雪 | |
|
五代・梁・ 羅隱 |
盡道豐年瑞,
豐年事若何。
長安有貧者,
爲瑞不宜多。
******
雪
盡 く道 ふ 豐年の瑞 と,
豐年事 若何 。
長安に貧者 有り,
瑞 と爲 すに宜 しからざること多し。
****************
◎ 私感註釈
※羅隠:五代・梁の文人。833年(太和七年)〜909年(開平三年)。字は昭諫。本名は横。江東生と号する。呉越、新城の人或いは、錢塘(現・浙江省)餘杭の人。晩年、呉越王・銭鏐に仕えて、銭塘県令などを任じた。後梁の朱全忠に諫議大夫として召されるが、行かず。『舊唐書・列傳・羅弘信・子威』「錢塘人羅隱者,有當世詩名,自號江東生。」或いは「江東人羅隱者,佐錢鏐軍幕」(『舊五代史・梁書』)ともする。
※雪:雪。「豊かな者にとっての瑞雪。しかし、貧しい者にとっての雪は…」と貧しい者に視線を向けた詩。羅隱には、同様に『蜂』「不論平地與山尖,無限風光盡被占。採得百花成蜜後,爲誰辛苦爲誰甜。」がある。貧しい者を詠う詩に、唐・李紳の『憫農』「春種一粒粟,秋成萬顆子。四海無闢c,農夫猶餓死。」、「鋤禾日當午,汗滴禾下土。誰知盤中餐,粒粒皆辛苦。」や曹鄴の『官倉鼠』「官倉老鼠大如牛,見人開倉亦不走。健兒無糧百姓飢,誰遣朝朝入君口。」等がある。
※尽道豊年瑞:(雪は、豊かな階層の)だれもが皆、豊年のめでたいしるしだと言う。 *「瑞雪兆豐年」(瑞雪は豊年の前兆)との諺がある。 ・尽道:ことごとく言う。だれもが皆、言う。晩唐・皮日休の『汴河懷古』に「盡道隋亡爲此河,至今千里ョ通波。若無水殿龍舟事,共禹論功不較多。」とあり、唐/蜀・韋莊『菩薩蠻』の「人人盡説江南好,遊人只合江南老。春水碧於天,畫船聽雨眠。 壚邊人似月,皓腕凝雙雪。未老莫還ク,還ク須斷腸。」とある。 ・豊年:(稲の)豊作の年。 ・瑞:〔ずゐ;rui4●〕めでたい。めでたいしるし。
※豊年事若何:豊年とは、どのような事なのか。 ・若何:どのよう(な)。いかなる。いかが。
※長安有貧者:首都・長安には、貧しい人が多く。 ・長安:唐の首都。 ・貧者:貧しい人。貧乏人。
※為瑞不宜多:めでたいしるしとするのは、しない方がいい。 ・為瑞:めでたいとする。めでたいしるしとする。 ・不宜:…しない方がいい。…すべきではない。よくない。…すべきでない。 ・多:ありがたく思う。ほめる。まさっているとする。功(いさお)。
***********
◎ 構成について
韻式は、「AA」。韻脚は「何多」で、平水韻下平五歌。この作品の平仄は、次の通り。
●●○○●,
○○●●○。(韻)
○○●○●,
○●●○○。(韻)
2013.9.24 9.25 9.26 |
次の詩へ 前の詩へ 抒情詩選メニューへ ************ 詩詞概説 唐詩格律 之一 宋詞格律 詞牌・詞譜 詞韻 唐詩格律 之一 詩韻 詩詞用語解説 詩詞引用原文解説 詩詞民族呼称集 天安門革命詩抄 秋瑾詩詞 碧血の詩編 李U詞 辛棄疾詞 李C照詞 陶淵明集 花間集 婉約詞:香残詞 毛澤東詩詞 碇豐長自作詩詞 漢訳和歌 参考文献(詩詞格律) 参考文献(宋詞) 本ホームページの構成・他 |