オバチャリダ―北の大地を行く2001年夏 6日目〜1 |
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7月22日 (日) 朝食の時間まで、とテレビを見ていたら 「人生の切符」という番組をやっていた。 その中で気に入った言葉があった♪
今日まで4日間、数え切れないアップダウンを繰り返し、脚は少しは慣れて来ている。 昨日のうちに、冷蔵庫の製氷皿で500mlの水を凍らせておいてある。 最後の 「アミノバイタル」も1000mlの水で溶かして冷やしてある。 お天気も上々。 私の体に合った自転車 「さくらちゃん」がある。 どこにも負の材料は見当たらない。 朝食もしっかり食べたし、トイレも済ませた。 8:30 出発! q(^-^q) ・・・・ 今日も絶対に歩かないぞ〜・・・っと♪ 泣き言は言わないぞ〜・・・・・っと♪ 3kmほど峠への登りを来ているので、少しは楽かなと思っていたけれど、なんのことはない。 出発はいきなりの登りです。 ウワッ、足が重い・・・ 1km走ったら、ちょっと足をついて休もう。 少し休めばすぐ回復する。 熊の湯を横目で見ながら登って行く。 この辺はまだ緩いはず。 とは言ってもキツイゾー。 1kmなんてガマン出来ない。 足をついた後は斜めに漕ぎ出さないと登れない。
ヨッシ、この調子で行こう。 故風間一輝氏の小説 「男達は北へ」の中で、 岩手の県境の山を登り始める時、主人公・桐沢が後続の尾形に言っていた言葉が甦る。 「ギアチェンジしろ! 弱気になるなよ!」 あそこが頂上かも知れないと希望を持ち、更にその先の登りを見て失望している尾形に向って 「どんな希望も持つな。 希望があるのは目的地だけだ。」 私にも桐沢の声が聞こえる。 「上を見るな」 「外側をトレースしろ」 「何も考えるな、 希望を持つな」 直線で登っている時、視界の隅に横の景色が斜め下に流れる。 高度を稼いでいくのを実感するって、このことなんだ。 以前までは目的地はまだかまだかと上ばかり見ていたから、まだだよ!まだだよ!の状態だったんだ。 国後島がくっきりと見えます。 自転車をガードレールに立て掛けしばし大休止。 ひとりのライダーがやって来て、やっぱり見とれています。 お互いに写真を撮りあって、おしゃべりします。 小樽までのフェリーで70歳の女性のライダーが居たそうです。 彼女は以前ご主人と北海道を車で周った時に見たライダーに憧れ, ご主人が数年前に亡くなられた時、そこから免許を取って、今年やっと念願の北海道を走るということです。 カッコイイ先輩が居るもんだ♪ \(^o^)/ 大分長々と休憩をとってしまった。 見上げると、つづら折れの道が遥か上空まで続いている。 でも今日は気持ちが萎えたりしない。 義務感もない。 自信もない。 何もない。 ただ足が重く、苦しくなったら両足を着いて休む。 そしてまたペダルを回す。 汗がしたたり落ちる。 頬がほてる。 背中が熱い。 そしてまた桐沢の声が聞こえる。 幾度となくカーブを曲がり、 ずり落ちそうになる自転車を前へと進める。 腕が震えてくる。 汗が目にしみる。 そろそろ休もう。 ちょうど良い日陰と草の斜面があった。 フウ〜〜〜 と座りこんで、半分ほど溶けた氷水でタオルを濡らし、顔や首などに当てると生き返る。 水分をガブガブと補給して、バナナとナッツを口に入れましょう。 観光バスが何台も通過して、窓から手を振ってくれる人も居る。 ライダーもピースをしながら通り過ぎて行く。 なんか楽しいなぁ〜♪ バキッ! ガサガサッ! バキッ! さっきのカーブの奥の方で音がしてる・・・! こんな所に工事の人とか居ないはずだし、山菜取りも、きのこ狩りもしてない筈・・・ まっさかぁ〜! クマ? 熊? ヒグマ???? でも、せっかくの日陰の休憩を邪魔されたくないもん。 ナッツをかじりながら、右手で自転車のベルを チリン♪ チリン♪ チリン♪ と鳴らし続ける。 ベルでリズムを取りながら、大声で歌ってみる。
もう、変な音は聞こえなくなったけど、用心してベルは鳴らしている。 でも、もしも、本当に、目の前に現れたら、・・・・・ 「下りは気をつけて行くんだぞ〜、 じゃぁな〜」 焼きとうもろこしと缶コーヒーを買って、道の反対側で国後島を眺めながら食べましょう。 きっと 「こんな美味しいとうもろこしは食べたことナイ♪」って思うんだろうな。 |