猛虎行 主從問答 代詠寵愛犬俾斯麥清正 |
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主人問曰: |
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玉碗佳肴勝五侯, 華清池温過春秋。 何期今夜跳如電, 踏月尋芳追自由? |
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小狗答曰: | |
養主大爺狗伏言: 日夜養我謝鴻恩。 葵藿傾葉固不變, 自由鐘聲驚我魂。 我祖遠出羌笛間, 紫雲漂去沙彌門。 孤高白狼長雪山, 一朝誤落塵霧村。 金鳥飛傳鹽州築, 亦易黄蓍少犬蹯。 君不聞不自由毋寧死, 鬱鬱焉樂一屈蹲。 誓心密定奔放計, 身著華服心在蕃。 雖永不忘親朋誼, 我心匪石不可翻。 月明獨立巖頭上, 向天長哮思氛氳! |
(飼い主の問い:) 玉碗の佳肴 五侯に勝り, 華清 池 温かにして 春秋を過す。 何ぞ期せん 今夜 跳るること電の如きを, 月を踏み 芳を尋ねんとして 自由を追めしか? (犬の返答:) 養主大爺! 狗 伏して言さく: 日夜 我を養ふ 鴻恩に謝す。 葵藿 葉を傾くこと 固より變らざれど, 自由の鐘聲は 我が魂を驚かす。 我が祖 遠く出づ 羌笛の間, 紫雲 漂ひ去る 沙彌の門。 孤高の白狼 雪山に長じ, 一朝 誤り落つ 塵霧の村。 金鳥 傳を飛ばす 鹽州の築, 亦た黄蓍を易へて 犬蹯を少かす。 君 聞かずや:「自由ならざれば,毋寧 死せん!」 鬱鬱 焉んぞ樂しまん 一に屈蹲するを。 心に誓って 密かに定む 奔放の計, 身は 華服を著ふも 心は 蕃に在り。 永へに 親朋の誼を忘れじと雖も, 我が心は 石に匪ず 翻す可からず。 月明に 獨り立つ 巖頭の上, 天に向かひ 長へに哮えて 氛氳を思ふ! ***************************** |
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自作『大逃走之歌』の返答を、犬に代わって詠った。 ----------------------- |
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・葵藿…: | ヒマワリが太陽に向かって傾くように、君主の徳を仰ぎ慕うさまを謂う。 |
・自由之鐘: | マーチン・ルーサー・キングの言葉。「私には夢がある。… いつの日にか…の時が来るという夢が。 …すべての山々から自由の鐘を鳴らそうではないか。」(I have a dream today!… Let freedom ring from every mountainside!)。アメリカの公民権運動の行進での演説中の一言。 |
・不自由,毋寧死: | パトリック・ヘンリーの言葉。「我に自由を与えよ。然らずんば死を」(Give me liberty, or give me death!)。イギリスの支配に抵抗し、アメリカの独立を願っての演説中での一節。 |
・我心匪石…: | 『詩經・國風・邶風』に「我心匪石,不可轉也。我心匪席,不可卷也。威儀棣棣,不可選也。憂心悄悄,慍於群小。覯閔既多,受侮不少。」とある。秋瑾の志を頌えてこの言葉が使われた。なお、高橋和巳に同名の小説がある。 |
平成二十年三月二十四日 |
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