huanying xinshang Ding Fengzhang de zhuye






  永遇樂
            
落日熔金,
暮雲合璧,
人在何處?
染柳烟濃,
吹梅笛怨,
春意知幾許。
元宵佳節,
融和天氣,
次第豈無風雨?
來相召,
香車寶馬,
謝他酒朋詩侶。


中州盛日,
閨門多暇,
記得偏重三五。
鋪翠冠兒,
撚金雪柳,
簇帶爭濟楚。
如今憔悴
風鬟霜鬢,
怕見夜間出去。
不如向、
簾兒底下,
聽人笑語。


    **********************


      永遇樂

落日  金を熔かし,
暮雲  璧を合はす,
人  何處にか 在る?
柳を染めて  烟ること濃く,
「梅」を吹く 笛の怨み,
春意  幾許(いくばく)なるかを 知らん。
元宵の佳節,
天氣  融和すれど,
次第に  豈(あに) 風雨の無からん?
來りて 相ひ召くは,
香車  寶馬,
謝す 他(そ)の酒朋 詩侶に。


中州京)の 盛んなる日,
閨門  多く 暇にて,
記し得たり  三五
(元宵節)を 偏(ひと)へに 重んぜしを。
鋪翠の冠兒
(カワセミの冠)
撚金 雪柳
(金糸・絹紙の髪飾り)
簇帶
(かざり)は  濟楚(うるはし)きを 爭ふ。
如今  憔悴し,
風鬟 霜鬢,
怕見(ためら)ふ  夜間に出去するを。
簾兒の底下(もと)に 向(おい)て,
人の 笑ひ語れるを  聽くに如(し)かず。


             ******************

私感訳注:

◎初めは、目の前の情景から始まり、昔の懐憶に移り、再び過去の思いでの上に立った現在の心境を歌っている。

※永遇楽:詞牌の一。双調。壱百四字。仄韻一韻到底。詳しくは下に示す。韻式は「aaaa aaaa」。この『永遇楽』は、李清照の同時代人(辛棄疾がやや後)の辛棄疾の『青玉案』「東風夜放花千樹,更吹落、星如雨。寳馬雕車香滿路。鳳簫聲動,玉壺光轉,一夜魚龍舞。   蛾兒雪柳黄金縷,笑語盈盈暗香去。衆裏尋他千百度,驀然回首,那人却在,燈火闌珊處。」や『永遇楽』京口北固亭懷古「千古江山,英雄無覓,孫仲謀處。舞榭歌臺,風流總被,雨打風吹去。斜陽草樹,尋常巷陌,人道寄奴曾住。想當年,金戈鐵馬,氣呑萬里如虎。   元嘉草草,封狼居胥,贏得倉皇北顧。四十三年,望中猶記,烽火揚州路。可堪囘首,佛狸祠下,一片~鴉社鼓。憑誰問,廉頗老矣,尚能否。」 に影響を与えたようだ。盛唐・王維の『送別』「送君南浦涙如絲,君向東州使我悲。爲報故人憔悴盡,如今不似洛陽時。」の感慨もあろうか。

※落日:ゆうひ。斜陽、落暉、夕陽。衰勢を表す語でもある。なおこの詞の主題でもある元宵節は、宵の祭りでもあるので、その幕開けの語としてふさわしいものでもある。
※熔金:金を溶かしたように。夕陽が、金を溶かしたように美しいさまをいう。

※合璧:璧を合わせたように。半透明な暮雲が璧を合わせたように美しく微妙な味わいを出しているさまをいう。璧は五円玉のような形をした玉。また、美しい物の形容。第一句と第二句は対句になっており、この合璧と熔金とは対応しており、意味を余り深く考える必要はない。

※人:二つ解釈ができる。一つは、流れ流れてきた、李清照自身のこと。もう一つは、かの人。
  詞の展開からいって、第一、二句は、自然(天)を歌いあげ、第三句は、人の存在を、歌っている。こう見ていくと、当然李清照自身のことである。また、彼女は最愛の夫とは死別しており、「人在何處」という表現には適合しないので、やはり彼女自身と見るのがよいだろう。
※人在何處:この第三句は、第一、二句の「落日熔金,暮雲合璧」と意味の上で対になっているともいえる。第一、二句は、「落日が金を溶かしたように輝き、暮雲は恰も璧を合わせたような味わいを出している」という自然(天)の雄偉さ、麗しさを歌いあげている。それに対して、この第三句は「人在何處」と、人の存在を、歌っている。それも「在何處?」と疑問を投げかけているのである。天に比して変わってしまった我が身。物是人非。天と人と対比させて我が身を眺めるのは、詞でよくみかける表現法の一。

※染柳:「染」字も幾つかの解釈ができる。一つは、(柳が新芽で)色づくこと。もう一つは、(柳が霞に)包まれていること。もう一つは、(柳が夕日に)染まること、夕映え、である。どれも捨てがたい。何如。
※烟濃:「烟」は、もや、霞んでいるさま。また、柳の枝の茂るさまの形容にも、しばしば使われる。烟=煙。

※吹梅笛怨:「梅花落」の曲を吹く笛の音が恨みを含んでいる(かのように聞こえる)。「梅」は漢代の「横笛曲」にある「梅花落」(「落梅花」)という曲名のこと。 ・梅笛:笛の演奏用の「落梅花」という曲名のこと。漢代の「横笛曲」にある「梅花落」。李白『與史郎中欽聽黄鶴樓上吹笛』「一爲遷客去長沙,西望長安不見家。黄鶴樓中吹玉笛,江城五月落梅花。」。 白居易の 『楊柳枝』「六水調家家唱,白雪梅花處處吹。古歌舊曲君休聽,聽取新翻楊柳枝。」として、使われている。なおこの「吹梅笛怨」の句と「染柳煙濃」の句とは、対になっている。「怨」は、女性の心の奥に秘められた、愛情に関する恨み。

※春意:春の気配。
※幾許:いくばく。いかばかりか。どれほど。少し。
※春意知幾許:(彼女の心が愁いに満たされているため、)春の気配がどこまで来ているのか、よく分からない。

※元宵:上元(陰暦正月十五日)の夜。その年の初めての満月の夜。元夕。元夜。
※佳節:おめでたい日。節日。祝日。ここでは、元宵節を指す。元宵節には、豊年を祈願して、提灯や飾りを掲げるという。

※融和:(俗・現代語)気候が穏和になる。
※天氣:天の気配。

※次第:たちまちのうちに。だんだんと。
※豈無:どうして…ないだろうか。いや、絶対に…である。反語。
※風雨:風と雨。また、好ましくない状況。ここでは、彼女自身の身に降りかかった災難や、亡国の難儀を指している。

※來相召:(友人が)招待にやって来る。

※香車寶馬:すばらしい車と立派な馬。他人の車馬への美称。お車。前出・辛棄疾の『青玉案』に「東風夜放花千樹,更吹落、星如雨。
寳馬雕車香滿路。鳳簫聲動,玉壺光轉,一夜魚龍舞。」とある。

※謝:謝絶する。お断りする。
※他:その。
※酒朋詩侶:風雅交際の友人。

※中州:北宋の首都京(開封府)は豫州(現・河南省)にあり、豫州は九州(中華)の中央に位置していたから中州ともいう。現代もこのあたりの都市の中の地名として残っている。ここでは、北宋の首都京を、また、北宋の故地を指す。この句から、過去の回想へ入っている。
※盛日:(北宋の首都京時代の)華やかだった日々。盛日は、「昭和の御代」という場合、「昭和盛日」という風に使う。

※閨門:閨房、内室の入り口。また内室。転じて女性。女性の所。ここでは、李清照自身の所を謂う。
※多暇:ゆとりがあった。暇が十分にあったこと。

※記得-:…を覚えている。…を記憶している。以下の語に、覚えている内容が続く。晩唐・韋莊の『荷葉杯』に「
記得那年花下。深夜。初識謝娘時。水堂西面畫簾垂。攜手暗相期。惆悵曉鶯殘月。相別。從此隔音塵。如今倶是異ク人。相見更無因。」とある。
※偏重:ひとえにおもんじる。もっぱら重視している。偏は詞語でも、ひとえに、もっぱら。
※三五:陰暦正月十五日の元宵節のこと。かけ算の九九では、三・五=十五で十五日を謂う。これと似た用法に「二八女郎」がある。二・八=十六で、十六歳の少女、年頃の娘という意味になる。陶淵明の『責子』に「白髮被兩鬢,肌膚不復實。雖有五男兒,總不好紙筆。 阿舒已
二八,懶惰故無匹。阿宣行志學,而不好文術。雍・端年十三,不識六與七。通子垂九齡,但覓梨與栗。天運苟如此,且進杯中物。」とあり、白居易の『勸酒』では「珠翠無非二八人,盤筵何啻三千客。鄰家儒者方下帷,夜誦古書朝忍餓。身年三十未入仕,仰望東鄰安可期。」 とある。なお、「六六欄干曲」「水宮六六」の六六は、足し算をして、十二のこと。蛇足だが、映画で「臭三八!」と言っていたのがあったが、この三八(サンバー)は、三月八日の婦女節のことであり、「臭三八!」は「この女め!」ぐらいの意味。

※鋪翠冠兒:翡翠(カワセミ)の羽をあしらった冠。鋪は、ならべる。児は、俗語の接尾辞でかわいい感じのもの等に付くが、特に意味はない。

※撚金雪柳:宋代の婦人の元宵節を過ごす風俗で、金糸と絹紙で作った髪飾り。元宵節の風俗については『宣和遺事』や『武林舊事・元夕』にあると云うが未確認。前出・辛棄疾の『青玉案』「蛾兒
雪柳黄金縷,笑語盈盈暗香去。」とある。
※簇帶:詞語では、髪に飾ったいろいろな装飾の品々。簇はいろいろ、群がること。帯は戴で身につけること(現代語)。
※爭:あらそう。競う。装いの美しさを競ったこと。
※濟楚:麗しい。(宋代の方言)。詞語の用法では、端正で麗しいこと。柳永の『木蘭花』(心娘自小能歌舞)「心娘自小能歌舞,擧意動容皆濟楚」や周邦彦の『紅窗迥』(幾日來)の「有個人人,生得濟楚,來向耳畔,問道今朝醒未。」にある。

※如今:いま。現在。この句から、過去の回想から現在へ戻っている。
※憔悴:やつれ果てたさま。

※風鬟霜鬢:(俗・現代語)鬟(まげ)は世を過ごす苦労のために乱れ、鬢(びん)は霜の降りるが如く白髪が出てきたさま。同様に、風鬟雨鬢は鬟(まげ)や鬢(びん)を風雨に晒すこと、転じて、艱難辛苦に遭うこと。なお、風鬟霧鬢は、婦人の美しい髪の形容。

※怕見:(宋代俗語)気が進まない。おっくうである。
※夜間:元宵節は、本来は月夜の祭りなので、宵に外出する。
※出去:(俗・現代語)出かける。外出するの意であって、出で去っていく、という意味はない。

※不如:しかず。…に及ばない。…の方がよい。
※向…:…に おいて。…にて。「於」字の働きに近い。「向…(底)下」でひとまとまりになる。
※簾兒:(俗・現代語)すだれ。「-児」字は、接尾辞で(日本語に敢えて訳すほどの)取り立てた意味はない。名詞以外にも付くが名詞に多い感じがする。
※底下:…の下で。…の後ろで。詞語では底は、…の(的)。…この(這)。

※不如向,簾兒底下:ここは「不如+向簾兒底下」という具合に、意味の上では繋がっている。
※聽人笑語:人(他人)が楽しげに談笑するのを聴く。
※不如向,簾兒底下,聽人笑語:(自分が出歩くよりも、)むしろ、御簾の後ろにいて、他の人の楽しむ声を聴いていた方がいい。これが、詞を作った時の李清照の正直な気持ちである。これと似た彼女の詞に『C平樂』に「看取晩來風勢,故應難看梅花」と、ある。






◎ 構成について
 
双調。壱百四字。仄韻一韻到底。韻式は「aaaa aaaa」。


●○○,
●,
○●。(韻)
●○○,
●,
●○○●。(韻)
●,
●,
●●○○●。(韻)

○○●,
○●。(韻)


●,
○○●,
●●●。(韻)
●○○,
●,
●○○●。(韻)
●,
●,
●●●。(韻)
○●,
○○●●,
●○●●。(韻)


韻脚は「處許雨侶 五楚去語」で、第四部声上声。 處、雨、去は、上声・去声の両韻。声調が違えば意味も違う。處(上声:動詞。去声:名詞)、雨(上声:名詞。去声:動詞)、去(上声:はなれる。去声:除く)。なお、去は現代語では去声のみ。
 

2000.12. 7
     12. 8
     12. 9土
     12.10日
     12.11完
     12.12補
     12.17日
2001. 8. 5補
2002. 2. 1
2017. 4.14
2019.11.28



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