ヘッダー上段 河川のQ&A,河川の歴史に係わる事項
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河川のQ&A,河川の歴史に係わる事項 河川のQ&A,河川の歴史に係わる事項
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河川の歴史に係わる事項
  1. なぜ戦国大名は治水に力を入れたのか?
  2. 関東流(伊奈流)の治水技術とは何か?
  3. 紀州流の治水技術とは何か?
  4. 霞堤、雁金堤の名称の由来は?
  5. 水害防備林の目的は何か?
河川計画に係わる事項河川の工事に係わる事項洪水に係わる事項河川管理に係わる事項
水資源・ダムに係わる事項河川環境に係わる事項河川の歴史に係わる事項

  • 水の便がよく(舟運、用水堀、水田、防衛上の点で)、山から平地に開ける場所に城下町を形成することが多かったが、同時に川のそばに位置するため、洪水の被害を受けやすく、治水対策によりその城下の発展の基盤を作ろうとした。
    (甲府…武田信玄と御勅使川・釜無川、富山…佐々佐成政と常願寺川、熊本…加藤清正と白川・坪井川、広島…福島正則と太田川、岡山…池田光政、熊沢蕃山と旭川・百間川、伏見…秀吉と淀川など)
  • 家康が江戸幕府を開いた当時の関東平野は、荒川や利根川、渡良瀬川などが縦横無尽に乱流して洪水のたびに氾濫を繰り返していたため、幕府直轄領の行政官であった関東郡代伊奈家は歴代にわたって、民政安定と基盤整備のために河川の付け替えや流路安定のための治水工事に携わった。
  • この伊奈家は、信州伊奈谷の出身で、武田信玄流の治水技術を修得し、このため、江戸時代初期の治水技術を指して後世、伊奈流または関東流と称することになった。
  • この治水技術の考え方は、自然の力に逆らわず、溢れるものは溢れさせ、上手に自然の力を利用して洪水に対処しようとするもので、堤防を連続させず所々に切れ目を入れて洪水を一時遊水させる霞堤などを作り、その遊水した水を普段の時は溜井(沼)として利用し、水田などへの水の水源にするといった治水上「柔」に対応する手法であった。
  • 江戸時代中期、8代将軍吉宗の頃になると幕藩体制や民生も安定し、増加する人口を養うため、また年貢米としての収入を上げるため、諸藩は新田開発を盛んに奨励して、従来の湿地を水田に変えようとした。
  • 従来の関東流の手法では洪水のたびに水を被っていた低湿地に対し、霞堤などを締め切ることによって新たに水田用地を生み出し、米の増産を図った。
    幕府でこの推進に当たったのが吉宗に紀州から呼び寄せられた井沢弥惣兵衛為永であったため、新たな治水の手法に対して後世、紀州流と呼ばれることになった。
  • このことは連続堤によって洪水を河道に押し込めるといった治水に対する「剛」の思想に変わり、堤防を締めきってしまうため水田への大規模な灌漑用水工事も必要になった。
    この後、河床の上昇と洪水たびに堤防の嵩上げなど行うイタチゴッコが始まることとなった。
    現在もその状態は依然として継続している。
    しかし、河道だけでの対応には限界があり、遊水池での対応や流域での対応など、これらの長い治水の取り組みの歴史が現在の河川計画にも反映されているといってよい。
  • 霞堤は、直線的に延びる堤防に、下流に向かって逆ハの字型になるように所々に切れ目を入れて洪水をその部分にに溢れさせ、一時的に洪水を遊水させる仕掛け。
    本川の洪水ピ−クの通過後に、遊水した水が河川に自然に戻る作用ををうまく利用したもの。
    堤防の一部が霞のように消えてなくなるというのが語源と考えられる。
  • 一級河川鬼怒川は河床勾配が大きく、栃木県から茨城県にかけて多数の霞堤が存在するが、近年土地利用の不便さから堤防を締めきってほしいという要望が強く徐々に締め切りが進んでいる。
  • 雁金堤は、富士市の富士川左岸川に現存し、雁行の飛行形態をとるカギ形になるように堤防外側に遊水部分を作り、洪水を意識的に溢水させて遊水させる。
    現在は連続堤が前面にできており、遊水部分は畑地になっている。
  • 立木などが河川の流水の流れの障害となることは経験的に知られており、この作用を利用して植林した林により洪水の流勢を押さえ、流れる土石を補足して洪水の流れを安定化させるのが水害防備林である。
  • 堤防内にある防備林は、流水の流れを阻害しないように伐採されたものも多いが、現在でも山梨県の笛吹川には史跡として「万力林」公園があり、福島県の荒川にも現存する。
  • 平成9年の河川法改正では、このような効果が見直され、洪水の拡大を防ぐため堤内地側に設置する河畔林を河川施設として位置付けた。
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