イーハトーヴ・オノマトペ症候群 (^ ^; やってます。

 




赤髯(ひげ)で背中のかがんだ、鳥を捕る人、名脇役だにゃぁ、(^ ^;

          
銀河鉄道の夜


     「ここへかけてもようございますか。」
                      by 『銀河鉄道の夜』  

      がさがさした、けれども親切そうな、大人の声が、   
      二人のうしろで聞えました。

    それは、茶いろの少しぼろぼろの外套(がいとう)を着て、
    白いきれでつつんだ荷物を、二つに分けて肩に掛けた、  
    赤ひげのせなかのかがんだ人でした。                    

   「ええ、いいんです。」
    ジョバンニは、少し肩をすぼめて挨拶しました。  

    その人は、ひげの中でかすかに微笑(わら)いながら、    
    荷物をゆっくり網棚にのせました。

                                                      ↑ Look! ↑










  ジョバンニは、
  なにか大へんさびしいようなかなしいような気がして、  
  だまって正面の時計を見ていましたら、
  ずうっと前の方で、
  硝子(ガラス)の笛のようなものが鳴りました。
  

  

    汽車はもう、しずかにうごいていたのです。  
  

  

    カムパネルラは、
    車室の天井を、あちこち見ていました。  
  


  

  その一つのあかりに黒い甲(かぶと)虫がとまって  
  その影が大きく天井にうつっていたのです。
  
   
  赤ひげの人は、なにかなつかしそうにわらいながら、
  ジョバンニやカムパネルラのようすを見ていました。  

↑          ↓   カーソル↑をイラストの上に置いて見てね。     ↓         ↑             ↑ .

   最初に登場するのは
 
   『よだかの星』です。見てネ。 (^ ^; 

  ps. もちろん『銀河鉄道の夜』 もやってるよ〜ん。 

 
       よだかはその火のかすかな照りと、                                  つめたいほしあかりの中をとびめぐりました。
                        by 『よだかの星』    
 
                     いじめ、なのら。『よだかの星』


イーハトーヴオノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語)
                            そして思い切って西のそらの                                         あの美しいオリオンの星の方に、                                    まっすぐに飛びながら叫びました。                     「お星さん。西の青じろいお星さん。                                  どうか私をあなたのところへ連れてって下さい。                     灼けて死んでもかまいません。」
宮沢賢治童話の私設ファンコーナー17です。

                ★宮沢賢治童話を是非ぜひゼヒ読んでネ★
んで、17回目の今回は、


       ******* 銀河鉄道の夜 *******
           新潮文庫  280円 256p 表紙:加山又造 解説:巽聖歌 .
                              オリオンは勇ましい歌をつづけながら                                よだかなどはてんで相手にしませんでした。
              虔十
(けんじゅう)公園林◆2─────── 11p
              よだかの星─────────────10p
              やまなし◆1───────────── 8p
              雪渡り
────────────── 17p
              銀河鉄道の夜 ─────────── 84p
              双子の星
 ───────────── 25p
              ざしき童子(ぼっこ)のはなし ────── 5p
              グスコーブドリの伝記
◆3 ─────── 47p
              ポランの広場────────────
11p ここから18ページです。
              植物医師
 ───────────── 17p
              饑餓陣営 ───────────── 21p の11短編です。

            注:
は『注文の多い料理店2』ご覧ください。

              ◆1は『新編 風の又三郎』ご覧ください。

              ◆2は『新編 風の又三郎2』ご覧ください。

              ◆3は『新編 風の又三郎3』ご覧ください。

                   


 
 


『銀河鉄道の夜』の第二話です。

                                                     .


                                   
      よだかは泣きそうになって、よろよろと落ちて、                       それからやっとふみとまって、                                         もう一ぺんとびめぐりました。                                         それから、南の大犬座の方へ                                       まっすぐに飛びながら叫びました。      「お星さん。南の青いお星さん。                                      どうか私をあなたの所へつれてって下さい。                         やけて死んでもかまいません。」


** 『よだかの星』 10p **
 

 いじめ、なのら、『よだかの星』。

 っつーことで、『
賢治童話を丸写しシリーズその76』だよん。(^ ^;
<イントロ>
 よだかは、実にみにくい鳥です。
 顔は、ところどころ、味噌をつけたようにまだらで、くちばしは、ひらたくて、耳までさけていま
す。
 足は、まるでよぼよぼで、一間とも歩けません。
 ほかの鳥は、もう、よだかの顔を見ただけでも、いやになってしまうという工合でした。
 たとえば、ひばりも、あまり美しい鳥ではありませんが、よだかよりは、ずっと上だと思ってい
ましたので、夕方など、よだかにあうと、さもさもいやそうに、しんねりと目をつぶりながら、首
をそっぽへ向けるのでした。もっとちいさなおしゃべりの鳥などは、いつでもよだかのまっこう
から悪口をしました。
 「ヘン。又出て来たね。まあ、あのざまをごらん。ほんとうに、鳥の仲間のつらよごしだよ。」
 「ね、まあ、あのくちの大きいことさ。きっと、かえるの親類か何かなんだよ。」
 こんな調子です。おお、よだかでないただのたかならば、こんな生はんかのちいさい鳥は、
もう名前を聞いただけでも、ぶるぶるふるえて、顔色を変えて、からだをちぢめて、木の葉の
かげにでもかくれたでしょう。ところがよだかは、ほんとうは鷹の兄弟でも親類でもありませ
んでした。かえって、よだかは、あの美しいかわせみや、鳥の中の宝石のような蜂すずめの
兄さんでした。
 
        (丸写しオシマイ)
 『
賢治童話丸写しシリーズその76』でした。

 ps.市蔵という名に改名披露しなければ、つかみ殺すぞ、と鷹に脅されるよだかクン、
    つらいにゃぁ!
    市蔵といい、改名披露といい、これって歌舞伎じゃん。(^ ^;


 よだかの星漫画紹介

 @あすなひろし:宮沢賢治漫画館(潮出版社)第3巻  .



                    鳥類図鑑だにゃぁ。(^ ^;

 

 あすなひろしの漫画版『よだかの星』は、デフォルメがにゃい。

 あすなひろし、絵がリアル、まるで鳥類図鑑。
 動きに迫力がにゃい、デフォルメが感じられにゃい、よだかのコンプレックスが見えにゃい。
 こういうのって、好きくにゃい。

 っつーことで、『よだかの星』の漫画版、あすなひろし、鳥類図鑑だにゃぁ。(^ ^;


 よだかの星 お気に入りオノマトペ
 季節: 夏                 「鷹さん。それはあんまり無理です。                                  私の名前は私が勝手につけたのではありません。                 神さまから下さったのです。」             「いいや。おれの名なら、                                              神さまから貰ったのだと云ってもよかろうが、                        お前のは、云わば、                                                  おれと夜と、両方から借りてあるんだ。                             さあ返せ。」

◆オラが好きなオノマトペ(初読)=5つが最高。)
@
よぼよぼ:【足は、まるでよぼよぼで、一間とも歩けません。】
B
しんねり:【夕方など、よだかにあうと、さもさもいやそうに、しんねりと目をつぶりなが
      ら、首をそっぽへ向けるのでした。】

▼ボクの好きなオノマトペ(再読)=5つが最高。)
H
すれすれ:【よだかはまるで雲とすれすれになって、音なく空を飛びまわりました。】
N
きしきしきし:【よだかは高くきしきしきしと鳴きました。】
 

 「オノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語)なんて集めてどうすんの?」

 
しんねり:【夕方など、よだかにあうと、さもさもいやそうに、しんねりと目をつぶりなが
      ら、首をそっぽへ向けるのでした。】

 しんねり、っつーの、意味ゆぐわがらないけど、いんでねけ?


        「無理じゃない。おれがいい名を教えてやろう。                     市蔵というんだ。市蔵とな。いい名だろう。」       .       「そこで、名前を変えるには、                                          改名の披露というものをしないといけない。                        いいか。それはな、                                                   首へ市蔵と書いたふだをぶらさげて、                               私は以来市蔵と申しますと、口上を云って、                      みんなの所をおじぎしてまわるのだ。」  

  ** よだかの星オノマトペ **  .
 

@よぼよぼ:【足は、まるでよぼよぼで、一間とも歩けません。】
Aずっ:【たとえば、ひばりも、あまり美しい鳥ではありませんが、よだかよりは、ずっと上だと
      思っていましたので、夕方など、よだかにあうと、さもさもいやそうに、しんねりと目を
      つぶりながら、首をそっぽへ向けるのでした。】
Bしんねり:【夕方など、よだかにあうと、さもさもいやそうに、しんねりと目をつぶりながら、首
      をそっぽへ向けるのでした。】
Cもっ:【もっとちいさなおしゃべりの鳥などは、いつでもよだかのまっこうから悪口をしまし
      た。】
Dきっ:【「ね、まあ、あのくちの大きいことさ。きっと、かえるの親類か何かなんだよ。」】
Eぶるぶる:【おお、よだかでないただのたかならば、こんな生はんかのちいさい鳥は、もう名
      前を聞いただけでも、ぶるぶるふるえて、顔色を変えて、からだをちぢめて、木の葉
      のかげにでもかくれたでしょう。】
Fとうとう:【ある夕方、とうとう、鷹がよだかのうちへやって参りました。】
Gじっと:【よだかは、じっと目をつぶって考えました。】
Hすれすれ:【よだかはまるで雲とすれすれになって、音なく空を飛びまわりました。】
Iぞっ:【よだかはすぐそれを呑みこみましたが、その時何だかせなかがぞっとしたように思い
      ました。うに思いました。】
Jばたばた:【そしてまるでよだかの咽喉をひっかいてばたばたしました。】
Kどきっ:【よだかはそれを無理にのみこんでしまいましたが、その時、急に胸がどきっとして、
      夜だかは大声をあげて泣き出しました。】
Lぐるぐるぐるぐる:【泣きながらぐるぐるぐるぐる空をめぐったのです。】
Mだんだん:【山焼けの火は、だんだん水のように流れてひろがり、雲も赤く燃えているようで
      す。】
Nきしきしきし:【よだかは高くきしきしきしと鳴きました。】
Oきちん:【そして巣の中をきちんとかたづけ、きれいにからだ中のはねや毛をそろえて、また
      巣から飛び出しました。】
Pぐらぐら:【夜だかはぐらぐらするほどまぶしいのをこらえて、矢のように、そっちへ飛んで行
      きました。】
Qだんだん:【行っても行っても、お日さまは近くなりませんでした。かえってだんだん小さく遠く
      なりながらお日さまが云いました。】
Rずうっ:【からだがずうっと赤や黄の星のあいだをのぼって行ったり、どこまでも風に飛ばさ
      れたり、又鷹が来てからだをつかんだりしたようでした。】
Sすっかり:【もうすっかり夜になって、空は青ぐろく、一面の星がまたたいていました。】
21よろよろ:【よだかは泣きそうになって、よろよろと落ちて、それからやっとふみとまって、もう
      一ぺんとびめぐりました。】
22やっ:【よだかは泣きそうになって、よろよろと落ちて、それからやっとふみとまって、もう一ぺ
      んとびめぐりました。】
23ぶるっ:【そらのなかほどへ来て、よだかはまるで鷲が熊を襲うときするように、ぶるっとから
      だをゆすって毛をさかだてました。】
24キシキシキシキシキシッ:【それからキシキシキシキシキシッと高く高く叫びました。】
25はっきり:【それからしばらくたってよだかははっきりまなこをひらきました。】

 『よだかの星』のオノマトペ、これで、おすめえだぁ。まんず、えがっだなす。 スネオ 拝
(^ ^;
                                                   2006.6.10.

 
 


『銀河鉄道の夜』の第五話です。
     一、午后の授業                                             .

                              「ではみなさんは、                                                      そういうふうに川だと云われたり、                                    乳の流れたあとだと云われたりしていた                             このぼんやりと白いものが                                            ほんとうは何かご承知ですか。」      先生は、黒板に吊した大きな黒い星座の図の、                 上から下へ白くけぶった                                              銀河帯のようなところを指しながら、                                みんなに問いをかけました。      カムパネルラが手をあげました。                                     それから四五人手をあげました。      ジョバンニも手をあげようとして、                                     急いでそのままやめました。      たしかにあれがみんな星だと、                                       いつか雑誌で読んだのでしたが、                                   このごろはジョバンニはまるで毎日教室でもねむく、               本を読むひまも読む本もないので、                                なんだかどんなこともよくわからない                                  という気持ちがするのでした。



***** 『銀河鉄道の夜』 84p *****

 赤髯(ひげ)で背中のかがんだ、鳥を捕る人、名脇役だにゃぁ、『銀河鉄道の夜』。

 っつーことで、『
賢治童話を丸写しシリーズその77』だよん。(^ ^;

 「わっしはすぐそこで降ります。わっしは、鳥をつかまえる商売でね。」
 「何鳥ですか。」
 「鶴や雁(かり)です。さぎも白鳥もです。」
 「鶴はたくさんいますか。」
 「居ますとも、さっきから鳴いてまさあ。聞かなかったのですか。」
 「いいえ。」
 「いまでも聞えるじゃありませんか。そら、耳をすまして聴いてごらんなさい。」
 二人は眼を挙げ、耳をすましました。ごとごと鳴る汽車のひびきと、すすきの風との間から、
ころんころんと水の湧くような音が聞えて来るのでした。
 「鶴、どうしてとるんですか。」
 「鶴ですか、それとも鷺
(さぎ)ですか。」
 「鷺です。」ジョバンニは、どっちでもいいと思いながら答えました。
 「そいつはな、雑作ない。さぎというものは、みんな天の川の砂が凝
(こご)って、ぼおっとでき
るもんですからね、そして始終川へ帰りますからね、川原で待っていて、鷺がみんな、脚をこ
ういう風にして下りてくるとこを、そいつが地べたへつくかつかないうちに、ぴたっと押えちまう
んです。するともう鷺は、かたまって安心して死んじまいます。あとはもう、わかり切ってまさあ。
押し葉にするだけです。」
 「鷺を押し葉にするんですか。標本ですか。」
 「標本じゃありません。みんなたべるじゃありませんか。」
 「おかしいねえ。」カムパネルラが首をかしげました。
                               
(丸写しオシマイ)
 『
賢治童話を丸写しシリーズその77』でした。

ps.鳥を捕る人が一番、ファンタジーだなや。


 銀河鉄道の夜 漫画紹介

 @片山愁:銀河鉄道の夜(角川書店)

 Aますむらひろし:ますむら版宮沢賢治童話集(朝日ソノラマ)

 B永島慎二:銀河鉄道の夜(NHK出版)

 C松田一輝:文芸まんがシリーズ15銀河鉄道の夜(ぎょうせい)


                  一等賞は、松田一輝、だにゃぁ。(^ ^;

 

 松田一輝の漫画版『銀河鉄道の夜』は、鳥を捕る人、いんだにゃあ。

@片山愁は、淋しい。ずうっと、ひたすら淋しい。
 カムパネルラのキャラはとてもいい。家庭教師と女の子のかほると弟のタダシもいい。
 鷺の舞い降りるシーンはなかなかいい。
 ジョバンニのキャラ、いくにゃい。
 鳥を捕る人、せっかくの名脇役が淋し過ぎる。
 『
赤ひげの人は、なにかなつかしそうにわらいながら、ジョバンニやカムパネルラのようすを
見ていました。
』っつー宮沢賢治クンの文章を無視しちゃってるんだもん。
 人物に動きが感じられにゃい。セリフの内容がじぇんじぇん漫画してにゃいので絵の中に入
って行けにゃい。淋しくにゃいシーンが輝いてにゃいので、単調。

Aますむらひろしは、例によって、猫クンたちが登場人物を演ずるマニアックな漫画。
 えー、ずるい云い方だども、片山愁のあとに読むと、いんだなや。
 絵になるものはなんでも、精一杯、ファンタジーさせてる。う〜ん、エライ!おかげで絵の中
にスーっと入って行ける、こういうのが漫画なんだよなぁ。
 片山愁ちゃんのおかげで、ますむらひろしクンを、ちょっとほめ過ぎちゃったにゃぁ。
 片山愁ちゃんありがと。(^ ^; そして、片山愁ちゃん、ごみんね。(^ ^;

B永島慎二は、192ページ書き下ろしオールカラーだもんね、気合い入っちょるけんね。
 でも、さすが永島慎二、気合い入っちょっても、キャラも背景もユルユル。このユルユルが、
いんだにゃぁ。ヘタウマ・タッチ、いんだにゃぁ。
 あとがきに苦労話があっても、絵にはちっとも苦労出てにゃい。
 192ページオールカラーでも、読んでて、くどくにゃい、疲れにゃい。
 ジョバンニのキャラ、いんだにゃぁ。カムパネルラ、いんだにゃぁ。女の子のかほるの別れの
シーン、いんだにゃぁ。
 でも、鳥を捕る人、キャラが濃過ぎる、いくにゃい。燈台守のキャラも凡庸だにゃぁ。
 あとがきの最後に、参考文献として、ますむらひろし『銀河鉄道の夜』とアニメ『銀河鉄道の
夜』が載っていた。年下の漫画家に敬意を表する永島慎二、エライ!

ps.ますむらひろしの猫キャラ版アニメ『銀河鉄道の夜』は、単調で、ずうっと淋しいアニメな
  のら。がっかりしちゃったにゃぁ。

C松田一輝は、
『セロ弾きのゴーシュ』に続いて二度目の登場。
 なんつっても、鳥を捕る人、サイコー!
 ファンタジー・ゾーンへ、軽やか・まろやか・あざやかテイストにワープしてくれちゃってるのら。
 ジョバンニの嫉妬がいい!少年時によくある親友カムパネルラに対するホモ・セクシュアルな
あこがれ・独占欲・嫉妬がわかりやすいのら。でもジョバンニくん、涙のシーン多過ぎるにゃぁ。
 宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』は、むずかしくってゆぐわがらない、っつーアホな読者(ボクのこ
とです)は、松田一輝の『銀河鉄道の夜』を読んで見ろてばよぉ。(^ ^;

 っつーことで、『銀河鉄道の夜』の漫画版、松田一輝の、鳥を捕る人、が良かたい。(^ ^;

ps2.松本零士『銀河鉄道999』は、当然、宮沢賢治『銀河鉄道の夜』にインスパイアされて
  創られた傑作漫画。のちにアニメ化されてゴダイゴの主題歌とともに大ヒットしたにゃぁ。
   漫画やアニメ『銀河鉄道999』に感動して、宮沢賢治『銀河鉄道の夜』を読んだら、むず
  かしくってがっかりしちゃった人(ボクのことです)もいると思うけど、『銀河鉄道999』は、
  「死」と「永遠の命」をテーマにした傑作SFファンタジー漫画なんだずら。
   『銀河鉄道の夜』では、カムパネルラにホモ・セクシュアルなあこがれを抱くジョバンニを、
  『銀河鉄道999』では、謎の美女メーテルにあこがれる鉄郎に置き換えてあるので、アホ
  な読者(ボクのことです)にもわかりやすいのら。
   っつーことで、松本零士『銀河鉄道999』が、多くの若者に宮沢賢治『銀河鉄道の夜』を
  知らしめた功績は誠に多大であるにゃぁ。(^ ^;


     銀河鉄道の夜 お気に入りオノマトペ
 季節: 秋
        鳥捕りは、また別の方の包みを解きました。                       すると黄と青じろとまだらになって、                                  なにかのあかりのようにひかる雁(かり)が、                         ちょうどさっきの鷺(さぎ)のように、くちばしを揃えて、               少し平べったくなって、ならんでいました。         「こっちはすぐ喰べられます。                                          どうです、少しおあがりなさい。」                                    鳥捕りは、黄いろな雁の足を、軽くひっぱりました。         するとそれは、チョコレ−トででもできているように、                すっときれいにはなれました。         「どうです。すこしたべてごらんなさい。」                              鳥捕りは、それを二つにちぎってわたしました。         ジョバンニは、ちょっと喰べてみて、                                 (なんだ、やっぱりこいつはお菓子だ。                                 チョコレ−トよりも、もっとおいしいけれども、                        こんな雁が飛んでいるもんか。                                      この男は、どこかそこらの野原の菓子屋だ。                        けれどもぼくは、このひとをばかにしながら、                         この人のお菓子をたべているのは、大へん気の毒だ。)           とおもいながら、やっぱりぽくぽくそれをたべていました。

◆オラが好きなオノマトペ(初読)=5つが最高。)
Hはきはき:【それをカムパネルラが忘れる筈もなかったのに、すぐに返事をしなかったの
      は、このごろぼくが、朝にも午后にも仕事がつらく、学校に出てももうみんなとも
      はきはき遊ばず、カムパネルラともあんまり物を云わないようになったので、カム
      パネルラがそれを知って気の毒がってわざと返事をしなかったのだ、そう考える
      とたまらないほど、じぶんもカムパネルラもあわれなような気がするのでした。】
K
どしどし:【けれどもジョバンニは手を大きく振ってどしどし学校の門を出て来ました。】
39
どかどか:【ジョバンニは、頂の天気輪の柱の下に来て、どかどかするからだを、つめた
      い草に投げました。】
41
ぺかぺか:【そしてジョバンニはすぐうしろの天気輪の柱がいつかぼんやりした三角標の
      形になって、しばらく蛍のように、ぺかぺか消えたりともったりしているのを見まし
      た。】
57
かっきり:【「ああ、十一時かっきりには着くんだよ。」】
77
ぽくぽく:【(なんだ、やっぱりこいつはお菓子だ。チョコレ−トよりも、もっとおいしいけれ
      ども、こんな雁が飛んでいるもんか。この男は、どこかそこらの野原の菓子屋だ。
      けれどもぼくは、このひとをばかにしながら、この人のお菓子をたべているのは、
      大へん気の毒だ。)とおもいながら、やっぱりぽくぽくそれをたべていました。】
102
ぴしゃぁん:【それと同時にぴしゃぁんという潰れたような音が川下の方で起ってそれか
      らしばらくしいんとしました。】
114
ギーギーフーギーギーフー:【「それから彗星(ほうきぼし) が、ギーギーフーギーギーフー
      て云って来たねえ。」】
121
どほん:【天の川の一とこに大きなまっくらな穴が、どほんとあいているのです。】

ボクの好きなオノマトペ(再読)=5つが最高。)
68おずおず:【赤ひげの人が、少しおずおずしながら、二人に訊きました。】
89
ずんずん:【そのうち船はもうずんずん沈みますから、私はもうすっかり覚悟してこの人
      たち二人を抱いて、浮べるだけは浮ぼうとかたまって船の沈むのを待っていまし
      た。】
97
さめざめ:【そして青い橄欖(かんらん)の森が見えない天の川の向うにさめざめと光りなが
      らだんだんうしろの方へ行ってしまいそこから流れて来るあやしい楽器の音もも
      う汽車のひびきや風の音にすり耗らされてずうっとかすかになりました。】
117
さんさん:【ただたくさんのくるみの木が葉をさんさんと光らしてその霧の中に立ち、黄金
      
(きん)の円光をもった電気栗鼠(でんきりす) が、可愛い顔をその中からちらちらのぞ
      かしているだけでした。】
 

 「オノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語)なんて集めてどうすんの?」

 
さめざめ:【そして青い橄欖(かんらん)の森が見えない天の川の向うにさめざめと光りなが
      らだんだんうしろの方へ行ってしまいそこから流れて来るあやしい楽器の音もも
      う汽車のひびきや風の音にすり耗らされてずうっとかすかになりました。】

 
さめざめ、っつーの、「さめざめと泣く」って云う風にしか使わないよね、フツー。(^ ^;


   .       「あの人どこへ行ったろう。」                                            カムパネルラもぼんやりそう云っていました。    .       「どこへ行ったろう。                                                    一体どこでまたあうのだろう。                                         僕はどうして                                                           も少しあの人に物を言わなかったろう。」    .       「ああ、僕もそう思っているよ。」         .       「僕はあの人が邪魔なような気がしたんだ。                          だから僕は大へんつらい。」                                          ジョバンニはこんな変てこな気もちは、                               ほんとうにはじめてだし、                                              こんなこと今まで云ったこともないと思いました。    .       「何だか苹果(りんご)の匂いがする。                                 僕いま苹果(りんご)のこと考えたためだろうか。」                  カムパネルラが不思議そうに                                         あたりを見まわしました。   . 

 ***** 銀河鉄道の夜オノマトペ ***** .
 

@ぼんやり:【「ではみなさんは、そういうふうに川だと云われたり、乳の流れたあとだと云われ
      たりしていたこのぼんやりと白いものがほんとうは何かご承知ですか。」】
Aはっきり:【ジョバンニは勢いよく立ちあがりましたが、立って見るともうはっきりとそれを答え
      ることができないのでした。】
Bくすっ:【ザネリが前の席からふりかえって、ジョバンニを見てくすっとわらいました。】
Cどぎまぎ:【ジョバンニはもうどぎまぎしてまっ赤になってしまいました。】
Dやっぱり:【やっぱり星だとジョバンニは思いましたがこんどもすぐに答えることができません
      でした。】
Eもじもじ:【するとあんなに元気に手をあげたカムパネルラが、もじもじ立ち上ったままやはり
      答えができませんでした。】
Fやはり:【するとあんなに元気に手をあげたカムパネルラが、もじもじ立ち上ったままやはり
      答えができませんでした。】
Gじっ:【先生は意外なようにしばらくじっとカムパネルラを見ていましたが、急いで「では。よ
      し。」と云いながら、自分で星図を指しました。】
Hはきはき:【それをカムパネルラが忘れる筈もなかったのに、すぐに返事をしなかったのは、
      このごろぼくが、朝にも午后にも仕事がつらく、学校に出てももうみんなともはきはき
      遊ばず、カムパネルラともあんまり物を云わないようになったので、カムパネルラが
      それを知って気の毒がってわざと返事をしなかったのだ、そう考えるとたまらないほ
      ど、じぶんもカムパネルラもあわれなような気がするのでした。】
Iぼうっ:【「こっちやこっちの方はガラスが厚いので、光る粒即ち星がたくさん見えその遠いの
      はぼうっと白く見えるというこれがつまり今日の銀河の説なのです。」】
Jきちん:【そして教室中はしばらく机の蓋をあけたりしめたり本を重ねたりする音がいっぱいで
      したがまもなくみんなはきちんと立って礼をすると教室を出ました。】
Kどしどし:【けれどもジョバンニは手を大きく振ってどしどし学校の門を出て来ました。】
Lばたりばたり:【中にはまだ昼なのに電燈がついてたくさんの輪転器がばたりばたりとまわり、
      きれで頭をしばったりランプシェ−ドをかけたりした人たちが、何か歌うように読んだ
      り数えたりしながらたくさん働いて居りました。】
Mだんだん:【ジョバンニは何べんも眼を拭いながら活字をだんだんひろいました。】
Nずうっ:【「わたしはずうっと工合がいいよ。」】
Oゆっくり:【「ああ、あたしはゆっくりでいいんだからお前さきにおあがり。姉さんがね、トマトで
      何かこしらえてそこへ置いて行ったよ。」】
Pむしゃむしゃ:【ジョバンニは窓のところからトマトの皿をとってパンといっしょにしばらくむしゃ
      むしゃたべました。】
Qきっ:【「ねえお母さん。ぼくお父さんはきっと間もなく帰ってくると思うよ。」】
Rしいん:【「いまも毎朝新聞をまわしに行くよ。けれどもいつでも家中まだしいんとしているから
      な。」】
Sもっ:【「ザウエルという犬がいるよ。しっぽがまるで箒のようだ。ぼくが行くと鼻を鳴らしてつい
      てくるよ。ずうっと町の角までついてくる。もっとついてくることもあるよ。」】
21どんどん:【ジョバンニが、どんどん電燈の方へ下りて行きますと、いままでばけもののように、
      長くぼんやり、うしろへ引いていたジョバンニの影ぼうしは、だんだん濃く黒くはっきり
      なって、足をあげたり手を振ったり、ジョバンニの横の方へまわって来るのでした。】
22くるっ:【(そうら、こんどはぼくの影法師はコンパスだ。あんなにくるっとまわって、前の方へ来
      た。)】
23ひらっ:【とジョバンニが思いながら、大股にその街燈の下を通り過ぎたとき、いきなりひるま
      のザネリが、新らしいえりの尖ったシャツを着て電燈の向う側の暗い小路から出て来
      て、ひらっとジョバンニとすれちがいました。】
24ばっ:【ジョバンニは、ばっと胸がつめたくなり、そこら中きぃんと鳴るように思いました。】
25きぃん:【そこら中きぃんと鳴るように思いました。】
26すっかり:【ジョバンニは、せわしくいろいろのことを考えながら、さまざまの灯や木の枝で、す
      っかりきれいに飾られた街を通って行きました。】
27くるっくるっ:【時計屋の店には明るくネオン燈がついて、一秒ごとに石でこさえたふくろうの赤
      い眼が、くるっくるっとうごいたり、いろいろな宝石が海のような色をした厚い硝子の
      盤に載って星のようにゆっくりめぐったり、また向う側から、銅の人馬がゆっくりこっち
      へまわって来たりするのでした。】
28ぼう:【それはひる学校で見たあの図よりはずうっと小さかったのですがその日と時間に合せ
      て盤をまわすと、そのとき出ているそらがそのまま楕円形のなかにめぐってあらわれ
      るようになって居りやはりそのまん中には上から下へかけて銀河がぼうとけむったよ
      うな帯になってその下の方ではかすかに爆発して湯気でもあげているように見えるの
      でした。】
29ぎっしり:【ほんとうにこんなような蝎
(さそり)だの勇士だのそらにぎっしりいるだろうか、ああぼ
      くはその中をどこまでも歩いて見たいと思ってたりしてしばらくぼんやり立っていまし
      た。】
30そろそろ:【するとしばらくたってから、年老った女の人が、どこか工合が悪いようにそろそろ
      と出て来て何か用かと口の中で云いました。】
31どきっ:【ジョバンニは思わずどきっとして戻ろうとしましたが、思い直して、一そう勢よくそっち
      へ歩いて行きました。】
32わああ:【すると耳に手をあてて、わああと云いながら片足でぴょんぴょん跳んでいた小さな子
      供らは、ジョバンニが面白くてかけるのだと思ってわあいと叫びました。】
33ぴょんぴょん:【片足でぴょんぴょん跳んでいた小さな子供らは、ジョバンニが面白くてかける
      のだと思ってわあいと叫びました。】
34わあい:【ジョバンニが面白くてかけるのだと思ってわあいと叫びました。】
35きれぎれ:【ジョバンニは橋の上でとまって、ちょっとの間、せわしい息できれぎれに口笛を吹
      きながら泣きだしたいのをごまかして立っていましたが、にわかにまたちからいっぱい
      走りだして、黒い丘の方へいそぎました。】
36ぴかぴか:【草の中には、ぴかぴか青びかりを出す小さな虫もいて、ある葉は青くすかし出さ
      れ、ジョバンニは、さっきみんなの持って行った烏瓜
(からすうり)のあかりのようだとも思
      いました。】
37がらん:【そのまっ黒な、松や楢の林を越えると、俄かにがらんと空がひらけて、天の川がしら
      じらと南から北へわたっているのが見え、また頂の、天気輪の柱も見わけられたので
      した。】
38しらじら:【天の川がしらじらと南から北へわたっているのが見え、また頂の、天気輪の柱も見
      わけられたのでした。】
39どかどか:【ジョバンニは、頂の天気輪の柱の下に来て、どかどかするからだを、つめたい草
      に投げました。】
40ちらちら:【そしてジョバンニは青い琴の星が、三つにも四つにもなって、ちらちら瞬
(またた)き、
      脚が何べんも出たり引っ込んだりして、とうとう蕈
(きのこ)のように長く延びるのを見まし
      た。】
41ぺかぺか:【そしてジョバンニはすぐうしろの天気輪の柱がいつかぼんやりした三角標の形に
      なって、しばらく蛍のように、ぺかぺか消えたりともったりしているのを見ました。】
42とうとう:【それはだんだんはっきりして、とうとうりんとうごかないようになり、濃い鋼青のそらの
      野原にたちました。】
43りん:【それはだんだんはっきりして、とうとうりんとうごかないようになり、濃い鋼青のそらの野
      原にたちました。】
44すきっ:【いま新らしく灼いたばかりの青い鋼の板のような、そらの野原に、まっすぐにすきっと
      立ったのです。】
45ぱっ:【するとどこかで、ふしぎな声が、銀河ステ−ション、銀河ステ−ションと云う声がしたと思
      うといきなり眼の前が、ぱっと明るくなって、まるで億万の蛍烏賊
(ほたるいか)の火を一ぺ
      んに化石させて、そら中に沈めたという工合、またダイアモンド会社で、ねだんがやすく
      ならないために、わざと穫
(と)れないふりをして、かくして置いた金剛石を、誰かがいき
      なりひっくりかえして、ばら撒いたという風に、眼の前がさあっと明るくなって、ジョバンニ
      は、思わず何べんも眼を擦
(こす)ってしまいました。】
46さあっ:【またダイアモンド会社で、ねだんがやすくならないために、わざと穫
(と)れないふりをし
      て、かくして置いた金剛石を、誰かがいきなりひっくりかえして、ばら撒いたという風に、
      眼の前がさあっと明るくなって、ジョバンニは、思わず何べんも眼を擦
(こす)ってしまい
      ました。】
47ごとごとごとごと:【気がついてみると、さっきから、ごとごとごとごと、ジョバンニの乗っている小
      さな列車が走りつづけていたのでした。】
48ぐるぐる:【そして、カムパネルラは、円い板のようになった地図を、しきりにぐるぐるまわして見
      ていました。】
49さらさらさらさら:【そっちを見ますと、青白く光る銀河の岸に、銀いろの空のすすきが、もうまる
      でいちめん、風にさらさらさらさら、ゆられてうごいて、波を立てているのでした。】
50こつこつ:【ジョバンニは云いながら、まるではね上りたいくらい愉快になって、足をこつこつ鳴
      らし、窓から顔を出して、高く高く星めぐりの口笛を吹きながら一生けん命延びあがっ
      て、その天の川の水を、見きわめようとしましたが、はじめはどうしてもそれが、はっき
      りしませんでした。】
51ぎらっ:【虹のようにぎらっと光ったりしながら、声もなくどんどん流れて行き、野原にはあっちに
      もこっちにも、燐光の三角標が、うつくしく立っていたのです。】
52どきどき:【ジョバンニは、まるでどきどきして、頭をやけに振りました。】
53ごうごう:【するとちょうど、それに返事をするように、どこか遠くの遠くのもやの中から、セロの
      ようなごうごうした声がきこえて来ました。】
54ごとごと:【「ここの汽車は、スティームや電気でうごいていない。ただうごくようにきまっているか
      らうごいているのだ。ごとごと音をたてていると、そうおまえたちは思っているけれども、
      それはいままで音をたてる汽車にばかりなれているためなのだ。」】
55さっ:【向う岸も、青じろくぽうっと光ってけむり、時々、やっぱりすすきが風にひるがえるらしく、
      さっとその銀いろがけむって、息でもかけたように見え、また、たくさんのりんどうの花
      が、草をかくれたり出たりするのは、やさしい狐火のように思われました。】
56ざわざわ:【それもほんのちょっとの間、川と汽車との間は、すすきの列でさえぎられ、白鳥の島
      は、二度ばかり、うしろの方に見えましたが、じきもうずうっと遠く小さく、絵のようになっ
      てしまい、またすすきがざわざわ鳴って、とうとうすっかり見えなくなってしまいました。】
57かっきり:【「ああ、十一時かっきりには着くんだよ。」】
58ちらっ:【早くも、シグナルの緑の燈と、ぼんやり白い柱とが、ちらっと窓のそとを過ぎ、それから
      硫黄のほのおのようなくらいぼんやりした転てつ機の前のあかりが窓の下を通り、汽車
      はだんだんゆるやかになって、間もなくプラットホ−ムの一列の電燈が、うつくしく規則
      正しくあらわれ、それがだんだん大きくなってひろがって、二人は丁度白鳥停車場の、
      大きな時計の前に来てとまりました。】
59くっきり:【さわやかな秋の時計の盤面には、青く灼かれたはがねの二本の針が、くっきり十一
      時を指しました。】
60きしきし:【カムパネルラは、そのきれいな砂を一つまみ、手のひらにひろげ、指できしきしさせ
      ながら、夢のように云っているのでした。】
61くしゃくしゃ:【河原の小石は、みんなすきとおって、たしかに水晶や黄玉や、またくしゃくしゃの
      皺曲
(しゅうきょく) をあらわしたのや、また稜から霧のような青白い光を出す鋼玉やらでし
      た。】
62ピカッ:【そこに小さな五六人の人かげが、何か堀り出すか埋めるかしているらしく、立ったりか
      がんだり、時々なにかの道具が、ピカッと光ったりしました。】
63つるつる:【その白い岩になった所の入口に、〔プリオシン海岸〕という、瀬戸物のつるつるした
      標札が立って、向うの渚には、ところどころ、細い鉄の欄干も植えられ、木製のきれい
      なベンチも置いてありました。】
64ぎざぎざ:【二人は、ぎざぎざの黒いくるみの実を持ちながら、またさっきの方へ近よって行きま
      した。】
65きらっ:【「君たちは参観かね。」その大学士らしい人が、眼鏡をきらっとさせて、こっちを見て話
      しかけました。】
66がさがさ:【がさがさした、けれども親切そうな、大人の声が、二人のうしろで聞えました。】
67ぼろぼろ:【それは、茶いろの少しぼろぼろの外套を着て、白い巾でつつんだ荷物を、二つに分
      けて肩に掛けた、赤髯のせなかのかがんだ人でした。】
68おずおず:【赤ひげの人が、少しおずおずしながら、二人に訊きました。】
69ぴくぴく:【ところがその人は別に怒ったでもなく、頬をぴくぴくしながら返事しました。】
70ころんころん:【ころんころんと水の湧くような音が聞えて来るのでした。】
71ぼおっ:【「さぎというものは、みんな天の川の砂が凝
(こご)って、ぼおっとできるもんですからね、
      そして始終川へ帰りますからね、川原で待っていて、鷺がみんな、脚をこういう風にして
      下りてくるとこを、そいつが地べたへつくかつかないうちに、ぴたっと押えちまうんです。」】
72ぴたっ:【「鷺がみんな、脚をこういう風にして下りてくるとこを、そいつが地べたへつくかつかな
      いうちに、ぴたっと押えちまうんです。」】
73くるくる:【その男は立って、網棚から包みをおろして、手ばやくくるくると解きました。】
74そっ:【カムパネルラは、指でそっと、鷺の三日月がたの白いつぶった眼にさわりました。】
75ちゃん:【頭の上の槍のような白い毛もちゃんとついていました。】
76ずっ:【「雁の方がずっと柄がいいし、第一手数がありませんからな。」】
77ぽくぽく:【(なんだ、やっぱりこいつはお菓子だ。チョコレ−トよりも、もっとおいしいけれども、こ
      んな雁が飛んでいるもんか。この男は、どこかそこらの野原の菓子屋だ。けれどもぼく
      は、このひとをばかにしながら、この人のお菓子をたべているのは、大へん気の毒だ。)
      とおもいながら、やっぱりぽくぽくそれをたべていました。】
78ばさばさ:【「わたしぁ、べらぼうめ、そんな苦情は、おれのとこへ持って来たって仕方がねえや、
      ばさばさのマントを着て脚と口との途方もなく細い大将へやれって、こう云ってやりまし
      たがね、はっは。」】
79にやにや:【二人は顔を見合せましたら、燈台守は、にやにや笑って、少し伸びあがるようにし
      ながら、二人の横の窓の外をのぞきました。】
80ぎゃあぎゃあ:【「汽車が走って行かないうちに、早く鳥がおりるといいな。」と云ったとたん、がら
      んとした桔梗いろの空から、さっき見たような鷺が、まるで雪の降るように、ぎゃあぎゃ
      あ叫びながら、いっぱいに舞いおりて来ました。】
81ほくほく:【するとあの鳥捕りは、すっかり注文通りだというようにほくほくして、両足をかっきり六
      十度に開いて立って、鷺のちぢめて降りて来る黒い脚を両手で片っ端から押えて、布の
      袋の中に入れるのでした。】
82せいせい:【「ああせいせいした。どうもからだに恰度合うほど稼いでいるくらい、いいことはあり
      ませんな。」】
83すっ:【それがまただんだん横へ外れて、前のレンズの形を逆に繰り返し、とうとうすっとはなれ
      て、サファイアは向うへめぐり、黄いろのはこっちへ進み、また丁度さっきのような風に
      なりました。銀河の、かたちもなく音もない水にかこまれて、ほんとうにその黒い測候所
      が、睡っているように、しずかによこたわったのです。】
84くっくっ:【「何だかわかりません。」もう大丈夫だと安心しながらジョバンニはそっちを見あげてく
      っくっ笑いました。】
85つやつや:【そしたら俄かにそこに、つやつやした黒い髪の六つばかりの男の子が赤いジャケ
      ツのぼたんもかけずひどくびっくりしたような顔をしてがたがたふるえてはだしで立って
      いました。】
86がたがた:【赤いジャケツのぼたんもかけずひどくびっくりしたような顔をしてがたがたふるえて
      はだしで立っていました。】
87しっかり:【隣りには黒い洋服をきちんと着たせいの高い青年が一ぱいに風に吹かれているけ
      やきの木のような姿勢で、男の子の手をしっかりひいて立っていました。】
88しくしく:【女の子は、いきなり両手を顔にあててしくしく泣いてしまいました。】
89ずんずん:【そのうち船はもうずんずん沈みますから、私はもうすっかり覚悟してこの人たち二
      人を抱いて、浮べるだけは浮ぼうとかたまって船の沈むのを待っていました。】
90ぐったり:【そしてあの姉弟はもうつかれてめいめいぐったり席によりかかって睡っていました。】
91つくづく:【「どうもありがとう。どこでできるのですか。こんな立派な苹果
(りんご)は。」青年はつく
      づく見ながら云いました。】
92ぱっちり:【にわかに男の子がぱっちり眼をあいて云いました。】
93にこにこにこにこ:【「ああぼくいまお母さんの夢をみていたよ。お母さんがね立派な戸棚や本の
      あるとこに居てね、ぼくの方を見て手をだしてにこにこにこにこわらったよ。」】
94すうっ:【また折角剥いたそのきれいな皮も、くるくるコルク抜きのような形になって床へ落ちるま
      での間にはすうっと、灰いろに光って蒸発してしまうのでした。】
95ぞくっ:【青年はぞくっとしてからだをふるうようにしました。】
96ぴん:【「かささぎですねえ、頭のうしろのとこに毛がぴんと延びてますから。」青年はとりなすよう
      に云いました。】
97さめざめ:【そして青い橄欖
(かんらん)の森が見えない天の川の向うにさめざめと光りながらだん
      だんうしろの方へ行ってしまいそこから流れて来るあやしい楽器の音ももう汽車のひび
      きや風の音にすり耗らされてずうっとかすかになりました。】
98さっさっ:【ジョバンニはその小さく小さくなっていまはもう一つの緑いろの貝ぼたんのように見え
      る森の上にさっさっと青じろく時々光ってその孔雀がはねをひろげたりとじたりする光の
      反射を見ました。】
99ゆらゆら:【見えない天の川の水もそのときはゆらゆらと青い炎のように波をあげるのでした。】
100いらいら:【ジョバンニはまるでたまらないほどいらいらしながらそれでも堅く唇を噛んで、こらえ
      て窓の外を見ていました。】
101ざあっ:【すると空中にざあっと雨のような音がして何かまっくらなものがいくかたまりもいくかた
      まりも鉄砲丸のように川の向うの方へ飛んで行くのでした。】
102ぴしゃぁん:【それと同時にぴしゃぁんという潰れたような音が川下の方で起ってそれからしば
      らくしいんとしました。】
103ほっ:【女の子は小さくほっと息をしてだまって席へ戻りました。】
104さやさや:【それはだんだん数を増して来て、もういまは列のように崖と線路との間にならび、
      思わずジョバンニが窓から顔を引っ込めて向う側の窓を見ましたときは、美しいそらの
      野原の地平線のはてまで、その大きなとうもろこしの木が、ほとんどいちめんに植えら
      れて、さやさや風にゆらぎ、その立派なちぢれた葉のさきからは、まるでひるの間にい
      っぱい日光を吸った金剛石のように、露がいっぱいについて、赤や緑やきらきら燃え
      て光っているのでした。】
105きらきら:【その立派なちぢれた葉のさきからは、まるでひるの間にいっぱい日光を吸った金剛
      石のように、露がいっぱいについて、赤や緑やきらきら燃えて光っているのでした。】
106カチッカチッ:【その振子は、風もなくなり汽車もうごかず、しずかなしずかな野原のなかに、カ
      チッカチッと正しく時を刻んで行くのでした。】
107うっとり:【姉は弟を自分の胸によりかからせて眠らせながら、黒い瞳をうっとりと遠くへ投げ
      て、何を見るでもなしに考え込んでいるのでしたし、カムパネルラはまださびしそうにひ
      とり口笛を吹き、男の子はまるで絹で包んだ苹果
(りんご)のような顔いろをしてねむっ
      て居りました。】
108ふらふら:【そこから一羽の鶴がふらふらと落ちて来て、また走り出したインデアンの大きくひ
      ろげた両手に落ちこみました。】
109きらっきらっ:【そしてその鶴をもってこっちを見ている影も、もうどんどん小さく遠くなり、電し
      んばしらの碍子
(がいし)がきらっきらっと続いて二つばかり光って、またとうもろこしの林
      になってしまいました。】
110どんどんどんどん:【どんどんどんどん汽車は降りて行きました。】
111しょんぼり:【汽車が小さな小屋の前を通って、その前にしょんぼりひとりの子供が立ってこっ
      ちを見ているときなどは、思わず、ほう、と叫びました。】
112ほう:【その前にしょんぼりひとりの子供が立ってこっちを見ているときなどは、思わず、ほう、
      と叫びました。】
113どぉ:【その時向う岸ちかくの、少し下流の方で見えない天の川の水がぎらっと光って、柱の
      ように高くはねあがり、どぉと烈しい音がしました。】
114ギーギーフーギーギーフー:【「それから彗星
(ほうきぼし)が、ギーギーフーギーギーフーて云っ
      て来たねえ。」】
115そわそわ:【カムパネルラのとなりの女の子はそわそわ立って支度をはじめました。】
116きちっ:【「ここでおりなけぁいけないのです。」青年はきちっと口を結んで男の子を見おろし
      ながら云いました。】
117さんさん:【ただたくさんのくるみの木が葉をさんさんと光らしてその霧の中に立ち、黄金
(きん)
      の円光をもった電気栗鼠
(でんきりす)が、可愛い顔をその中からちらちらのぞかしてい
      るだけでした。】
118ぽかっ:【そして二人がそのあかしの前を通って行くときは、その小さな豆いろの火はちょうど
      挨拶でもするようにぽかっと消え、二人が過ぎて行くときまた点くのでした。】
119ふう:【「僕たちしっかりやろうねえ。」ジョバンニが胸いっぱい新らしい力が湧くように、ふうと
      息をしながら云いました。】
120ぎくっ:【ジョバンニはそっちを見て、まるでぎくっとしてしまいました。】
121どほん:【天の川の一とこに大きなまっくらな穴が、どほんとあいているのです。】
122しんしん:【その底がどれほど深いか、その奥に何があるか、いくら眼をこすってのぞいてもな
      んにも見えず、ただ目がしんしんと痛むのでした。】
123はっ:【ジョバンニは、はっと思って涙をはらってそっちをふり向きました。】
124ぞくぞく:【「さがすと証拠もぞくぞく出ている。」】
125いっさん:【ジョバンニはいっさんに丘を走っておりました。】
126うっかり:【「ほんとうに、済みませんでした。今日はひるすぎうっかりしてこうしの柵をあけて置
      いたもんですから大将早速親牛のところへ行って半分ばかり呑んでしまいましてね…
      …」その人はわらいました。】
127ひそひそ:【ところがその十字になった町かどや店の前に、女たちが七八人ぐらいずつ集まっ
      て、橋の方を見ながら何かひそひそ話しているのです。】
128わくわくわくわく:【ジョバンニはわくわくわくわく足がふるえました。】
129きっぱり:【けれども俄かにカムパネルラのお父さんがきっぱり云いました。】
130しげしげ:【すると博士はジョバンニが挨拶に来たとでも思ったものですか、しばらくしげしげジ
      ョバンニを見ていましたが、「あなたはジョバンニさんでしたね。どうも今晩はありがと
      う。」とていねいに云いました。】

 『銀河鉄道の夜』のオノマトペ、まんず、これで、おすめえだぁ。えがっだなす。 スネオ 拝 (^ ^;
                                                     2006.6.24.

 
 


『銀河鉄道の夜』の第六話です。

                                                       .
  
                                                           .


                    西の雲はまっかにかがやき                                           蠍(さそり)の眼も赤く悲しく光りました。      光の強い星たちはもう銀の鎧(よろい)を着て                      歌いながら遠くの空へ現われた様子です。      「一つ星めつけた。長者になあれ。」                                 下で一人の子供がそっちを見上げて叫んでいます。      チュンセ童子が                                                      「蠍さん。も少しです。急げませんか。疲れましたか。」             と云いました。      蠍が哀れな声で、                                                  「どうもすっかり疲れてしまいました。                                 どうかも少しですからお許し下さい。」と云います。      「星さん星さん一つの星で出ぬもんだ。                             千も万もで出るもんだ。」                                            下で別の子供が叫んでいます。



****** 『双子の星』 25p ******
 

 双子の童子がカワユイんだにゃぁ、      「ポウセさん。                                                          今日は西の野原の泉へ行きませんか。」『双子の星』。   「あ、チュンセさん。                                                    もうすっかり明るくなったんですね。」

 っつーことで、『
賢治童話を丸写しシリーズその78』だよん。(^ ^;
<イントロ>
 天の川の西の岸にすぎなの胞子ほどの小さな二つの星が見えます。あれはチュンセ童子と
ポウセ童子という双子のお星さまの住んでいる小さな水精のお宮です。
 このすきとおる二つのお宮は、まっすぐに向い合っています。夜は二人とも、きっとお宮に帰
って、きちんと座り、空の星めぐりの歌に合せて、一晩銀笛を吹くのです。それがこの双子の
お星様の役目でした。
 ある朝、お日様がカッカッカッと厳
(おごそ)かにお身体をゆすぶって、東から昇っておいでにな
った時、チュンセ童子は銀笛を下に置いてポウセ童子に申しました。
 「ポウセさん。もういいでしょう。お日様もお昇りになったし、雲もまっ白に光っています。今日
は西の野原の泉へ行きませんか。」
 ポウセ童子が、まだ夢中で、半分眼をつぶったまま、銀笛を吹いていますので、チュンセ童子
はお宮から下りて、沓
(くつ)をはいて、ポウセ童子のお宮の段にのぼって、もう一度云いました。
 「ポウセさん。もういいでしょう。東の空はまるで白く燃えているようですし、下では小さな鳥なん
かもう目をさましている様子です。今日は西の野原の泉へ行きませんか。そして、風車で霧をこ
しらえて、小さな虹を飛ばして遊ぼうではありませんか。」
 ポウセ童子はやっと気がついて、びっくりして笛を置いて云いました。
 「あ、チュンセさん。失礼いたしました。もうすっかり明るくなったんですね。僕今すぐ沓
(くつ)をは
きますから。」
 そしてポウセ童子は、白い貝殻の沓
(くつ)をはき、二人は連れだって空の銀の芝原を仲よく歌い
ながら行きました。
           
(丸写しオシマイ)
 『
賢治童話を丸写しシリーズその78』でした。


 双子の星 漫画紹介はできましぇん。

    さびしかぁぁぁぁ。

 

 漫画版『双子の星』は、おそらく多分ありましぇん。
 漫画版『ポランの広場』も、『植物医師』も、『饑餓陣営』も、おそらく多分ありましぇん。

 っつーことで漫画の紹介は、ずうっとしばらくシバラク暫く、お待ちくなさい。(^ ^;


     双子の星 お気に入りオノマトペ

 季節:不明         彗星が云いました。                                                 「心配するなよ。王様がこの前俺にそう云ったぜ。                   いつか曇った晩                                                       あの双子を少し旅させてやって呉れってな。」        「行こう。行こう。俺なんか面白いぞ。                               俺のあだ名は空の鯨と云うんだ。」        「知ってるか。俺は鰯のようなヒョロヒョロの星や                     めだかのような黒い隕石は                                          みんなパクパク呑んでしまうんだ。」        「それから一番痛快なのは                                            まっすぐに行ってそのまままっすぐに戻る位                          ひどくカ−ブを切って廻るときだ。」        「まるで身体が壊れそうになってミシミシ云うんだ。                  光の骨までがカチカチ云うぜ。」        ポウセ童子が云いました。                                          「チュンセさん。行きましょうか。                                       王様がいいっておっしゃったそうですから。」

◆オラが好きなオノマトペ(初読)=5つが最高。)
Fころころころころ:【底は青い小さなつぶ石でたいらにうずめられ、石の間から奇麗な水が、
      ころころころころ湧き出して泉の一方のふちから天の川へ小さな流れになって走っ
      て行きます。】
Kのっしのっし:【大烏が向うから肩をふって、のっしのっしと大股にやって参りました。】
52ギイギイギイフウ。ギイギイフウ。:【「さあ、発
(た)つぞ。ギイギイギイフウ。ギイギイフウ。」】
54ギイギイギイ、フウ。ギイギイフウ。:【「あっはっは、あっはっは。さっきの誓いも何もかも
      みんな取り消しだ。ギイギイギイ、フウ。ギイギイフウ。」】
64ねとねと:【「まるでからだの油がねとねとするぞ。」】

ボクの好きなオノマトペ(再読)=5つが最高。)
Bカッカッカッ:【ある朝、お日様がカッカッカッと厳
(おごそ)かにお身体をゆすぶって、東から昇
      っておいでになった時、チュンセ童子は銀笛を下に置いてポウセ童子に申しまし
      た。】
Gくびくび:【私共の世界が旱
(ひでり)の時、瘠せてしまった夜鷹やほととぎすなどが、それをだ
      まって見上げて、残念そうに咽喉
(のど)をくびくびさせているのを時々見ることがある
      ではありませんか。】
35サッサッサッ:【お日様がもうサッサッサッと三遍厳
(おごそ)かにゆらいで西の山にお沈みに
      なりました。】

 

 「オノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語)なんて集めてどうすんの?」

F
ころころころころ:【底は青い小さなつぶ石でたいらにうずめられ、石の間から奇麗な水が、
      ころころころころ湧き出して泉の一方のふちから天の川へ小さな流れになって走っ
      て行きます。】

 ころころっつーの、どんぐりころころだよね、フツー。 (^ ^;


       「お前さんたちはどこの海の人たちですか。                          お前さんたちは青いひとでのしるしをつけていますね。」         ポウセ童子が云いました。                                          「私らはひとでではありません。星ですよ。」         するとひとでが怒って云いました。                                  「何だと。星だって。ひとではもとはみんな星さ。」 ..
     「お前たちはそれじゃ今やっとここへ来たんだろう。                  何だ。それじゃ新米のひとでだ。ほやほやの悪党だ。」        「悪いことをしてここへ来ながら                                       星だなんて鼻にかけるのは海の底でははやらないさ。」      「おいらだって空に居た時は第一等の軍人だぜ。」     

 ****** 双子の星オノマトペ ****** .
 

@きっ:【夜は二人とも、きっとお宮に帰って、きちんと座り、空の星めぐりの歌に合せて、一晩
      銀笛を吹くのです。】
Aきちん:【夜は二人とも、きっとお宮に帰って、きちんと座り、空の星めぐりの歌に合せて、一
      晩銀笛を吹くのです。】
Bカッカッカッ:【ある朝、お日様がカッカッカッと厳
(おごそ)かにお身体をゆすぶって、東から昇っ
      ておいでになった時、チュンセ童子は銀笛を下に置いてポウセ童子に申しました。】
Cやっ:【ポウセ童子はやっと気がついて、びっくりして笛を置いて云いました。】
Dすっかり:【「あ、チュンセさん。失礼いたしました。もうすっかり明るくなったんですね。」】
Eはっきり:【此の泉は霽
(は)れた晩には、下からはっきり見えます。】
Fころころころころ:【底は青い小さなつぶ石でたいらにうずめられ、石の間から奇麗な水が、こ
      ろころころころ湧き出して泉の一方のふちから天の川へ小さな流れになって走って行
      きます。】
Gくびくび:【私共の世界が旱
(ひでり)の時、瘠せてしまった夜鷹やほととぎすなどが、それをだま
      って見上げて、残念そうに咽喉
(のど)をくびくびさせているのを時々見ることがあるで
      はありませんか。】
Hころろ:【「あまのがわの にしのきしを、すこしはなれた そらの井戸。みずはころろ、そこも
      きらら、まわりをかこむ あおいほし。】
Iきらら:【「みずはころろ、そこもきらら、まわりをかこむ あおいほし。】
Jざわざわ:【もう空のすすきをざわざわと分けて大烏が向うから肩をふって、のっしのっしと大
      股にやって参りました。】
Kのっしのっし:【大烏が向うから肩をふって、のっしのっしと大股にやって参りました。】
Lパチパチ:【大烏は息もつかずに三分ばかり咽喉を鳴らして呑んでからやっと顔をあげて一寸
      眼をパチパチ云わせてそれからブルルッと頭をふって水を払いました。】
Mブルルッ:【それからブルルッと頭をふって水を払いました。】
Nゆらゆら:【「大烏さん。それはいけないでしょう。王様がご存じですよ。」という間もなくもう赤い
      眼の蠍
(さそり)星が向うから二つの大きな鋏をゆらゆら動かし長い尾をカラカラ引いて
      やって来るのです。】
Oカラカラ:【赤い眼の蠍
(さそり)星が向うから二つの大きな鋏をゆらゆら動かし長い尾をカラカラ
      引いてやって来るのです。】
Pぶるぶる:【大烏はもう怒ってぶるぶる顫
(ふる)えて今にも飛びかかりそうです。】
Qごくりごくり:【そして蠍
(さそり)は十分ばかりごくりごくりと水を呑みました。】
Rパタパタ:【その間も、いかにも大烏を馬鹿にする様に、毒の鈎
(かぎ)のついた尾をそちらにパ
      タパタ動かすのです。】
Sとうとう:【とうとう大烏は、我慢し兼ねて羽をパッと開いて叫びました。】
21パッ:【とうとう大烏は、我慢し兼ねて羽をパッと開いて叫びました。】
22かっ:【大烏はかっとして思わず飛びあがって叫びました。】
23ウン:【蠍は頭に深い傷を受け、大烏は胸を毒の鈎
(かぎ)でさされて、両方ともウンとうなったま
      ま重なり合って気絶してしまいました。】
24どくどく:【蠍の血がどくどく空に流れて、いやな赤い雲になりました。】
25しっかり:【「さあ大変だ。大烏には毒がはいったのだ。早く吸いとってやらないといけない。ポ
      ウセさん。大烏をしっかり押えていて下さいませんか。」】
26よろよろ:【大烏はよろよろ立ちあがって蠍を見て又身体をふるわせて云いました。】
27ゆるゆる:【「さあ、ゆるゆる歩いて明るいうちに早くおうちへお帰りなさい。」】
28ふっふっ:【二人は泉の水をすくって、傷口にかけて奇麗に洗いました。そして交る交るふっふ
      っと息をそこへ吹き込みました。】
29ギ−ギ−:【蠍は尾をギ−ギ−と石ころの上に引きずっていやな息をはあはあ吐いてよろりよ
      ろりとあるくのです。】
30はあはあ:【いやな息をはあはあ吐いてよろりよろりとあるくのです。】
31よろりよろり:【よろりよろりとあるくのです。】
32きらきら:【空の野原はきらきら白く光っています。】
33ぐるぐる:【童子たちは頭がぐるぐるしてもう自分が歩いているのか立っているのかわかりませ
      んでした。】
34じっ:【「ええ。も少しです。傷は痛みますか。」とチュンセ童子が肩の骨の砕けそうなのをじっと
      こらえて申しました。】
35サッサッサッ:【お日様がもうサッサッサッと三遍厳
(おごそ)かにゆらいで西の山にお沈みになり
      ました。】
36しん:【天の野原はしんとして返事もありません。】
37ちらちら:【あちこち星がちらちら現われました。】
38バッタリ:【「私はもう疲れて死にそうです。蠍さん。もっと元気を出して早く帰って行って下さ
      い。」と云いながらとうとうバッタリ倒れてしまいました。】
39ギラッ:【この時水色の烈しい光の外套
(がいとう)を着た稲妻が、向うからギラッとひらめいて飛
      んで来ました。】
40ぎらぎらっ:【稲妻がぎらぎらっと光ったと思うともういつかさっきの泉のそばに立って居りまし
      た。】
41すがすが:【するともう身体の痛みもつかれも一遍にとれてすがすがしてしまいました。】
42ぱっ:【そして二人が又そのマントに取りつきますと紫色の光が一遍ぱっとひらめいて童子た
      ちはもう自分のお宮の前に居ました。】
43ザアッザアッ:【ある晩空の下の方が黒い雲で一杯に埋まり雲の下では雨がザアッザアッと降
      って居りました。】
44フッフッ:【それでも二人はいつものようにめいめいのお宮にきちんと座って向いあって笛を吹
      いていますと突然大きな乱暴ものの彗星がやって来て二人のお宮にフッフッと青白い
      光の霧をふきかけて云いました。】
45くるくる:【「お前たちが笛なんか吹かなくたって星はみんなくるくるまわるさ。」】
46ヒョロヒョロ:【「俺は鰯のようなヒョロヒョロの星やめだかのような黒い隕石はみんなパクパク
      呑んでしまうんだ。」】
47パクパク:【「俺は鰯のようなヒョロヒョロの星やめだかのような黒い隕石はみんなパクパク呑
      んでしまうんだ。」】
48ミシミシ:【「まるで身体が壊れそうになってミシミシ云うんだ。」】
49カチカチ:【「光の骨までがカチカチ云うぜ。」】
50ばらばら:【「頭と胴と尾とばらばらになって海へ落ちて海鼠
(なまこ)にでもなるだろうよ。」】
51フウ:【彗星は青白い光を一つフウとはいて云いました。】
52ギイギイギイフウ。ギイギイフウ。:【「さあ、発
(た)つぞ。ギイギイギイフウ。ギイギイフウ。」】
53ガラリ:【すると彗星の態度がガラリと変ってしまいました。】
54ギイギイギイ、フウ。ギイギイフウ。:【「あっはっは、あっはっは。さっきの誓いも何もかもみん
      な取り消しだ。ギイギイギイ、フウ。ギイギイフウ。」】
55パチパチ:【二人のからだが空気の中にはいってからは雷のように鳴り赤い火花がパチパチ
      あがり見ていてさえめまいがする位でした。】
56ずんずん:【二人はずんずん沈みました。】
57もやもや:【海の底はやわらかな泥で大きな黒いものが寝ていたりもやもやの藻がゆれたりし
      ました。】
58ほやほや:【「何だ。それじゃ新米のひとでだ。ほやほやの悪党だ。」】
59がやがや:【赤いひとでが沢山集って来て二人を囲んでがやがや云って居りました。】
60ゴ−ゴ−ゴ−:【その時みんなの頭の上をまっ黒な大きな大きなものがゴ−ゴ−ゴ−と哮
(ほ)
      えて通りかかりました。】
61ひょろひょろ:【「俺は鰯のようなひょろひょろの魚やめだかの様なめくらの魚はみんなパクパ
      ク呑んでしまうんだ。」】
62ぐるっ:【「それから一番痛快なのはまっすぐに行ってぐるっと円を描いてまっすぐにかえる位
      ゆっくりカ−ブを切るときだ。」】
63ゆっくり:【「まっすぐにかえる位ゆっくりカ−ブを切るときだ。」】
64ねとねと:【「まるでからだの油がねとねとするぞ。」】
65ぐうっ:【すると鯨が怒って水を一つぐうっと口から吐きました。】
66しゃん:【ひとではみんな顔色を変えてよろよろしましたが二人はこらえてしゃんと立っていま
      した。】
67パッ:【その時向うから銀色の光がパッと射して小さな海蛇がやって来ます。】
68じっ:【海蛇は不思議そうに二人の頭の上をじっと見て云いました。】
69ぞろっ:【愕
(おど)ろいた事には赤い光のひとでが幅のひろい二列にぞろっとならんで丁度街
      道のあかりのようです。】
70にこにこ:【王様は白い長い髯
(ひげ)の生えた老人でにこにこわらって云いました。】
71そろりそろり:【竜巻がそろりそろりと立ちあがりました。】
72バリバリバリッ:【と思うと急にバリバリバリッと烈しい音がして竜巻は水と一所に矢のように
      高く高くはせのぼりました。】
73ずんずん:【天の川がずんずん近くなります。】
74ばらばら:【見るとあの大きな青白い光りのほうきぼしはばらばらにわかれてしまって頭も尾
      も胴も別々にきちがいのような凄い声をあげガリガリ光ってまっ黒な海の中に落ち
      て行きます。】
75ガリガリ:【頭も尾も胴も別々にきちがいのような凄い声をあげガリガリ光ってまっ黒な海の
      中に落ちて行きます。】

 『双子の星』のオノマトペ、これで、おすめえだぁ。まんず、えがっだなす。 スネオ 拝
(^ ^;
                                                 2006.6.27.

 
 











 
 

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    (貴重なほんのわずかな読者の方々へ)
目次の掲示板に、おたより等くなさい。 スネオ 拝 (^ ^;

 
銀河鉄道の夜

 
次回配本は、第九話『ポランの広場』です。

 
ポラーノの広場

 
前ページに戻ります。

      (けれどもカムパネルラなんかあんまりひどい、                      僕といっしょに汽車に乗っていながらまるで                         あんな女の子とばかり談(はな)しているんだもの。                僕はほんとうにつらい。)                                                                          by 『銀河鉄道の夜』

 トップページは七転八倒だなす。                                       ♪七重のギャグを八重に折る♪