Huanying xinshang Ding Fengzhang de wangye

                            


八詠應制二首之一

上官儀

啓重帷,
重帷照文杏。
翡翠藻輕花,
流蘇媚浮影。
瑤笙燕始歸,
金堂露初晞。
風隨少女至,
虹共美人歸。
羅薦已擘鴛鴦被,
綺衣復有蒲萄帶。
殘紅豔粉映簾中,
戲蝶流鶯聚窗外。
洛濱春雪迴,
巫峽暮雲來。
雪花飄玉輦,
雲光上璧臺。
共待新妝出,
清歌送落梅。



******

八詠應制二首之一
  
重帷を 啓き,
重帷  文杏を 照らす。
翡翠  輕花を藻き,
流蘇  浮影 媚し。
瑤笙に  燕 始めて歸り,
金堂  露 初めて晞く。
風  少女に隨ひて 至り,
虹  美人と共に 歸る。
羅薦 已に  鴛鴦の被に擘かれ,
綺衣 復た 蒲萄の帶 有り。
殘紅 豔粉  簾中に映え,
戲蝶 流鶯  窗外に聚る。
洛濱に  春雪 迴り,
巫峽に  暮雲 來る。
雪花  玉輦に 飄ひ,
雲光  璧臺の上。
共に  新妝の出づるを 待ち,
清歌して  落梅を送らん。

                     ****************


◎ 私感註釈


※上官儀:上官・儀。上官は複姓の一。唐代の詩人。608年〜664年。字は游韶。陝州陝県(現・河南省)の人。貞観の初めに進士となる。五言詩をよくした。詩風は華麗艶冶で、南朝・齊、梁の風がある。応制(皇帝の命に応じて作った)詩が多い。皇后であった則天武后を廃そうと高宗に建議したことに因り、則天武后(武則天)の怨みを買い、後に梁王・李忠の「謀反」事件に関聯させられ、獄死した。上官婉兒の祖父。

※八詠応制二首之一:皇帝の命に応(こた)えて八詠詩を作る。 *南朝・齊、梁の影響を強く受けた宮体詩(艶体詩)後世の香奩体、詞でいう婉約詞の風がある。『玉臺新詠』風。この詩は寓意があり、そちらを重点的にとりあげる。 ・八詠:南朝・齊の沈(しん)約の八詠詩「登臺望秋月,會圃臨東風。 歳暮愍衰草,霜來悲落桐。夕行聞夜鶴,晨征聽曉鴻。解佩去朝市,被褐守山東。」の各句を詩題とし、それぞれ『登臺望秋月』『會圃臨東風』『歳暮愍衰草』『霜來悲落桐』『夕行聞夜鶴』『晨征聽曉鴻』『解佩去朝市』『被褐守山東』という詩題で八首の詩を作った。例えば『登臺望秋月』という詩題で作った場合、「登臺
望秋月」の後三字の「望秋月」から第一句を始め、第二句は詩題の後二字の「秋月」をまた使い「秋月光如練」と続けて作る。書き直し図示すると次のようになる。

沈約の八詠詩 (「
登臺望秋月,會圃臨東風。 歳暮愍衰草,霜來悲落桐。夕行聞夜鶴,晨征聽曉鴻。解佩去朝市,被褐守山東。」)
   ↓
各句を詩題として八首の詩を作る (その第一首めの
詩題は『登臺望秋月
   ↓
詩題『登臺
望秋月』の詩句は次のようにする:
秋月秋月光如練。□□□□□,□□□□□。……」

作詩上の技巧と、他の者の詩作との調和が要求される表現様式といえよう。この上官儀の作品について考えれば、「
啓重帷重帷照文杏。翡翠藻輕花,流蘇媚浮影。瑤笙燕始歸,金堂露初晞。……」という詩の始まりから見て、上官儀が与えられた詩題(他人の詩句の一節でもあるわけだが)とは『□□啓重帷であったことがわかる。上官儀の為に言えば、彼が好んで淫靡な詩を作ったわけではなく、このような詩句を詩題とするようにと、皇帝より与えられたのである。そのことが籠められたことばが「八詠応制」である。 ・応制:詩を皇帝の命に応(こた)えて作る。応制奉和。 *応制でこのような詩題が出ることから、当時の宮廷内の風雅交際の内容が、高度な作詩技術が要求される場で、内容も風流というか淫靡というか、爛熟した方に大きく傾いていたのが分かる。

※啓重帷:幾重(いくえ)にも重(かさ)なっているとばりが開き。 ・啓:開く。 ・重帷:重(かさ)なっているとばり。

※重帷照文杏:重(かさ)なっているとばりに、美しいアンズが照り映える。 ・照:てりはえる。 ・文:うつくしい。 ・杏:〔きゃう;xing4●〕あんず。女性を謂うか。 ・文杏:アンズの割れ目、ともとれる。

※翡翠藻輕花:雌雄のカワセミ模様(の縫い取り部分)が軽(かろ)やかな花びら(のようであり)。 ・翡翠:〔ひすゐ;fei3cui4●●〕水鳥。雌雄の番(つがい)で游ぐカワセミ。雄を「翡」、雌を「翠」という。 ・藻:〔さう;zao3●〕美しい模様を画く。冠の飾り紐をつける。 ・輕花:軽い花びら。

※流蘇媚浮影:五色の房(ふさ)の(ベッドの)飾りに、艶めかしい姿が浮かびあがる。 ・流蘇:五色の糸を混ぜた房(ふさ)で、幕や旗などの飾りに使う。華麗で艶めかしいベッド等の家具を連想させる働きがある。晩唐・韋荘の『菩薩蠻』に「紅樓別夜堪惆悵。香燈半捲
流蘇。殘月出門時。美人和涙辭。   琵琶金翠秩B絃上黄鶯語。勸我早歸家。坂x人似花。」と使う。 ・媚:〔び;mei4●〕なまめかしい。美しい。形容詞。また、めでる。いつくしむ。悦(よろこ)ぶ。動詞。 ・浮影:浮かびあがる影。

※瑤笙燕始歸:立派な笙(しょう)の(笛の音に)ツバメはやっと戻ってきて。*麗しい女性の声に、旅をするツバメがやっと帰ってきて。 ・瑤笙:仙人の使う美しい玉(ぎょく)で出来たかのようなしょうのふえ。 ・燕:男性を謂うか。 ・始:やっと。 ・歸:もどってくる。

※金堂露初晞:きらびやかな宮殿に、露が初めて乾いた。きらびやかな宮殿で、露が初めてすすり泣いた。 ・金堂:〔きんだう;jin1tang2○○〕きらびやかな宮殿。黄金で造った堂。 ・露:つゆ。 ・初:はじめて。 ・晞:〔き;xi1○〕乾く。朝日がさし出る。「晞」を「欷」〔き;xi1○〕とみれば、むせびなく。すすりなく。歎く。

※風隨少女至:風は、少女とともに来て。 ・隨:したがう。 ・至:来る。到着する。いたる。

※虹共美人歸:虹(にじ)は、美人とともに帰っていく。 ・虹:にじ。 ・共-:…とともに。 ・美人:美女。また、女官の職位。 ・歸:本来の場所に戻っていくこと。

※羅薦已擘鴛鴦被:薄絹の敷物は、鴛鴦(オシドリ)模様のある夫婦の褥(しとね)で、すでに裂(さ)かれ。 ・羅薦:〔らせん;luo2jian4○●〕薄絹の敷物。 ・已:とっくに。すでに。 ・擘:〔はく;bo4●〕裂(さ)く。分け裂く。張る。 ・鴛鴦:〔ゑんあう;yuan1yang1○○〕オシドリ。雌雄が番(つがい)で游ぎ離れないところから夫婦仲、男女中の睦まじいことの比喩に使われる。雄を「鴛」、雌を「鴦」という。白居易の『勸酒』「昨與美人對尊酒,朱顏如花腰似柳。今與美人傾一杯,秋風颯颯頭上來。年光似水向東去,兩鬢不禁白日催。東鄰起樓高百尺,璇題照日光相射。珠翠無非二八人,盤筵何啻三千客。鄰家儒者方下帷,夜誦古書朝忍餓。身年三十未入仕,仰望東鄰安可期。一朝逸翮乘風勢,金榜高張登上第。春闈未了冬登科,九萬摶風誰與繼。不逾十稔居台衡,門前車馬紛縱。人人仰望在何處,造化筆頭雲雨生。東鄰高樓色未改,主人云亡息猶在。金玉車馬一不存,朱門更有何人待。牆垣反鎖長安春,樓臺漸漸屬西鄰。松篁薄暮亦棲鳥,桃李無情還笑人。憶昔東鄰宅初構,雲甍彩棟皆非舊。玳瑁筵前翡翠栖,芙蓉池上
鴛鴦。日往月來凡幾秋,一衰一盛何悠悠。但ヘ帝里笙歌在,池上年年醉五侯。」や『長恨歌』にある。 ・被:掛け布団。体を覆う着物。 ・鴛鴦被:夫婦が使う寝具。

※綺衣復有蒲萄帶:綾絹(あやぎぬ)のころもに、またふたたびブドウのベルトをした。 ・綺衣:〔きい;qi3yi1●○〕綾絹(あやぎぬ)のころも。 ・復:またふたたび。 ・蒲萄帶:不詳。ブドウの房のようなものがぶら下がっているベルトなのだろうか?紫色の帯(おび)?

※殘紅艶粉映簾中:散り残って、すたれた赤い花の艶(なま)めかしい化粧が、(ベッドの)カーテンの中で映(は)えて。 ・殘紅:散り残って、すたれた花。 ・艶粉:艶(なま)めかしい化粧。 ・映:はえる。 ・簾中:(ベッドの)カーテンの中。

※戲蝶流鶯聚窗外:番(つがい)で戯れて飛び交う蝶々や、枝から枝へと飛び渡るウグイスが窓の外に集まっている。 ・戲蝶:番(つがい)で戯れて飛び交う蝶々。 ・流鶯:枝から枝へと飛び渡るウグイス。 ・聚:あつまる。

※洛濱春雪迴:洛水の畔(ほとり)に、春の儚(はかな)い情けの雪の時が回(めぐ)ってきて。 ・洛濱:洛水の畔(ほとり)。 ・春雪:春に降る雪。「春」は男女間の事情を表す語でもある。すぐに溶けて流れ去る情愛。 ・迴:めぐる。

※巫峽暮雲來:(男女の情事を)「巫山の雲雨」と謂うが、その巫山の夕暮の雲がやってきた。 ・巫峽:長江が巫山(の山脈)を貫流して巫山(の山脈)が峡谷となっている所。瞿塘峡の東。現・四川省東部と湖北省西部の省境。ここでは、巫山の雲雨を謂う。男女の情事のこと。 ・暮雲:夕暮れの雲。

※雪花飄玉輦:ふわふわと舞い落ちる雪が、玉で飾った車に漂(ただよ)い。 ・雪花:ひらひらと舞い落ちる雪。 ・飄:ただよう。 ・玉輦:〔ぎょくん;yu4nian3●●〕玉で飾った天子の乗る(手で引く)車。

※雲光上璧臺:雲の光が、美しい御殿に射している。 ・雲光:雲の光。 ・上:立ちのぼる。 ・璧臺:璧で飾った台。『玉臺新詠』の序に「周王
璧臺之上,漢帝金屋之中」とあり、金屋と同義で、立派な御殿の意で使われている。

※共待新妝出:新たな化粧のできあがりを一緒に待って。 ・共待:一緒に待つ。 ・新妝:(朝、夕べの)その日で一番初めの化粧。メイクしたて。白粉(おしろい)を美しく塗り立て。あらたな装い。李白の『清平調三首』之二に「一枝紅艷露凝香,雲雨巫山枉斷腸。借問漢宮誰得似,可憐飛燕倚新粧。」とある。

※清歌送落梅:鳴り物無しで清らかに歌って、散ってしまった梅の花をお見送りしよう。 ・清歌:清らかな歌。清らかに歌う。鳴り物無しで歌う。 ・送:(見)送る。 ・落梅:散ってしまった梅の花で、春の終わりの意。「落梅」は、笛の演奏用の『落梅花』という曲名のことで、漢代の「横笛曲」にある『梅花落』にかける。皎然の『塞下曲』「寒塞無因見落梅,胡人吹入笛聲來。勞勞亭上春應度,夜夜城南戰未迴。」や、高適の『塞上聞吹笛』「雪淨胡天牧馬還,月明羌笛戍樓閨B借問梅花何處落,風吹一夜滿關山。」や、李白の『與史郎中欽聽黄鶴樓上吹笛』に「一爲遷客去長沙,西望長安不見家。黄鶴樓中吹玉笛,江城五月落梅花。」、両宋・李清照の『永遇樂』「落日熔金,暮雲合璧,人在何處?染柳烟濃,梅笛,春意知幾許。」がある。


               ***********




◎ 構成について

韻式は、「aaBBB(c)ccDDDD」。韻脚は「杏影 晞歸歸 (被)帶外 迴來臺梅」。この作品の平仄は、次の通り。


●○○,
○○●○●。(a韻)
●●●○○,
○○●○●。(a韻)
○○●●○,(B韻)
○○●○○。(B韻)
○○●●●,
●●●○○。(B韻)
○●●●○○●,(c韻)
●○●●○○●。(c韻)
○○●●●○○,
●●○○●○●。(c韻)
●○○●○,(D韻)
●●●○○。(D韻)
●○○●●,
○○●●○。(D韻)
●●○○●,
○○●●○。(D韻)

2008.12.10
     12.11
     12.12
     12.13完
2015. 2.28補



xia 1ye次の詩へ
shang 1ye前の詩へ
抒情詩選メニューへ
    ************
shici gaishuo詩詞概説
唐詩格律 之一
宋詞格律
詞牌・詞譜
詞韻
唐詩格律 之一
詩韻
詩詞用語解説
詩詞引用原文解説
詩詞民族呼称集
shichao shou ye天安門革命詩抄
Qiu Jin ci秋瑾詩詞
碧血の詩編
李U詞
Xin Qiji ci辛棄疾詞
李C照詞
陶淵明集
Huajianji花間集
Huajianji婉約詞:香残詞
Huajianji毛澤東詩詞
zhuozuo碇豐長自作詩詞
漢訳和歌
参考文献(詩詞格律)
cankao shumu(wenge)参考文献(宋詞)
本ホームページの構成・他
Riyu:zhiciわたしのおもい
hui shouye
huanying xinshang Ding Fengzhang de zhuye