「酔ヶ浜」は内藤やす子のアルバム「サタデークィーン」に収録されています。作詞阿木曜子、作曲宇崎竜童。
実は内藤やす子のファンで、クルセイダーズの「STREET LIFE」を歌ってくれないかなぁと、ひそかに思い続けているのです。
「酔ヶ浜」はボサノバ調の曲で、いつも口ずさむ度にアルコールなしで酔ってます。
歌い始めの歌詞「三軒目からは意識が薄れ 飲んでる場所さえはっきりしない」から、はしご酒の余韻に浸
っています。その後に「別れの手口が 鮮やかすぎて 責める言葉も 言いそびれたよ」って続きますから、
女性の恋の泥酔い気分を歌ったものでしょうが、コチトラ既にほろ酔い気分、歌いながら勝手に歪曲したイメージに
身を任せて気持ち良くなっている始末。
「酒には肴がいる 浜には魚がいる」ときて、「肴」を「魚」に変幻させて、一気にアルコールの海で泳ぐ魚気分に
させてしまうあたりが、何とも憎いくらいに上手い。
「銀の鱗を光らせて」には、女性の美白の胸に輝くペンダントや網タイツの装いやらが、さながら「鱗」のように髣髴と
ちらつき、「波打ち際で跳ねるのさ」に酔った勢いで白いシーツの浜辺にベッドインしてしまい、
やがて「砂の涙を流す」女の子の酔いざまを想像しては・・・そう、「明日はどこの浜辺に 打ち上げられる」なんて女性の性(さが)を案じたりするのですが、所詮は、はしご酒、一夜の火遊び。
内藤やす子が持ち前のハスキーボイスで、ボサノバのリズムに乗って千鳥足気味に歌ってくれる「酔ヶ浜」に調子を合わせて
歌っていると、ついついネオン瞬く飲み屋街の路地裏に迷い込んでしまいます。
宇崎竜童ご夫妻は、二日酔いするような罪作りな佳曲を作ってくれたものです。
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