梅花此日未生芽, 旋轉乾坤屬畫家。 筆底春風揮不盡, 東塗西抹總開花。 |
畫梅に題す
梅花 此 の日未 だ芽を生ぜず,
乾坤 を旋轉 さするは畫家 に屬す。
筆底 の春風 揮 ひて盡 きず,
東塗 西抹 して總 て花を開かす。
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◎ 私感訳註:
※李方膺:清の画家。康煕三十四年(1695年)〜雍正十九年?(1754年(?))。字は虬仲、号は晴江・秋池、桑苧翁など。江蘇省南通県の人。雍正年間初めに賢良方正に挙げられた。揚州に往来して画を売った。梅蘭松竹を得意とした。「揚州八怪」の一人で、博学多才。
※題画梅:描かれた梅について、詩を作る。 ・題-:ある事物につき、詩文を作る。 ・画梅:描かれた梅の意。
※梅花此日未生芽:梅の花は、(今日の)この日には、まだ芽を出していない。 ・此日:この日。 ・未生芽:まだ芽を出さない意。
※旋転乾坤属画家:天地を運行(=季節を変化させること)を司るのは、画家の仕事に属することだ。 ・旋転:〔せんてん;xuan2zhuan3○●〕回転する。くるくる回る。ぐるぐる回る。 ・乾坤:天地。 ・属:属する。
※筆底春風揮不尽:ふでさきの春風は、ふるってやまないで。 ・筆底:ふでさき。 ・揮不尽:ふるい尽くせない。(筆を)ふるい尽くすことができない。(筆を)ふるってやまない。 *【動詞+不+…】「しおおせない」趣きがある。 ・揮:(筆を)ふるう。揮毫する。
※東塗西抹総開花:あちらを塗ったり、こちらをこすったりして、花をすべて咲かせた。 ・東塗西抹:あちこち塗りつけて。あちらを塗ったり、こちらをこすったりして。 *互文による表現で、一方で述べたことは他方で省き、双方であい補うようにした表現法。互文表現では「あたかも…の如く」といった形容の表現に多く使われる。この「水克R明」「S1+V1,S2+V2」という互文の互文表現を止めて、「水山獄セ」や「山水明香vとすれば、事実を述べることになる。方向詞、対義語、反義語からできている主語+述語構造のとき、その形容のための表現として、互文表現がされる。盛唐・杜甫の『詠懷古跡五首』之三に「羣山萬壑赴荊門,生長明妃尚有村。一去紫臺連朔漠,獨留塚向黄昏。畫圖省識春風面,環珮空歸月下魂。千載琵琶作胡語,分明怨恨曲中論。」とあり、晩唐・杜牧の『漢江』に「溶溶漾漾白鴎飛,此ト春深好染衣。南去北來人自老,夕陽長送釣船歸。」とあり、北宋・蘇軾の『鷓鴣天』に「林斷山明竹隱牆,亂蝉衰草小池塘。翻空白鳥時時見,照水紅蕖細細香。 村舍外,古城旁,杖藜徐歩轉斜陽。殷勤昨夜三更雨,又得浮生一日涼。」とあり、南宋・岳飛の『池洲翠微亭』に「經年塵土滿征衣,特特尋芳上翠微。好水好山看不足,馬蹄催趁月明歸。」とあり、南宋・陸游の『遊山西村』に「莫笑農家臘酒渾,豐年留客足鷄豚。山重水複疑無路,柳暗花明又一村。簫鼓追隨春社近,衣冠簡朴古風存。從今若許陂ゥ月,拄杖無時夜叩門。」とあり、我が国の明治初期・雲井龍雄の『釋大俊發憤時事慨然有濟度之志將歸省其親於尾州賦之以贈焉』に「生當雄圖蓋四海,死當芳聲傳千祀。非有功名遠超群,豈足喚爲眞男子。俊師膽大而氣豪,憤世夙入祇林逃。雖有津梁無處布,難奈天下之滔滔。惜君奇才抑塞不得逞,枉方其袍圓其頂。底事衣鉢僅潔身,不爲鹽梅調大鼎。天下之溺援可收,人生豈無得志秋。或至虎呑狼食王土割裂,八州之草任君馬蹄踐蹂。君今去向東海道,到處山河感多少。古城殘壘趙耶韓,勝敗有跡猶可討。參之水駿之山,英雄起處地形好。知君至此氣慨然,當悟大丈夫不可空老。」とあり、明治・夏目漱石の『無題』に「眞蹤寂莫杳難尋,欲抱虚懷歩古今。碧水碧山何有我,蓋天蓋地是無心。依稀暮色月離草,錯落秋聲風在林。眼耳雙忘身亦失,空中獨唱白雲吟。」とあり、明治・竹添井井の『灞橋』に「水山明閲幾朝,古陵寂寞草蕭蕭。多情祇有風前柳,飛絮隨人過灞橋。清末・秋瑾の『致徐小淑絶命詞』に「痛同胞之醉夢猶昏,悲祖國之陸沈誰挽。日暮窮途,徒下新亭之涙;殘山剩水,誰招志士之魂?不須三尺孤墳,中國已無乾淨土;好持一杯魯酒,他年共唱擺崙歌。雖死猶生,犧牲盡我責任;即此永別,風潮取彼頭顱。」とあり、現代では、毛沢東の『長征』に「紅軍不怕遠征難,萬水千山只等。」とある。 ・東…西…:あちこち。方々(ほうぼう)。 ・塗抹:〔とまつ;tu2mo3〕塗(ぬ)る。塗(ぬ)りつける。塗って消す。塗って色を付ける。化粧する。 ・総:すべて。「開」にかかる。
◎ 構成について
2014.3.13 3.14 3.15 |
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