待(にさったい)(ただし)、椅子に坐り心配そうに新聞を見て居る。立ってそわ
      そわそこらを直したりする。】
Aきっ:【「五円いくらぐらいきっと払うよ。」】
Bさっぱり:【「はあ、おりゃの陸稲
(おかぼ)ぁ、さっぱりおがらなぃです。」】
Cだんだん:【「この位になって、だんだん枯れはじめです、なじょにしたらいが、教えてくな

      せ。」】
Dぼさぼさ:【「いいえおりゃのあそごぁひでえ谷地
(やじ)で、なんぼ旱(ひでり)でも土ぼさぼさづぐ
      なるづごとのなぃどごだます。」】
Eさっ:【「曇ってまず、土のさっと湿けだずぎだら、なんぼこりゃにすたらいがべす。」】
Fちゃん:【「立枯病
(たちがれびょう)です。ちゃんと見えてます。」】
Gやっ:【爾薩待(汗を拭いてやっと安心という風)】
Hほくほく:【ほくほくして室
(へや)の中を往来する。】
Iすっかり:【「この証明書を持って薬屋へ行って亜砒酸を買って水へとかしてあなたの陸稲
      へおかけなさい。すっかり直りますから。」】
Jみっしり:【「さあ、あべじゃ。医者さんもあんまり、がおれなぃで、折角みっしりやったらいが
      べ。」】

 『植物医師』のオノマトペ、まんず、これで、おすめえだぁ。えがっだなす。 スネオ 拝 (^ ^;
                                                  2006.7.03.

 
 


『銀河鉄道の夜』の第十一話です。


     コミック オペレット               饑 餓 陣 営               一 幕      人物 バナナン大将                                                    特務曹長                                                          曹長                                                                   兵士一、二、三、四、五、六、七、八、九、十……   場 処  不明なるも劇中マルトン原と呼ばれたり       時  不 明         幕 あく。           砲弾にて破損せる古き穀倉の内部、                              辛くも全滅を免れしバナナン軍団、                                マルトン原の臨時幕営。    右手より曹長先頭にて兵士一、二、三、四、五、登場、       一列壁に沿いて行進。     曹長 「一時半なのにどういうのだろう                                       バナナン大将はまだやってこない                                    胃時計(ストマクウォッチ)はもう十時なのに                        バナナン大将は帰らない。」   正面壁に沿い左向き足踏み。                                     (銅鑼の音)      .


コミック オペレット        .
* 『饑餓陣営』 一幕 21p *
 

 大正十三年八月の『爆笑・レッド・カーペット』、
 花巻農学校生のギャグなのら、『
コミック オペレット 饑餓陣営 一幕』。

 っつーことで、『
賢治童話丸写しシリーズその81』だよん。(^ ^;

      (銅鑼
(どら)の音)
  左手より特務曹長並びに兵士六、七、八、九、十、五人登場。一列壁に沿いて行進。
  右隊足踏みつつ挙手の礼。左隊答礼。
特務曹長 「もう二時なのにどうしたのだろう
        バナナン大将はまだ来ていない
        胃時計
(ストマクウォッチ)はもう十時なのに
        バナナン大将は帰らない。」
  左隊右壁に沿い足踏み         (銅鑼)
曹長、特務曹長 (互いに進み寄り足踏みつつ唱う)
     「糧食はなし 四月の寒さ
     ストマクウォッチも、もうめちゃめちゃだ。」
合唱 「どうしたのだろうバナナン大将
     もう一遍だけ 見て来よう。」 別々に退場。
                          (銅鑼)
  右隊登場、総て始めのごとし、可成り疲れたり。
曹長 「もう四時なのにどうしたのだろう
     バナナン大将はまだ来ていない
     もう四時なのにどうしたのだろう
     バナナン大将は 帰らない。」
  左隊登場
    「もう四時半なのにどうしたのだろう
     バナナン大将はまだ来ていない
     もう五時なのにどうしたのだろう
     バナナン大将は 帰らない。」
曹長、特務曹長
    「大将ひとりでどこかの並木の
     苹果
(りんご)をたたいているかもしれない
     大将いまごろどこかのはたけで
     人参がりがり噛んでるぞ。」
                
     (丸写しオシマイ)
 『
賢治童話丸写しシリーズその81』でした。

ps.『饑餓陣営』は『バナナン大将』という題名で、『植物医師』と共に、稗貫農学校が県立花巻
  農学校となった創立記念として、大正十二年五月に花巻農学校生により上演されているの
  で、大正十三年八月は再演、っつーことだなす。
   再演、っつーことは、わりと好評で、ギャグもバージョンアップしたんじゃないかしらん。(^ ^;

ps2.花巻農学校の宮沢賢治先生は、ある時、生徒たちにこんなクイズを出したそうな。
   「みなさん、一番長ぁぁぁい英単語は何だ、と思いますか?」
    生徒たちは英語の辞書で一生懸命探して、いろんな単語を答えたそうな。
    しばらくして賢治先生は、にこにこしながら黒板に書いて、こう云ったそうな。
   「みなさん、正解は、smiles、です。何しろ、sとsの間が1マイルもあるんですから、ずいぶ
    ん長ぁぁぁいですねぇ。」 じゃんじゃん。(^ ^;

   宮沢賢治先生って、結構たのしい先生だったんじゃないかしらん。


 饑餓陣営 お気に入りオノマトペ
         曹長(低く)「大将の勲章は実にうまそうだなあ。」         特務曹長 「それはうまそうだ。」         曹長 「食べるというわけには                                                 行かないものでありますか。」       特務曹長 「それは蓋(けだ)し、いかない。                                      軍人が名誉ある勲章を                                             食ってしまうという前例はない。」    曹長 「食ったらどうなるのでありますか。」       特務曹長 「軍法会議だ。                                                         それから銃殺にきまっている。」                                      間、兵卒一同再び倒る。
 季節: 四月
     曹長(面をあぐ)「上官、私は決心いたしました。                                      この饑餓陣営の中に於きましては、                                最早私共の運命は定まってあります。」     曹長 「戦争の為にでなく、                                                   饑餓の為に全滅するばかりであります。」     曹長 「かの巨大なるバナナン軍団の                                       ただ十六人の生存者、                                              われわれもまた死ぬばかりであります。」     曹長 「この際私が将軍の勲章とエポレットとを盗み、                    これを食しますれば                                                  私共は死ななくても済みます。」     曹長 「そして私はその責任を負って                                        軍法会議にかかり、                                                  また銃殺されようと思います。」
◆オラが好きなオノマトペ(初読)=5つが最高。)
@
めちゃめちゃ:【「糧食はなし 四月の寒さ 胃時計(ストマクウォッチ)も、もうめちゃ
      めちゃだ。」】

ボクの好きなオノマトペ(再読)=5つが最高。)
Bきれぎれ:【立てるもの合唱(きれぎれに)】
 

 「オノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語)なんて集めてどうすんの?」


 
めちゃめちゃ:【「糧食はなし 四月の寒さ 胃時計(ストマクウォッチ)も、もうめちゃめちゃだ。」】

 ストマクウォッチ、っつーのなんだか懐かしいんだにゃぁ。(^ ^;


 

      特務曹長 「閣下の勲章は皆実に立派であります。                           私共は閣下の勲章を仰ぎますごとに、                             実に感激して涙が出たり、                                          のどが鳴ったりするのであります。」

 

   大将 「ふん、それはそうじゃろう。」    

 

      特務曹長 「閣下、この機会をもちまして、                                       私共一同に                                                          とくとお示しを得たいものであります。」

 

   大将 「それはよろしい。どの勲章を見たいのだ。」   

 

      特務曹長 「一番大きなやつから。」    

 
     大将 「これが一番大きいじゃ、獅子奮迅章だ。                          コンテンプナルール勲章じゃ。」                                     (胸より最大なる勲章を外し、特務曹長に渡す。)         特務曹長 「これはどの戦役で                                                     ご受領なされましたのでありますか。」      大将 「印度戦争だ。」             特務曹長 「このまん中の青い所は                                              ほんもののザラメでありますか。」      大将 「ほんとうのザラメとも。」             特務曹長 「実に立派であります。」                                             (曹長に渡す。曹長、兵卒一に渡す。                               兵卒一、直ちに之を嚥下す)  

* 饑餓陣営オノマトペ *
 

@めちゃめちゃ:【「糧食はなし 四月の寒さ 胃時計(ストマクウォッチ)も、もうめちゃめちゃだ。」】
Aがりがり:【「大将いまごろどこかのはたけで 人参がりがり噛んでるぞ。」】
Bきれぎれ:【立てるもの合唱(きれぎれに)】
Cすっかり:【「つかれたつかれた すっかりつかれた」】
Dきっ:【「貴様だけは殺さない。おれもきっと一緒に行くぞ。」】
Eもっ:【「もっと正々堂々とやらなくちゃいけない。」】

 『饑餓陣営』のオノマトペ、これで、おすめえだぁ。まんず、えがっだなす。 スネオ 拝 (^ ^;
                                                  2006.7.04.

 
 








 
 

      特務曹長 「実にめずらしくあります。                                              やはりシナ戦争でありますか。」

 
     








 


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角川文庫版
銀河鉄道の夜

 
次回配本は、『めくらぶどうと虹』です。

   大将 「いいや。                                                               シナの大将と豚を五匹でとりかえたのじゃ。」         特務曹長「なるほど、ハムサンドウィッチですな。」                             (兵卒五、これを嚥下す)                                                              by 『饑餓陣営』

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