Nゲージ蒸気機関車蒸機の工作>前カプラーをマグネ・マティックカプラーに交換する

C62 北海道形への前カプラーの取り付け

C62 3+カプラー

2012.1.2

KATOのC62 2号機・3号機(北海道形)には、確実な先台車マウント式の重連用カプラーが付属しており、重連は問題なくできます。
しかし、あえてマグネ・マティックカプラーを取り付けてみました。

1.基本形 2.KATO 9600 3.リアル・ラインD51 4.KATO EF58他 [5].KATO C62北海道形 6.KATO D51標準形(新) 7.KATO C12


その昔、機関車の先頭にマグネ・マティックカプラー(ケーディカプラー)がついていると、何となく高級に見えたという方は一定数いらっしゃると思います。 特にエアホースに似せたトリップピンがそのアピールになっていました (あくまでも昔の感覚です。最近のファンの方には理解しがたいかもしれませんがご勘弁)。

2つ試してみました。何にしてもポン付けは無理で、それぞれ加工調整の試行錯誤がいります。
ポン付け可能なものとしては、付属の重連用カプラーがすでにあるので、最初から恵まれています。

その1:Zゲージ用マグネ・マティックカプラー(フル機能)

通常のMT-7を使う方法でもできますが、大きさをなるべくダミーカプラーに合わせてみようと思い、Zゲージ用の#903を使ってみました。
Nゲージに転用した場合、復元性はさほどよくありませんが、厚さが薄く、大きさが元のダミーカプラーに近いという利点があります。
#903の組み立ては細かいのでなかなかニクイです。あっ、バネが。あ、また。あ、コノヤロ(笑)…としばらく格闘して偶然組み上がったような感じです。なお組み立て済みの#905もあります。

端梁の加工
[1] #903カプラーの根元の箱(ドラフトギヤボックス)を収めるため、端梁の赤色の部分をカットしました。

カプラー取り付けの様子
[2] カプラーはこのように顔を出します。端梁の切り欠きだけでは幅が少し足りないので、カプラーの箱も左右から少し削りました。

取り付け穴を開ける
[3] カプラーの箱はちょうどボディーの分離に支障するので、取り付け方法やその後の分解には注意が必要です。
写真の位置に1.0mm穴を開け、カプラーを1.2mmネジで留めることにしました。
穴の位置は微妙です。これより前寄りになると、上部の給水温め器カバーと干渉します。

カプラーの取り付けと形状の調整

[4] カプラー付属の1.2mmマイナスネジで取り付けられます。私はマイナスネジが苦手なので、同じサイズのプラスネジを使いました。 ネジの先がほんの少しデッキ上に出るので、その部分だけ給水温め器カバー前面の肉厚を、内側から少し削りました。

ほか、先輪が当たらないよう、赤い部分などを試行錯誤のうえ削っていきました。ここが一番大変でした。どこを削るにしても微妙です。やりすぎて一つ壊しました。

スノープローの加工
[5] スノープローの中央の穴(連結器座)は、新しいカプラーに干渉するので切り取ってしまいました。
その左右にある斜めのステーもカプラーの下部に少し当たるので、カプラーのほうを少し削って調整しました。トリップピンと接触しないよう、スノープロー先端も少し切り欠く必要があります。

取り付け完了
[6] スノープローを取り付けたところです。左右のステップだけで取り付けるのでやや不安も感じます。
Zゲージ用なので、トリップピンがかなり高い位置に来てしまいますが、この作例ではちゃんと作動しました。

連結(横から)
[7] 2号機(左)のテンダーに取り付けた、Nゲージ用MT-7と連結したところです。 高さは上面がほぼ同一か、若干高いくらいになると思いますが、特に支障なく連結・走行できます。

連結(斜め上から)
[8] 大きさ的にはリアルなので、市販のNゲージ製品でもZゲージ用カプラーを付けているものはあります。
ただ取扱店が極めて少ないので、このサイトでは全国で入手しやすいMT-7などを使うことがほとんどです。

前方から
カプラーのサイズはダミーカプラーなみに小さいですが、自動連結はもちろん、アンカプラーによる自動解放も可能であるというのがミソです。

マグネ・マティックカプラーの利点は、連結・解放が自動でできるうえに外観もまずまずという点ですが、実はC62の重連に使う場合、自動連結・解放はあまり使い道がありません。 アナログ運転では本務機と補機が同時に動いてしまうからです。

もちろんDCCを利用すれば両機を別々にコントロールできるので、重連の自動連結も自動解放も可能になります。アナログ運転でもセクションを分けて、ギャップをまたぐようにアンカプラーのマグネットを設置すれば、できることはできます。

買って1週間目にしてようやく重連させました。

C62 2+C62 3

R249も走行できることを目標に調整しました。たまに先輪がごくわずかに浮く瞬間もあるようですが、支障はありません。

4%勾配を軽々登っていきます。もっとも単機でも登れるのですが…。

坂を上るニセコ


その2:Nゲージ用MT-10(連結のみ)

機関車本体の加工をなるべく少なくする方法で、自動解放機能を捨てて連結のみとしました。
相当昔から、よく行なわれている方法です。
カプラーの首振りが少ないので、S字などで支障が出ることがありますが、単純なエンドレスなら一応問題なく走りました。

車体の穴あけ
[1] 車体裏側、端梁の直後に0.3mm真鍮線を立てるための穴を開けました。あまり深く開けると上部の給水温め器カバーに影響します。本体に残る傷跡はこの穴1つだけです。

カプラーの加工
[2] カプラーはMT-7より柄の長いMT-10を使いました。根本左右の出っ張りを切り取り、後部に取り付け用の穴を開けました。多少カプラーが左右に動くことを期待して、この穴は0.8mmくらいまで広げました。
そのままでは厚すぎて端梁の穴に入らないので、下から削って薄くしておきました。

取り付け
[3] カプラーを前から差し込み、0.3mm真鍮線を差し込んで留めました。なかなか車体の穴に命中せず難しいかもしれません。給水温め器カバーの裏側に真鍮線が当たるときは、そこを少し削ってやります。
加工はこれで終わりです。

高さの様子
[4] 元の端梁の穴を未加工で利用する場合、高さを調整する余地がありません。カプラーの高さの半分ぐらい上下に食い違います。元に戻せることを優先したので、これ以上は加工しませんでした。

連結の様子
[5] 連結したところです。大して左右に首を振りませんが、そのため相手がマグネ・マティックカプラーの場合は自動連結もできます。

私の作例では、重連で単純エンドレスのR249まではOKでした。
色々な線形を試したところ、急カーブ直後の渡り線(Sカーブ)という悪条件では、左右へのズレを吸収できず脱線する場面もありました。もっとカプラーの首振り角度を確保するように加工はできると思いますが、普通は付属の重連用カプラーを使うほうが簡単かと思います。

それぞれの外観です。

ダミーカプラー
オリジナル(ダミーカプラー)
Zゲージ用#903
フル機能版(Zゲージ用#903)
Nゲージ用MT-10
簡易版(Nゲージ用MT-10)

使う材料と許される加工の度合い、必要な機能によって方法は様々でしょうから、もっと手軽な方法からもっと高機能な方法まで色々考えられると思います。
結局、自分が何をしたいかですが、こんな加工でもそれを途中で見失ったりするんですよね。


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