「愛情砂漠」は映画「赤い鳥逃げた?」のサントラ盤に収録されています。歌っているのは原田芳雄。
原田芳雄は、日活映画「関東幹部会」に新人で登場した頃からのファンです。無頼で、男臭くて、アドリブをまじえた台詞回しが
何とも良い雰囲気を醸し、最近では頑固者のオヤジっぽい印象を与えていますが、時代に逆らう無頼漢のイメージが、
柔な今の世には「頑固者」に見えてしまうのでしょう。サントリー「角」のコマーシャルでも「変われ変われの大合唱が、耳に
五月蝿てしょうがない。そんなに時代に流されたけりゃ、アンタラ、勝手にお行きなさい」と、アナクロニズムに徹しています。
原田芳雄はブルースのレコードを何枚か出しています。この「愛情砂漠」は、コーラスに桃井かおり、大門正明も加わり、
ぶっきらぼうな歌い方の原田節が炸裂します。「人の心は水玉のよう」とか「弾け散るのは夢ばかり」とか「いつになったら果し合い」とか、少々お酒の入ったぶっきらぼうな調子だから、虚脱感ややり場のない怒りが、やけっぱちな反抗の狼煙の「果たし状」の響きとなって聴こえてくる。
こんな調子の歌ですから、年甲斐も無く「ざけんなヨ、こんちきしょう」なんて、どうしても合点がいかない時、いつのまにか歌っていたりするもので、溜飲を下げる処方箋となってます。ひょっとしたら原田芳雄という無頼漢が心の片隅に宿っているのかも。
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