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臨平道中 | |
北宋・道潛 |
風蒲獵獵弄輕柔,
欲立蜻蜓不自由。
五月臨平山下路,
藕花無數滿汀洲。
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臨平 道中
蒲 に風 き獵獵 輕柔 を弄 び,
立たんと欲する蜻蜓 自由ならず。
五月臨平 山下 の路 ,
藕花 無數汀洲 に滿 つ。
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◎ 私感註釈
※道潜:北宋の詩僧。別号に参寥子。於潛(現・浙江省臨安の西)の人。1090年前後に在世。
※臨平道中:臨平山下の旅の途中にて(詩を作る)。 *蘇軾は、この詩を高く評価したと云う。後世、南宋・楊萬里に『過臨平蓮蕩』「人家星散水中央,十里芹羹菰飯香。想得薰風端午後,荷花世界柳絲鄕。」がある。 ・臨平:臨平山のこと。現・浙江省杭州市の東北にある。後に臨平鎮となる。 ・道中:旅の途中。
※風蒲猟猟弄軽柔:ガマ、ショウブの類(の水辺の草)に風があたって、(水辺の草を)はためかせて、軽やかでなめらかに動かしている(ため)。 ・風:かぜふく。かぜがふく。かぜにあたる。動詞。南宋・陳與義の『春寒』に「二月巴陵日日風, 春寒未了怯園公。海棠不惜臙脂色,獨立濛濛細雨中。」とある。 ・蒲:〔ほ;pu2○〕ガマ、ショウブの類。 ・猟猟:〔れふれふ;lie4lie4●●〕風の吹く音。風にはためくさま。風にはためく音。 ・弄:いじる。いじくる。(手で)動かす。もてあそぶ。 ・軽柔:〔けいじう;qing1rou2○○〕軽やかでなめらかである。
※欲立蜻蜓不自由:トンボが留(と)まろうとするが、(なかなか)思い通りになれない(でいる)。 ・欲立:留(と)まろうとする、意。 ・蜻蜓:〔せいてい;qing1ting2○○〕トンボ。 ・自由:(中国の伝統的な意味:)思いのまま。思い通りに。随意。勝手気まま。ここは、前者の意。毛沢東の『反對自由主義』も、この意。なお、「自由」は、和製漢語(=日本製漢語)としての「自由平等」「自由民権」といったばあいの「自由」もあるが、ここでは関係がない。
※五月臨平山下路:陰暦の五月(=現在の六月頃)の臨平山の山下の路では。 ・五月:陰暦の五月。現在の(五月下旬~)六月(~七月上旬)頃に該る。
※藕花無数満汀洲:蓮(はす)の花が、数限りなく中州(なかす)に満ちている。 ・藕花:蓮(はす)の花。なお、「藕」は:はすのね。蓮根(れんこん)のこと。 ・無数:数限りなく。 ・汀洲:〔ていしう;ting1zhou1○○〕水中に土砂が積もって出来た低い陸地。なぎさと中州(す)。
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◎ 構成について
韻式は、「AAA」。韻脚は「柔由洲」で、平水韻下平十一尤。この作品の平仄は、次の通り。
○○●●●○○,(韻)
●●○○●●○。(韻)
●●○○○●●,
●○○●●○○。(韻)
2019.8. 9 8.10完 8.13補 |
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