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快便のためにはできるだけ使わない

快便のために必要な知識と生活習慣「市販薬について」

薬はできるだけ使わないほうがいいがどうしても使うときは体に合った薬を選ぶ

便秘薬(下剤)は、けっして安易に使うべきではありません。できることなら食習慣や生活習慣を工夫して自然排便するがいいでしょう。結腸性便秘と直腸性便秘、それに一過性単純性便秘 で苦痛の強いときのみに限定して使用します。

なんらかの病気があって起こる症候性便秘の場合は、むやみに薬を使っていると、病気の発見が遅れ、かえって病状を進行させてしまうことがあります。

また、痙攣製性便秘の人が用いると、はげしい下痢や腹痛を引き起こします。便秘薬を使用するときには、必ず便秘の原因が何かをはっきり確認しておかなくてはなりません。また、便秘薬を初めて使用するときには、できれば医療機関を受診して処方してもらったほうがいいでしょう。そうすれば的確な効果が得られ、むだが省けますし体への負担も最小限にすみます。

市販薬の便秘薬も弱い薬を少量から始める服用方法が基本です。生活習慣、食習慣で排便できるようにするのがまず第一です。

イサゴールはとむぎ茶で出るのであれば薬はできるだけ避けましょう

寝る前に飲んで朝食後に効くのが適量

便秘薬の選び方については、作用の弱いものから始めるのが原則です。最初は、2錠と処方されても1錠で様子をみたほうがいいでしょう。

市販されている薬は、全般に作用のおだやかなものばかりで安心ですが、中でも膨張性下剤や浸潤性下剤を主剤とするものを選ぶべきでしょう。

便秘薬は、特殊なものを除いて、就寝前に服用します。そうすれば、翌朝、便がほどよいやわらかさになり、大腸も蠕動が起こりやすい状態になっています。そのうえで朝食を食べて胃・大腸が反射を起こし、排便を行うというのが、便秘薬の最も理想的な効き方です。

効果がもっと早くあらわれ、夜中に起きてトイレに行かなくてはならなかったり、下痢になったり、おなかが痛くなったりしたら、薬が強すぎる証拠です。
逆に、朝食を食べたあとも便意が起こらないようでは、薬が弱すぎるか量が足りません。
一般のかたは、便秘薬を飲んでそれだけで、すぐ通じがつかないと効果がないと考えがちです。しかし便秘薬の場合は、胃・大腸反射が起こったときに排便が起こるのが(言いかえれば、薬の作用プラス胃・大腸反射によって通じがつくのが)、最適の効果であると心得ておいてください。

作用の弱い薬を少量から開始する

便秘薬を選んで、それを服用したとします。初めに1錠飲んで、もし効きすぎたとしたら、その薬は強すぎるので、あなたの体には適しません。1錠飲んだら効果がなく、2錠飲んだら今度は効きすぎて下痢をしてしまった、という薬も不適当です。

量の調整がうまくいかない薬ですから、ほかの薬に切りかえます。

1錠飲んで効果のない場合は、少しずつ量をふやしていきます。適量が見つかればいいのですが、説明書に指示された最高量まで用いても効果がないことがあります。その場合は、あなたにはこの薬が弱いのですから、もう少し強い薬にかえてみる必要があります。

強い薬にかえて、さらに説明書の最高量を服用して効果がないときは、必ず医師に相談してください。なお、弱い薬では便が出ないし、強い薬にかえるとすぐに下痢をしてしまって、きかなった薬、きかなった量が見つからないときには、まれに巨大結腸症のような特殊な便秘の場合がありますから、医師の診断を受けるべきでしょう。

環境の変化による便秘

ある女子高生の例です。彼女は夏休みを利用し、バレーボールの合宿に出かけました。トイレが変わると便秘になる人はよくありますが、この中学生も10日間の合宿中に一度も便通がありませんでした。

帰宅して間もなくおなかがパンパンに張って腹痛が起こり、来院したときには、便がコチコチに固まっていて、指でかき出さねばなりませんでした。
旅行に出るなど、環境が変わったときに、便秘になる人がよくいますが、これを一過性単純性便秘と言います。環境に慣れたり、元の生活に戻ると自然に治るのですが、その期間が長くなると、この高校生のように、ひどい便秘で苦しむことになります。

一過性単純性便秘であっても、数日間便秘がつづくようであれば、早めに便秘薬を用いて通じをつけるようにしましょう。

便秘薬を効果的に服用する方法

まず、便秘薬を使うときの原則からです。

  1. ほかの病気で医師の治療を受けている人や、なんらかの薬を飲んでいる人は、必ず医師に相談してください。
  2. はげしい腹痛、吐きけ、嘔吐のある人は服用してはいけません。まず医師の診察を受けるべきです。
  3. 妊娠中の女性、その可能性のある女性は医師に相談しましょう。
  4. 決められた量、飲み方は必ず守ること。特に飲みすぎは厳禁です。
  5. 医師の処方した薬は、他人にあげたり、他人からもらったりしてはいけません。
  6. 便秘薬を飲んで、はげしい腹痛を伴う下痢や、嘔吐、発疹などがあらわれたら、すぐに医師に相談します。
  7. 週間ぐらい飲んで、効果の見られないときには、医師や薬剤師に相談しましょう。

医師の出す薬は作用が強いですから、市販の薬と同じに考えて量をふやすのはとても危険です。

癖にならない服用方法

便秘薬は癖になると言われます。確かにそのとおりで、むやみにつづけていると、しだいに効きが悪くなり、量がふえていきます。便秘薬なしには、排便できなくなる人もいます。

便秘薬を多量に飲むと、大腸の運動がはげしくなって、下痢を起こします。下痢を繰り返していると、大腸に炎症が起こるため、便は全部排出されているにもかかわらず、便が残っている感じがあり、便意を覚えます。そのためまた下剤を飲み、量がどんどんふえていってしまうというケースが少なくありません。下剤性結腸症候群と呼んでいるのがそれです。

こういう状態になるのは、たいてい神経質な人たちです。毎日排便しないと気分が悪く、なんとしても排便させないと気がすまないのです。初めは通じのない日だけ便秘薬を飲んでいたのが、しだいに回数がふえ、同時に量も多くなって毎日多量に飲むようになるのです。この人たちには、なるべく薬に頼らず、生活や食事の改善で排便習慣がつくようにもっていきます。

精神的な要因が強いのでなかなか治りにくく、心身症の専門医や精神科医の指導が必要な場合もあります。

一方、排便に無関心なタイプで、便秘していても気にせず、数日しておなかが張って苦しくなると、便秘薬を飲んで排便する人たちがいます。薬だけに頼っているせいで、やはり徐々に薬の量がふえていってしまいます。この人たちは、生活と食事の指導をきちんとして実行させれば、排便の習慣がついて、薬をやめることができます。つまり、便秘治療の主役を薬にまかせてしまうと、癖になり薬の量がふえていくのです。

主役を生活と食事におき、便秘薬は排便習慣をつけるための脇役においておけば、癖になることはありません。またそうすれば、薬の量を減らしていくことができますし、副作用もほとんど心配いりません。

ビタミンEとの併用がおすすめ

市販の便秘薬は、なるべく作用のおだやかな、副作用の少ないものが選ばれています。また、最近ではすぐれた薬が開発されるようになりました。しかし、いずれも使っているうちに効き方が悪くなる可能性があり、大なり小なり癖になるようです。
これを避ける1つの方法として、ビタミンE 錠や、ラクツロース、フラクトオリゴ糖などを、便秘薬と併用することをーおすすめします。

これらの薬品は、便をやわらかくして通じをつける作用があるものの、ほかの便秘薬にくらべれば効果の点で劣ります。しかし、便秘薬と併用すれば、便通をつける働きが高まりますから、薬の量を減らし、やがては薬ときっばり緑を切る助けになるでしょう。これらの薬品には、副作用がないどころか、むしろいい作用があります。
ビタミンE は動脈硬化を防ぎ、成人病予防や自律神経失調症の改善に効果があります。ラクツロースやフラクトオリゴ糖には、腸内ビフィズス菌をふやす働きがあり、便秘を治すだけでなく、老化防止、成人病予防に効果があります。

ビタミンEについてはこちら。

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