Nゲージ蒸気機関車>蒸機の工作>日車Cタンク(新動力)の組み立て(トーマモデルワークス)
昨年発売された日車Cタンクの動力が新型になって新たに発売されました。
上廻りは黒成型のプラキット、下廻りは黒着色済みの金属キットという構成は昨年と同じですが、動力部の構造はまったく違うものになっています。
2018.5.15
※2017年発売の旧キットに関してはこちらです。→日車Cタンクの組み立て(トーマモデルワークス)
この記事は正しい組み立て方法の解説ではなく、自分の組み立て結果のご紹介です。
実際の組み立てについては説明書をもとにご検討ください。
今回は新動力付きの蒸気機関車キットのほか、新動力ユニット単体での発売もありました。昨年あった動力なしのプラモデルは発売終了となりました。
新動力ユニットは、ワールド工芸の小型機を組み立ててきた方にも要領のわかりやすい構造で、組み立てにあたっての注意点もほぼ同じかと思います。
旧キットと同様、透明のケースに入っています。
価格は旧キットより少し上がって¥13,500+税となりましたが、内容をみると依然安いほうではないかと思います。
動力部の金属パーツです。
フレーム類は真鍮エッチングに黒の着色を施したもので、外見は旧キット同様です。
動輪はギヤ軸に圧入済みですが、輪心は未塗装のホワイトメタルで、ユーザー自身が塗装とロッドピンのネジ切りをしなくてはならなくなりました。
旧キットでは初回特典となっていたホワイトメタル製のシリンダーブロックは、標準パーツとして付属しています。同じく旧キットの初回特典だったトーマモデルEXは付属していないので、欲しい方は別買いが必要です(私にはすでに、キット組み立てに欠かせないものになっております)。
こちらは同時に発売された新動力キットです。上記の動力部パーツが小箱に収められているものです。
箱が小さいため説明書は付属しておらず、所定のURLからWEB参照する方式です。
早速組み立てます。
動力部は旧キットとは別物なので、動力部を中心に記録しました。
昨年の記事から流用した部分があり、写真も今年の製品と異なる部分がありますが、ご了承ください(要所を撮り直してはいます)。
フレームはエッチング板のA1・A2部品です。左右が電気的に分離しているので、パーツも左右に分かれています。
合計18箇所の穴(説明書に印があります)に、M1.4タップを立てました。
ヤットコで折線部分を90度折り曲げました。曲げ箇所はたくさんあるので、説明書の図をよく見て、絶対に曲げ方向を間違えないようにします。
下側にも2箇所ずつ、ネジ穴部分を内側に折り曲げるところがあります。
上部にプラ板を取り付けました。プラ板には表面に保護紙が付いているので、はがしておきます(はがしにくいときは水に漬けておきます。アクリル板レーザーカットのキットと同様)。
使用するネジの長さは前後で異なるようです。前の2本は短いネジです。
この前方の2本のネジが、上廻り合体時にウェイトに接触するとショートするので、ネジ側かウェイト側にテープを貼って絶縁するとよいです。
下から見たところです。左右のフレームが直接接触しないよう、隙間が空いていることを確かめます。
左右の間隔など、簡単に変わってしまいそうに見えますが、あとで底板のプラ板を取り付けるので安定します。
アイドラーギヤを取り付けるA3部品の中央の穴にM1.4タップを立て、左右を直角に折り曲げました。
折り曲げはアイドラーギヤを挟み込みながら行ったほうがよいかもしれません。私はしっかり曲げたかったので、先に一度曲げましたが、ギヤを入れるために少し曲げ戻す必要があります。
2個のアイドラーギヤをA3の穴にはめ込みました。軽く回ることを確かめます。
アイドラーギヤには、あらかじめギヤ軸が圧入されています。以前のトーマモデルワークスのキットと違い、自分で細かいギヤ軸を圧入する必要はなく、そのまま使えます。
2018.6.25補足 その後に気づいた点を、次のページにも記載しました。このあたりからの組み立て手順に関係することです。
→日車Cタンク新動力(トーマモデルワークス)組み立て調整メモ
アイドラーギヤを付けたA3を、フレームの下側から挿入します。
A3の曲げがあまりしっかりしておらず、開いてくるのでちょっと不安もあります。多少開いても支障ないと書かれています。
上部のプラ板の穴にネジを通し、下側にセットしたA3のネジ穴にネジ留めします。
このときA3の向きが変わりやすいので、なるべくフレームとギヤが平行になるように注意します。
このネジは動輪をはめたあと、ギヤの噛み合わせの調整のために、緩めて締め直す場合があります。
左右には集電ブラシA4,A5が付きますが、新動力では集電ブラシがなくても軸受けから集電されます。
集電ブラシは調整が難しいので、私は単に車輪のスペーサーの用途として、平らなまま取り付けておきました。
取り付けには短いサラネジ(頭の平らなネジ)を使います。
動力部の組み立て後、一応(1)集電ブラシ自体を付けないケース、(2)集電ブラシを機能させず平らなまま取り付けたケース、(3)集電ブラシを引き起こして機能させたケース、の3つを試しましたが、私の場合は(2)が最良でした。(1)は車輪のガタつきによる音がやや大きく、(3)は車輪は安定するものの、抵抗も増して別な影響が出ました。ただ上手な人が正しく調整すれば化けるかもしれません。
動輪の軸受けの着色を、細かい丸ヤスリやサンドペーパーでそっと落とし、金属の地を出してから動輪をはめ込みました。
軸受けの着色を落とす際、誤って軸受けを変形させないよう注意が要ります(軸受けは安定走行の要なので緊張します)。
旧製品では動輪のスポークが向こう側まで抜けていましたが、新製品では抜けていません。ただスポークが抜けていても、間のフレームやギヤのためにあまり目立たなかったので、今回それほど嘆く必要はないと思います。
プラ板の底板(動輪押さえ)の保護紙をはがしてから、M1.4×L1.5ネジで取り付けました。
3つの動輪が軽く回転することと、それぞれのギヤの噛み合わせに多少のアソビがあることを確認します。
アソビがないとスムーズに走らないので、A3を上から止めたネジを緩め、アイドラーギヤの前後位置を調整するようにと説明書にあります。私の作例では調整は不要でした。
モーターのリード線をフレームに接続する端子(A7)です。
折り線のある側の着色を、サンドペーパーではがしておきました。
着色をはがしたA7を直角に折り曲げ、端の穴にモーターのリード線を通してハンダ付けしました。
ハンダ付けしないときは、少し長めにリード線の被覆を剥いてA7に通し、ねじってしまえばよいと思いますが、リード線の長さに余裕がなくなります。なるべくハンダ付けしたほうが良さそうです。
モーターベースとなるA6を折り曲げ、内側3面に両面テープを貼りました。
私は剥離紙が付いた両面テープを貼ってからA6を折り曲げ、そのあと剥離紙をはがしました。
モーターの上端(リード線側)がA6の上に飛び出さないよう注意して、モーターを貼り付けました。
モーターベース(A6)と端子を、プラ板の上からネジでフレームに固定しました。
A6を留める一方のネジは絶縁用のプラネジなので、強く締めすぎないようにします。
黒・白のリード線の端子は、ネジを介して左右のフレームに接し、通電します。
レールに載せて通電し、モーターが回転することを確認しました。
まだウォームを取り付けていないので、走りはしません。
ウォームギヤをモーター軸に通し、動輪ギヤの中央に位置を大体合わせ、嫌気性接着剤(ロックタイト)で接着しました。エポキシでもよいと思います。モーターの軸受けに接着剤が付いてしまうとアウトなので緊張します。
ウォームと動輪ギヤの噛み合わせの深さは重要ですが、構造的に肉眼ではそれを確認しにくいです。深すぎたり浅すぎたりする場合は、モーターを固定しているネジとプラネジを緩めて、モーターの前後位置を調整します。
ギヤの歯が細かいので、浅くしすぎないように注意します。浅いと前進でうまくかみ合っていても、バックすると噛み合わせが外れて、ギヤ同士を擦ってしまったりします。
私の作例では、どちらかといえばモーターを前側に寄せたほうがスムーズでしたが、組み立てによって違うと思います(モーターは両面テープ留めですし)。
通電してスムーズに回転することを確認してから、軸受けに微量のオイルをさし、走行テストしました。特に問題なく走りました。
走りの感じはワールド工芸の小型機に似ていました。旧動力に比べ音はずっと静かです。ただ旧動力のほうがギヤ比が高いので低速時の力は強いかもしれません(その分組み立て調整の手数は多く、モーターが高速回転するので音も大きかった)。
フライホイールがなくなったため、固定式ポイントの無電区間を超スローで通過すると、動きが一瞬つっかえる場面もありましたが、普通のスロー?では問題なく乗り切っていました。
ここまでは、割とすぐできました(2時間くらい)。
この先はロッド類が付き、抵抗が増していく一方なので、なるべく走り具合を温存できるようにがんばって進めます。
この日の終わり際に、着色されていないホワイトメタルの輪心とシリンダーブロックを、つや消し黒で筆塗りしておきました。
完全に未塗装で済ませたかったのですが、やむをえません。
プラのランナーにダミーの下廻りが付属しているので、その輪心を削り出して使えば未塗装で済みそうですが、どう考えても塗ったほうが楽です。