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 | 河川計画に係わる事項 |
- 川の役割とは何か?
- 川はなぜ存在するのか?
- コンクリ−ト護岸の効用は何か?どこでも採用すべきものか?
- なぜ海に砂があるのか?
- 河川計画を立てるとき、なぜ確率手法といったものが用いられるのか?
- 水際線計画とはどういったものか?
- 「流域総合治水対策」とは総合的に何をやろうというのか?
- 「水系一貫」とは何を一貫させるのか?
- 流域の範囲の考え方とは?
- 洪水の安全流下、地下水の涵養、流水の利用(上水道、工業用水、農業用水、環境用水)、発電、遊魚、漁業、川砂・川砂利採取、舟運、カヌ−、川遊び、水泳、オ−プンスペ−ス(公園、地、スポ−ツ施設、防災拠点)、ビオト−プ、散策、憩いの場など、物理的、経済的、空間的、慰安的な面で様々に利用され、河川は我々人間の生活と深く関わっている。
- 上流で取水された水が、生活用水や生産活動に使用されて浄化処理されたのち再び川に戻り、その下流でまた取水されて利用されるというように流水は、繰り返し循環して使われている。
これを「狭義の水循環」という。 ただし、自然浄化作用には、許容範囲があり、これを超えると水質のエントロピ−がますます増大し、原水処理費用が増加することになる。
- 海や川、地表の水分が蒸発して雲になり、その雲から雨が降るという地球規模での水循環の一過程(雨の流れる道筋)を形成する。
これを「広義の水循環」という。
- 土地の低いところ、地盤の弱い所を自由に浸食して流れる。
…「百川帰海」(准南子、あらゆる河川は海に流れ込む。転じて方々に散逸しているものが一箇所に集まること、また人民の心が一点に集中するとの意。)
- 河川には、浸食、運搬、堆積の三作用があり、地質年代的な超長期的な現象から時間単位で変化する短いスパンでの現象まで幅広く取り扱う。
- 枯れ川(砂漠での雨期に現れる川、扇状地での伏流水になる川など)も存在する。
- 固いもので被覆するのは、河川がカ−ブする水衝部や、都市部でどうしても河川用地が広げられない住宅密集地での河川の場合に採用される。
- 平成9年の河川法改正により、環境面に配慮することがうたわれ、河川改修において、魚巣ブロックの採用や、環境護岸、植生護岸、粗朶沈床などできるだけ自然環境に配慮した工法が望まれる。
- 山地などの河川上流部から洪水時に土砂が供給される。
地質年代的には沖積層を形成する。
- 河川からの土砂が、砂防堰堤やダムなどの築造で遮断されると海岸への供給がストップし、砂浜が浸食を受ける。
…試験的に天竜川秋葉ダムに溜まった土砂(総貯水量の38.6%に相当する1,300万m3が堆積)1万m3を20Km下流の河原に運んで河川に戻す実験例がある。 平成11年度から本格的に各地で取り組むとしている。
- アメリカでは、1996年にコロラド川のグレンキャニオンダムで大規模な人口洪水を起こす実験を行った。
この洪水による激流で土砂や岩石を押し流し、下流に瀬や淵や砂州を新たに再生する。 また、河原の草木も押し流して在来種の生育環境を回復させ、ゴミなどの汚染物質を洗い流し、多様な生態系を維持しようとする試みである。
- 千葉県九十九里海岸の広大な砂浜の補給源は、屏風ヶ浦の浸食がもたらしたもの。
…屏風ヶ浦の波打ち際の足元に浸食防止対策を行っため、九十九里浜への砂の補給が絶たれ、広大な浜は浸食を受けて後退してきている。 鎌倉時代からの屏風ヶ浦の汀線の後退は、海抜60mにもおよぶ断崖となり、その後退量は2〜6Kmに及んでいるという。
- 洪水の原因となる降雨は天然現象である。
短期的な天候の予測は気象庁で行っているが、災害をもたらすような異常な集中豪雨が、いつの時期に・どこの場所に・どれくらいの量が現れるかを事前に予測する事は極めて困難である。
- 特に梅雨時期の局地的な豪雨(ゲリラ豪雨)は、特に予測しにくい。
- 通常ペ−スで起きる現象は、その生ずる間隔が短く、それに較べて最大値や最小値が表れ る異常現象といわれるものは、その発生間隔が非常に長いことが経験的に知られている。
- 従って、ある量の天然現象の起き方は、起き易さ、あるいは起きにくさと言った確率的な 表現で統計処理して取り扱うことができる。
→水文統計学に発展。
- 欠点:計画規模以上の出水は、予想外として対応不可能なこと。
- 水辺空間がどのようにあるべきか、河川流域全体や後背地の土地利用の状況を参考にしながら、特徴を生かした幾つかのゾ−ンに区分してその整備・保全方針を明らかにする。
- 昭和55年河川審議会での「河川環境のあり方」の答申に基づいて、河川環境管理基本計画を策定することになり、H10年3現在、全国で283河川において策定が行われている。
- 以下の二つの計画に分けて策定することとしている。
- 河川空間環境管理画…県では「〇〇川水際線計画」としてまとめている。
河川空間の適正な保全と利用を図るため、その整備をどう進めるかという計画で、河川工事や占用の条件などについてもまとめる。
- 水環境管理計画
河川の水量および水質を総合的に管理するため、これらの監視や水環境改善のための施策、河川構造物の管理のあり方などについてまとめる。
- 特に都市部の流出率の高い河川については、降雨が一気に川に集中してしまうため、河川だけで洪水を安全に流下させる能力には限界がある。
このため流域内で失われた保水機能や遊水機能の代替措置として一時的に雨水を貯留する施設や雨水浸透施設で河川への流入量を押えたり、河川への流出に時間差を付けて洪水のピ−クをできるだけ小さくする必要がある。
- オンサイト貯留やオフサイト貯留、さらに浸透性舗装や浸透桝・浸透性側溝などが採用され、それでも対応できない分については、用地取得が困難であることから新たに地下河川(神田川)や地下放水路(還七地下放水路河川)などでの対策を考える必要がある。
- 河川は、上流の山間部から河口部まで様々な水利用が図られており、上流での取水は下流側の流況に影響を与え、また降雨時には上流の各支川から下流の支川に至るまで洪水が時間差で流入して増水するため、部分的に行う局所的な手当でこれらに対応することは上下流や本・支川でのバランスを欠いた不安定な治水となる恐れがあり、昭和39年の河川法改正時に従来の区間改修主義を改め、上流から下流まで統一性のある一貫した河川計画のもとに治水対策を考えて河川改修を行うこととした。
これにより下流から年次計画を立てて逐次改修工事を行っていくことがすなわち河川改修の大原則(下流をそのままにして上流だけ改修すると下流の未改修部分がネックになって溢れ大きな水害を招く)となる。
- 降った雨が河川に集まるという単なる物理的な範囲という定義を越えて、現在では川を中心とした人間生活との関わりの中で、その流域全体の地理や自然・歴史・都市・生活など地域の文化や風土を育む一つの文化圏としての捉え方が流域の中に含まれるようになり、河川計画は、単に治水だけに対応できればよいという考え方から、流域全体の中でこれらを十分考慮した形で改修計画や河川の位置づけを行うべきとの方向に変わりつつある。
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