東風急, 惜別花時手頻執, 羅帷愁獨入。 馬嘶殘雨春蕪濕, 倚門立。 寄語薄情郞, 粉香和涙泣。 ![]() |
望江怨
東風 急(つよ)く,
花に惜別せん時 手に 頻りに執る,
羅帷に 愁ひて 獨り入る。
馬 嘶けば 殘雨 春蕪を濕ほす,
門に倚りて 立たずむ。
語を寄す 薄情の郞に,
粉香 涙と和(とも)に泣く と。
****************** 私感訳註: ※望江怨:詞牌の一。詞の形式名。単調 三十五字。仄韻一韻到底、入声韻。詳しくは 「構成について」を参照。 ※牛 ![]() ※東風:春風。東風急:春風が強く吹き荒れている。 ※惜別:別れを惜しむ。別れるのを名残惜しく思う。 ※花:咲く花。女性を暗示しているようにも見える。 ※手頻執:頻りに手に執る。頻執手:手をしきりに執る。 ※惜別花時手頻執:(春嵐に会い、)花(の季節)と別れるとき、(花を)何度も手にとった。 ※羅帷:うすぎぬのとばり。うすぎぬの(ベッド)カーテン。 ※愁獨入:(別れを)かなしんで、(ベッドカーテンの中へ)独りだけで入る。 ※馬嘶:馬がいななく。 ※殘雨:ひとしきり降った後の止みかけの雨。 ※春蕪:春の草。 ※濕:潤す。 ※馬嘶殘雨春蕪濕:馬がいななく時、残りの雨は春の草を潤している。 ※倚門立:門によってたちつくす。ここの「門」は女性のいる建物のかど口。 ※寄語:ことづてする。伝言をたのむ。=寄言。 ※薄情郞:冷たいあの人(男性を指す)。 ※寄語薄情郞:冷たいあの人に伝えてほしい。 ※粉香:おしろいの香。粉はおしろいで、女性を暗示する。 ※和涙泣:(おしろいの香は)涙と一緒になりながら、泣いた。 ※粉香和涙泣:(おしろいで化粧をしたわたしは)涙ながらに泣いた。 ◎ 構成について 単調。 三十五字。仄韻一韻到底、入声韻。韻式は「aaaaaa」。韻脚は「急執入濕立泣」で、「執濕立」は、第十八部入声。「急入泣」は第十九部入声。この作品の詞調は次の通り。
となる。○○●,(韻) ●●○○●○●,(韻) ○○○●●。(韻) ●○●○○○●,(韻) ●○●。(韻) ●●●○○, ●○○●●。(韻) |
2001.6.15 6.16完 |
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