孩兒 志を立てて 郷關を出づ,
學びて 名を成さざれば 誓って 還らず;
骨を埋むるに 何ぞ 桑梓の地を須ゐん,
人間 靑山たらざる處 無し。 /人間 處として靑山たらざる 無し。
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私感註釈
※この詩は、作者が十七歳の時の作である。この年の秋、故郷の韶山を離れて、湘郷県立東山高等小学堂に入った。その折りの作である。これは、日本の幕末の人、釈月性の「男兒立志出郷關,學若無成不復還。埋骨何期墳墓地,人間到處有靑山。」
(或いは「男兒立志出郷關,學若無成死不還。埋骨何期(豈惟)墳墓地,人間到處有靑山。」)を基にしている。なお、この詩題は、後に人に因ってつけられたものであり、別の題名のもある。
※孩兒立志出郷関:子どもが心を奮い起こして、故郷の村の門を出たからには。 ・孩兒:(白話)子ども。 ・立志:志を立てる。志を立てる。目的を決める。心を奮い起こす。奮発する。 ・郷關:故郷の村の門。転じて、故郷。
※学不成名誓不還:学問をして名をなせないようならば、誓って還ることはない。 ・学不成名:学問をして名をなせない。 ・成名:名をなす。 ・誓不還:誓って還らない。絶対にかえらない。=「誓死不還」。
※埋骨何須桑梓地:骨を埋める(=死ぬ)のは、どうして郷里であるとする必要があろうか。 ・埋骨:骨を埋める。死ぬこと。 ・何須:どうして…する必要があろうか。なんぞ もちいん。なんぞ すべからく。 ・桑梓地:郷里。故郷の意。昔、自宅の周りに父祖が子孫のために桑(くわ)や梓(あずさ)を植えたことに起因した呼び方。
※人間無処不青山:人の世では、墓所としないところはない。(人の世では、どこであっても、死に場所があるのだ。)人間 処として青山たらざるなし。 ・人間:〔じんかん;ren2jian1○○〕。浮き世。この世。人の社会。 ・無…不…:〔wu2…bu4…〕…しない…はない。【「無」+〔名詞〕+「不」+〔動詞〕】の形で、…しない…はない。 ・無処不靑山:墓所とする青山でないところはない。どこでも墓所たり得る。【無処不-】全て…だ。ところとして…を…(さ)ざるなし。【無+〔名詞A〕+不+〔動詞B〕:〔B行為を〕しない〔A名詞〕は、ない】。(結果として)二重否定。盛(?)唐・荊叔の『題慈恩塔』に「漢國山河在,秦陵草樹深。暮雲千里色,無處不傷心。」
とあり、中唐・劉禹錫の『元和十一年自朗州召至京戲贈看花諸君子』に「紫陌紅塵拂面來,無人不道看花回。玄都觀裏桃千樹,盡是劉郎去後栽。」
とある。 中唐・韓翃の『寒食』に「春城無處不飛花,寒食東風御柳斜。日暮漢宮傳蠟燭,輕煙散入五侯家。」
とある。 ・無処:「何処」ともする。同義。 ・飛花:(春風に乗って)飛び交う花。 ・靑山:墓所。
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◎ 構成について:
七言詩。韻式は「AAA」。脚韻は、「關還山」で、上平十五刪。 この詩の平仄は次の通り。
○○●●●○○(韻),
●●○○●●○(韻)。
○●○○○●●,
○○●●●○○(韻)。
2001. 9.20完
9.21補
2013. 3.16
2015. 9.16
2016. 1.13
2018.10.31
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