

憶江南
唐 白居易
憶江南
一
江南好,
風景舊曾諳。
日出江花紅勝火,
春來江水綠如藍。
能不憶江南!

|
**********************
BaiJuyi BaiLetian Bai Juyi Bai Letian baijuyi
bailetian bai juyi bai letian
憶江南
江南の 好き,
風景 舊(もと) 曽て諳(そら)んず。
日 出づれば 江花 紅きこと 火に勝り,
春 來らば 江水 綠(あを)きこと 藍に如(し)く。
能く 江南を 憶はざらんや!
私感訳註:
※白居易:中唐の詩人。772年(大暦七年)~846年(會昌六年)。字は楽天。号は香山居士。官は武宗の時、刑部尚書に至る。平易通俗の詩風といわれるが、詩歌史上、積極的な活動を展開する。晩年仏教に帰依する。
※憶江南:詞牌。これは劉禹錫と唱和したときの三部作の一。其二
。 其三
で、江南を回想して作ったもの。
※江南好:江南はすばらしい。 ・江南:中国南部の、主として下流の長江以南を謂う。温暖で風光明媚な豊饒の地。 ・好:よい。すばらしい。日本語で「よい」というのに該当するものに○では「良」「佳」「宜」等があり、●では「善」「好」「吉」「可」「是」等がある。意味がそれぞれ違うので、作詞の時は要注意。「良」:ととのっている。悪の反義語。「佳」:うつくしい。「宜」:つごうがよいこと。「善」:徳性・品行のよいこと。「好」:うつくしいこと。「吉」:めでたいこと。なお「可」「是」等は英語でokという意味と似た、許可、是認を表す「よい」で、ここでは別の範疇になろう。
※風景舊曽諳:風景は今でも覚えている。 ・舊:もと。白居易は、若い頃、江南に行ったことがあり、蘇州、杭州の刺史に任じられたこともあり、「旧」といった。 ・曽:かつて。同前。 ・諳:an1。そらんじている。しっかりと覚えている。
※日出江花紅勝火:川辺の花の赤さは火にまさり。 ・江花:川辺の花。 ・紅勝火:紅さは、火にまさる。同じ意味で「紅於火」(火よりも紅し)という表現があるが、「紅勝火」は、(黒字の部分)が●の場合(この三字では○●●)に、「紅於火」とするときは○の場合(三字では○○●)に使う。
※春來江水綠如藍:春の川の水は藍(あい)よりもあおい。 ・江水:河の水。江は普通長江を指す。 ・綠如藍:あおさは藍にまさる。「如」は上記「於」と同じ働きをする。「如(し)く。匹敵する」。打ち消しが「不如」「如(し)かず」で「及ばない」の義。「緑」は「あお」と読まないと如藍に繋がらない。「霜葉紅於二月花」の「紅於」
と似た働きをする。
※能不憶江南:どうして江南を思い起こさないでいられようか。 ・能不…:よく…ざらんや。反語。せずにおかれようか。
◎ 構成について
単調。二十七字(これは単調。別体三種あり)(望江南、謝秋娘、夢江南ともいう) 平韻 一韻到底。韻式は「AAA」。韻脚は「諳藍南」で、第十四部平声。
○
●,
●●○○(韻)。
●
○○●●,
○
●●○○(韻)。
●●○○(韻)。
2000.6.21
6.23完
2001.6.20補
8. 7
2002.2.13
2007.7.13
|
次の詩へ
前の詩へ
憶江南其二へ
婉約詞メニューへ戻る
**********
秋瑾詩詞
天安門革命詩抄
毛主席詩詞
辛棄疾詞
碇豊長自作詩詞
詩詞概説
唐詩格律
宋詞格律
詞牌・詞譜
詞韻
詩韻
《天安門詩抄》写真集へ
参考文献(中国社会と文化大革命)
参考文献(毛主席と文化大革命)
|
わたしの主張