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江畔誰家唱竹枝, 前聲斷咽後聲遲。 怪來調苦縁詞苦, 多是通州司馬詩。 |
江畔の 誰が家ぞ 竹枝を 唱ふ,
前聲 斷ち咽(むせ)びて 後聲 遲し。
怪(いぶかし)み來たれば 調べの 苦しきは 詞の苦しきに 縁(よ)る,
多くは是れ 通州 司馬の詩ならん。
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◎私感註釈
※竹枝:民謡。
※江畔誰家唱竹枝:川辺のどこの家だろうか、竹枝を唱っている。 ・江畔:長江のほとりの。 ・誰家:だれの家。どこ。だれ。「家」字の意味は強くない。初唐・張若虚の『春江花月夜』「春江潮水連海平,海上明月共潮生。隨波千萬里,何處春江無月明。江流宛轉遶芳甸,月照花林皆似霰。空裏流霜不覺飛,汀上白沙看不見。江天一色無纖塵,皎皎空中孤月輪。江畔何人初見月,江月何年初照人。人生代代無窮已,江月年年祗相似。不知江月待何人,但見長江送流水。白雲一片去悠悠,青楓浦上不勝愁。誰家今夜扁舟子,何處相思明月樓。可憐樓上月裴回,應照離人妝鏡臺。玉戸簾中卷不去,擣衣砧上拂還來。此時相望不相聞,願逐月華流照君。雁長飛光不度,魚龍潛躍水成文。昨夜鞨K夢落花,可憐春半不還家。江水流春去欲盡,江潭落月復西斜。斜月沈沈藏海霧,碣石瀟湘無限路。不知乘月幾人歸,落月搖情滿江樹。」や、唐・劉希夷の『白頭吟(代悲白頭翁)』「洛陽城東桃李花,飛來飛去落誰家。」、白居易の『聞夜砧』の「誰家思婦秋擣帛,月苦風凄砧杵悲。八月九月正長夜,千聲萬聲無了時。」 、晩唐・蜀・韋莊『思帝郷』「春日遊,杏花吹滿頭。陌上誰家年少、足風流。妾擬將身嫁與、一生休。縱被無情棄,不能羞。」、両宋・張元幹『石州慢』の「己酉秋呉興舟中作」に「雨急雲飛,瞥然驚散,暮天涼月。誰家疏柳低迷,幾點流螢明滅。夜帆風駛,滿湖煙水蒼茫,菰蒲零亂秋聲咽。夢斷酒醒時,倚危檣C絶。 心折,長庚光怒,群盗縱横,逆胡猖獗。欲挽天河,一洗中原膏血。兩宮何處?塞垣只隔長江,唾壺空撃悲歌缺。萬里想龍沙,泣孤臣呉越。」もこれと同義。なお、漢・樂府の『蒿里曲』「蒿里誰家地,聚斂魂魄無賢愚。鬼伯一何相催促,人命不得少踟。」や、魏・曹植の『白馬篇』の「白馬飾金羈,連翩西北馳。借問誰家子,幽并遊侠兒。少小去ク,揚聲沙漠垂。宿昔秉良弓,矢何參差。」は本義か。「家」の意は必ずしも強くない。白居易の『聞夜砧』の「誰家思婦秋擣帛,月苦風凄砧杵悲。八月九月正長夜,千聲萬聲無了時。」 、韋荘の『思帝ク』「春日遊,杏花吹滿頭。陌上誰家年少、足風流。妾擬將身嫁與、一生休。縱被無情棄,不能羞。」 も同義。 ・唱竹枝:竹枝を唱っている。
※前聲斷咽後聲遲:前段のかけ声の「竹枝」は声が詰まって、後段のかけ声の「女児」はゆるやかでゆったりとしている。 ・前聲、後聲:あいのて。かけ声。前段四語を唱った後に言うかけ声と後段三語を唱った後に言うかけ声。皇甫松の竹枝詞ではその句が「檳榔花發竹枝鷓鴣啼女兒」と表現されているが、その内の「檳榔花發」の後に言う「竹枝」のかけ声が前声であり、「鷓鴣啼」の後に言う「女兒」が後声となる。 ・斷咽:声が詰まる。 ・遲:ゆるやかである。ゆったりとしている。のんびりとしている。時間的に延びている様をいう。
※怪來調苦縁詞苦:いぶかしく思ったところでは)音楽の調べが難しいのは(唱いにくいのは)、歌詞が難しいからだ。 ・怪來:いぶかしく思ったところでは。怪しみ出せば。不思議に思えば。 ・−來:…ところでは。動詞(形容詞)の後に助字として附く。唐・王維の『班婕、』に「怪來妝閣閉,朝下不相迎。總向春園裏,花間笑語聲。」とある。 ・調苦:音楽の調べが難しく。唱いにくいのは。 ・縁:…のため。…による。 ・詞苦:歌詞が難しい。
※多是通州司馬詩:おそらくその多くは、通州の司馬である元の詩だ。 ・多是:(古白話)たぶん。(南方方言)みな…だ。多くは。 ・通州司馬:通州の司馬。ここでは元を指している。通州司馬の元は、白居易の親友。そのための親しさを籠めたもの。白居易は『雨夜憶元九』で「天陰一日便堪愁,何況連宵雨不休。一種雨中君最苦,偏梁閣道向通州。」と、元を気遣っての詩がある。 ・通州:『中国歴史地図集』第五冊 隋・唐・五代十国時期(中国地図出版社)52−53ページの「山南西道」では、京城(長安:現・西安)の東南200キロメートル強のところで、都市(現・四川達県市)でもあり、更に広域の地方名でもある。京城と通州の関係は、京城(現・西安)⇒(鳳州)⇒梁州⇒集州(現・南江)⇒巴州(現・巴中)⇒通州(現・四川達県市)となる。
◎ 構成について
平韻一韻到底。 韻式は「AAA」。韻脚「枝遲詩」は平水韻上平四支。次の詞調はこの作品のもの。「調」は多音字。
○●○○●●○,(韻)
○○●●○○●。(韻)
●○○●○○●,
○●○○○●○。(韻)
2002.5.21完 5.27補 2007.3.26 2009.7.23 |
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