AZの人間革命
まえがき

 この書物はほぼ三年間にわたったAZの歴史をタテにつらぬくもので、15章以下「気圧」が急に変わってくる。14章までは、AZの文章を書き出した当時(1958年)の作品で、このころ私は英瑞カンパニーという会社を創立し、事業とカネの世界でアップアップしていた。しかし、こんにちのAZの萌芽はすでにこのときから濃厚な芳香を放ち、今でも捨てがたい内容をもっている。
 AZシリーズNo.1として霞ヶ関書房から出た『AZの金銭征服』は一つのテーマでぶち抜かれた本であるが、いまあなたが手にしている本にはテーマがない。しかし、AZの精髄はむしろ無テーマ・無目的にあるのである。
 AZの任務は、世間の大部分を構成する不自由人の脳髄を破壊し、「目的」と「方針」でガンジガラメにされた現代人の生活を粉砕することである。AZの衝撃をくらった人間は、一種の軟化症状を呈し,宇宙創造前の混沌未分の状態におちいる。まず破壊である。しかるのち建設が始まる。
 だからブッコワセと私は叫ぶのである。これほど危険千万な人間はいない。これほどケンノンな書物はない。しかし、日本の食欲旺盛な読書界に毎月送り出される数百冊の本のなかに、こんなのも一冊ぐらいあったっていいんじゃないか。
 そういう意味で、私はこの本に『AZの人間革命』という題をつける。革命とは「命を革める」ということだ。人間だれだって「命」があるからこそ、こうやって毎日毎夜泣き笑いの人生を送っているわけであるが、この「命」そのものがあらたまったら、もう何もかも一斉にあらたまってしまう。「命」はまた「天命」の命、「使命」の命である。人間ひとりひとり、実は何ものかの「命令」を受けてこの世に出ているのだから、その「命令者」が変わってしまうということが「人間革命」の意味である。
 AZによって、あなたはホンモノの自分に対面する。眠っていたものがムズムズと起きあがり、あなたの生活は一変してしまう。隠れていた真の才能がピチピチ動き出す。18章の大湯照夫君のような人も、つぎつぎ出てくるだろう。それが楽しみだ。
     1960年 師走の街にて
                                                   著 者
AZの人間革命
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