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淸明上河圖畫讃其十 | |
如壽 |
妙筆圖成意自深,
當年景物對沈吟。
珍藏易主知多少,
聚散春風何處尋。
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淸明上河圖畫讃 其の十
妙筆の圖 成りて 意 自づから深く,
當年の景物に 對して 沈吟す。
珍藏 主を易へたること 多少なるを 知り,
春風に 聚散して 何處にか尋ねん。
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◎ 私感註釈
※如壽:
※淸明上河圖畫讃其十:『清明上河図』の画讃にある絶句の其の十。清明節の帝都の川((汴水)の畔の殷賑を描いた)絵の画讃詩其の十。或いは、天下が平和に治まっていた時代の帝都の川((汴水)の畔の殷賑を描いた)画讃の絶句の其の十。普通は前者の意を採る。 *北宋末、張擇端によって描かれた北宋の首都・汴梁(開封/汴京)とそこを流れる汴河の風物絵巻物である。『清明上河図』に書き添えられた詩。複製が北京で売られており、伊勢丘人先生が手に入れられ、絵画の後に書かれている画讃部分の詩文の釈文をされた。本ページの原詩は伊勢丘人先生のものに依る。 ・淸明上河圖:〔せいめいじゃうがづ;qing1ming2shang4he2tu2〕画題。普通は『清明節の帝都の川((汴水)の畔の殷賑を描いた)絵』の意とするが、果たしてこの絵は本当に清明節(新暦・四月五、六日頃)を描いたものか。『天下が平和に治まっていた時代の帝都の川((汴水)の畔の殷賑を描いた)絵』の方が相応しくないか。北宋末、張擇端によって描かれた汴水の流れる北宋の首都・汴梁(開封/汴京)の賑わいを描いた絵巻物。 ・淸明:天下が平和に治まる。または、清明節で、二十四節気の一。新暦の四月五、六日ごろに当たる。 ・上河:帝都の川。また、川を溯る。 ・畫讃:絵に書き添えたほめことばや詩歌。
※妙筆圖成意自深:じょうずな筆遣いの絵が出来上がって、思いは自然と深まり。 ・妙筆:じょうずな書画や筆跡。 ・圖成:絵画が出来上がる。 ・意:思い。心。 ・自深:自然と深まる。
※當年景物對沈吟:(絵画中の)往時の風物に向かえば、思いにふけってしまう。 *「當年景物對沈吟」の句は「當年景物,對之沈吟」「對當年景物,沈吟」の意。節奏のため、語順が変えられた。 ・當年:〔たうねん;dang1nian2○○〕昔。そのかみ。往年。 ・景物:眼に接する自然界のながめ。自然の風物。景色。 ・對:…に向かって。…に向かう。 ・沈吟:思いにふけって口くちずさむ。思いをひそめ、充分検討する。
※珍藏易主知多少:めずらしい宝物(として大切にされたこの『清明上河図』)は、どれほど持ち主を替えたことだろうか。 ・珍藏:めずらしいものとして、大切にする。しまってある宝物。 ・易主:持ち主をかえる。 ・知多少:唐・孟浩然の『春曉』「春眠不覺曉,處處聞啼鳥。夜來風雨聲,花落知多少?」がある。 ・多少:どれほど。
※聚散春風何處尋:(かつての持ち主の魂は、)春風に集まったり散らばったりして、どこに探し求めることができようか。 ・聚散:〔しゅ(う)さん;ju4san4●●〕集まると散ると。集まったり散らばったりすること。 ・何處:どこ。 ・尋:たずね求める。探し求める。
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◎ 構成について
韻式は、「AAA」。韻脚は「深吟尋」で、平水韻下平十二侵。この作品の平仄は、次の通り。
●○●●●○○,(韻)
○●○○○●○。(韻)
●●○○○●●,
●○○●●○○。(韻)
2010.9.5 9.6 |
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