太極拳の起源

太極拳の起源は2つあり、ひとつは道教の聖地である武当山を開いた張三豊を開祖とする武当派太極拳、もうひとつは河南省温県陳家溝の陳氏一族に伝えられていた家伝の武術を起源とする陳氏太極拳です。
陳氏太極拳は長く門外不出の武術として陳氏一族だけに伝えられてきましたが、清代末の楊露禅が陳氏一族以外では初めてこの拳法を習得し、各地を回って武者修行をした後、北京に赴き独自の工夫を加えて教え広めたのが楊式太極拳です。
中国体育委員会は楊式太極拳をベースとし、武術性を無くして健康法に特化した簡化太極拳を制定しました。これが二十四式太極拳、四十八式太極拳といわれる、現在最も広く普及している太極拳です。
楊式太極拳から派生した伝統武術としての太極拳では、呉全佑の伝えた呉式太極拳、武禹襄の武式太極拳、孫禄堂の孫式太極拳などが有名です。
天龍武術会では陳氏太極拳、孫式太極拳、正宗太極拳、武当派太極拳を練習しています。 先ず初めはこの中のひとつの套路(型)を修得し、ひとりで行う套路を覚えた後は、二人で組んで行う推手や太極拳の約束組手である太極対練を練習します。

陳式太極拳 ChenStyle Taijiquan

陳式太極拳は陳氏一族に伝わった家伝の武術に、少林拳や心意拳などの武術の要素を加え、さらに吐納導引法(気功法)や経絡医学(中国医学)を取り入れていますので、武術としてだけではなく、健康法としても大変優れた効果があります。

陳式太極拳の型は剛柔相済といわれ、柔らかく流れるような動作の要所要所に行う、力強く豪快な発勁に特徴があります。特に発勁を連続してスピーディーに行う二路(砲捶)は、一般的な太極拳のイメージとは違い実戦的な趣の強い型です。

中国武術誌「武術健身」より
武漢 国際太極拳観摩交流大会1984年

武当派太極拳 Wudang Taijiquan

武当派太極拳は、武当山を開山し仙人といわれた道士張三豊を開祖としています。全八段から構成され、ゆっくりとした柔らかい動作を行いながら直線状に進むその型は、他の太極拳とは一味違う実戦武術の趣を感じさせ、太極、形意、八卦の内家三拳を統合したような実践的な動作に特徴があります。


武当山

正宗太極拳 YangStyle Taijiquan

天龍武術会の正宗太極拳は、王樹金より佐藤金兵衛先生に伝えられたものです。
王樹金先生は、少年時代に張占魁(号、兆東)より形意拳、八卦掌を学び、李存義、蕭海波の両師に形意拳、八卦掌を学びました。
張占魁が亡くなった後、王向斉 について意拳椿法を学び、その後、台湾を経て昭和33年に来日。 佐藤金兵衛先生は王樹金来日から足掛け8年にわたって正宗大極拳、形意拳、八卦掌の伝授を受けました。

王樹金正宗太極拳

孫式太極拳 SunStyle Taijiquan

孫式太極拳は近代の著名武術家孫禄堂が、郭雲深から形意拳、程廷華から八卦掌、?為真から武式)太極拳を学び、これら三派の優れた要素を融合し、さらに独自の工夫を加えて完成させた武術です。 動作はコンパクトですが開合という気功法に似た動作が多く、呼吸や意識が身に付きやすいことから、内勁の修得に適した型ということがいえます。



孫式太極拳(孫禄堂)