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USA 2003 116 Min. 劇映画
出演者
Paul Walker
(Chris Johnston - 教授の息子)
Frances O'Connor
(Kate Ericson - 発掘チームのメンバー)
Gerard Butler
(Andre' Marek - 発掘チームのメンバー)
Billy Connolly
(Edward Johnston - 発掘チームのリーダー、教授)
David Thewlis
(Robert Doniger - 考古学発掘のスポンサーITC社の社長)
Anna Friel
(Lady Claire - アーノの妹)
Neal McDonough
(Frank Gordon - ITC社の男)
Matt Craven
(Steven Kramer - ITC社の男)
Ethan Embry
(Josh Stern - 発掘チームのメンバー)
Michael Sheen
(Sir Oliver de Vannes - イギリス軍の指揮者)
Lambert Wilson
(Arnaut de Cervole/The Archpriest - クレアの兄、フランス軍の指揮者)
Marton Csokas
(De Kere)
Rossif Sutherland
(François Dontelle - 発掘チームのメンバー、フランス語に堪能)
Patrick Sabongui
(Jimmy Gomez - 海兵隊の男)
見た時期:2004年3月
スタスキー&ハッチに続き軽い作品第2弾。タダでないと見ない方がいいような作品です。これももしかしたらリメイクなのかも知れません。ドイツではそういう風に銘売っていませんが、昔見たテレビのタイム・トンネルと筋がよく似ています。ドナー監督はもっといい作品を作っていたのではないかと思いま すが、タイムラインは空振りです。冒頭は結構ミステリアスで、この乗りでずっと行けば同じストーリーでもうまく行ったのではないかと思います。俳優もそう駄目な人ばかりでなく、個性のある人も参加しているのです。しかしアンサンブルが悪かったのか(しかし共演者がいがみ合っているようには見えなかった)、演出が悪かったのか、脚本が悪かったのか、ぽしゃってしまいました。
わりと注目の冒頭はこんな風です。ある日道路上に忽然と現われた男が保護されます。大怪我をしていて心臓マッサージ、電気ショックの甲斐も無く救えませんでした。解剖の結果驚くべき事が分かります。この人の内臓、骨などがすべてずれているのです。まるでファックスを送っている最中にトラブルが起き、文字がややずれてしまったかのように。この謎に答を与えられる研究組織があり、科学者たちが現代の人間を中世へ送り込んだ事実が判明します。実はこの男 ITC という会社の学者だったのです。この辺のコンセプトはタイム・トンネルと同じです。
タイム・トンネルと違うのは、元から中世に人を送り込む予定ではなく、元々はニューヨークにある別な機械に人を送信しようという試みだったという点。それこそ人間ファックスのはずだったのです。
ある日フランスのドルドーニュの修道院の発掘調査をやっている考古学者の教授が行方不明になり、現場で一緒に仕事をしていた若い研究者たちが心配を始めます。ここから話に飛躍があり、突然この若者たちが ITC 社の研究機関と繋がりができ、あっという間にうち数人が中世へ送られることになります。ITC 社が調査団のスポンサーだったという話で一応こじつけてあります。
失踪した教授は伝送がうまく行かず、中世の百年戦争の戦場のど真ん中に取り残され たままになっているので回収のために人を送らなければ行けないのです。メンバーは海兵隊員、会社の研究に携わっている男、フランス語の通訳ができる考古学者グループの男、発掘をやっているメンバー。1人は行方不明になった教授の息子です。現代に戻るためには渡されたペンダントのような物のボタンを押します。すると信号が現代に伝わり、過去からその人を引っ張り出すという仕掛けです。
1357年という途方も無い時代、日本では足利の時代に迷い込み、戦争のど真ん中に来てしまっただけでも大変ですが、イギリスとフランスは仲が悪かったのでフランス人に英語をしゃべっているところを見つかると命が危ないのです。それでスコットランド人という事にしてあります。スコットランド人だと分かると今度はイングランド人が怒ります。フランスはスコットランドを応援していたので、フランス人はスコットランド人なら殺さないというわけです。
2000年代の英語が1357年に通じるなどという途方も無い与太話も出て来ます。私が身を入れて勉強したのはドイツ語だけですが、英語の文法などもチラッと見た事があります。1300年代と2000年代では単語も違いますし、発音も違う。ちなみに当時のドイツなど欧州には統一された標準語はありません。その上英語の文法はまだかなりドイツ語に近く、今の英語よりずっとややこしいのです。そんな言葉をこの若者たちはすらすらしゃべるのでしょうか。その上、彼らが相手にするのは貴族と兵士。社会が違うので言葉遣いも全然違うはずです。そういうところをきれいに無視して、ドイツ語版では出演者がその辺で聞こえる現代ドイツ語の標準語を声優がしゃべっていました。
こういう与太話でも時代公証をしっかりやると非常におもしろい話ができるはずです。集まっている俳優はそうそうだめな人ばかりの集団ではありません。フランセス・オコーナーはジェフリー・ラッシュと共演で悪魔大臣に出ていた人で、悪魔大臣は非常におもしろい映画でした。ビリー・コノリー は元々はスタンドアップ・コメディアンですが、処刑人ではカッコイイおやじを演じています。知らないうちにラスト・サムライで上の方にクレジットされるほど出世しています。処刑人の続編は制作が難航しているようですが、コノリーの続投は決まっています。ポール・ウォーカーは大根ですが、スター。Pleasantville、She's All That、Brokedown Palace、The Fast and the Furious、2 Fast 2 Furious と順調に進んで来ています。ジェラルド・バトラーはトゥームレイダー2で主演を取っている人。マット・クラバンは最近ではライフ・オブ・デビッド・ゲイルで謎の男を演じていました。そのほか挙げていたら切りがありませんが、皆それほど無名でない、おもしろい作品に出ています。ですからこれだけの人材を集めたらかなりの事ができると思うのです。
プロットの方も途中で息切れしたのか、置いてきぼりにされたテーマがありました。中世に派遣された1人が戻って来るのですが、その時に手榴弾を手にしたままだったので、戻ったばかりの時に研究室で爆発が起きてしまうのです。中世には帰還用のペンダント以外は時代と合わない物は持って行ってはいけないと言われていても、海兵隊は武器を持って行ってしまったのです。危機に瀕してそれを使おうとしたところで現代に戻されたので、研究室がこなごなになってしまいます。ニューメキシコの機械が壊れた時、ニューヨークにあるもう1つの機械を使えばいいじゃないかと思ったのは私1人ではなかったようなのですが、それについては映画の中では触れずじまい。
もう何度か引き合いに出しましたが、ザ・コアのようにどうしようもない筋を中堅の俳優が監督と一緒に努力して楽しい娯楽映画に仕上げたという例があるのです。やる気を出せば何とかなりそうな題材だったと思うのになあ。ケネス・ブラナーあたりに監督をやらせたらかなりな話になったように思います。
後記: この一見あほらしい作品に全く別な意味があったようです。1931年にあのテスラー(ここはプレステージのネタばれのページなのでご注意を)がレインボー・プロジェクトなるものを発案し、テスラー・コイルと呼ばれるものの実験をしています。テスラーは1943年に86歳で昇天。しかし研究はジョン・フォン・ノイマンが継続。1943年に後で大騒ぎになる人体実験を行っています。
フィラデルフィアでテスラー・コイルのスイッチを入れたらエルドリッジという名前の船が乗組員ごと目撃者の目の前で消えてしまったのです。そういう実験だったので消えてしまうこと自体は想定内。しかし船は人の目に見えなくなるだけの予定だったのが、2500キロも遠くに移動してしまったのです。数分してまた船は戻って来たのですが、瞬間移動の際に何か(電磁波の)ズレが生じたらしく、中にいた人と物質がごちゃ混ぜになってしまったようです。物質と人間の体の一部が溶け合ってしまったり、映画の世界でしか起きないような事がいくつも起きていたとのことで、生還した人は発狂してしまったそうです。これはフィラデルフィア計画と呼ばれています。
ファックスでズレが生じるというのは 2D の世界の話ですが、フィラデルフィア計画の話が本当だとすると 3D の世界の話。フィラデルフィア計画では同じ時代の同じ時期に場所だけ移動したようですが、これに時間差も加えるとタイムラインのようになります。この種の話は映画のテーマのごく一部だけ本当の話を採用し、残りは与太話になることが多いですが、最初の男が病院に運ばれ、体がずれているというところだけフィラデルフィア計画から話を失敬してきたのではないかと思われます。
フィラデルフィア計画はマンハッタン計画と同時期に進行しており、まだ戦時中だったこともあり、政府の側からは極秘扱いをされています。政府側には政府バージョンがあり、上に書いた話は都市伝説としています。
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