◆ サブリミナル2003 100番台 ◆
其の129
詩とは、魂の静かなる叫びだ。
水曜日。
パソコンをいじりながらTVをつけていたら、昼下がりに始まった
NHK教育『歴史で見る日本』。
日本史の番組、その日のテーマは「将兵の手紙と遺書」
戦時下の手紙や、そこから分かる人々の生活などを紹介している。
見るともなしに何となく見ていたのだが、
その中で紹介された一編の詩に目が止まった。
いや、正確には詩というよりは遺書なのだろうが、
その言葉の一つ一つが真実を伝えてくる。
思わずパソコンの手を止めて、TVに釘付け。
嗚呼、この全文をぜひ留めておきたい!
とも思ったが、ビデオなんて録っているわけもなく。
仕方が無いので、NHKに電話。
TV局に電話するなんて初めてだ。
多少ドキドキしつつ、新聞のTV欄に載っている番号へ電話。
若いお姉さんの声「はい、NHKコールセンターです…」
主旨を説明、番組内で紹介された文章を知りたいと頼む。
「少々お待ちください…」保留音。
しばらくしてお姉さんCome back。
「今日の、先ほど2時半からの番組ですよね?…」
もう一度、今度はもう少し詳しく手掛かりを説明。
再放送についても尋ねるが、実は今回の放送が再放送分だったので
再々放送の予定は今のところ無いとのこと。
で、「もう少々お待ちください…」
今度は保留にし忘れ。かすかに向こうの声が聞こえる。
結構すったもんだやっている感じ。でCome back
アゲイン。
「申し訳ありません、すぐにはちょっとお返事できませんので
月曜日にもう一度お電話頂く、ということでもよろしいでしょうか?…」
まぁ当然すぐには調べはつかないだろうな、と思っていたので了解。
対応の良さに快い驚きを感じつつ、受話器を置く。
結構なんでも調べてくれるんだなぁ。
週が明けて月曜日。
指定されたとおりに再びNHKに電話。
受話器の向こうからは、多少年齢を重ねてらっしゃるような女性の声。
先日質問して今日電話するように言われた、と告げると
「ああ、はいはい…」こちらの名前を言っただけで話が通った。
そういうシステムになっているのか、「後日回答」という例も多いのか。
で、解明された全文を向こうに読んでもらい、こちらで聞き取り&書き取り。
すべて読み終わると、「私も今初めてこの文章を読んだんですけれども、
なんだかこう心にくるような文章なんですねぇ…」
どうもどうも、と丁重にお礼を述べて電話を切る。
いや~、NHKの電話って皆さん対応良いのね~。
なんかあったら気軽にかけてみ?
混んでる時はなかなか繋がらないけど。
さて、そんな経緯で知り得た全文。
おそらくは特攻隊に出撃する数時間ほど前に書かれたのであろう遺言(ことば)。
たまたまTVで出会った、真実の詩(ことば)。
真実の言霊。
| |
| あんまり緑が美しい |
| 今日これから死にに行くことすら忘れてしまいそうだ |
| 真っ青な空 |
| ぽかんと浮かぶ白い雲 |
| 六月の知覧はもうセミの声がして夏を思わせる |
| 作戦命令を待っている間に |
| 小鳥の声が楽しそう |
| 「おれも今度は小鳥になるよ」 |
| 日の当たる草の上に寝転んで |
| 杉本がこんな事を言っている |
| 笑わせるな |
| 本日 十三時三十五分 |
| いよいよ知覧を離陸する |
| 懐かしの祖国よさらば |
| 使い慣れた万年筆を形見に送ります |
| |
| 枝 幹二 大尉 |
| |
其の126
前の会社の同期に誘われ、新年会。
集まったのは野郎ばかり、計7人。
みんな歳相応の見た目になっていた。
久しぶりに会うヤツなんかは、それこそ7、8年ぶりか。
そこそこのオヤジになってきたようで。
まあ確かに、そろそろ中堅社員と言われるような年齢だもんなあ。
実際、なかなか仕事はキツいらしい。
ま、このご時世、どこに行ってもキツいんだろうけど。
でもたまに会社員のグチなんかを聞くと、なかなかためになる。
最近は中学生のグチぐらいしか聞いてなかったもんで。
やはり組織の一員として金をもらっていくのも大変だ。
などと言いつつも、出席した7名のうちで
結婚した者:2名。
会社を辞めた者:3名。
しがらみはそんなに無いらしい。
なんて人たちだが、しかしと言うかやっぱりと言うか
中身の方は全く変わっていなかった。
相変わらずの馬鹿さ加減で。
カラオケ行って脱ぐのはこいつらぐらいだ。
しかしなあ、今年初めて見た肛門が
同期のオトコのだ、って事実もなあ。
幸先の良い新年会で。
其の124
おかしい。
明日の土曜日、スピッツ at
赤坂BLITZのチケット発売日。
もう明日なのに、ぴあのSRS当選通知がまだ届かない。
なぜだ?
昨年11月24日発売のWeeklyぴあ。
たまたま23日の夜に出かけ、深夜に寄ったコンビニで
店頭にもう並んでいたぴあを手に取ると、
スピッツライブの先行抽選(Super Reserve Seat)ハガキがついている。
そこからコンビニをハシゴ。結局計11冊を購入、
その夜のうちに11枚のハガキを出したので
1枚ぐらいは必ず当選しているはずなのだが。
なぜまだ通知が来ない?
一般発売はもう明日だぞ?
@320円×11冊分の代金と引き換えに、
表紙のボブ・サップが11人笑ってる。
11人とも同じ顔。当たり前。
其の123
夜と朝のあいだに、ダラダラ起きていたら
喉と鼻のあいだに、ガラガラ違和感発生。
最近、夜中はかなり寒かったもんなぁ。
寝る時に体が冷え切ってたの分かってたもんなぁ。
やだなぁ、まいったなぁ。
明らかに人為的ミス。
いうことで、薬局でカコナールとマスクを買ってきた。
布団入る時、マスクして寝よ。
なんでも今年はミニスカートが流行るらしい。
特に女性の皆さん、どうか風邪など召されぬように。
ミニを召されるならまだしも。
いいね~、ミニ。
などと思いながら、帰宅後念入りにウガイにいそしんでいたところ
途中でなんだかクラクラしてきた。
目の周りに☆がチラチラ、
腕や足がザワザワ~っとしてきたかと思うと
手がブルブルブル、震えだす。止めようとしても止まらない。
うゎ、ヤバい。こりゃヤバい。。。
ふぅ~、危うく酸欠で倒れるとこだった。
やっぱりウガイの時にはたっぷり息を吸い込まないとダメね。
途中で息が続かないわ。危ない危ない。
っつーかどんなウガイだよ。念入れすぎ?
自爆テロならぬ、自爆ウガイ。両刃の剣だな。
其の122
とある学習塾での会話。
◇ 生徒A「お前、ウ○コしても流さないんだろ?」 ◇
◇ 生徒B「えっ、まぁ……」 ◇
◇ 塾講師「えぇ、マジで? ほんとに流さないの!?」 ◇
◇ 生徒B「あぁ、まぁ学校じゃ流さないよ」 ◇
◇ 塾講師「ゲゲ、最悪~! なんで流さないんだよ?」 ◇
◇ 生徒B「だってその方が面白いじゃん♪」 ◇
面白い、って……。
よく学校のトイレに残ってるウ○コ、あれってどうやら確信犯のようだ。
其の119
今年一発目のライブ。UA(うーあ)in 赤坂BLITZ。
整理番号があまり良くなかったので、まぁいいやと
余裕ぶっこいてたら、思いの外の超満員。
ほんとにほとんど一番後ろだった。
ライブ自体はとても良かった。ボーカリストとしての実力を遺憾なく発揮。
夏にイベントで観たときはかなりのアコースティック風だったので
今回もそんな感じかと思ってたら、
編成はアコースティックなものの、SEなどもガツガツ入り
UAならではの雰囲気度アップ。
言葉は変だが、ビョークと肩を並べられるのは
日本ではUAぐらいかも。というような感想。
といった感じでライブは良かったのだが、
なにぶんステージがさっぱり見えない。
自分の前に、デカい男どもが多すぎた。
ライブハウスでは「うゎ、見えなーい」などという婦女子の声を
よく耳にするが、まさか自分がそれを味わうとは。
うーん、背の低い人の気持ちがよく分かった。
こうなるともう、あきらめるしかないのね。
BLITZの天井は、鉄パイプが複雑に組まれていた。
満足感と多少の欲求不満を抱えつつ、晩飯を食いに北千住で途中下車。
地下から地上へと上がる階段で、向こうから赤いコートを着たおばちゃんが降りてきた。
と、2,3段降りたところで、足がついていかず
体だけが前へ。手すりを持ったままズズーッと落ちていった。
「!」周りの若者四人ぐらいの足が固まる。
おぉおぉ、少し転がったが大丈夫なようだ。
立ち上がろうとするおばちゃん。しかしそれより先に体はまた前へ。ゴロゴロゴロ。
「!!!」急いで四人それぞれが近寄る。ヤバいかも。
一人の姉さんの「大丈夫ですか!?」の問いかけに、「dlんk;あ:\づ%sl;…」
酔っ払ってたのね。病気とかじゃなくてとりあえず安心。
「ほら、立つ前に足を下の段に持ってこないと…」
姉さん、まるでスキーのインストラクターだ。
大丈夫そうなので、そのまま吉野家へと向かった。
午後10時半。吉野家のカウンターは一杯……なのだが、
その中の一角を支配しているのは女子中学生5人(私服だがどう見ても中学生)。
なぜこの時間に、女子中学生が、しかも吉野家?
「…え~、アタシってあいつのこと好きだと思われてたの!?…」
「…あのオトコってなんかやってることサイアクじゃん。…」
「…ゴメン、さっきの話ちょっとウソがありました。。」
「えー、なになに??」
「アタシから告ったんじゃなくて、むこうもなんかアタシのことちょっと好きみたいな…」
夜10時半。in 吉野家。
「……じゃあ、そろそろ出よっか~」
「ありがとうございましたー。お会計失礼します、大盛とけんちん汁、560円なります…」
シブいな。
全員が会計を終えると、「ごちそうさまでした~☆」
黄色い声。そして静寂。in 吉野家。
北千住は、不思議な街だ。
其の118
この春から小学生になる甥っ子(6歳)の歌。
『お正月』のメロディで。
「♪もーいくつねるとー しょうがっこー
しょうがっこうではともだちをー たくさんつくってあそびたいー
はーやーくこいこい しょうがぁっこー」
ちょっとどこかで聞いたようなフレーズだが。
2番。
「♪もーいくつねるとー かいしゃーぁー
かいしゃーには しゃちょうーがー ひとりーしか いなーいー
かいしゃにーなーんか いきたくなーい♪
おとなにーなーんか なりたくなーい♪」
語呂が悪いけど、すごい歌だ。
「おいおい、大人になるってのは楽しいことなんだよ」
「なんで?」
「いっぱい遊べるんだから」
「えー? こどものほうがあそべるじゃーん。
ほいくえんいってあそんでー、
おもちゃでいっぱいあそんでー」
おっしゃる通り。
「お仕事ってのは本当は楽しいものなんだよ」
「なんで?」
「……お金もらえるから」
「えー、たのしいのぉ?
ウルトラマンのかぶりものつくったり、
ウルトラマンのをきたりとかって」
どんな仕事よ。
子供たちが大人になりたがらないのって、一つには
大人たちが楽しんで生活してるように見えないからだろうなあ。
まず、大人が人生を楽しまないと。
其の116
某国営放送『その時歴史が動いた』拡大版
「日本の開国」
ペリー来航から日米和親条約、日米修好通商条約
二つの条約締結までをたどったスペシャル番組。
いやー、深夜の再放送だったんだけど思わず見入ってしまった。
条約締結というのは国と国との交渉だ、
そして交渉とは人と人との駆け引きだ、
というのを改めて思い知らされた。
それがたとえ150年も前の出来事であっても。
ペリーvs.日本役人、
ハリスvs.日本役人、
どちらにしても、お互いに綱を渡っていくような
微妙な駆け引きが存在していた。
どちらが相手の譲歩を引き出すか、そのためにはどういう出方をするべきか。
相手の心理を読んだ、緩急をつけた対応。
その結果勝ち得た、その当時で考え得る最も望ましい条約内容。現在の歴史では「不平等条約」といった面ばかりが強調されるけど
アメリカに無理矢理結ばされた条約、というわけではなかったのね。
力でねじ伏せられ、ビビりながら結んだ条約、という様相では決してなく
日本側の要求も飲ませるべきところはちゃんと飲ませていったらしい。
現在「不平等」と言われている部分(領事裁判権・関税自主権)なども
当時としては不平等だという意識は無かったみたいで。
ま、これはしょうがないか。時代によって常識そのものも変わるはずだし。
例えば「関税は自国でつける」なんて考え自体、当時は無かったらしい。
なので、日本にとっては満足のいく条約だったとのこと。それよりも問題は、国内の攘夷派になかなか理解してもらえない事。
全権を委任された役人は
「自らに禍が降りかかろうとも条約を締結する」との意気込み。
最終的には、天皇の許可をもらえぬまま見切り発車的な条約締結。
(それが理由で、全権役人の晩年は不遇だったらしい)押すべきところは押し、主張を通した日本側の全権を評して
交渉相手ハリスが後年語るには
「日本は、素晴らしい全権を持って幸せだった」
で、番組終了。
感想。
「かっこいぃ~~!!」
自分の信念を貫き、任務を遂行する。
たとえそれが自分の災いになろうとも、国のため、後の世の人のために。
その行為が正しかったかどうかなんてことは、後々歴史が決めること。
とりあえず現在は、自分の意志を信じるしかない。
信じて、進み、その時考えられる最良の結果を得る。
交渉相手からも褒め称えられるほどに。
かっこい~。これぞ働く人間の根本。そして理想。
プロジェクトXにも似た熱い生き様を感じた。
150年前、幕末の男達の物語。
多分、言葉で言ってても全然伝わらないと思うけど。
昔だろうと今だろうと、人間のやることにそうそう違いは無いね。
たかだか150年か15年かぐらいの差だ。
いや、かえって150年前なんてごく最近か。
ごく最近まで、強い魂を持った
チョンマゲの男達が存在していたんだ、この国には。
其の113
1月第2月曜。成人の日、祝日。
休日のはずだったが、受験生用に私立対策として塾を開講。
いつもは普段着+白衣というコスチュームのところ、
あえてネクタイ着用で授業に臨む。
「あれ、先生、どうしたの? ネクタイなんかしてら」
「いや、ほら、オレ今日、成人式だったから」
ほとんどの生徒が鼻で笑って終わりだったが、
一人だけ本気で信じそうになっていた。
そのためだけのネクタイ着用。
其の 0
まったく更新していないまま年が明けた。
今年こそは水面下で細々と更新していきたいところ。
そんな希望を込めて。サブリミナル。