星の見方楽しみ方 

(星のこと、望遠鏡のこと=日記・レポート風)
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目次は下ほど古く、記事は下ほど新しくなっております。



超新星を撮る  シュワスマン−ワハマン周期彗星を追う(3)

「付け焼き刃」を反省  TXに乗り換えた

大熊座のM101銀河  チョットご無沙汰のポイマンスキー彗星

シュワスマン−ワハマン周期彗星を追う(2)  しし座の系外星雲たち

シュワスマン−ワハマン周期彗星を追う  金星のいる星空

梅に星  あ〜ぁ!ポイマンスキー彗星

やっと!ポイマンスキー彗星  土星が見ごろ

天文ニュース  さよなら火星

今宵は満月  天頂の月

獅子が追いかけるネズミ花火  父島からのお客様

大熊座のM81とM82銀河  土星とプレセペ星団




土星とプレセペ星団
2006.02.01

  輪を持つことで人気ナンバーワンの土星は今からが見ごろ。そして、誕生星座でもあるカニ座のど真ん中で輝いている。
  もちろん「かに座のど真ん中」には、プレセペ星団とか蜂の巣星団とか呼ばれている肉眼でも見える星団として(チョット)有名なM44星団がある。
  今の土星はそのM44星団にほとんど混ざりこむようにして輝いている。

  写真はそんな土星とM44のランデブーを1800ミリ相当の超望遠レンズで「出刃亀」したもの。もっと短いレンズで狙うのが常識的だが、春の星雲を撮影する合間に半分いたずらで撮影してみた。
  M44はまばらで地味な星団なので、望遠で撮ると余計ばらけてしまい、どこが星団なのかわからない方もおられるかもしれない。



大熊座のM81とM82銀河
2006.02.03

  おおぐま座は全天で88ある星座の中で第3位の大面積を誇る星座だが、どちらかといえば北斗七星を含む星座と言ったほうが通りは良いようだ
  この星座はたくさんの系外星雲(銀河系のような巨大な星の大集団)があることでも有名でその中でも特に人気が高いのがこのM81とM82銀河だろう。ふたつが仲良く並んでいて比較的明るいので肉眼でもその形の違いがよくわかる。向かって右がM81、左がM82だ。
  この星雲はたいていふたつセットで撮影された構図がなじみになっている。が、ここではチョット奇をてらってM82銀河だけトリミングしてみた(写真をクリックして見ていただきたい)。
  このM82、渦巻状とか棒状、楕円状とかその形で分類される銀河の中にあって、まったくそのどれにも該当しないことから「不規則銀河」という分類をされている。この写真では写っていないが、大望遠鏡で撮った写真では中央から星雲の向きの直角方向に激しいジェットのような噴出が写ることから「爆発している」といわれている。 実際、最近の研究ではこの爆発の中心付近では大小のブラックホールが生まれていることが確実といわれている。また、この激しい活動の誘引がお隣のM81星雲だということ(つまりホントにお隣同士ということ)。そして近い将来にはM81とM82は衝突する。とも言われている。
  ま、1000万光年とも2000万光年とも言われるとんでもなく遠いところのお話。ではある。



父島からのお客様
2006.02.05

  昨日は小笠原は父島で星空ガイドをしている村上さんと牛久市内でお会いした。
  村上さんは、今回はご親族の法事があって本土に来られていて、忙しい中時間を割いて牛久まででかけてきてくれたのだ。
  実は、村上さん、今度新たに30センチのドブソニアン望遠鏡を入手され、父島の無公害の星空でガイド参加のお客さんの度肝を抜いておられる。ところが、そのメンテナンスに自信がないため鏡面の清掃の仕方や光軸の調整の仕方などを教わりたいというのがお出でいただいた主目的。
  私たち本土にいるものは、望遠鏡に何か不調があっても直接メーカーに持ち込んでもそんなに時間も費用もかからないのだが、父島となるとその点が何かと不自由。ましてかさばる大口径望遠鏡とあっては、最大限自分でできることはやれるようにしていないと何かあったとき大変なのだ。
  しかし、関東はおとといあたりから寒さがぶり返し、われわれでも少し外にいると顔や手先が痛くなってくる陽気の中で、実際に望遠鏡を使っての練習は、暖かい南の島からやってきた村上さんにとってはさぞかし大変だったことだろう。
  それでも、購入したのが優秀な望遠鏡だったこともあって、心配していたことが取り越し苦労だったことが解り安心された様子だったので、こちらも一安心。
  翌日早朝から用事があるという村上さんに、その後待ち合わせた場所を会場にした観望会のお手伝いまでさせてしまった。寒い中本当にご苦労様でした!

  写真は今日の「上弦の月」。  



獅子が追いかけるネズミ花火
2006.02.05

  このところ連日マイナス7度くらいを記録する寒さが続いている。そんな中、望遠鏡に一眼レフデジカメをつけて春の星雲(主に系外星雲)の撮影に夢中になっている。特に土曜日の夜は前の週と2週続けて明け方まで半徹夜状態だった。
  それにつけても今年の冬の寒さはハンパではない。もちろん毎年冬は寒いに決まっているのだが、普通「三寒四温」とか言うはずなのに、今年はとにかく休みなく寒い。と思う。
  実際、防寒着を着込んでいるのだが、顔や手足といった防寒の弱いところから浸み込むように寒さが入ってきて痛くてたまらなくなってしまうのだ。
  「春の星雲」を撮影しているのに、何でこんな寒い思いをしなければならないのかと、ひとりで苦笑いしている。ただ、フィルムもデジカメのCCDも冷えれば冷えるほど良く撮れるようになるのでありがたい寒さでもあるのだが。

  写真は、しし座のまさに鼻に先にあるNGC2903という渦巻銀河。結構大柄な星雲なのだがそのわりにあまり有名でない。中心から棒のような腕が伸び、その腕から渦巻きがはじまっているように見える。  



天頂の月
2006.02.08

  昨日は土浦市内の小学校で観望会が行われボランティアで参加した。
  天気予報に反して晴れるには晴れたが急激に冷え込むと同時に空気が安定せず見え方は最悪に近かった。それでも「主催者」の皆さんはホッと胸をなでおろし、子どもたちは大喜び。何はともあれ観望会は無事成功裏に終わった。
  子どもたちが帰った後、片付け前にとお月様に望遠鏡を向けて驚いた。ほとんど天頂にある。スタッフの誰かが「お月様が最高高度なんでしょ?」と教えてくれた。
  調べてみたら確かに関東では「82度強」。天頂からゲンコツ一個分も離れていない!   お月様と太陽の高度は季節が反対で、太陽高度が低い(つまり冬)時分にはお月様の高度が高く、歌にあるとおり「凍れる月影」が空に冴える。逆に太陽高度が高い(つまり夏)時分のお月様はチョット高い山があると越えられないくらいに高度が低く、こちらは縁側からお月見をするのにちょうど良い。

  写真は、お話とまったく関係なく、しし座の後ろ足のかかとのあたりにある系外星雲の「三役そろい踏み」。比較的大粒の、また形も個性的な星雲がみっつ小さくまとまっていて、先日の「M81、M82」のペア同様、構図の定番となっている。上にある大きいのがNGC3628、下側右がM65、左がM66である。



今宵は満月
2006.02.13

  今宵は満月。久しぶりに少し暖かい夜(といっても寒暖計はマイナス2度)。少しのんびりとお月見ができた。
  このところ毎日10時前後の帰宅なので、星見をしてしまうと翌朝がつらく、寒すぎるとか気流が良くないとか何かケチをつけて星見をサボっている。が、今夜はカメラを持って外に出た。

  写真は今宵のお月様。ティコクレーターから伸びる白い光条が北(上側)の地平まで届いているのがわかる(ように見える)。  



さよなら火星
2006.02.20

  さすがに厳しい冬も終わりが見えてきたこのごろ。それでも早い年には正月に咲きはじめた庭先の梅も今年はまだ咲けないでいる。
  実はこのところ2週続けて土日に伊豆周辺に旅行に行っていた。息子の高校のPTAの同窓会だったり職場の同期の旅行会だったりである。
  それはそれで前から楽しみにしていたことで、実際本当に楽しい旅行だった。が、長距離通勤者のつらさ。このホムペの更新を始めいろいろな用事やらをほとんど土日を使って済ます生活をしていると 2週続けて土日を使えないツケが回ってきてしまった。
  まあ、運良くというかなんと言うかこのところあまり天気もよろしくないので、晴れているのに星見のできないつらさを味わうことはないのだが、仕事と通勤だけで一日の3分の2以上を使う毎日は早く解消したいと切に願っている。

  写真は今月はじめに撮影した火星周辺の星野。すでにゴマ粒以下に遠ざかった火星だがほかの星と比べればはるかに目だって輝いている。火星がこの次地球に接近するのは来年の暮れ。それも今回よりだいぶ遠い「中接近」だ。  



天文ニュース
2006.02.25

  このところ新聞やテレビをにぎわしているのはトリノオリンピック(荒川ちゃんおめでとう!)やガセネタメールに引っかかった国会議員の話ばかりではない。天文分野でも、相次ぐ国産ロケットによる人工衛星の打ち上げ成功が相次いでいる。
  先月24日、H2A8号機によって打ち上げられた陸域観測技術衛星「だいち」(地図作りや災害情報を提供してくれる)に続いて、今月18日同9号機による運輸多目的衛星新2号(静止軌道に乗り運用が開始されれば「ひまわり7号」となる?)と22日M−V8号機によって打上げに成功した赤外線天文衛星(「あかり」と命名) など、短期間に3回も連続して打ち上げに成功するという本邦初の快挙を成し遂げたことになる。
  でも、打ち上がった人工衛星だが毎度のことながら一抹の不安が拭い切れない。いつもどこかに不具合が出てガッカリさせられてしまう。今度は今のところ大丈夫そうだが当分目が離せそうにない。それに比べてアメリカの衛星はどうしてあんなに壊れないんだろうかと逆に不思議に感じてしまう。「場数(ばかず)の違い」といってしまえばそれまでだが ホントに羨ましいくらい安心して見ていられる。

  小笠原の父島で星空ガイドをしている村上さんが今本土に来ていることは前に書いたが、数日前、観望用望遠鏡としては世界最大の2メートルの口径を誇る兵庫県西はりま天文台でその2メートル望遠鏡を覗いてきたよ、とメールをくれた。感想としては「まあまあ」「父島で(30センチ望遠鏡で)見ているのとあまり変わらない」とのこと。
  全国各地に生まれた観望を目的にした公共天文台だが、一方で「口径競争」的な傾向も正直あった。しかしそれも1メートルを超え2メートルにとどくとさすがにあきれてしまう。もちろん研究にも使われるということなので批判は当たらないのかもしれないが・・・。
  で、村上さんの感想に戻って、「まあまあ」の原因を考えると夜空の明るい(私たち星屋は「光害」と言っている)本土では、バックの明るさまで増幅してしまうのかなとか、冬、日本の上空を流れているジェット気流の影響(大口径ほど受けやすい)かなとか思う。
  逆に、無光害の父島の星空がどれだけすばらしいか、本土で同じように見るためには2メートルの口径がいるということを物語っているのかもしれないなあ。



土星が見ごろ
2006.03.02

  寒さにようやくメドが立ったと思ったら今度は連日の悪天。・・・。そうぼやいたところで、落ち着いて考えると、よくもまあ天候に文句ばかり言っているものだ。
  気を取り直して、ちょっと突拍子がないが今日は土星のお話を。

  写真は、2001年とこの暮れ(2005年)に撮った土星。一目見て輪っかの形が違っているのにお気づきのことと思う。
  これは、土星がちょこっと首をかしげた状態で太陽の周りを回っているため、地球から見ると輪っかがウチワを扇ぐように角度が変わって見えるためだ。その周期は土星の1年、つまり約24年。そしてその半分の12年に一度、輪っかを地球に対して真横を向ける時があり、そのときは輪っかが見えなくなる。
  上の写真の間隔は4年間。2001年は輪っかが最も開いた時期だったら、輪っかの傾きが3分の2に減ったことになる。

  明日は晴れそうな感じ。朝の空にほうき星が見えているということなので狙ってみたいと思っている。




やっと!ポイマンスキー彗星
2006.03.09

  このごろチョット騒がれているポイマンスキー彗星(C/2006A1)にやっとお目にかかることができた。
  この変わった名前の彗星、チリのラスカンパナス天文台の全天自動サーベイカメラで撮影された画像からワルシャワ大学天文台のポイマンスキーさんという方が発見した彗星で、氏の名前がつけれられると同時に今年最初に発見された彗星という意味の「2006A1」という番号がつけられている。
  発見直後の計算からかなり明るくなることが予想されていたが、実際その予想以上に長い尾をたなびかせた雄姿(?)を夜明け前の空に見せ始めたのだから星屋にはたまらない。
  私もご他聞に漏れず、今月に入ってから毎日4時過ぎに起きては外に出て空を見ていたのだが、一向に晴れない。よしんば天頂付近は晴れていても彗星のあるあたりには雲がかかっているという具合。
  そんなわけで8日の朝は、天気予報も良くなかったし、もうどうでも良い心境だったのだが、高齢者の悲しさで朝の4時過ぎに自然に目が覚めてしまった。外を見たらややガスがかかったような感じだが、まあ快晴。
  パソコンを立ち上げ、彗星の今朝の位置を確認(まさに泥縄)。しかし、予報位置に彗星の姿は双眼鏡でも見えない。しかたなく、おおよその見当をつけてカメラで固定撮影したらなんとかそれらしい姿を捉えることができた。
  次に欲が出て望遠鏡で眺めることにしたがこちらは楽勝。早速望遠鏡にカメラをセットしてアップの写真も撮影した。
  こうしてようやくめぐり合えたポイマンスキー彗星だが、撮影はしばらくぶりなのでほとんどのコマが失敗。やっとなんとかなりそうな数コマをひろって合成し、超強調画像処理+白黒化をして何とか尾が見られるようにした。   



あ〜ぁ!ポイマンスキー彗星
2006.03.11

  引き続きポイマンスキー彗星を狙っているのだが雲にたたられ想うに任せず、初対面から3日目の今朝やっと再会を果たした。
  しかし、起き出して空を眺めたときはまだかなりの面積で雲が広がっていて、その雲の動きを見極めて撮影の仕度にとりかかった。
  ところが期待していた「尾」が写らない!撮影中は始まってしまった薄明のせいだと思ったのだがどうも違うようだ。
  確認のためネットでほかの人の結果を眺めてみたら、案の定。どうも今週の初めをピークに、急激に尾が見えにくくなってしまったようだった。
  天候に恵まれず絶好のイベントを見損なったのは不運といえば不運だが、毎日早起きをしてチャンスを見逃さないようにしてきた結果だから神様に文句を言っても仕方がない。

  写真は、なんとか尾を出そうと白黒反転までしてみたのだが・・・(写真をクリック)。ちなみに前回の写真も同じように白黒反転画像を作ってみた。それと比べてもやはり尾は薄くなってしまったようだ。



梅に星
2006.03.16

  これを「寒の戻り」というのだろうか?この数日間連日マイナス気温。昨日とおとといはマイナス4度近くまで下がった。やはり記録的な寒波の冬にふさわしい「戻り」といえば言えなくもないなあ。
  空のほうも「冬型」が戻ったおかげで透明度バッチリだが、満月近くのお月様がキンキンに光ってありがたみはいまひとつ。そんな夜の余興ということで庭先の満開の梅を前景に星の流し撮りをしてみた。左の明るい星(太い筋)は土星。右の並んで明るい星はふたご座のカストルとポルックス。梅に星だからこれがホントの「梅星」なんて寒いオヤジギャグはやめておこう。

  ポイマンスキー彗星を相変わらず早起きして狙っているが、尾が薄くなって興味は半減。いくらか早起きに気合に欠けてきた。と思ったのが通じてか、昨日の朝の写真(右の写真)にはうっすらとだが長めの尾が写っていた。(本当にうっすらとなのでお分かりいただけないかも・・・)



金星のいる星空
2006.03.19

  ポイマンスキー彗星を狙っての早起きが続いている。
  このころの朝の星空はすっかり「初夏の星空」。さそり座が尻尾まで姿を現し、続く銀河中心のある射手座が地平線から駆け上ってきている。 そして東の空に目をやると明けの明星となった金星の巨大な輝きがひときわ目を引く。
  昨日はそんな金星を、この間星雲を撮影している望遠鏡で撮影したらどうなるのか?という疑問に答えるべく撮影してみた。(写真)
  人目見てすさまじいとお思いになることと思う。金星の明かるさに驚くと同時に、これはいわばカメラと望遠鏡の「クセ」の見本。
  まず金星から発している光条。これは望遠鏡の光路上にある障害物に原因していて、一番目だつ十文字の光条は筒先にある斜鏡をつっている金具。そのほかの光条はその斜鏡周辺にあるネジの頭などだと思われる。
  次に周辺にぼんやり写っている赤やむらさき色のカラフルなもの。これは、レンズを変えても同じように見られるのでカメラに原因していると思われる。
  それらはさておいて、見ていただきたいのは金星が星空の中で光っている星のひとつだということ。確かにとてつもない明るさの差はあれ、小さな星たちと一緒に写っている姿はあまり見た人も少ないことだろう。(左上に同じ拡大率で撮影した金星本体の画像を置いた)

  で、ついでみたいになってしまったが、主目的だったポイマンスキー彗星の画像もこちら。わずかずつだが尾が濃くなってきているように見える。  



シュワスマン−ワハマン周期彗星を追う
2006.03.25

  ポイマンスキーに続いてまたへんな名前が登場。こちらはふたりのドイツ人(?)の連名のようだ。
  発見されたのが1930年というから戦前のこと。およそ5.4年という比較的短周期で太陽の周りを回っている彗星で、1995年に太陽に接近した際、中心核が5個に分裂してしまっている。
  そして、今年は発見当時と同じような好条件で見ることができるらしく、この5月の最接近前後にはひょっとしたら肉眼でも見えるのでは?と、その筋ではかなり期待されている。

  21日夜、その7個に分裂した核のうち明るい2個の核(BとC核)を狙ってみた。
  まだかなり暗いのでカメラのファインダーでは見えず、予報位置あたりをやみ雲に撮影するというやり方で「発見」するしかなかったが、「光を蓄積できる」という写真の有利さと、この彗星が小さいながら「尾を引いている」という条件が相俟ってか、意外に簡単に見つけることができた。

  写真をクリックすると大きな写真が見れるが、輪郭がはっきりしたほかの星と違うぼんやりしたイメージのが彗星。どちらも生まれたばかりのおたまじゃくしのように短いが立派な(?)尾をなびかせているのがお分かりいただけると思う。
  見えている位置は、夕方に昇ってくる牛飼い座の主星アークチュールスのそばだが、見るには少し大きな望遠鏡が必要だと思う。



しし座の系外星雲たち
2006.03.27

  寒い冬がやっと明けたと思ったら、桜の開花が急に始まった。寒さのせいで遅れるのかと思ったら、逆に早まるとは!?

  しかし、春のおとずれは関東に住む星屋のとってはチョット複雑な気分。そう「花曇り」というやつなのか、とにかく晴れない。晴れていても冬のようなすっきりとした星空が望めないのだ。
  花曇りの下で、皇居のお堀端の桜の花を窓から眺めるのもこれで2回目となる。

  写真はこの間撮りためている春の系外星雲たちのうちのひとつ。しし座の後頭部あたりに集まっている星雲たちである。
  これは3枚の合成だが、最終的には10枚以上、できれば20枚以上の画像を重ね合わせることで、星雲の淡い周辺部分をなんとか出したいと考えている。けど、もう晴れないよなあ。



シュワスマン−ワハマン周期彗星を追う(2)
2006.03.29

  年度末ということで今週は毎日グループを変えての歓送迎会に参加している。おかげで、長距離通勤者としては終電の時間を気にしながらの毎日である。
  そんな毎日なので、花曇りの雲の多い空は気兼ねなく付き合いができるのでありがたいと思っていたら、昨夜は冬空の逆戻りしたような快晴!。午前1時近い帰宅の体に鞭打ってシュワスマン−ワハマン周期彗星を撮影することにした。
  こんなに向きになっているのには理由があって、比較的明るいB核とC核は撮影に成功しているのだが、それらの近くにあるはずのG核とE核の検出ができないでいるためだ。
  何回かチャレンジして写らなければ一応「ない」と判断してあきらめられるのだが、十分それに足りる正確さでの撮影ができていない段階ではなんともすっきりしないのだ。
  しかし、さすがに翌日5時起床を気にしながらの撮影は、平常心ではいられず、結局B核を確認しただけで、いちばん明るいはずのC核すら視野に捉えることができずに床に入らざるを得なかった。
  観測終了午前3時。翌朝の長距離通勤の車内での「いねむり」が貴重な睡眠時間となる。  



ご無沙汰のポイマンスキー彗星
2006.04.01

  久しぶりにポイマンスキー彗星を撮影した。
  シュワスマン−ワハマン周期彗星を追って忙しかったわけではなく、毎朝まじめ(?)に4時前後には起きて外をのぞいていたのだが東の空にいつも雲がかかっていて、それを幸いにまた床に戻るということを繰り返していたのだ。

  そしてこのところの冬の逆戻り。昨夜も今期最後の送別会で神田で終電まで飲んで帰ったのだが、冬型の快晴が続いていたのでそのまま着替えてポイマンスキー彗星が昇ってくるまで星見をすることにした。
  しかし、春の系外星雲を何枚か撮影し、ポイマンスキー彗星も無事カメラの収めて撤収となったのだが、パソコンに移し変えるため画像をチェックしてがっかり!。星を追尾するモーターがなぜか不調で大半の画像の星が流れて写っていた。
  撮影のコマ数を稼ぎたくて、撮影直後の画像チェックを怠ったため失敗に気が付かなかったのだ。
  写真は、かろうじて流れが少なかったコマを使ってのポイマンスキー彗星。尾は短くなったものの、相変わらずシッカリした姿を保っている。  



大熊座のM101銀河
2006.04.05

  この間いくつか系外星雲をご覧いただいているが、今回は大熊座は北斗七星の柄の部分にあるM101銀河の画像をご紹介する。
  相変わらずの長距離通勤のため、ゆっくり星見をする時間がとれず、その反動かお手軽な写真撮影に走ってしまっているのだが、ひょんなことから系外星雲の魅力に取り付かれてしまった。
  理由は簡単。実に個性に富んでいて実にさまざまな形をしている。それらが撮影後モニターに浮かんでくる時のワクワク感がたまらなく官能的でさえあるのだ。

  このM101銀河は、それらの中では超有名なものでその姿から通称「回転花火銀河」と呼ばれている。私たちの住む銀河系宇宙を真上(?)から眺めるとこのような整った渦巻きを描いているといわれている。見掛けの大きさも屈指の大きさを誇っているが、逆に淡くて肉眼で眺めるとぼんやり見えるだけといったイメージでチョットつまらないかも。




TXに乗り換えた
2006.04.06

  昨日からあの「つくばエクスプレス」(地元では「ティ・エックス」と呼ぶ)で通勤を始めた。
  これまで使っていた常磐線も捨てがたい魅力があるのだが、片道30分の時間短縮は50半ばの身には換えがたいものがあった。
  実際まだ、乗り換えの順路とか慣れないこともたくさんある。それでも住み慣れたつくば市内を歩いて駅に行き、何もかも目新しい車窓からの景色を眺めながらの通勤は快適そのもの。もっと早く乗り換えればよかった、と言ったら世話になった常磐線に申し訳ないか。

  写真は今日の帰り道、つくば駅に隣接する公園で満開の桜をバックに朧にかすんだお月様を撮影したもの。フラッシュをたいての手持ち撮影と「超画像処理」でチョット見れる写真が出来上がった、と思う。



「付け焼き刃」を反省
2006.04.09

  このところ続けている彗星の撮影だが、もう月が大きくなってきているので「お休み」を決めていた。・・・これがそもそもの反省の始まり。
  そして、目指す彗星の予想位置の確認は「始める前にやればいいや」と寝てしまった。・・・これが反省その2。
  夜、一段と強まった「春の嵐」に星見をあきらめて寝ることにしたのだが、明け方月が沈んだころ明るい彗星の撮影ができるのではと目覚ましをセットした。 そして無事起きて外を見ると久々の快晴!。パソコンを起動し、天文ソフトで目指すポイマンスキー彗星とシュワスマン・ワハマン彗星の位置を確かめ星図としてプリントアウト。望遠鏡をスイッチオンして目指す彗星の近くに向けた。「ウンまさに完璧!」と自画自賛したのはほんのつかの間。
  前から気にはなっていたのだが、この天文ソフトからプリントアウトした星図はやたら星が強調されすぎていて実際の空と比べたときわかりにくい。そして今日の場合まさに最悪。星の同定がまったくできなくなってしまったのだ。
  そうこうしているうちに、早々と空が明るくなってきた。この季節の日の出の早さも計算し忘れていたのだ!(反省その3)

  それでも「早起きは三文の徳」とはよく言ったもの。星図を眺めていたときパアッと明るくなったので「車のライトか?」と思って空を見たら火球に近いような明るい流星が流れていた。かなり明るい流星だったようで流れた後、かなりの時間「流星痕」とよばれる光る雲のようなものが見えていた。

  今日の写真はM51。大きな渦巻銀河のそばに小さな渦の見えない銀河(NGC5195)を伴っていて、渦巻きの腕の一本で互いにつながっているように見えるところから「子持ち銀河」と呼ばれている。
  しかし最近の研究では、小さいほうの銀河のほうが大きいM51の2倍ほどの質量があり、どちらかといえば逆にM51を「吸い取りつつある」というのが実際のようだ。星座は猟犬座に位置しているが、M101同様北斗七星から探すのがいちばん解りやすい。



シュワスマン−ワハマン周期彗星を追う(3)
2006.04.10

  「反省だけならサルでもできる!」と奮起したわけではないが、日中からせっせと彗星を追う態勢を整えていた。
  撮影に使っている望遠鏡は「自動導入装置」という「文明の利器」で制御され、リストの中から見たい天体を指定しボタンを押すと、自動的にその方向に向いてくれる。
  だが、彗星のように次々に「発見」される天体はリストに載せることができないので、ユーザーが必要な数値を手で入力する必要がある。だが、その入力が結構大変なので、いつもは近くの天体を導入してそこから手動で導入していた。
  この安直な姿勢が前夜の失敗につながったわけだ。
  そこで、雑誌やインターネットで彗星の軌道に関する数値を探してきて、ポチポチ・・・と入力したわけだが、英語と算数が苦手な中年のこと、1月と6月の略記を間違えるは数字がこんがらかるはの四苦八苦!

  しかし、努力は報われる。
  寝る前にのぞいたあるHPに、シュワスマン−ワハマン周期彗星のB核がバースト(突然明るくなる)を起こした!」とあるのを見つけてしまった。その上空を見ると、どんどん悪天候に向かっているはずの空が、雲は多いものの晴れている!
  こんな急にやってきたチャンスにもかかわらず、四苦八苦の設定が功を奏し、見事明るく増光したB核をとらえることができた次第である。(写真をクリックすると比較写真が見れる)



超新星を撮る
2006.04.15

  相変わらず暖かい日より寒い日のほうが多い毎日が続いている。
  今週10日の朝、板垣さんという方が超新星を発見されたというニュースが流れた。板垣さんは山形市在住の世界的に有名な「超新星ハンター」で、今回がご本人にとって17個目というものであった。
  星の終焉で大爆発して明るく輝くことでこれを新星と呼んでいるが、超新星とは、その超大規模なもので、その星が含まれる銀河全体に匹敵するくらいに明るくかがやく現象である。
  今回の超新星は、北斗七星の近くにあるNGC 3953という7000万光年という気が遠くなりそうに遠い渦巻銀河でおこったものであった。

  広い宇宙のことなので結構頻繁に起こる現象なのだが、なかなか撮影する機会がなかったので、今回はぜひ撮影してみたいと思っていた。しかし、この一週間まったく晴れ間に恵まれず、ようやく昨夜、よりによってピカピカの満月の夜にその機会がやってきた。

  写真の矢印の先がその超新星だが、右下のNGC 3953ですらやっと写っているという状態で、「だからなんだ?」といわれても返す言葉はない。
       


      






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