ばらして中を見てみます。
ギヤ駆動されているのはゴムタイヤ付きの第三動輪で、あとはロッド連動になっています。
第一動輪にはバネでテンションがかけられており、第二動輪の粘着は弱めになっています。C62と同じく、第三動輪に加重が集中するしくみのようです。
床板はブレーキシューやブレーキ引き棒などが一体のパーツです。 何箇所かで引っ掛けられていますが、後部の矢印の当たりに床板のツメがあり、それが左右のフレームにはめ込まれています。また中央付近の矢印のあたりにはフレーム側にツメがあり、それが床板にはめ込まれています。 後方から少しずつ、先の細いドライバーなどで床板を浮かせながらツメを外していくと、床板が外れます。 |
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第一動輪を持ち上げると、集電バネが見えます。これにより第一動輪が軽く上下に動くようになっています。 しかし、車体も非常に軽いため、バネの具合によっては車体がちょっと持ち上がってしまうこともあります。 |
これは第一動輪バネ/もしくは先台車バネの強い個体の例。何かのけぞっています(笑)。矢印の第二動輪が完全に浮いています。
ただ第三動輪に荷重が集中しているので、見かけによらずこの個体の走りは良好です。
なお、先台車はバネによる粘着式なので、これが強すぎる場合にも車体が浮くことがあります。
よく走っているようなら気にしないのが一番かと。 |
えびを剥くような感じで車体をばらします。
えびと違うのは、元に戻す必要があることです(えびは、元に戻されても困りますワ)。
まずキャブとボイラーにまたがっている発電機を、上方に引き抜きました。 |
分解と関係ないですが、このパーツをトミックスのC57 1号機に使えるかな…と一瞬思いました。寸法が全然違うのでまるでムリ。 私はすでに針金で適当なものを作ってしまいました。 |
キャブを外しました。ちょうどナンバーの下あたりに、キャブと中身を留めているツメがありますが、それほどキャブの裾は開かないので無理やりな感じです。 次にライト基板を後方に引き抜いておきます。これを外さないとボイラーが外れません。 |
前デッキの横のあたりをつまんで、左右にごにょごにょ動かしながら前方に引っ張って外しました。上部のデフのステーを折らないように気をつけます。 |
ボイラーは前後の2箇所あたりで動力部の出っ張りにはめ込まれているようです。前方を少し浮かせ、次に後方をという感じでまっすぐ上に抜きました。 動力部の真上に、キャブからライトまで導光するプリズムが横たわっています。後ろの基板は撮影のために置いてみたものです。 |
しかし、まさかはるばるキャブから導光するとは思いませんでした。光ファイバーを走らせるのと同じではありますが。
光量は十分あるので、こうした構造であっても心配は要りません。
ライト消灯スイッチはありませんが、点灯させたくないときは基板を抜き取ってしまえばよいと思います。外してもモーターへの通電には影響ありません。
または、電気的なスイッチをロングキャブの屋根裏にでも仕込むなど。
テンダーは傾斜部のステップが5段タイプですが、マイクロエース製品には4段タイプもあります。 テンダーのサイズは両社ほぼ同じなので、ひょっとしたら交換可能かも? というのはドローバーなどの加工なしには無理です。写真は無理やりはめ込んでいますが、直線専用かつ少し浮いています。まあこれは、それほどやってみたくなることはないでしょう。 |
よく使われるMRC 1637サウンドデコーダーの全長と、テンダー全長はほぼ同じです。完全な内装は無理です。 サウンドは割り切ってトレーラーにでも入れるのがいいのかもしれません。もしくは外部音源で。 構わず積んでみた例です→C56にサウンドデコーダー |
テンダーの分解は、上廻りを台車枠からまっすぐ上方に引き抜くだけです。写真では外していませんが、さらに一番上の石炭モールド部も外せます。 |
水槽部はウェイトを兼ねたダイキャストのフレームでびっしりです。後部にヘッドライトと同じライト基板が付いており、これがライトレンズの足を照らしています。 |
せっかく第一動輪スポークがスケスケなので、残る先輪のスポークも抜きたくなってくるでしょう。 スポークの抜けている先輪が入手できれば、交換してみたくなります(自分で開ける方法もありますが…)。 |
トミックスのC57の先輪を付けてみたところ。 ただし、未加工でポン付けすることは無理です。先台車の幅が違うので入りません。先台車か、車輪の輪心裏側のブッシュか、どちらかを削る必要があります。 |
この模型から受けた一番大きな印象は、なんといっても「安い」というものです。
若干部品の立て付けが落ち着かない部分もありますが、スタイルはもちろん全体のディテール密度がすごいこと、車体が軽いのによく走ること、多くの部分が新規製作であることを考えますと、割引店の実売が楽に1万円を切っているのはやはり驚異と言わざるをえません。
複数購入に際しての心理的な抵抗ラインもぐっと下がるので、将来の改造用に(するかしないかは別として)、重連用に、すれ違い用に…などと、お小遣いが入るたびに揃えたくなるかもしれません。
今年から始まっている「週刊SL鉄道模型」の主力機としてもぴったりでしょう(走れるそうです。動画を送っていただきました)。
今回は小海線仕様ということで、160号機仕様や、ライトが通常タイプの製品を求める声もあるかと思います。品番はバリエーション展開を予想されるものになっているので、期待したいところです。
それにしてもこんな製品が1万円を切る価格で手に入るようになったとは、すごい時代だと重ねて思います。
(おわり)
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2013に再生産が行われています。→C56(KATO)2013年版