星の見方楽しみ方 

(星のこと、望遠鏡のこと=日記・レポート風)
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目次は下ほど古く、記事は下ほど新しくなっております。



星形のキノコが発売される!?

アンタレス食(2)  アンタレス食

心象の星空  廻るマックホルツ彗星

お月様とスバルの接近  天文台当番

満天の星/マックホルツ彗星(15)  朝日と夕日

そらし目  地震

サトさんの手紙、余寒、マックホルツ彗星(14)  サトさんと星見

昇るしし座=マックホルツ彗星(13)  晴れたよ〜=マックホルツ彗星(12)

晴れないなあ  マックホルツ彗星(11)

マックホルツ彗星(10)  マックホルツ彗星(9)

マックホルツ彗星(8)  マックホルツ彗星(7)

マックホルツ彗星(6)  マックホルツ彗星(5)

早起き  元旦

マックホルツ彗星(4)  大きな月と小さな月

惑星勢揃い  マックホルツ彗星(3)

マックホルツ彗星(2)  子どもたちの天動説

マックホルツ彗星(1)  この冬限定「冬の大曲線」





この冬限定?「冬の大曲線」
2004.12.03

  牛久市内の小学校で観望会があり、望遠鏡を持って参加した。
  今年の暖冬ぶりは相当なもので、ダウンジャケットは持っていったが結局厚いセーターですんでしまった。それでも、長い時間外にいたので、お母さん方が作ってくれた豚汁はやっぱりうれしかった。
  また、この時期は土星が昇ってくる時間がまだ少し遅く、なんとか輪が判別できる高さになったのは豚汁で暖まり「解散」となったあと。そんな土星を一目見ようと(こちらも見せたい!)再び校庭には子どもたちの行列ができてしまった。(大目に見てくれた先生方は偉い!)

  観望会のあった日は、疲労感があるので(ついはしゃぎすぎる性癖から)星は見ないで寝てしまうのがいつもなのだが、翌日から天気が悪くなるという予報なので、チョットのつもりで外にでてみた。
  東の空には半分近くになったお月様が光っていたが、星の光も十分強かった。
  思いっきり見上げた星空で、天頂付近のカペラから明るい星をたどって南下していくと、双子座のカストルとポルックスと土星、さらに行くと子犬座のプロキオン、そして大犬座のシリウス。なんとも大きな大きな星の曲線が描けるではないか。
  星の並びは例年変わることはないが、明るい土星が一個入ったことで、星の並びがずいぶん鮮明になったようだ。前回書いた「ウィンター・クロス」と同じような「お遊び」だが、こんな星の眺め方もチョット楽しい。
  「大曲線」の仲間に入れないオリオン座のベテルギウスやリゲル、牡牛座のアルデバランが少しかわいそうなので、「扇子」の形などを考えてみた。興味がある方は、想像力を働かせて何か素敵な星の結び方を考えて欲しい。

  写真をクリックすると大きな写真が見れる。



マックホルツ彗星(1)
2004.12.06

  昨晩は、前の夜が嵐のようだったこともあって、久しぶりにスッキリとした星空が広がった。おまけにお月様が昇る時間もすっかり遅くなったので淡い星を見るには絶好の条件となった。
  最近は「おつきあい程度」になってしまっている巨砲45p望遠鏡も、この夜ばかりは正真正銘の主砲。星団の星の色や星雲のほのかな広がりを心ゆくまで楽しんだ。

  めぼしい天体を一巡りし終えて、「そうだ、ウサギ座にマックホルツ彗星がいたんだっけ」と思いだした。双眼鏡でウサギの前足あたりを捜したら、半月前にはやっと見えているようだった彗星がずいぶん大きく明るくなっていた。
  「とりあえず写真を撮っておくか」と、赤道儀に300o望遠レンズをつけて何枚か撮影し、翌日の勤めがあるのでとりあえず寝た。
  そして今日。写真の画像処理をしてびっくり!
  ぼんやりした本体はかなり大きく広がっていたが、さらに真北の方向に、まるで立ち上るたばこの煙のようにうねる「尾」が写っていたからだ。
  どうせ大したことはないと高をくくって、本体を中心に捕らえていたため、その尾は周辺減光の中にまぎれつつ、画角の外までのびているように見えた。
  写真はそのマックホルツ彗星。もちろん口で言うほど「尾」はハッキリとはお分かりになれないと思うが、上の方にかすかに細い煙のようなものがのびているのがなんとか判別できるかと思う。さらに右方向に本体と同じくらいの太くて短い尾も見ていただけると思う。とにかく「尾が見やすいように」と、めちゃくちゃな強調処理を施したので、色も粒状性もひどいものでお恥ずかしい限りだが、とりあえず「ニュース」としてお許しいただきたい。  



子どもたちの天動説
2004.12.15

 多少古いニュースネタを持ち出して恐縮だが、先日「多くの子どもたちが月や太陽が地球の周りを回っていると思っている」という調査結果が発表されて、結構「問題視」されていたことは記憶に新しいことと思う。「理科離れ」や「学力低下」を嘆く声が多かった。
 ところでみなさん、それでは現在では「常識」となっているこの「地動説」。では、これを見たり体感したりしたことのある方がどれほど居られるだろうか?つまり「地動説の証拠」を「実際に」あなたはいくつ見たことがあるかと言うことだ。
 じつは「地動説の証拠」はそんなに簡単には見られないのだ。
  17世紀初頭にガリレオ・ガリレイが唱えた「地動説」だが、そにの加えられた迫害はともかく、「それでも地球は回っている」という具体的な「証拠」はかなり脆弱なものであったといわざるを得ず、確固たる学説となったのはケプラーやニュートンの登場を待たなければならなかった。それも、綿密な天体観測の結果を解析して初めて確立されたと言っていい。
 ふつう太陽や月や星の移動(日周運動)に気がつく人はいても、それがどうしてだろうと疑問を持つ人はほとんどいないだろう。もし思ったとしても「本から得た知識」を持ち合わせていなければ、それらが「地球の周りを回っている」と考えることはものすごく自然なことではないだろうか?
 むしろ、天動説を自分で考えつく子どもは大変な秀才。それを地動説にまで洞察できたら、もうガリレオやニュートン並の「天才」と言っていいだろう。
   なにが言いたいかと言えば、要は「本から得た知識」だけで「知っている」と思っている「常識家」が多すぎるのではないかと言うこと。それよりむしろ沈む太陽や、昇ってくるお月様を見て、それらの動いている不思議や面白さをたっぷり体験していることがとても大切なのではないか。その土台の上に載った「知識」こそが「役に立つ」「生きた」知識と言えるのではないだろうか?

 写真は12月6日撮影の土星。お世辞にも出来がよいとは言えないが、思いっきり広がって「豚の鼻」状態だった土星の輪も、次第に狭くなって土星本体が輪の上下からはみ出すようになってきた点にご注目願いたい。



マックホルツ彗星(2)
2004.12.19

  6日にも書いたが、星屋の間で今話題になっているのはこのマックホルツ彗星。
  マックホルツ彗星は今年の8月27日、アメリカのマックホルツさんという人が発見した彗星で、来月初旬には有名なすばる星団の近くをとおりながらもっとも明るくなる予定だ。
  発見された星座が「エリダヌス座」という、なんと川の星座。この星座南北にくねくね曲がりながら長く連なる星座のため、発見されて以来ずっとこの星座の中を移動している。隣の牡牛座にはいるのはクリスマス頃になる。
  明るさはいちばん明るいころで4等級になると言うから、少し空の暗い場所なら肉眼でも見ることができる。ただ、長い尾が見えるような大彗星でもないので、ご覧になってもチョットがっかりするかも知れない。まあ、星オタクの内輪ウケと言っておいた方が良いかも知れない。

  写真は18日夜、300o望遠プラスデジカメ一眼レフカメラで撮影したもの。北(左上)にのびる細くて淡い尾と、正反対方向にのびる広がった太い尾がお分かりいただけるだろうか?
  彗星は外見的にはイオン・テイルと呼ばれる電離したイオンの尾と、ダスト・テイルと呼ばれる粒子の尾、それと彗星本体を取り囲むコマで構成されるが、彗星と太陽と地球の位置関係から、この彗星のように、時にふたつの尾がまるで正反対にのびるような不思議な姿をすることがある。(写真をクリックすると、18日の彗星の位置と、大きな写真が見れる)



マックホルツ彗星(3)
2004.12.23

  昨年の火星大接近のころと同じく、しばらく「マックホルツ彗星」ネタばかりになりそうで恐縮だが、星屋の性癖なので我慢しておつきあい願いたい。

  お月様がだいぶ太って(満月の3日前)来ているので撮影はしないつもりだったが、双眼鏡で見る姿がシッカリしているので、透明度も良いことから撮影を強行してみた。
  結果はご覧のとおり。露出はお月様のない夜の半分くらいしかかけられないのだが、2本の尾がかなりシッカリと写っており、この彗星の順調な成長ぶりが伺える。

  ちなみに、使っているレンズは前回までの300oから180oに換えている。それでもイメージがあまり変わらないのだから、年明け以降にかけてお月様にじゃまされなくなるころが本当に楽しみである。




惑星勢揃い
2004.12.26

  一週間の曜日が肉眼で見える太陽系の天体の名前から付いていることは誰でもご存じだろう。

  そのすべてがそろって明け方の空で見られる。これは年明け頃まで見られるので、一度でいいから早起きをして眺めていただきたい。ただし、そろうといっても近いのは水星と金星、それと火星。そして離れて南の空高く木星、さらに西の空に土星という具合。
  惑星たちの案内役はお月様。これからどんどんやせながら並んだ惑星たちの間を東に移動して行き、28〜29日に土星のそばをとおり、来年1月4日に半月の状態で木星のそば、8日に逆三日月の状態で火星のそば、そして翌9日には細い状態で水星と金星のそばを通過するという「予定」になっている。特に圧巻は8〜9日の月・火・水・金のランデブーだろう。

  写真は今朝の様子。お月様は今日が満月なので西の空に低い。明け始めた東の空に金星と水星が並んで光っていて、少し離れて火星がさそり座の星たちと一緒に光っている。空高くでいちばん明るいのが木星。近くの明るい星は乙女座の主星スピカ。そして反対の西の空では、お月様を扇の要に土星が冬の一等星たちとともに巨大な曲線を描いている。

大きな月と小さな月
2004.12.27

  今日はチョット珍しい写真をお見せしたい。
  今年もっとも近づいた日のお月様ともっとも遠くなった日のお月様を、比較のため半分ずつ切って張り合わせてみたのがこの写真。もっとも近くなり大きく見えたのが6月3日。反対に遠くなって小さく見えたのが今日というわけ。

  お月様は、地球の周りを回りながら地球とともに太陽の周りを回っているため大変複雑な動きをしている(らしい)。その中で案外わかりやすいのがこの「遠近」と、秤動(ひょうどう)と呼ばれる首振り運動だろう。

  遠近を示すため並べた写真だが、非常に大きく変化しているように見える。しかし、その大きさの比率は89%。実際「なにか撮り方の手違いでは?」とコンパスで同じ比率の円を描いて初めて納得できたくらい、数値と見かけでは感覚が異なる。

  ところで後日談。実はいちばん遠いお月様の写真を撮ったのは26日の深夜。別に横着をしたりしたわけではない。予報カレンダーにはシッカリ「12月27日」と書かれているのだ。が、その時刻は「0時06分」。そう、26日の夜の現象だったというわけ。それに気がついたのは寝ようとしていた矢先。大慌てで外にとって返して撮影の支度をしたのは言うまでもない。
  (写真をクリックすると大きな写真が見れる)



マックホルツ彗星(4)
2004.12.31

  とうとう2004年も大晦日。今年の正月のことが昨日のように思い出される年頃。暮れの口癖は「正月は2年に1回でいいよ〜」だった。
  それにしてもなんという年だったことか!。台風がひっきりなしの襲来してそのたびの大きな被害を及ぼしたかと思っていたら、今度は中越の大地震。こんなひどい年もそうそうないだろうと思っていたらインド洋で起こった大津波のため、なんと12万人もの人があっという間に亡くなってしまった。もう絶句と言うほかない。
  おのれが「地球の支配者」「万物の霊長」などと思い上がっていても、地球がチョットくしゃみをしただけでこの有様だ。まして、太陽系の近傍で超新星爆発が起これば人類は誰ひとり助かる者はいない。
  だからといって人生などむなしく無意味だと言って死に急ぐのは許せないし、人の命を奪って「必要悪だ」などと平気な顔をしている連中はもっと許せない。
  この巨大な災いから、人類はそれにふさわしいだけの教訓を得ることができるだろうか?神たる宇宙の声を解することができるだろうか?それができなければ12万の死は、それこそあまりにもむなしい・・・。

  写真はたぶん今年最後になるであろうマックホルツ彗星。天気の下り坂で薄雲がでて「尾」が思うように写らなかった。一応10時の方向にイオンテイル、5時の方向にダストテイルがのびている。(写真をクリックすると大きな写真が見れる)
  来週末には、上に写っているすばる星団のすぐそばを通過する。

  追伸だが、先日、品川区立五反田文化センタープラネタリウムの方からメールをいただき、23日に掲載したマックホルツ彗星の写真をプラネタリウムでの上映に使いたいとの依頼を受けた。願ってもない光栄なことなのでふたつ返事で了解した。月の明るい時期で尾が写っている写真は珍しかったのかも知れない。
  五反田文化センタープラネタリウムと平塚市博物館プラネタリウムで、1月、土日の一般投影で使ってくれるとのこと。どなたか見に行ってくれたらありがたい。

元旦
2005.01.01

  明けましておめでとうございます。
  このところ例年地元集落の氏神様に元朝参りを続けている。今年は翌日朝が早いとかで家族は誰もつき合ってくれず、私ひとりで前の年のお札やらだるまさんやらを持って出かけた。
  関東は21年ぶりとかの大晦日の雪だったが、我が家の方ではその雪も夕方にはやんで、紅白が終わるころには快晴となって綺麗な星空が広がった。
  写真左は、そんな氏神様へのお参り風景。お参りするのも地元の人ばかりなら、神主さんはじめだるまさん売りまで迎える側も全員地元集落の人。夏のお祭りとともに住民が顔を会わせる大事なイベントだ。

  朝は早起きして、例の「月惑星大集合?」を写真に収めに出かけた。しかし、雪の後の寒波で車はコチンコチン。その上、東の空にたなびいた雲が動かず、いちばん低い水星と金星が雲の上にでたときはもうすっかり明るくなってしまっていた。
  また明日リベンジと決め、今度は初日の出の撮影に堤防へ。しかし、こちらも雲に阻まれて初日は拝めなかった。ラジオでは東京の六本木ビルでの「初日の出を見る会?」の様子が中継され、やっぱり見れずにがっかりする参加者たちの様子に妙な連帯感を感じた。
  写真は、元日の筑波山。うっすら白っぽいのは冠雪のため。



早起き
2005.01.02

  このところ連日早起きして撮影に出かけている。
  しかし、それにしても寒い!暖冬にすっかりゆるんでいる体には急な寒さが本当に身にしみる。気温にすれば例年と同じでだいたいマイナス3〜6度。なのに、手袋をした手がたちまちじんじん痛くなってくるのだ。
  まあ早起きは加齢のせいかなんとか目が覚める。ただ、布団から出るまで「何で自分はこんなことをしているのか(ダレニタノマレタワケデモナイノニ・・・)」という自問自答は相変わらずだ。とにかく「早く撮影を終わらせて帰って寝直そう」と言い聞かせて起きるわけだ。
  そうそう、何で起きるかと言えばこの間お話ししている「惑星の揃い踏み」を撮影するため。車で5分ほど行った田圃の中に出かけていく。
  夜は、すでに肉眼でも見えるようになったマックホルツ彗星を眺めたり撮影したり。明け方は・・・ということで、本当に気が引けるのだが星屋家業も人様の災難をよそに忙しい。

  写真は今朝の水星と金星。明るい方が金星だ。マックホルツ彗星の写真も用意したのだがおせち料理と同じで飽きるといけないので急遽こちらにした。(写真をクリックすると大きな写真が見れる)



マックホルツ彗星(5)
2005.01.06

  新聞でも話題に上り始めたマックホルツ彗星。肉眼でも、カメラのファインダー越しでも本当に簡単に見えるようになった。いよいよ今週末すばるとのランデブーが迫ってきた。が、天気が心配・・・。
  写真は昨夜の様子。あちこちのHPで立派な尾をたなびかせた写真が見られているので「私も!」と300oで狙ってみたが、期待ほどには写らなかった。どうも、一見快晴のように見える空でも、ごく薄い霞がかかっているとてきめん影響を受けてしまうようだ。(いいわけ)
  また、一連の写真が皆青が強い仕上げになっているが、これも、尾がいちばんよく出るカラーバランスを選んでいるとこうなってしまうのだ。こちらは、市街地に近いため光害を拾ってしまい、十分露光がかけられないためだと推測している。(いいわけ)

  今日は年始早々東京に出張。東京も寒かったが帰ってきた茨城はもっと寒かった。小雨の混じる曇り空だがまた雪にならないか心配である。
  (写真をクリックすると大きな写真が見れる)



マックホルツ彗星(6)
2005.01.08

  連日のマックホルツ彗星で恐縮。日頃偉そうなことを言っていても、ホーキ星ひとつ出れば所詮星屋はこんなものである。
  写真は昨夜(7日)の様子。昨夜と今夜、すばる星団に最接近している。
  一目ご覧になりたい方も多いと思うので、チョット解説する。
  まず「すばる星団」(写真に写っている星の集まり)を見つけるのだが、これは夜の9時前後ちょうど天頂付近にあるので、真上を見上げて「ごちゃごちゃ」というか「もやもや」というかしている星の集まり(雲みたいにも見える)を捜す。それが見つかったら、その西側(お日様の沈む方。すばるの頭の方向とも言える)のすぐそばを捜してもらいたい。すると見えるか見えないかくらいの光のシミみたいなもの(星でない、雲のようなもの)が見えたらそれがそう。
  でも、運良く見つけてもチョットがっかりするかも知れないくらいちっちゃなもの。写真のような「尾」が見えるわけではない。(双眼鏡を使ってもかなり厳しい)

  今夜は常陸大宮市の旧美和村にある美スター天文台の近くのバンガローに、仲間と泊まり込んで一晩楽しむ予定。
  (写真をクリックすると大きな写真が見れる)



マックホルツ彗星(7)
2005.01.10

  8日の夜旧美和村にある美スター天文台周辺は、大勢の天文ファンでごったがえし。我々「つくば星の会」もバンガローふたつを借り上げて陣取った。
  天気はほとんど絶好といって良かった。気温は適度に冷えていながら風がないため、体感気温がさほど下がらず結構長時間写真を撮ったり、いろいろな望遠鏡での見え方の違いを見比べたりと大いに楽しんだ。

  写真はその晩撮影したものだが、一緒に「展示室」においた翌日(9日)自宅で撮ったもの(上)と比べると、尾の写り方などさすがは暗い空の下で撮ったものは違うとわれながら感心してしまう。(淡くて見えにくいかも知れないが、すばるを遙かに通り越して画角をはみ出すほどにのびている)
  (写真をクリックすると大きな写真が見れる)



マックホルツ彗星(8)
2005.01.12

  年が明けてこの方、関東地方は強い冬型気圧配置のおかげで連日の晴天。話題のマックホルツ彗星も「そろそろ休みたいなあ」と思ってしまうほど毎日写真に収めることができている。
  昨夜は、さすがに透明度が落ちてきていて星の光も何となくさえなかったので、いつもクローズアップ用に使っている180oレンズをやめて(別にやめなくてもよかったのだが・・・)300o望遠レンズを使って撮影してみた。
  結果はラッキー!。
  写真はその300o望遠レンズによるものだが、本体からのびるイオンの尾がきれいに写っていた。画面左下方向にのびているダストの尾も力強くなっているように感じる。
  (写真をクリックすると大きな写真が見れる)



マックホルツ彗星(9)
2005.01.18

  昨夜は隣町の小学校で父兄会主催の観望会があり参加した。
  同じ市内のいくつかの小学校では毎年開催され呼ばれていたのだが、こちらの学校はその噂を聞いて今年初めて開催したようだ。
  観望会直前まで雲の多い空だったのが、教室から子どもたちが出てくるころには嘘のように晴れ渡り絶好の観望会日より。半月間近のお月様や土星、それに今話題のマックホルツ彗星、と見る方も見せる方も楽しめる夜となった。
  私には「どうしてもオリオン座の大星雲を見せて欲しい」という強い要望があったとかで、それを担当するように指示された。「星の周りに雲がまとわりついているのが分かりますか?実はこの宇宙の雲の中で星が生まれていて、雲の中で輝いている星はその生まれたばかりの星たちなんですよ」と説明しながら覗いてもらったのだが、中には星雲の色まで気がつく人もいて、この晩の透明度の良さが伺い知れた。

  写真は、観望会から帰ってきてから撮影したマックホルツ彗星。中空に半月が輝いている中での撮影だったが、透明度がよかったせいか尾がよく写った。(300o望遠レンズによる。写真をクリックすると大きな写真が見れる)  



マックホルツ彗星(10)
2005.01.21

  何とかのひとつ覚えのように毎回マックホルツ彗星ばかりで恐縮している。(いわゆるボキャ貧)
  このところお月様が一晩中明るく輝いているので、彗星のような淡い天体を撮影するには不向きなのだが、このマックホルツ彗星の場合非常に変化が激しいという特徴があるので、なにが起こるか予想ができず無理を承知で撮影を強行している。

  昨夜も赤道儀を出して撮影の支度をしていたら、珍しく女房殿が来て星の話をはじめた。「オリオン座の三つの星の下にもうひとつ暗い三つの星があるがあれはなにか?」「オリオン座の左下にある明るい星(シリウスのことだった)があるがあんな星がいままであったか?」などなど、女房殿にとって天空は不思議なことだらけのようだ。
  そんな「謎」の星たちをひととおり望遠鏡で覗かせて家に入っていただいたが、これまで何度も見せているのに、前回のことはきれいさっぱり忘れているのが私には不思議でならない(うらやましいと言えなくもないが・・・)。でも、まあ、たまに夫婦で星を眺めるのも悪くない・・・。かも。

  写真は満月3日前の月夜に撮ったマックホルツ彗星。カラーバランスはおかしくなっているが、尾が結構写っているのは驚きだ。それと、今はペルセウス座の中心部を通過中なので明るい星が近くにたくさんあってなかなか楽しい眺めなのだ。

 (300o望遠レンズによる。上の明るい星はペルセウス座α星。写真をクリックすると大きな写真が見れる)



マックホルツ彗星(11)
2005.01.22

  またマックホルツである。
  連日月夜の撮影を強行しているが、さすがに明るすぎると判断。据え付けで使っている25pF5反射望遠鏡に直接カメラを取り付けてのクローズアップに挑戦してみた。
  結果はさすが25p。お月様の光をものともせずに彗星の頭部を映し出してくれた。ただ、なにか面白い「事件」でも写っていないかと期待したのだが、まっすぐにのびた一筋のイオンテイルをようやくに捕らえただけであまり変わり映えはしなかった。(写真左)

  実は今回撮影に使った25p。調整が悪くてしばらく使えなかったもの。久しぶりに自宅にいられた休日を使って気合いを入れて取り組んだおかげか、なんとか元通りに動くようになった次第。
  彗星の撮影が順調にいったのがうれしくて、チョット浮気をしてM42オリオン座大星雲も撮影してみたのが写真右だ
 (写真をクリックすると大きな写真が見れる)



晴れないなあ
2005.01.30

  今日の朝は抜けるような青空が広がっていたが、時間がたつにつれて風が強くなっていった。
  それでも、天気予報にせよ自分のカンにせよ、夜晴れるのは疑いないと思えるような陽気だったので、明るいうちから望遠鏡をセットしたりと準備に余念がなかった。
  ところが、夕方愛犬の散歩に出て見上げた夕空にはすじ雲がたなびいていて、薄明が終わる頃(19時頃)にはほとんど晴れ間がなくなっていた。そして、お月様が昇ってくる頃21時半頃には、星がやっと見えるくらいの薄雲が全天を覆うという「星屋の生殺し」みたいないちばんイヤ〜な空になっていた。
  このところ、お月様が明るい上に薄雲がかかるという、彗星など淡い天体を観るには最悪の日が続いていたが、今夜もやっぱり撮影は不可能となった。
  撮影を断念して、いつもよりよけいに出してあった機材の撤収を始めたが、完璧に冷えきったそれらの冷たさは本当に身にしみるようだった。
  春が近づくと、晴れっぱなしの真冬とは様子が一変してしまうのは例年のことなのだが、分かってはいてもやっぱりね。

  写真は今撮ってきた庭先の梅の木。ネタ切れもここにきわまれり。・・・だなあ。



晴れたよ〜=マックホルツ彗星(12)
2005.02.01

  一昨日、空模様のつれなさ加減をさんざん嘆かせてもらったことが天に通じたのか、昨晩は久しぶりの晴天となった。
  ただ、残業もあり、今朝もチョット早起きをしなければならない用事もありで、帰宅後食事をせずに星見の支度に取りかかった(こういうのを「三度の飯より好き」というのだろうか?)。もちろんお目当ては一週間ぶりのマックホルツ彗星。
  一週間ぶりと言うことで、どのくらい移動したか予想がつかず、カメラを向ける前に双眼鏡で行方を捜した。あった!。かなり移動はしていたが、ちょうど「ペルセウス座の二重星団」のそばを通過中で、星団を入れて少し右上に視野をふるとすぐにみつかった。明るさは心持ち暗くなっているようだ。

  余談だが、相変わらず手袋を通してしみこんでくるような寒さの夜にもかかわらず、吹いてくる風からは確実に春が近づいているのが感じられた。寒気の中に暖かい空気の粒がほんの少しだが混じっているような感じ。わざわざ寒さの中に出かけて行く星屋の、切ない願望だけではない直感である。

  写真は昨晩のマックホルツ彗星。右上に大きく写っている。真上よりやや右に傾いた「尾」がお分かりいただけるだろうか?。画面右下、中央をはさんで彗星と正反対の位置に見えるのがご案内の「ペルセウス座の二重星団」。すばる星団と並ぶ秋から冬にかけての一大観光名所だ。



昇るしし座=マックホルツ彗星(13)
2005.02.02

  昨晩は薄曇りだったので中一日おいてのマックホルツ彗星の撮影。
  天気予報が「今年の寒さの山場」と言うだけあって、今朝はマイナス5度!。夜になってもなかなかの寒さ。それでも例年よりは「暖かく」て夜半はマイナス3度に達していない。
  彗星の方は最盛期と比べるとずいぶん暗くなっていて、望遠鏡の視野の中で少々頼りなく輝いていた。

  夜の9時頃。東の中天には、春の星座の主役であるしし座が昇っていて、夜空の半分は春の星座でしめられ、オリオン座をはじめとする冬の星座はそろそろ西に傾き始めている。マックホルツ彗星の「追っかけ」に夢中になっていたら、2005年もあっという間に早一ヶ月すぎてしまった。

  写真は昇るしし座。我が家からはまだ腰から下が木に隠れている。ネズミ取りが上手な我が家の猫が獲物の向かって飛び出したといった感じのイメージ。
  写真をクリックするとマックホルツ彗星の大きな写真が見れる。一昨日に比べると一時薄くなってしまっていた尾が、再びハッキリしてきたようだ。こんなことならもっと長いレンズでも撮っておけばよかったと悔やんでいる。




サトさんと星見
2005.02.07

  土曜日、茨城県北部北茨城市の『すずき産地』のご家族に土星とマックホルツ彗星を観てもらいに伺った。
  『すずき産地』には以前も押し掛け観望会をしにいったことがあったが、そのときは火星とお月様。今回は前回の「是非土星を観てもらいたい」という約束を果たしたくて押し掛けた次第。
  すっかり暗くなってからの到着。早速ご自慢のうまい米のカレーライスをご馳走になったのち、庭に「33pトトロ望遠鏡」と76o望遠鏡を置いて観望開始。ここ北茨城市の空は、東京から離れている分だけ暗く、庭が市街地に隣接した場所なのに冬の天の川がかなりはっきりと見える。   ギャラリーは鈴木ご夫妻と息子さんと娘さん、そしてご母堂のサトさん
  まずはマックホルツ彗星。「はあ?これがネ〜」といったところ。次は土星。これはやっぱり大うけ。その後はペルセウスの二重星団やすばる、冬の一等星巡り・・・と、前回同様、大騒ぎの中での星見。
  そんな中、ふと76o望遠鏡の方を見ると、ジ〜っと望遠鏡に見入ってるサトさんがいた。その様子から最初は「見えないのかな?」と心配したのだがそうではなかった。

  サトさんは、我々「若いもん」の客が来て騒いでいるところにはほとんど姿を見せない。さっさと自室に引っ込んでしまうのだ。
  でも、鈴木さんをして「野菜作りの名人」と言わせるだけあって、時折鈴木さんたちに話しかける一言は、実に的確で専門的で科学的。きちんとした「農学」を身につけた人とも十分話し合えるくらいの経験に裏打ちされた知識と利発さを併せ持っているとわかる。

  そのサトさんが、この晩は、寒い中にもかかわらず、ずっと我々といっしょにいるのだ。そして食い入るように望遠鏡を覗いている・・・。土星の輪っかやスバルの輝きは言うに及ばず、刻々視野の中を移動してゆく星の動き(追尾してないので)や星の一個一個の瞬きを堪能し、何かを考えておられるようにその姿は思えた。

    「星が好きな人」「星が見たい人」に見てもらい喜んでもらう。星屋にとってこれ以上嬉しいことはない。
  1時間、高速道路をとばしてやって来たお節介な押し掛け観望会だったが「やっぱり来てよかった」としみじみ思った。



サトさんの手紙、余寒、マックホルツ彗星(14)
2005.02.14

  前回、先週の土曜日に北茨城市の『すずき産地』のご家族に土星とマックホルツ彗星を観てもらいに伺ったことを書いたが、週末、そのサトさんから丁寧なお礼のお手紙をいただき、また涙が出るくらい感激した。
  小さなレンズを通して見えた星の輝きについて「何にも例えようのない無限の喜びと感動」と、これ以上ないほどの賛美の言葉がつづられていたからだ。

  小HPの「星の見方楽しみ方」(星のこと、望遠鏡のこと=エッセイ・思いつき風)のなかに掲載した「こころ」と「瞳」という小文を書いたのは、HP開設よりも以前のこと。
  大げさに言えば「禅」の思想から生まれた茶道や華道にも匹敵すると、星見の「境地」を気取ったつもりだったが、やはり観望会や観測会を重ねる中で世情に染まるというか物欲的になるというか、やがてついぞそんな気持ちは忘れていた。
  そんな自分にとって、サトさんの言葉は「星の光の無限の力」を思い起こさせてくれたありがたい「天の言葉」だった。
  そしてもうひとつ、望遠鏡というきわめてシンプルな器械のすばらしさも再認識した。土星の輪っかも、銀河の星の多さも、望遠鏡がなかったらサトさんに見てもらえなかったのだから。

  ところで、昨夜は久しぶりにマックホルツ彗星を撮影した。今はカシオペア座と北極星の中間あたりにいるのだが、すでに肉眼で見れる明るさではなくなっている。また、その見栄えも300o望遠レンズで撮影した写真をご覧いただくが、1月12日や18日の写真と同じレンズでの撮影とは思えないほどの衰退(?)ぶりだ。ただし、この彗星、気性の変わりやすい性格のようで、尾の形の変化は日替わり、時間替わり。全く目が離せない。もうしばらくはこのおてんばなホーキ星に振り回されそうだ。(写真をクリックするとアップの写真と最近の大まかな位置の写真が見れる)

  余談だが、今時分の寒さを「余寒」というのだとラジオで気象予報士さんが言っていた。全く昔の人はうまいことを言ったものだと感心。今朝の気温はマイナス4.5度!。でも、車に降りた真っ白な霜も、早くなった日の出に瞬く間に溶けてしまった。



地震
2005.02.17

  16日朝、茨城県南部を震源とする、チョット強い地震があった。隣接する土浦市やつくば市では震度5弱を記録したが、我が村では震度4であった。
  茨城県にはいわゆる「地震の巣」があり、本当によく地震がある。それも直下型なので、いきなり「どーん」と突き上げるような衝撃があった後ユサユサと揺れ始めるのが特徴だ。
  そんな地震慣れした生活をしていても、この地震には驚いた。
  まず揺れ方が違った。いつもの突き上げる感じがなく(眠っていて気がつかなかった?)いきなり揺れ始めた。また震幅が細かいわりに強く、上下動と横揺れが合わさっているのか、斜めに揺れている感じがした。寝ている布団の上にタンスの上に置いてあったものが落ち始めたときは、さすがに隣で寝ている女房を体でかばった。
  揺れがおさまってからテレビをつけ地震情報を確認。明るくなってから家の中や外を一通り見て回った。というより観測室の望遠鏡が無事かどうか心配だった。確かに落ちたり倒れたりしているものはあったが、それらは落ちて当然のような置き方をしてあったものがほとんどで、むしろその少なさに驚いたくらいだった。その一方で家中の蛍光灯の傘がずれて傾いていたのには本当に不思議を感じさせられた。もちろん望遠鏡も全く無事であった。

  写真は、ほぼ地震があった時間で止まっていたゼンマイ式柱時計。



そらし目
2005.02.22

  今日は水戸で会議があり夜の10時半頃帰宅した。
  久しぶりに好く澄んだ星空だったが、満月二日前のお月様のおかげで「星月夜」。それでもあんまりきれいだったので望遠鏡を取り出してしばし星空散歩を楽しんだ。
  空のてっぺん近くのお月様を中心に、西の程良い高度に土星。反対の東の空に木星。そして北極星の左側にはだいぶ暗くなってはいるが、まだまだ双眼鏡を使えば楽に見えるマックホルツ彗星。

  お月様の光にすっかり埋もれてしまいそうなマックホルツ彗星を見ながら、ふと「そらし目」という言葉を思い出した。
  これは、星屋の用語で、見えるか見えないかという淡い天体を見るときや、惑星表面の見逃してしまいそうな淡い模様を見るときに使う手法。
  人間は普通ハッキリものを見たいとき、じっとそれを凝視してしまう。ところが、それではかえってものが見えにくくなってしまう。特に淡いかすかなものを見ようとしたときその弊害は顕著なのだ。
  そんなとき星屋が使うのが「そらし目」。わざと見たいものがありそうなところから目をそらし、別のところを見るというテクニックだ。
  実際、アラ不思議。ほんの瞬間だが凝視していた時には見えなかったものが見えるのだ。
  同じようなことは、ふつうの生活をしている中でも結構あるように思う。

  写真は今夜のお月様。



朝日と夕日
2005.03.01

  夕方、用事があって久しぶりに「5時ポン」で退社。外にでるとすっかり日が長くなった空にきれいな夕焼け雲が浮かんでいた。
  車に乗ると、ラジオから「朝日=朝の光」のことが流れていた。
  何でも、朝日とは太陽が出る前のあの青っぽいような朝の光のことだそうで、その光は日中の太陽光とは全く違うスペクトルをしているそうなのである。そして、その光を浴びると、体内時計が整えられたり、病気が治ったりするする効果があるとか。実際、医療用に同じスペクトルの光を出す蛍光管が売られていて、新生児の黄疸などの治療に使われているらしい。また、同じ効果(スペクトルの光)は夕日の場合にもあるという。
  そのほか、夜眠れない人は、昼間20分程度日の光を浴びると、眠りに関係する物質が体内に作られて眠れるようになるとか、とにかく、太陽の光が、人間の健康にとってきわめて重要な役割を担っていると言うことらしい。
  そうすると完全に夜型人間になっている我々星屋は、いちばん不健康な生活を送っていると言うことになるなあ。

  写真は今日の夕焼け雲。



満天の星/マックホルツ彗星(15)
2005.03.07

  今日は、久しぶりに良く晴れた夜となったのでマックホルツ彗星の撮影をした。
  しかし、どのくらい久しぶりかとさかのぼってみたら、なんと3週間ぶり。その間、夕方まできれいに晴れ渡っていたのに夜になると雲が出たり、ひどいときは晴れていると思って支度をして表に出ると雲が出ていたり、雪が何回か降って、その後寒い夜が続いたり・・・とさんざんな日が続いてきた。
  もうすっかり場所も分からないくらいになっていて、双眼鏡で行方をさがしてからの撮影となった。ただ、この彗星、幸いなことにここしばらくは北極星のあたりをうろついているので、さがしやすい上、一晩中沈むことがないのだ。
  でも、すでに双眼鏡でもかなり薄いイメージになってしまっていた。

  写真をクリックすると大きな写真が見れる。といっても300o超望遠レンズで撮影してもこれくらい。前回のと比べてもずいぶん小さくなっているのが分かる。それと、北極星との位置関係を見ていただけるように85oで撮影した写真もご覧いただきたい。

  話は変わるが、今チョットしたことで悩んでいる。(といってもお気楽な星見のお話だが)
  この土日、長男の高校時代の父母会で仲良くなったメンバーで、年に一度の一泊旅行に行ってきた。その中で、あるお母さんから「一度でいいから『満天の星空』って言うのを見てみたいんだけど、しばはらさんに頼んだら案内してくれるんですか?」ときかれたのだ。
  「なんという無理な相談を・・・」と思い、お断りの理由を考えていたはずが、「おれもしばらく見ていないよなあ・・・」と、あちこち「満天の星」が見られそうな場所を思い浮かべている自分に気がついた。
  登山するような高い山にお連れする自信はない(私も含めてみなさん一応中・高年)。かといって我々星仲間が時々行く「星見スポット」は、トイレがあれば「高級」といった山奥の駐車場あたりがいいところ。北海道か沖縄、小笠原、ハワイ・・・なら確実。ただし、お金と時間を考えなければ、だ。
  考えたら意外となんにも知らないでいる自分に気がついてカルチャーショック(っていうのかな?)を受けてしまったのだ。
  星見人もビックリな「満天の星が見られる旅行プラン」誰か教えてくれないかなあ。でも、スカートで車で行けて、温泉があって食事がおいしい星見の旅なんて・・・やっぱり邪道かなあ。



天文台当番
2005.03.12

  今日は常陸大宮市(旧美和村地区)の美スター天文台の施設公開当番日ということで出かけていった。
  天気予報は、夜から冬型の気圧配置が強まり関東地方は晴れ。暗い空の下で、遠くなってしまったマックホルツ彗星を思いっきり長時間露光をかけて撮影してやろうと、機材一式ぬかりなく積み込んで、勇んで家を出た。
  ところが、下界は春の陽気なのに天文台のある山頂は思いの他寒い。おまけに風もかなり強くよけい寒く感じる。それでも「冬型」に期待し、冬の空のようなすんだ星空が広がることを信じて疑わなかった。
  しかし、来館したお客様には雲間から覗く土星を見てもらうのがやっと。それもドームの中で強風をよけながらという有様。
  その後、飛び込みのお客様を期待して閉館予定時間まで開館していたが、空と風はいっこうに良くなる気配がなかった。

  実は今週の半ばから風邪の症状が出ていたのだが、まあ寝込むほどではないことを良いことに「冬型」(=晴天)に誘われて出てきてしまったのだ。しかし、さすがに真冬並の寒気はハンパではなく、悪寒はしてくるは、のどは痛くなるはで、ぶり返してしまうのではとまじめに心配になった。
  思えば、天文台から望む北西の山並み(栃木・新潟の県境)には、明らかに雪雲と思われる雲がかかっていて、その下では相変わらずの雪との闘いが続いているのだろうことは誰でも想像できる。自分ばかり良い思いをするのには少し気が退けるので、これで良かったのかも知れない。

  写真は観望会の準備が整った天文台からの夕焼け。



お月様とスバルの接近
2005.03.14

  今日は月齢5のお月様と冬の夜空を飾る「すばる星団」が接近するというイベントがあった。
  接近といっても、見かけ上の話で、たまたまお月様が「見かけ上」すばる星団のそばを通過したというだけの話。
  しかし、狩りの女神アルテミスとされるお月様と美人7人姉妹とされるすばる星団とが並んで見えるのだから、これはやはり一目の価値はある。実際、今日の様子は、小さな双眼鏡の視野の中にすっぽり収まって、なかなかの眺めであった。

  写真は西の梢にかかったお月様とすばる。
  今日はつくば市内で集まりがあり、遅い帰宅であった上、夕方はすっかり曇っていたと言うこともあって、まさか見られるとは思ってもいなかった。なのに、梢に沈む直前のこのイベントを眺め撮影することができたのは、全く幸運としか言いようがない。85oレンズで固定撮影したものをトリミングしている。




廻るマックホルツ彗星
2005.03.16

  今日はチョット変わったマックホルツ彗星の写真をお見せしたい。
  題名のとおり「廻るマックホルツ彗星」。マックホルツ彗星が廻っているのは「天の北極」。もちろんすべての星たちは一日に一周、天の極軸を中心に回転運動をしている。しかし、今回特別に「廻る」としたのは一晩中「沈まないで」廻っているからだ。
  星は、普通東から昇って西に沈むのだが、見ている人が立っている土地の緯度の高さより天の北極に近い星たちは、一晩中(というより星の見えない昼間の間も)地平線課に沈むことなく回り続けているのだ。
  そして、今、マックホルツ彗星はその空域に入り込んでいるため、地平線下に沈むことなく天空を回り続けているのだ。

  それがこの写真。何となく星たちが同心円を描くように回転しているように見えると思う。その円の中心付近にあるいちばん明るい星が、ご存じ北極星。そして、その真上の矢印の先に他の星と少し違う光跡をひいて写っているのがマックホルツ彗星だ。85oという軽い望遠レンズで撮っているので北極星との距離がやや離れて見えるが、実際は腕をいっぱいに伸ばしたときのげんこつの大きさの半分強位のところ(約6〜7度)にいる。
  北極星との最接近は先週末すでに終えていて、これから次第に遠くなって行くが、この「周極」の状態はもうしばらく続く。ただし明るさがどんどん暗くなっていてもはや、双眼鏡でもチョットさがさないと見つからないくらいになっている。

    ところで北極星の方に再度ご注目を。北極星もどうも円の中心にいないということにお気づきだろうか?。そう、北極星といっても正確に天の北極に輝いているわけではなくほんの少しずれていると言うことも、この写真から理解していただきたい。
  写真をクリックすると大きな写真が見れる。



心象の星空
2005.03.20

  昨日は旧美和村美スター天文台のボランティア会議があり出席のため出かけた。
  到着が早く、まだお客さんの観望が続いていたので、邪魔にならないよう外で待つことにした。月齢9日のお月様が天頂にあるため明るくて暗い星を見るのには不適当だが、透明度の良い快晴で何もしないでいるにはもったいないような星月夜。我慢できずに車からカメラを取り出し、お月様に照らされた地上の景色を前景にしてすっかり春めいた星空を写真に収めた。
  そのときの写真が表紙とここに置いたもの。

  でも、実はこの「写真」、修正したものであって実際とはずいぶんと違う。並べて置いたのでどこをどう修正したか捜してみていただきたい。
  正解!。電柱がないことと星が大きいこと。

  かの宮沢賢治が、実際の景色を「現象風景」と呼び、これに対して心の動きを「心象風景」と名付けたのは有名な話。
  我々のような凡人でも、現実の景色と心の中で見えた景色はずいぶんと違う。このことは星の世界ではものすごく顕著だと思う。
  カメラのレンズは正確に眼前の風景を切り取るが、あとで見ると自分が見ていた景色とのギャップが大きくてがっかりすることが多い。
  それを「心象」にできるだけ近づけようと「修正」を試みたのがこれらの「写真」である。
  これらは確かに「嘘」の写真には違いない。が、もしあなたが同じ星空を眺めていたら、どちらがあなたの見ていた星空に近い「写真」であるかきっと迷われるに違いない。



アンタレス食
2005.03.31

  30日の夜12時過ぎ(つまり31日)、さそり座の主星アンタレスの前をお月様が通り過ぎる(こういうのを「食」という)チョット珍しい天体ショーがあり撮影に成功した。
  視直径が30分もあるお月様のこと、毎晩数え切れないくらいの星を「食」しているわけだが、今回のような明るい星や惑星などを食することは結構珍しいのだ。
  また、今回のアンタレス食、沖縄の那覇市付近では、お月様の縁ぎりぎりのところをアンタレスがかすめる「接触」状態になることでも注目されていた。この接触という現象は、私も一回だけ見たことがあるのだが、つまりはお月様の山の稜線を星が通過すると言うことで、山の端に見え隠れする時星が点滅するように見えるのだ。これは実に神秘的で感動する。これは、リンクを張っていただいている「亜熱帯天文台」さんが手ぐすねを引いて観測態勢を組んで居られるはずなので、その結果が楽しみだ。

  写真はお月様の後ろから出てきて10分ほど経ったアンタレス(写真をクリックすると大きな写真が見れる)。
  入っていく経過と、出てから離れていく経過の両方の撮影ができたので、明日以降合成写真にしてご覧いただくつもりだ。乞うご期待!・・・ってほど見栄えはしないかも。



アンタレス食(2)
2005.03.31

  お約束どおり、昨夜のアンタレス食の写真をご覧いただこう。
  お月様をはさんで左右に点々が並んでいるのがおよそ1分ごとのアンタレスのお月様に対する位置。写真の左側が0時20分頃で、いちばん右側の点が1時46分頃だと思う。「アンタレスのお月様に対する位置」などという回りくどい言い方をしたのは、実は動いているのがアンタレスではなくお月様の方だからだ。
  それとこの写真は実は「合成写真」である。実際の写真はこちらだが、これも、点の数だけのコマを合成したものだ。お月様が露出オーバーな上ピンぼけなのがお分かりいただけると思う。昨晩は非常に大気の揺らぎが激しい日で、望遠鏡で眺めていてもゆらゆらと絶えず揺れているように見えていたのだが、写真もシッカリとそれを拾っているためピンぼけになってしまうのだ(腕も悪いが)。
  この写真の場合、潜入時の写真と出現時の写真を作って並べ、そのお月様の位置にあとでちゃんと撮ったお月様の写真をはめ込んである。という次第。
  ところで「こちら」の写真の下隅に別枠で置いてある写真が何であるかお分かりいただけるだろうか?
  これ、本体の星の部分の原寸大の写真である。すべて同じアンタレスの画像。しかもアンタレスは「火星の敵」と言われるほど赤いことで有名な星。それが形もさることながら色までも変化している。
  これはアンタレス自身が変化しているのではなく、すべて地球の大気の揺らぎによるものなのだ。「今夜は星がキラキラと瞬いている」などと言われるその「瞬き」を写真に撮るとこんな具合になっていると思われたらいいだろう。




星形のキノコが発売される!?
2005.04.01

  天文情報を集めたアストロ・アーツというHPに「星型のキノコ「すてらしめーじ」の開発に成功」という記事が載っているのを見つけてすっかり本気にしてしまった。
  が、記事の末尾に「この記事はすべて捏造記事です。」と朱書きがあり、今日がエイプリル・フールであることに気づき苦笑い。
  星形の傘を持ったキノコができた原因が「ヒトデを飼っていた水槽で栽培したら偶然に」というあたりは、実に判りやすそうな嘘にも関わらず私同様「ヘエ〜」と思ってしまう人も結構いたと思う。写真(もちろん修正の)も、よくできている。こんなのが巷にあふれるくらい飛び交い、笑いあえるゆとりのある日本であってほしいものだ。

  写真左は、昨日アンタレスの色についてお話ししたが、星の世界の「赤」という色がイマイチ誤解されやすいので、実際のアンタレスの写真を撮って掲載。ものが燃えるときの炎の色の「赤」を連想していただくと判りやすいかも。ただし飛び出している4本の光条は望遠鏡の構造に起因するものであって実際にあるわけではない。
  ついでに木星の撮影もやってみたのが右の写真。一見ボケボケだがしばらく眺めているといろいろな模様が見えてくると思う。   


  





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