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便のかさを増やし蠕動運動を促進

快便のために必要な知識と生活習慣「食物繊維」

多くの人が食物繊維を多めにとることで便秘を解消できる

便秘の人が食習慣で最も気をつかってほしいのは、食物繊維の多い食品を十分にとることです。食物繊維というのは、食品に含まれる消化吸収されない成分で、言いかえれば便の材料になる成分です。
大腸の運動が弱くて便秘をしている人が、繊維の多い食品をとると、便がたくさんたまってあまりようないのではないかと思われますが、それは逆です。便の量がふえることによって大腸に刺激を与えますから、大腸の運動が高まって、便を送り出す働きが強まります。
また、直腸に便が来たのを感じとる神経が鈍くなっている人にとつても、便の量がふえれば、それだけ感じやすくなって便意を起こし、大腸の運動も活発化します。
便の量の少ない欧米人は便の通過時間が長い傾向にあります。これに対して、アフリカの田舎の人たちは便の材料となる食物繊維のとり方が多いために便の量が多く、便の通過時間も短いことから便秘になりにくいのです。便秘にならないことで大腸がんにかかる人がほとんどいないのも大きな特徴です。ちなみに、日本人の場合は、便の量が100~170g便の通過時間は欧米人とアフリカ人の中間ぐらいですが、しだいに欧米人に近づきつつあると言われているので要注意です。

食物繊維はサラダより煮物がいい!

食物繊維の持つもう1つの効用は、水分を吸収して便をほどほどのやわらかさに保つとにあります。そのため、通じがスムーズにつきます。
また、食物繊維にはビフィズス菌など腸内細菌の中の善玉菌だけをふやす働きがあります。ビフィズス菌は糖分を分解して、乳酸などの有機酸を産出しますが、有機酸は腸を刺激して運動を促し、便通をよくする働きがあるのです。
食物繊維は野菜、海草、きのこ、果物、いも類、豆類、精白していない穀物などに多く含まれています。中でも、野菜、海草、きのこは、エネルギーがほとんどないので、太りすぎの人でも安心して食べられます。ダイエット中の女性にもおすすめです。そのうえ、体の働きにたいせつなビタミンやミネラルも豊富です。なお、青菜類はサラダなど生で食べるよりも、いため物、おひたし、なべ物など、火を通したほうがたくさん食べられ、食物繊維もたくさんとれます。
たとえば、レタスをサラダボールに山盛りいっぱいにしても、せいぜい50g程度ですが、ほうれんそうをおひたしにすれば、10gあっても小皿に一盛り、3口ぐらいで食べられてしまいます。
栄養的な見地から、1 日にとる野菜の量は300~400gぐらいが適当とされ、それだけとれるものかと首をかしげますが、火を通して料理をすると、意外にたくさん食べられるものです。ちなみに、野菜に火を通すと、ビタミン類が失われると言いますが、ビタミンの含有量は減っても、量をたくさん食べられるので、絶対量はほとんど変わりません。

野菜は大好きで積極的に食べたい気持ちはあっても時間がなくて思うように摂取できない人などは、特定保健用食品「イサゴール」などもおすすめです。食物繊維がたっぷりで味が飲みやすい青リンゴ味になています。

果物も効果的

もうだいぶ前から伝統的に果物も便秘にいい食品だと言われてきました。その理由をまとめると、次の4点があげられます。

  1. 食物繊維を多く含んでいて、便の量をふやし、やわらかさを保ちます。
  2. 水分が多く、水の補給に役立ちます。
  3. 果物に豊富なクエン酸、リンゴ酸などの有機酸には、腸を刺激して嬬動運動を起こす作用があります。ちなみに、酢というのは、酢酸、クエン酸、リンゴ酸などの有機酸で構成されていますから、便秘の人は料理に多く使用するとよいでしょう。
  4. 果物の甘みはほとんどが果糖です。果糖などの糖分は、大腸に刺激を与えて便通をよくします。また、水分を引き込む作用があり、便をやわらかくするとも言われています。現に、赤ちゃんの便秘治療には、しばしば砂糖が使われるほどです。しかし、糖分はとりすぎると肥満になりますから、果物も、便秘にいいからといって食べすぎないようにしてください。

果物の中でも特にりんごは便秘にもいいし、下痢にも効果があると言われます。りんごには、食物繊維の一種でペクチンと呼ばれる膨化剤が含まれており、便秘の場合は便をやわらかくする一方、下痢のときには水分を吸収して便を固める作用があるからです。ヨーグルトに善玉菌のえさとなるオリゴ糖を入れてりんごを入れると便秘解消におすすめです。

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