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北風吹白雲,
萬里渡河汾。
心緒逢搖落,
秋聲不可聞。
汾上 秋に 驚く
北風 白雲を 吹き,
萬里 河汾(かふん)を 渡る。
心緒 搖落(えうらく)に 逢(あ)ひ,
秋聲 聞く 可(べ)からず。
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◎ 私感註釈
※蘇:〔そてい;su1ting3〕。唐代の詩人。
※汾上驚秋:汾河〔ふんが;fen2he2〕の畔で秋の訪れに心を揺れ動かす。賈島の『渡桑乾』「客舍并州已十霜,歸心日夜憶咸陽。無端更渡桑乾水,卻望并州是故鄕。」と雰囲気が似た詩である。ともに、河が人生を大きく隔てることを詠っている。 ・汾上:汾河の畔。 *漢・武帝 劉徹の『秋風辭』「秋風起兮白雲飛,草木黄落兮雁南歸。蘭有秀兮菊有芳,懷佳人兮不能忘。汎樓船兮濟汾河,橫中流兮揚素波。簫鼓鳴兮發櫂歌,歡樂極兮哀情多。少壯幾時兮奈老何。」
に基づく。 ・驚秋:秋の訪れに心を動かす。
※北風吹白雲:冬の北風が白雲に吹きつけて。 ・北風:冬の風になる。 ・白雲:白い雲のことであるが、人間世界を離れた、超俗的な雰囲気を持つ語である。東晉・陶淵明『和郭主簿』「藹藹堂前林,中夏貯清陰。凱風因時來,回飆開我襟。息交遊閑業,臥起弄書琴。園蔬有餘滋,舊穀猶儲今。營己良有極,過足非所欽。舂作美酒,酒熟吾自斟。弱子戲我側,學語未成音。此事真復樂,聊用忘華簪。遙遙望白雲,懷古一何深。」や、王維の『送別』「下馬飮君酒,問君何所之。君言不得意,歸臥南山陲。但去莫復問,白雲無盡時。」
王之煥の「黄河遠上白雲間,一片孤城萬仞山。羌笛何須怨楊柳,春風不度玉門關。」
など多く詠まれる。
※萬里渡河汾:故郷を遙か離れた(ここで)汾河を渡る。 ・萬里:遙か離れた。長大な。 ・渡:河を渡る。前出『秋風辭』では「汎樓船兮濟汾河,橫中流兮揚素波。」に該る。 ・河汾:汾河のこと。黄河の支流。汾水。山西省の寧武県に源を発し、河津県で黄河に注ぎ込む。ここでは、「汾」を韻脚としたために、こう顛倒させた。
※心緒逢搖落:心のあり方は、ひらひらと散る落ち葉(のような哀しいできごと)に出逢って(からというものは)。 ・心緒:こころもち。心の動き。心のあり方。 ・逢:(偶然に)あう。出逢う。 ・搖落:〔えうらく;yao2luo4○●〕草木がひらひらと散る。物が揺れ落ちる。
※秋聲不可聞:(哀しみを倍加させる)秋の気配を感じさせるもの音には、たえられなくなった。 ・秋聲:秋の気配を感じさせる音。 ・不可:…ことができない。…べからず。
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◎ 構成について
韻式は「AAA」。韻脚は「雲汾聞」で、平水韻上平十二文。次の平仄はこの作品のもの。
●○○●○,(韻)
●●●○○。(韻)
○●○○●,
○○●●○。(韻)
2005.2.7 2.8 |
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