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結果
話を聞いた時期:2013年1月
結果発表:2013年2月
結果が出ました。
賞とは関係ありませんが、今年はブラッド・ピットやトム・クルーズの顔を見ませんでした。会場に来ていたのかは分かりません。ドイツが提携したアメリカのテレビは映しませんでした。ジェニファー・アニストン、ニコール・キッドマンがプレゼンテーターとして出演したためなのか・・・と一緒にテレビを見た仲間とかんぐって見ました。
司会は安全パイのビリー・クリステルを下ろし、セス・マクファーレン。アメリカでは有名な人らしい青年。歌は上手いです。後で調べたら、監督、脚本家、コメディアン、俳優(声優も)、アニメーター、歌手を兼業しています。小さい作品なら自分で思いついて、お金をどこかから調達してくれば、残りの仕事を全部自分でということも考えられます。テレビ出演が多い人なのでアメリカでは有名なのでしょう。授賞暦は多才で、歌、作詞、作曲、声優、アニメ賞など。変わったところでは悪役賞なども取っています。
彼が総司会なので当然ぬいぐるみのテッドとマーク・ウォールバーグもプレゼンテーターとして出演。録画なのかも知れませんが、ぬいぐるみのテッドもウォールバーグと一緒にトコトコ舞台の中央に出て来て早速毒舌。セス自身何を言い出すか分からず、そこへテッドとウォールバーグが出て来たので、ハラハラ。そのスリルが良かったです。
受賞者発表が始まる前1時間ほどレッド・カーペットの上でドイツ人司会者男女計3人と、アメリカ人女性司会者がスターをつかまえてインタビュー。これを見ながらスターの身長に驚きました。ニコール・キッドマンの背が高いことは有名ですが、他にもハイヒールの分差し引いてもびっくりの人がいます。
超小柄な、アメリカ人らしい女性がそういう司会者の1人。キーキー声に不自然な笑いで神経に障ったのですが、ショーの終わりにびっくりのシーンがありました。何とその辺の歌手を押しのけられる歌唱力。あの、人を押しのけるようなキーキー声も、歌声として聞くと60年代のちゃんと訓練のできた有名歌手に匹敵します。アメリカでは有名な人なのか、本職が何なのか分かりませんでしたが、総司会のセス・マクファーレンとのデュエットは立派なもの。この日の出し物は全体的にレトロの傾向が強く、40年代、50年代風のミュージカルっぽい曲でした。
途中でゲスト出演して歌を披露したバーバラ・ストレイザンドにもびっくり。彼女が音を外すという珍しいシーンがありました。その上あの有名な追憶の主題曲を歌ったのですが、声が違う!!当時は部分的に鼻にかかったような歌声で、そこがとてもセクシーだったので、ストレイザンドはあまり好きでなかったのに、曲のファンでした。今年、太ることも、やせ細ることも無く、きれいにキープした姿で登場し(さすがプロ)、立派に高音部も歌えたのですが、頭蓋骨が変化したのか、声質が少し変わっていました。そして僅かですが音を外しました。一般の人にはあまり目立たない程度ですが、自分に厳しい彼女、後でビデオを見たら自分に腹を立てるだろうなあなどと思いました。
今年もオスカーの授賞式を見られそうな感じです。同じアパートに映画好きの人がいて、去年「今年もオスカー・パーティーをやらないか」と誘いを受けました。
技術などの受賞は省略しました。
作品
私が応援しているのはこの作品。アフレックは俳優としても時々天才的な顔を覗かせますが、監督としてはかなり手堅く、今後もどんどん伸びそうです。ところが監督賞にはノミネートされていません。欧州のハネケが入っているのにアメリカ人のアフレックが入っていないのが不思議。アフレックは今後も力作を作るだろうという予想があるので今回は外したのでしょうか。
後記: アフレックの力がずっと過小評価され続けていたので、取って欲しいけれど今年もダメだろうと思っていたら・・・取りました!しかもここだけホワイト・ハウスからのライブ中継、アメリカのファースト・レディーの紹介で始まりました。
1番最後に発表される賞なので、いくらか予想がつきます。最後まで望みをつないでいたのは愛、アムール 、レ・ミゼラブル 、リンカーン 。
例えばジャンゴ 繋がれざる者は脚本賞というぴったりの賞がオマージュたっぷりの脚本を捻り出したタランティーノ本人に行き、ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日は監督賞が李安に行ったのでこれで打ち止めだろうなどと想像していました。
逆に現在大統領がオバマ氏な上、夫人が中継に出て来たので、ハッシュパピー バスタブ島の少女にややチャンスが増えたりしましたが、アルゴはまた無視されるかと思いました。なので受賞には私だけではなく、本人もびっくり。アフレックはうろたえてまともに口が聞けない様子でした。客席の夫人も涙ぐんでいたような感じで、これまでいい作品を作ったのに評価が高くなかったことが伺えました。
後記の後記: 久しぶりにオスカーを取ったタランティーノ、アフレックですが、何と15年とか18年のブランクがあったんですねえ。
私はアフレックはわりと注目しながら過ごして来たので、駄作のコメディーに出ているなあとか、ラジー賞から注目されているなあなどと思っていて、その後自分で映画を作り始めたので良かったなあと思いながらついて来ていました。
タランティーノや友人のロドリゲスはオスカーには背を向けて、独自路線。製作資金もそれなりに集まっているようだし、才能も枯れていないようなので、それでいいと思っていましたが、映画界に貢献している事は間違いないので、たまに表彰しないと行けないと思った人がいたのでしょう。
ハネケ監督のこの作品は他の、候補に挙がりそうな作品を無視して飛び込んで来ました。カンヌを制覇した後、今度はアメリカを制覇するつもりなのでしょうか。彼の趣味がアメリカ人に合うか、興行成績がどこまで延びるかが見ものです。
後記: 意地の悪い作品の多い監督なのであまりたくさん賞を取らないでくれと祈っていました。
ファンタで見ました。いい作品ですが、ファンタには向きません。むしろオスカーやベルリン映画祭に向いています。今年アフレックの作品と重なったのは不運かも知れません。
ハッシュパピーは主人公の名前です。
後記: ファンタには向かないけれどいい作品である上、監督と暫く話をしたなどという個人的な理由も加わったので、応援していました。オスカーやカンヌには向いた作品です。しかしまだ早い、もう少し作品を作ってからと思われたのかも知れません。監督は非常に若い上、出演者はほとんどが素人なので、いきなりの受賞は無いか、それとも黒人の出演者が重要な意味を持っているので、オバマ政権で認められるかと私も迷いました。
私たちはカトリーナ(大型ハリケーン)や東北の津波の話をしたのですが、監督は東北に理解を示してくれる人でした。
リンカーンと同じ年に出るところがおもしろいです。カプリオが悪役というのもおもしろそう。
オスカーよりゴールデン・グローブ向きかと思いますが、いずれ見ようと思っています。
後記: タランティーノとアカデミー賞というのは難しい組み合わせです。彼のファンは《保守的なアカデミーをぶっ潰せ》という勢いで、常識外れの映画を作るタランティーノに拍手を送っているので、しょっちゅうアカデミー賞から認められてしまうと彼の存在の意味がなくなってしまいます。他方、せっかくおもしろく、興行収入も高い作品を作っているのに無視し続けるのも行けないと、まあ迷う人です。
今回作品とか監督賞でなく、脚本で取ったのは妥当かも知れません。何しろオマージュで色々な話を組み入れ、ゲストに元祖ジャンゴを呼んで来る(アメリゴ・ベスプッチを思わせるような役名。他にもファンにはおっ、うわっと思わせる出演者が出ています)などアイディア一杯の作品ですから。
働き詰めだったカプリオはこれから暫く休憩。せっかく悪役で芽が出るかと思ったのでちょっと残念ですが、この人は未だに成長中なので、復帰したら善玉悪玉の両方ができる役者に生まれ変わるかも知れません。
後記: 予告編をいくつか見、オスカー当日には出演者が舞台で曲を歌いましたが、違和感が拭えませんでした。フランスの話をオーストラリア人他の英語圏の人が演じた上、ミュージカル。どうも私と趣味が一致せず、ミスマッチのままでした。
ハリウッドでミュージカルが作られるのは不吉な前兆で、間もなく不幸な出来事が起きるとも言われています。それも大事件、戦争といった規模。ただのジンクスなので外れてくれればいいですが。
これまで見た李安の作品は平凡でつまらなかったです。アメリカで優遇されるのは政治的な意図かと思っていました。台湾を引き立てようというのは悪い事ではないので私はブースカ言いませんでした。ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日はまだ見ていないのですが、物語の設定がユニークで、見てみたいなと思いました。
後記: 作品賞か監督賞を李安にと思いましたが、作品は中程度だろうと思っていました。事前に応援していたのは、台湾の人が東北大震災の時に群を抜いた巨額の支援をしてくれたからです。恐ろしい数の人が呆れるような大金を寄付してくれています。それに李安は温和ないい人みたいな印象ですし。
ところがオスカー発表に近づいた頃映画の内容についての報道を見て、「今度の作品は内容が思った以上におもしろそうだ」という風になって来ていました。望み通り監督賞が李安に行ったので喜んで、少し涙が出てしまいました。台湾の方、東北を心配してくれてありがとう。
暗殺前の4ヶ月を描いた作品。リンカーンの素顔は日本で知られているのとかなり違うのですが、アメリカでも日本でも尊敬する大統領と言うと彼の名前が出ます。
ルイスは全力投球する俳優なので力作なのではと予想しています。彼は気合を入れ過ぎるので見ていると疲れるかなと思いますが、いずれ見てやろうと思っています。
後記: ショー最後の受賞な上、オバマ夫人がライブで出て来たので、リンカーン受賞かと思い始めていました。なのでアルゴと聞いてびっくり。アフレックも腰を抜かしたようです。その代わりアカデミーは主演男優賞でバランスを取ったようです。
問題を抱えた人物がもう1人の問題を抱えた人物と出会い再起を図るというストーリー。下手をするとマイナスの二乗になってしまうのでご注意。
ビン・ラーディンを追う舞台の活躍を描いた作品。中心になるのは女性の情報分析官。ビゲローらしいテーマ。実際の機密事項に踏み入るため色々揉めた作品。
後記: ビゲローの作品はちょっと前に賞を取り捲ったので、今回は休憩。とは言うもののこの作品、おもしろそうです。
主演男優
今年は本命かも知れません。とは言うものの5ノミ2賞。4割打者なので、取り過ぎと見なされて外されるでしょうか。
元々この役はリーアム・ニーソンで企画が進んでいました。リンカーンの日本であまり知られていない面を知っていると、ルイスの方が合っているような気がします。
後記: 今年はリンカーンとレ・ミゼラブルの競争という感じでした。いくつものカテゴリーでぶつかり合っています。そんな中、主演男優賞にルイスは無いかも知れないと思っていました。力強い演技は褒めてある報道が多いのですが、もし彼が取ってしまうと主演男優賞で3回目という事になり、他の複数受賞の先輩を超えてしまうからです。なのでまさかと思っていたら、意外な結果。授賞しました。
これで彼は自分より知名度の高い他の俳優と「3つ取った」という点で横に並び、「主演男優賞のみで3つ取った」ということで初という事になり、大快挙。そのわりにステージのルイスは落ち着いていて、アメリカ人で英国の首相を演じたメリル・ストリープと冗談を言い合っていました。彼は英国人でアメリカ大統領を演じたからです。
この日同じく英国のリーアム・ニーソンも出演していましたが、確かに2人の顔は似ています。ニーソンでも良かったと思いますが、本人はちょっと年を取り過ぎているということで辞退。せっかくのチャンスを逃したのかも知れませんが、いい俳優は役が自分に合っているかをよく見極める力も持っています。
オスカー・レース初登場。
むしろゴールデン・グローブ向きと思っていたらあちらでは取りました。オスカー・レースは初登場。グローブは2ノミ1賞。打率5割。
後記: ジャックマンにはあまり取ってもらいたくありませんでした。アクション映画はいいですが、これまで演技が光った作品は見ていません。歌で勝負するならユアン・マグレガーに歌心の有無で負けます。もう少しキャリアを積んでから来て下さい。
カリスマ的な男に出会った青年が最初傾倒し、後に疑問を抱くようになるという話。90年代頃ドイツでは人をカリスマに担ぎ上げる傾向が強かった時期があるのですが、こういう事がまかり通る時代というのは不安がはびこっているのでしょう。
フェニックスはウォーク・ザ・ライン 君につづく道がピークかと思いましたが、もう1度トライ。これで3回目のノミネートとなります。今年はルイスに行ってしまうのではと思いますが、ノミネート常連になるのもこの業界では1つのステータス。
後記: この作品、ホフマンとフェニックスの組み合わせは良さそうで、どちらも賞をあげたいところですが、ルイスのいない年にノミネートされれば良かったのにと思います。フェニックスはまた1つノミネーションの数の記録を延ばしました。ジャックマンより味のある声で歌も歌えるのでいつか取るだろうと思っています。
エンジン・トラブルを乗り越え多くの人命を救ったパイロットだったのですが、血液検査でアルコールが検出されたため、話がややこしくなり・・・というストーリー。エンジン・トラブルは彼が起こすわけではないし、命が助かったのなら素直に喜べばいい・・・と考えるのは楽天家の日本人。やはり追求はしなければ行けないのでしょう。
彼はもうオスカー取っています。シドニー・ポワチエ以降無視されていた黒人俳優が、受賞レースに真面目に入れてもらえるようになり、黒人も当たり前のように参加できるようになるきっかけで大きく寄与した人。ノミネート6回、うち2回当選。打率3割3分。今年は他の俳優の方が目立っているので彼には行かないと思いますが、オバマ氏が再当選したので、彼も候補者の一角に顔を出しているのかも知れません。
後記: この映画を紹介するマペット・ショーがありました。コックピットに座った黒人マペットがウィスキーのビンを銜え、コカインらしき白い粉を吸うというシーンや、墜落後入院しているシーンが出て来ます。コメディーになっていましたが、良くできていました。ワシントンはすでに2つ取っているので今年は外れるだろうと思ったら、外れたのですが、「もう2つ取ったから」という考え方はルイスを見る限り今後通用しなくなりますね。
主演女優
彼女もまだ新しい人ですが、2011年、2013年とノミネート。
後記: 主演女優賞と助演女優賞の両方が若手というのは珍しいのではないかと思います。
彼女は雑誌などで色々報道されているのですが、私は全然知らないのでちんぷんかんぷん。しかし授賞しました。ところがシンデレラのような衣装でステージに上がる途中階段の中央で転倒。びっくりしました。この日集まる女優の多くは呆れるような高いハイヒール、それもヒールが恐ろしく細い物を履いているので、階段を上り下りする時は注意を要します。それにしても怪我をしなくて良かった。ダイエットのし過ぎで骨が頑丈でない女性もいますので、若いからと言って安心していられません。
ビゲローが選ぶ女性主人公は骨太な人が多いです。悩んだり迷ったりしながら、それでも・・・というタイプ。新人のチャスティンもそういうキャラクターなのでしょうか。この作品はいずれ見たいです。
まだそれほど知られた人ではありませんが、去年、今年と連続ノミネート。
作品の性質上老人も参加。1927年の生まれです。フランス人なので、オスカーから遠い所で生きていました。賞はあまり取っていない人。
後記: 今年の関係者で最年長の彼女、あたたかく迎えられたのか無視されたのか微妙な受け入れられ方でした。アメリカ人は《人間は年を取る》という現実をできるだけ先延ばしにし、できれば死ぬまで考えたくないというメンタリティー。欧州人はそうしたいけれどそうも行かないと分かっていて、しぶしぶ自分がいつか年を取って死ぬかも知れないという現実を受け入れようかなあ、止めようかなあという微妙なところを行き来する人たち。ハネケ監督は人の嫌がる事をテーマにするのが大好きなので、率先してそういうテーマを取り上げる人。その作品の主演なので、アメリカでは半分避けられてしまったのかも知れません。
その点日本人や台湾人は年を取るのは当たり前、最後は死ぬものだ、要はそれまでどうやって時間を過ごすかだってな事を子供の頃から分かっているか、周囲から教えられるので、そこから逃げるという精神構造になっていません。年齢に合った覚悟も定まっているように思います。そこでストレスを過剰に感じないだけ得しています。見てください、李安の穏やかな顔。
彼女が取ったら凄いです。まだ子供と言うか幼児のような感じ。撮影していた時は小学校1年生。あげたいなあ〜。オバマ大統領再選の年なんだから少しはずんでは・・・。とってもかわいい子です。《妖精》という名前なのですが、現実をしっかり理解した役を演じています。エマニュエル・リヴァとの年の差実に76歳。なので初ノミネート。
後記: 今年の関係者の中で最年少。まだ1桁の年齢。私は彼女にあげたかったのですが、ハリウッドは極端に年齢の低い子供に大きな賞をあげてしまうと人生が狂って教育上良くないと考える傾向があり、授賞には至りませんでした。普通の子役ですとその危惧は当たっています。物凄くひねた子役がたくさんいる社会です。ウォレスはそういった所謂プロの役者と違うので、あげても良かったかなと思わなくもないのですが、当分普通の学校に行って、普通の子供として成長し、役者としては改めて出直す方が本人のためにはいいかも知れません。
インタビューでは「歯科医になるつもりだ」と言っていました。「役者を止めるのか」と突っ込まれ、「俳優をやる歯科医になるの」だと言い直していました。でも、マジ、この作品で得たお金を貯めておいてとりあえず歯科の国家試験に合格すれば、役が来なくても生活は支えられるので、いいかも知れません。それにハリウッドの歯科医は儲かりそう。
キャストは英語圏のスターですが、スペイン映画。スマトラ沖津波で生き別れになった家族の再会までの実話。感動の作品らしいのですが、ナオミ・ワッツはクヮヴェンジャネ・ウォレスには負けるでしょうねえ。
ワッツのノミネートは2度目。
後記: この日ほとんど話題になりませんでしたが、この作品の評価は上々です。客席にリエフ・シュライバーと一緒に仲良さそうに座っているのを見てクヤシ〜イ。私の憧れの俳優を彼女に取られてしまった!あとはロン・パールマンに望みを繋ぎたいところですが、彼はとっくに結婚している・・・クシュン。
原則として私はワッツの演技に感激したことが無く、好きではないのですが、長い間ニコール・キッドマンの陰に隠れて有名になれなかったのをがんばり通してスターになった点は好感を持っています。2人はこれまで珍しく長期間友情を保っている女性2人として知られていたのですが、今年「ついに決裂か」というゴシップ記事を見ました。ワッツは人に見せびらかさずに幸せな結婚をしているという感じ。キッドマンは同郷の歌手といつも連れ立って歩いているという感じ。長い間知っている友人というのは貴重ですから、ま、変に火花を散らさないで仲良くして下さい。
監督
今年は政治の状況から考えると李安に行くのではないかと思います。日本人としては東北地震の時あれほどたくさんの義援金を送ってくれた台湾を応援したいところ。
オスカーは5ノミ1賞。
後記: 米国から見て台湾防衛という事情があるので引っ張り出されただけかと思いました。とは言うものの私は東北のことで台湾人には感謝したいので応援。撮影賞など技術的な賞がたくさん行く程度で終わりかと思いきや、監督賞授賞。良かった、良かった。私が「トラが可愛い」とか言い出したら、李安の影響です。
後味の悪い作品を作るのが方針のハネケ監督、ついにオスカーにまで進出しました。アメリカ人の好みに合うのかが見物です。
ハネケのオスカー登場は今年が初。2部門でノミネート。カンヌは1997年のファニー・ゲームズ以来荒らしまくって、13ノミ9賞。
後記: 監督賞絶対阻止と思っていたら、外れました。
2011年も合わせると3つ目のノミネート。
リンカーンは力作らしいですが、今回は映画の帝王スピールバーグではなく、主演に行くかなと思います。スピールバーグのオスカーは特別な賞も含めると16ノミ4賞。打率25%。1番初めに貰ったのが特別賞という変わった人。
後記: 予想が当たってしまいました。しかしハリウッド自体を左右できる人なので、賞なんて屁とも思っていないのではと思います。
作品のできはいいので監督にオスカーが行ってもいいと思いますが、ライバルも強そうなので予想がつきません。
監督に去年会った時はまだ29歳。カトリーナや東北の被災者の話をしました。彼には東北の被災者のことがスッと理解できるようです。ハッシュパピー バスタブ島の少女はルイジアナなどアメリカ南部のハリケーンの後の人々の生活を描いています。
監督はオスカー・レース初登場2部門ノミネート。
後記: ハシュ・パピーを演じた女の子の方に注目が集まり、監督の姿は見かけませんでした。若くて学生に見えるような人です。
助演男優
なんちゃってオーストリー人ヴァルツもノミネート。2010年には初登場で受賞。今年は2回目のノミネート。
後記: 冒頭に彼の授賞が決まったのでびっくり。2勝0敗0引き分け。打率100%。ちょっと聞かない記録です。タランティーノに感謝ですね。 ドイツ人でも彼がオーストリー人だと思っている人が多いのですが、オーストリー人になったのは最近の話。それまでは二重国籍を許さない国ドイツの人でした。
4回ノミネートされていて1回当選。打率4分の1。今年取ったら打率50%になります。
久しぶりの登場。前回は1992年にノミネート。7回ノミネートされこれまで2回当選。初ノミネートでいきなり当選したのが1975年。最近は表情が穏やかになっています。
インディー系の作品が注目されるようになってから有名になった人。2006年初登場で受賞して以来合計4ノミ1賞。打率ではアラン・アーキンなどといい勝負をしています。
物凄いインテリで、ハーバードの出身。にもかかわらず、悪漢を演じたり、下積みが長かった人。オスカーは4ノミ1賞。今年取れば打率50%。日本では宇宙人として有名。
助演女優
これまでお姫様役が多かった人ですが、暗い役もできます。オスカーは2009年に続き2度目のノミネート。
後記: 最近日本のタレントが髪を剃って現われ世界中で悪評を買ってしまいましたが、ハザウェイはむしろそれが評価されオスカーに結びついたのか、あるいは髪を切る代わりに必ずオスカーという約束ができていたのかという疑問がチラッとわきました。今年のオスカーにはもう1本女性が自由意志でなく髪を剃らされる作品が入っていたようです。変な流行ですね。
ハザウェイはそろそろお姫様役を卒業と思っているらしいですが、髪を短くした彼女は若い頃のオードリー・ヘップバーンに似ています。あと10年ぐらいして伝記にでも出演したらどうでしょう。
キッドマンと顔がよく似ているアダムスは2006年からの7年で4回目のノミネート。受賞こそしていませんが、ノミネート率は高いです。
1980年に初ノミネートで受賞、85年に2度目のノミネートで受賞。今年取ったら3回目のノミネートでまた受賞という事になります。ただノミネート数に関わらず俳優で3度目受賞という人はほとんどいないので、今年は他の人に行くのではないかと思います。
後記: なんて言っていたら、ルイスが3度目の授賞、ヴァルツが打率100%。今年は慣例を破る年のようです。
地味な人ですが注目していました。1998年に初登場で受賞。今年は2度目のノミネート。
あまり聞かない名前ですが2011年に1度ノミネートされています。今年は2度目。
脚本
4回ノミネートで1つ取っています。
後記: 工夫のある脚本なので順当な授賞。加えて助演のヴァルツがもう1度彼の作品で授賞しました。ヴァルツはオスカー授賞打率がこれで100%な上、タランティーノの作品のみでノミネートを受け、授賞。タランティーノが彼の福の神になっています。
ハネケが取るとしたらこちらかなと思っていたら強敵もノミネート。タランティーノもノミネート。
あの有名なコッポラの息子。ソフィア・コッポラの兄で、
ジェイソン・シュワルツマン、ニコラス・ケイジのいとこ。この家族は他にも芸能界の人がたくさんいます。初ノミネート。
アンダーソンは3回ノミネート。
後記: コッポラ家6人目のノミネートだとか言われていました。
2010年と今年合計4回ノミネートで、2010年は2部門とも受賞。今年も取ったりしたら打率75%か100%になります。取ったら凄いですが。
脚色
実話。
後記: 応援はしていたのですが、こういった賞をいくつか貰って体よく追っ払われるのかと思っていたので、作品賞を取ってびっくり。アフレックは今年は脚本には手を出さず、監督と制作を担当して出演。しかし監督、俳優としての賞からは外れていました。
原作は舞台。
原作は小説。
伝記。
原作は小説。
長編アニメ
後記: 劇映画はほとんど見ていないのですが、アニメは偶然見た作品が多いです。
メリダとおそろしの森は10世紀の英国の物語。当時そこは大英帝国ではなく、スコットランド。授賞式にアンドリュースはタータンチェックのスカート(キルト)姿で来ました。作品中簡略化された形ではあるものの、当時の暮らしぶりが紹介され、そういう点からもおもしろいです。気の強いお転婆娘の主人公はハッシュパピー バスタブ島の少女と似て、見ていて楽しいです。
バートンの作品は楽しいですがアカデミー賞では評価されにくいです。
コララインとボタンの魔女の流れを汲むスタッフが作った作品。おもしろかったです。
ウォレス&グロミットの流れを汲むスタッフの作品。原作ザ・パイレーツはシリーズ物で、その第1作ザ・パイレーツ! イン・アン・アドベンチャー・ウィズ・サイエンティスツを映画化。
かなり原作に近いという話。
ロードとスプロクストンの会社としてはすでに90年代初期からニック・パークの作品で短編でオスカーを取っていて、その頃から短編アニメが改めて重要視されるようになりました。
ムーアは初ノミネート。有名どころではシンプソンズに関わっています。
短編アニメ
後記: 赤のポイントを強調するためにアニメとしては珍しく全体はモノクローム。登場人物は日本のアニメや漫画に出て来るのとそっくりのデザイン。
後記: アニメか実写か分かりにくい作品。テーマがおもしろく、すでにパロディーができています。たった1分か2分の作品でオスカーを狙うのは、効率がいいですが、アイディアが勝負。PESの作品は他のもおもしろいです。短篇でもイントロが長くてまどろっこしい作品がありますが、PESはいきなりズバッと主題に入ります。
外国語映画
日本人に取っては何千年も前からごく当たり前の「年を取る、死ぬ」というテーマを扱っています。欧米ではその話を何が何でも避ける傾向が強く、敢えて取り扱うと話題になるという仕掛け。
後記: アーティストはフランスがアメリカの好みをよく研究して作った作品でしたが、ハネケの場合は欧州風、それも欧州の一部の好みを代表しているので、アメリカでハネケが作品賞とか、監督賞を取るとは思っていませんでした。外国映画賞はハリウッドが譲れるぎりぎりのところではないかと思います。
蛇足: 今年はなんちゃってオーストリー人ヴァルツ(生まれはオーストリー、国籍はずっとドイツ。最初のオスカーを取ってから急遽オーストリー国籍に変更。ドイツは二重国籍を認めていないのになぜか2つ持っていることになっている)と本物のオーストリー人ハネケ (たまたま生まれはドイツで、父親はドイツ人だけれどオーストリー人らしい。育ったのはオーストリー)がダブル・オスカー授賞で、オーストリーは大快挙。
今年は一家に2つオスカーという兄弟授賞。ハネケの母親の再婚相手が母親と死別後再婚した女性がヴァルツの母親。なので姻戚兄弟。とは言うものの2人は滅多に会わないらしいです。オスカーでは弟のヴァルツの方が先輩。
子供を誘拐して兵士に仕立てるゲリラという厳しい現実に、超能力を持つため戦いを勝利に導く少女という非現実を組み合わせた作品。
実話。マッズ・ミケルセンが主演の1人。病気になった王、王妃、ドイツ人主治医の三角関係と宮廷内の派閥争いを扱った作品。
2002年に死亡した人類学者ヘイエルダールの冒険 。コンティキは木製のいかだの名前。作りは南米のインディオ式。バルサという水に浮く軽い木が材料。ヘイエルダールは1951年に自分でも映画を制作し、オスカーを取っています。ヘイエルダールが使ったいかだはオスロに行けば見られます。
撮影
後記: まだ見ていませんがこの作品は撮影が勝負の映画だそうです。
一体何度映画化すれば気が済むんだろうと思うぐらい何度も映画化されています。ざっと見ただけでも1927年、1935年、1948年、1967年、1976年、1977年(テレビ)、1985年(テレビ)、1997年、2000年(テレビ)、2009年(テレビ)。
後記: 一緒にショーを見ていた友人たちも、一体なんでまたぞろ映画化なんだろうと不思議がっていました。
007 スカイフォールはおもしろかったので満足していますが、撮影が特に良かったかと聞かれると、さほどでもなかったように思います。
美術
衣装
後記: 日本ではあちらこちらで「授賞を逃した」と報道されていますが、死者にオスカーを出すこと自体が普段は無いので、授賞する方が珍しいです。「逃した」と言って残念がるより、世界の大舞台で日本人が活躍していた事の方を喜びます。跡継ぎを作っていたかが気になります。
音響
撮影と同じくこちらも特に音響が良かったという印象はありません。全体がうまくまとまっておもしろい活劇に仕上がっていました。アカデミーににはスタント賞とか、アクション賞というのは無いんですよね。
編集
後記: 始めアルゴにこういった賞が行ったので、大きな賞からは外されるかと思いました。アフレックなど関係者もそう思ったのかなといった表情でした。
音響編集
後記: 珍しく同点。6000人からの投票者がいるので、珍しい出来事です。
視覚効果
後記: この作品はまさに視覚効果で勝負、この賞こそが本命だったようです。
原題は Marvel's The Avengers で、漫画のマーベルがディズニーの配給で作った作品。デフレの現代に相応しく、マーベル社の漫画に登場したアイアンマン 1 と 2、インクレディブル・ハルク、マイティ・ソー、キャプテン・アメリカのヒーローを集めて作った作品。
まだ見ていませんが、リドリー・スコットが監督なので視覚効果がいいのかも知れません。元々はエイリアンのプリクウェルとして作られる予定でしたが、あまり密にこだわらなかったようです。ストーリーはおもしろそうで、出演者もこういう話に合いそうな人たち。当初予定されていたスターを外していますが、最終決定のキャストは名前を見ると浮く人が出ず、良いハーモニーという印象。大スターのギャラを節約する意味もあったのかも知れませんが、この種の作品に1人飛び抜けたギャラのスターが出るとずっこけることがあります。2人出すとライバル意識を出したり、遠慮し合ったりしてダメになることもあります。それよりやや低いランクの人を複数出すと良いティームワークが取れることがあります。監督はジェームズ・キャメロンの予定がスコットに変更。キャメロンはエイリアン 5 を作るつもりで準備していたようで、その要素を取り入れた上で、スコットは独自の路線を行ったようです。
メイクアップ
ホプキンスの顔をヒッチにするのは無理です(笑)。作品の主題はサイコの撮影。ヒッチコックは、スリラー映画の原則のような物を築いたりと、映画界に貢献した人ですが、ティッピー・ヘドレン母子に性質の悪い嫌がらせを続けたり、キャリアを破壊するという負の面も持ち合わせる複雑な人物。なのでホプキンスという俳優は合っていると思います。
後記: シーンの一部が紹介の時に出て来ます。それを見る限りホプキンスはそっくりさんは全然目指しておらず、ヒッチの振る舞いはよく勉強しているように見えます。ヒッチコックは世界では尊敬されていて、引用する後輩監督もいますが、ハリウッドでの評価は《無視》。その理由はこの作品を見たら分かるのでしょうか。ホプキンスはハンニバル・レクターの成功の後授賞は目指していない様子で、自分の味がよく出る作品を選んでいるようです。この作品も断片を見る限りそんな風に見えました。
音楽(オリジナル・ソング)
後記: この日シャーリー・バッシーがゲスト出演して有名なゴールドフィンガーの主題曲を披露。バッシーはアフリカ系の人と思っていたのですが、白人と見間違うようなスタイル。歌は年齢を考えると立派なもの。姿もすらっとしていて、さすがに芸能界のプロ意識が高い世代の人だと感心。当時のような激強パンチの利いた声ではありませんが、それでもその辺からポッと出て来た歌手とは格が違いました。
暫くしてショーの早いところでアデルという歌手が Skyfall の主題歌を披露。この曲は残念なことになっているなあと思いました。曲自体はゴールドフィンガーとよく似たコンセプトで作られていて、ボンド映画に非常によく合うように作られてます。歌手も下手ではないのですが、 Skyfall のタイトル・ロールにインパクトが無かったことが災いしてか、映画を見ている間全く目立たないのです。音楽には耳ざとい方の私も映画を見ている間に記憶できていませんでした。ところがこの曲だけを映画と分けて聞くと、ボンド映画の中でも上のランクに入るような名曲。
しかしこの曲、オスカー・ショーのわりと早いところで紹介されていたので、授賞は無いんだろうなあと思っていたら、ショーの後半で当選。良かったですねえ。
音楽(作曲)
短篇
後記: 短篇でオスカーを取るのは1番効率がいいです。
ドキュメンタリー(短篇)
ドキュメンタリー
ロドリゲス・ディアス・六郎という1942年生まれのメキシコ系アメリカ人シンガー・ソングライターの数奇な人生。ロッド・リゲスという芸名で1970年メジャー・デビュー。LP 2枚をリリース。すぐに忘れられる。細々と続けていた音楽活動は80年代に入ってすぐ止める。その頃行っていた大学をきちんと卒業。その後90年代終わりまで音楽活動はしていない。ところが曲が南アフリカに伝わり、90年代に大成功。本人の姿は無い。噂では自殺をしたとか死亡と思われていた。しかしそれは都市伝説で、本人はピンピンして音楽活動を中断していただけ。娘が偶然インターネットで父親が有名人になっているのを発見。音楽活動はそれで98年から再開。その後次々に依頼が入り音楽活動でやって行けるようになる。
アパルトヘイト中メキシコ系の人はカラードになったのか、白人と数えられたのかどちらだったのでしょう。いずれにしろ彼の曲は抵抗運動をやっている人に大受けしていました。
イタリアやスペイン系の人は自分の子供に一郎(プリモ)、次郎(ゼクンド)、三郎と番号をつける人がいて、彼は6番目なのでシクスト。
邦題がついていないので日本には来ないかも知れません。主張によると被害者50万人とも言われる軍内部の暴行の犠牲者数。軍内部の規律を正すには現在の軍を1度チャラにして、新しく編成し直した方が早いのではと思えるような状況を取材した作品。こんな調子できちんと任務を果たせるのかと、よその国の事ながら考えてしまいます。
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