Huanying xinshang Ding Fengzhang de zhuye




 
 
              
       赤間關

                       絶海中津

風物眼前朝暮愁,
寒潮頻拍赤城頭。
怪巖奇石雲中寺,
新月斜陽海上舟。
十萬義軍空寂寂,
三千劍客去悠悠。
英雄骨朽干戈地,
相憶依欄看白鴎。


      赤間神社:この写真は天空仙人様から賜りました。


******

赤間が關 


風物 眼前  朝暮に 愁
(うれ)へ,
寒潮 頻
(しきり)に拍(う)つ  赤城(せきじゃう)の頭(ほとり)
怪巖奇石  雲中の寺,
新月斜陽  海上の舟。
十萬の義軍  空
(むな)しく寂寂(じゃくじゃく)
三千の劍客  去りて悠悠
(いういう)
英雄 骨は 朽つ  干戈
(かんくゎ)の地,
(あ)ひ憶(おも)ひ  欄に 依(よ)りて 白鴎を 看る。

*****************

◎ 私感註釈

※絶海中津:南北朝時代から室町時代にかけての臨済宗の僧。建武三年/延元元年(1336年)〜應永十二年(1405年)。夢窓疏石について受戒、正平二十三年/應安元年(1368年)、入明する。帰国後、等持寺、相国寺などの住持を歴任した。津野氏の出身。字は要関。蕉堅道人と号する。土佐の人。絶海中津という呼び方は、夢窓疏石のもとで剃髪して中津と異名を取ったことと、明・中竺寺での絶海との授号とによる。

※赤間関:山口県下関市の古称。平家滅亡の地、壇ノ浦があるところ。

※風物眼前朝暮愁: ・風物:風景を目の当たりにすると、朝夕に愁いがこみあげてくる。 ・風物:風景やそれを形作っている景物。その土地の景色や産物。 ・眼前:目の当たりにして。目の前に。 ・朝暮:朝と夕方に。朝な夕なに。 ・愁:平家軍は敗北して、八歳の安徳天皇は、祖母である二位の尼・平時子に抱かれて入水しての崩御。 『平家物語・先帝身投』には『あの波の下にこそ、極楽浄土とて、めでたき都のさぶらふ。それへ倶しまゐらせさぶらふぞ』と、さまざまに慰めまゐらせしかば、やまばと色の御衣に鬢づら結はせたまひて、御涙におぼれ、小さう美しき御手を合はせ、まづ東に向かはせたまひて、伊勢大神宮、正八幡宮に、御暇申させおはしまし、その後西に向かはせたまひて、おん念仏ありしかば、二位殿やがて抱きまゐらせて、『波の底にも都のさぶらふぞ』と慰めまゐらせて、千尋の底にぞ沈みたまふ。」とある。

※寒潮頻拍赤城頭:寒々とした潮の流れが赤間関のほとりをしきりに波打つ。 ・寒潮:冷たい潮の流れ。 *千尋の底に沈んだ安徳帝の御霊や平家の武将の哀しさを表現する。 ・頻拍:しきりに波打つ。 ・赤城:赤間が関 ・頭:(…の)ほとり。(…の)あたり。場所を指す。「…上」「…邊」と同じ働きをする。

※怪巖奇石雲中寺:珍しい形の岩がある尊貴な身分の霊魂を祀った寺院に。 ・怪巖奇石:珍しい形をした岩。奇岩怪石。「怪巖奇石」は●○○●で、「奇岩怪石」は○○●●となり、ここの「怪巖奇石雲中寺」の句は「○○●●●○○」となるべきところで、それに則って「●○○●○○●」とした。そのため「怪巖奇石」となった。 ・雲中寺:尊貴な身分の霊魂を祀った寺院。赤間関にある安徳帝を祀った当時の阿弥陀寺のことで、現在の赤間神宮(写真:上)。

※新月斜陽海上舟:夕方に西(の亀山八幡宮の上)に新月が沈んでいき、夕陽に海上の小舟が照らされている。 ・新月:ここでは、三日月のことになる。夕方の六時頃に西に三日月が沈んでいくことを描写している。「新月斜陽」という表現に、月と太陽の位置と地球の運行と、更に地図帳とを当て嵌めるとこのようになるが、果たして夕方の六時頃、夕陽が耀いて、海より西に該る下関市の上に三日月月の沈んでいくのが見えるのだろうか…。イメージが湧きやすいようで極めて難しい句。深く考えなければ、夕刻、三日月の残る海辺の光景。尊いものの儚い姿をいうのか。 ・斜陽:夕陽。ここでは、夕刻のことになる。 ・海上舟:(壇ノ浦は東南側が海に面しており、東方の門司市との間の)夕陽に照らされた海上に見えるの小舟。

※十萬義軍空寂寂:源氏の十万の軍勢(が屯(たむろ)して賑やかであったその跡も、今は)ひっそりとして、寂しげであり。 ・義軍:正義を行うための軍隊。=義兵。「義軍」は、「正規軍」ではない。「正規の統治」に反逆する「叛乱軍」「叛軍」「蹶起軍」であり、力を無くすと「賊軍」とも謂われる非正規の軍である。 ・十萬義軍:源氏の軍勢。 ・空:むなしく。 ・寂寂:〔じゃくじゃく;ji4ji4●●〕ひっそりとして、寂しいさま。無念無想のさま。

※三千劍客去悠悠:平家の三千の武士も去ってしまってから、遥かで久しい時間が流れた。 ・三千劍客:(詩の流れからゆくと)平家の武士のことになろう。 ・去:去る。行く。ここでは死去をはじめとして滅亡したことをいう。 ・悠悠:〔いういう;you1you1○○〕遠く遥かなさま。長く久しいさま。

※英雄骨朽干戈地:武者の遺骸が朽ち果てた戦場で。 ・英雄:胆力、武勇に優れている人。豪傑。ここでは武者のことをいう。 ・骨朽:遺骸は朽ち果てる。杜甫の『兵車行』では「君不見青海頭,古來白骨無人收。新鬼煩冤舊鬼哭,天陰雨濕聲啾啾。」と詠われる。 ・干戈:〔かんくゎ;gan1ge1○○〕戦(いくさ)戦争。本来は、干(たて)と戈(ほこ)といった武器。 ・地:赤間関の壇ノ浦を指す。

※相憶依欄看白鴎:昔を想い偲んで欄干に寄って(遠くに思いを馳せ)、カモメを見ている。 *弔古をいう。 ・相憶:想いを致す。 ・相-:動作を相手に及ぼす時の表現。 ・依欄:欄干に寄り添う。 ・看:見る。 ・白鴎:白いカモメ。何故カモメなのか。それは婉約詩詞では屡々詠われるものであって、韻脚でもあるため。それ故、ここの「白鴎」は、「白鳩」としても構わないわけだが、そこは、海(川)上と陸上との違いがあり、イメージの違いがある。また、実際に赤間関に飛んでいたのは、白い鴎だったろう。鴎は、晉・陶潛『遊斜川』「開歳倏五日,吾生行歸休。念之動中懷,及辰爲茲游。氣和天惟澄,班坐依遠流。弱湍馳文魴,闥J矯鳴
。迥澤散游目,緬然睇曾丘。雖微九重秀,顧瞻無匹儔。提壺接賓侶,引滿更獻酬。未知從今去,當復如此不。中觴縱遙情,忘彼千載憂。且極今朝樂,明日非所求。」 や、盛唐・杜甫の『旅夜書懷』の「細草微風岸,危檣獨夜舟。星垂平野闊,月湧大江流。名豈文章著,官應老病休。飄飄何所似,天地一沙鴎。」や、南宋・李清照の『如夢令』「嘗記溪亭日暮,沈醉不知歸路。興盡晩回舟,誤入藕花深處。   爭渡,爭渡,驚起一灘。」や『雙調憶王孫』「湖上風來波浩渺,秋已暮、紅稀香少。水光山色與人親,説不盡、無窮好。   蓮子已成荷葉老,C露洗、蘋花汀草。眠沙鷺不回頭,似也恨、人歸早。」 とある。





◎ 構成について

韻式は「AAAAA」。韻脚は「愁頭舟悠鴎」で、平水韻下平十一尤。次の平仄は、この作品のもの。

○●●○○●○,(韻)
○○○●●○○。(韻)
●○○●○○●,
○●○○●●○。(韻)
●●●○◎●●,
○○●●●○○。(韻)
○○●●○○●,
○●●○◎●○。(韻)

平成17.10. 3
      10. 4完
令和3. 10.18補



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