1. 公務員試験受験のすすめ (1) 公務員試験の易しさ この学部要覧に説明の書いてある国家試験の中では、公務員試験は就職試験だという点で特殊な部類に属する。これに対し、学部要覧が紹介している他の国家試験はいずれも資格試験である。 就職試験というものは資格試験に比べると一般に易しい。なぜなら、資格試験の場合には、それに合格した人がその職業に就く実力があることに関し、国として責任があるから、どうしてもその職業に必要な専門知識を確実にもっていることを確認できるだけの高いレベルになる。ところが就職試験というものは、まだ社会にでていない者が受験することが前提にあるから、その職業に必要な知識をすべて持っている、などということを受験者に期待してはいない。そういうことは職場研修等を通じて、採用した後から教えるつもりでいる。したがって、職業に対する適性を持っていることを確認できればよく、相対的に易しい試験を実施すれば済むわけである。 易しい、ということを具体的に説明すると、こうなる。公務員試験で一番難しいといわれるのは国家公務員T種試験だが、その最大の難関となっているのは一般教養の試験である。受験者の実に95%〜99%までは一次試験の一般教養で落ちている。しかし、その問題の水準そのものは、実は大学入試程度に過ぎない。しかも、それに5〜6割の成績を取ってくれれば、まず確実に合格できる。ところで、大学の入試というのは、本学でもどこでも出題者としては受験者(合格者ではない。)の平均点が6割になる程度の難易度になることを想定して出題している。ということは、その大学入試を突破してこの文を読んでいる諸君は十分に国家公務員T種試験に合格できるだけの能力を備えている、ということである。 (2) 公務員試験の難しさ 近時、公務員試験が急速に難しくなっている。大学生が受験する国家公務員試験にはT種とU種の二つがある。そのうち、易しい方の国家U種試験の場合、数年前までは合格者の70%は現役の学生であった。ところが、近年は、そのU種試験ですら、現役学生の割合は30%に転落し、残り70%は大学卒業生か大学院生という状態になっている。 では地方公務員試験はどうなのだろうか。かつては、地方上級試験は国家U種試験とほぼ同格と思われていた。しかし近年、地方公務員の競争率は上がる一方で、特に東京都をはじめとする関東甲信越地方の県の場合、いまやほとんど国家公務員T種試験に匹敵する難度にあがっている。各都県の採用者にかなりの割合で、T種試験合格者がいることがそれを示している。他の地域でも一般に国家U種試験よりは難しいと考えて間違いはない。 その結果、公務員になろうと考えている諸君は、1年に入学するなり、その合格を目指した勉強を始める外はない状態になっていることは、間違いない事実である。まだ、公務員を目指すかどうか決めていない、という人もいるだろうが、その場合も、決めるまでの間、ひとまず勉強だけはしておかないと、将来、決心したときには手遅れということになってしまうのである。
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2 公務員という職業の魅力と問題点公務員に採用になるには、学業成績や公務員試験での成績がよいことが必要だが、それだけでは採用にならない。公務員に課される責務と、個々の行政庁でどういう職務を行うのかということを十分承知していて、その上で、是非公務員になりたいという熱意を持っていることが絶対に必要なのである。今現在、公務員になりたいと考えてはいるが、何故、と聞かれても判らない、という人は、是非以下の文を読んで、自分の考えを整理してみてほしい。 (1) 公務員の仕事の特徴 公務員になるのにもっとも適した人は、国や地方の行政の現状に不満があり、それを自らの手で改善したいと考えている人である。「先憂後楽」という言葉がある。為政者たるもの、現実に問題が発生する前からあらゆる悪い事態の発生を想定してそれに対する対策を講じなければならず、現実にすべての問題が解決した後から初めて気を緩めて楽しむことが許される、という意味である。これは内閣や国会ばかりでなく、すべての公務員が持っていなければならない心構えである。言われたことを言われたとおりにする、という人は公務員には適さない。血の通った行政こそが、今日もっとも求められているからである。 公務員は安定して恩給などが良い、という消極的な理由だけから、志望する人がよくある。しかし、そうした理由で公務員になるのは本人にとっても国や地方公共団体にとっても不幸なことである。だから、そういうことを面接で言ったら絶対に採用にならない。それが本音なら、今のうちに断念した方がよい。 公務員は、基本的に余り報われない職業である。国や地方公共団体の仕事と言うのは、国民にとっては空気や水と同じことで、健全な状態にあるのが当たり前である。普通よりも悪い状態に落ち込んだと非難されることはあっても、健全な状態をきちんと維持していることで褒められることはまずない。また、国民の貴重な税金を使って活動をしているのであるから、その徴収や使途に少しの間違いも許されない。しかし、他方、それまでは正しかった取り扱いに拘泥するあまり、激動する社会情勢に対応した柔軟な取扱いを行わないと、とたんにお役所仕事という非難が集中することになる。 それにも関わらず、その俸給は、少なくともその職務内容の重要性や労働の密度に比べると、非常に安いと言える。勤務条件も、中小企業と比べるならともかく、平均的な大企業と比べると、むしろ劣悪な条件にあると言っていい。なるほど不景気になっても給料やボーナスが下がるなどということはない。しかし、それは同時に好景気になってもそれらが上がることもない、ということを意味している。恩給にしても、それは法律に基づいて支給されるものであるから、国民の間に、民間に比べて良すぎるという批判が起きればとたんに法改正によって下げられる。民間企業労働者のように、それに自ら反対する自由は公務員にはない。実際、過去に幾度も恩給は引き下げられているし、今後もあるであろう。 また、公務員には普通の民間企業の人に比べて非常に厳しい倫理水準が要求されることも心得ておく必要がある。「李下の冠」という言葉がある。おいしい李(スモモ)の実っている木の下で手を上げて冠の曲がったのを直しているのをよそから見ると、スモモの実を盗んでいるように見えて非難されることがある。そういう場合、普通の民間企業であれば、実際には盗んでいない以上処罰されることはないだろう。しかし、公務員の場合には、そのような社会の誤解を招く行為をした点において問題がある、として処罰されるのである。 公務員にとり、最大の報酬は、自分の活動が国民のために役立ったという満足感だと言える。その意味で「すべて公務員は、全体の奉仕者であって一部の奉仕者ではない(憲法15条)」ということに、心底から共鳴できる人だけが、公務員を志願するのにふさわしい。 (2) 公務員の長所 勤務先としての官庁は、しかし多くの長所も持っている。特に、厳密に法律に従って運営される人事は、民間企業ではちょっと期待できないほどの健全さである。すなわち、私大の出身者だからといって国立大学、特に東大の出身者に比べて不利に扱われたり、女性だからといって不利な扱いを受けたりするということは、普通はまずない。ストライキ権はないが、自分が他に比べて不利な扱いを受けているという印象を受けた場合には、人事院(地方公共団体の場合には人事委員会)が組合に代わってその救済役を務めてくれる。有給休暇その他、労働者としての法令上の権利も、確実に尊重される。 (3) 公務員の種類 公務員は、大きく国家公務員と地方公務員に分かれる。近時は、国でも地方自治体でも、特殊法人や研究所、大学など様々な機関が独立行政法人化しているが、それらの職員も公務員からとる場合があるので、中央省庁にこだわらなければ、かなり幅広い選択が可能である。 国家公務員の大半の職種は、国家公務員試験に合格することが、その道となる。しかし、外務省専門職や国税専門官、労働基準監督官のように、特別の職種の公務員を採用するための公務員試験もある(その代表的なものは、参考として末尾に紹介した)。 また、地方公務員は、その志望する地方自治体の実施する地方公務員試験に合格することが、その道となる。 以下に、それら試験の概要を説明するが、その試験ごとに勉強しなければならない科目等にも大幅な相違がある。それらの詳細については、行政科研究室で別途発行しているパンフレットや就職指導課の資料、インターネットで各省庁等が公開している情報などを活用して、各人の関心のある分野に応じて早い時点で志望目標を定め、その実現に向けた効率的な勉強をしていくことが大切である。特にパソコンに慣れておくことは大切で、さわったこともない、ということでは、今日では採用される可能性はほとんどない。 |
国家公務員試験はT・U・V種の3種類に分かれるが、V種は高卒者を対象としたもので、今では大卒者は年齢制限のため事実上受験できないので、ここではT・U種試験について紹介する。ただし、現在、公務員制度は非常な激動期にあり、試験に関する諸元についても、毎年のように変更されている。例えば平成16年度の試験は、後に詳述するように、様々な点で15年度のそれとは違っている。この学部要覧を作成する時点では決まっていないことも多い。したがって、実際に受験する際には、改めて確認するようにしてほしい。
1 T種試験とは これは、大学卒業程度の能力を念頭においたもので、平成16年度の場合、昭和46年4月2日から昭和58年4月1日までに生まれたことが受験資格となる。但し、平成12年度から、21歳未満であっても、既に大学を卒業した者や平成17年3月末日までに大学卒業の見込みがある者等は、特例として受験資格が認められることとなった。学年その他の制限はないので、大学受験時に浪人した者など、この条件を満たしていれば2年生や3年生でも受験可能である。受験時の異常な雰囲気を理解するためにも、受験資格のある人には、早くからの受験を勧めたい。 この試験は、最終的には各省庁の事務次官や局長など、国を動かす立場につく職員を採用することを主として目的とする。本省採用になった場合には、全国的に転勤を繰り返すなど苦労が多い反面、昇進が早く、早期に自分の能力を発揮して国民に奉仕することができる。 なお、家庭の事情その他から転勤に応じられないからといって、受験をあきらめる必要はない。中央省庁でも、会計検査院や衆参両院事務局のように転勤がない官庁があるし、地方局や独立行政法人で採用されれば、U種試験合格者と同様、転勤は原則としてその管内に限られる。しかし、U種試験合格者に比べると俸給や昇進の上で有利に扱われる。 この試験には、13の試験区分があるが、法学部出身者が受験可能なのは、行政職、法律職及び経済職の3者である。その中では、当然ながら法律職が、一番受験勉強もしやすく、相対的に合格率が高く、将来性も豊かという意味で、もっとも有利であるので、この受験を勧める。法学部で行っている公務員受験指導は、法律職を念頭に置いて行っている。 2 T種法律職試験の概要 以下にT種試験のうち法律職の概要を紹介する。なお、行政職や経済職も類似の方法で試験は実施されるので、それらを希望している者も参考として読んでほしい。 なお、現在、国家公務員試験の実施方法に関して、大幅な見直し作業が進んでいる。その一環としてT種試験に関しては、15年度から大幅に試験時期が繰り上がった。16年度にはさらに最終合格者発表日を6日間繰り上げるなど、さらに前倒しに変更を行っている。17年度以降にもやはり変更が予想されるので、以下の説明は平成17年度以降に受験する場合には、改めて確認してほしい。政経研究所行政科研究室では、随時新しい情報を提供しているので、掲示あるいはホームページを注意してほしい。 国家公務員T種試験を受験する者は、受験願書を郵送するか、人事院またはその各地方事務局に直接持参して提出する。出願期間は、例えば14年度は4月2日から5月9日までとなっていて、従来はかなり長かったが、16年度は15年度同様4月1日〜8日と非常に短いので注意してほしい。これは試験の実施時期そのものが従来よりも1ヶ月以上、前倒しになったためである。 試験は、1次試験と2次試験よりなる。 (1) 1次試験 従来は6月の第2日曜日に行われていたが、15年度は大幅に早まって5月5日になった。それが16年度は5月2日と、わずかではあるがさらに前倒しになっている。 試験は多枝選択式、すなわち通常5つの選択肢が示され、その中から正解を選ぶ方式で行われる。教養試験と専門試験からなる。問題内容は「公務員として必要な一般的な知識及び知能についての筆記試験」であるとされており、問題内容や出題数は年度によって微調整されることがある。平成16年度の場合には、次のとおりである。 @ 教養試験は、次の各分野から計55問が出題され、3時間で次の区分にしたがって計45問に解答する。 A 時事3問 文章理解8問 判断推理・数的推理10問 資料解釈4問 の計25問についてはすべて解答する。 B 自然(数学、物理、化学、生物、地学) 10問 人文(思想、文学、芸術、日本史、世界史、地理)10問 社会(政治、経済、社会事情) 10問 の計30問のうちから20問を選択の上、解答する。 Aの問題は、国家公務員試験独特のもので、始めて見れば戸惑うが、馴れれば難しいものではない。15年から、法科大学院適性試験(LSAT)が始まったが、その出題内容は、基本的にはこのAの試験問題の延長線上にある。ただし、文章理解の分野では、LSATでは英文はでないが、公務員試験では長文の英文が何問も出題されるので、日頃から英文の読解力を育てておくことが非常に重要である。 Bの問題は、内容も難度もほぼ大学入試程度なので、それを無事に突破している諸君にとっては、本来は非常に易しい試験である。ただ、入試と違い幅広く出題されるので、特に大学受験で選択しなかった科目については早くから積極的に勉強しておくことが大切である。かなりの科目は本学の一般教養科目にもあるので、履修科目の選択に当たっては、上記科目を積極的に履修し、大学での勉強と両立させることが、上手な受験対策である。 A 専門試験は、試験区分によって異なり、法律職の場合には、次の各分野から計60問が出題され、3時間半で次の区分にしたがって計50問に解答する。 A 憲法 6問 行政法 12問 民法 12問 の計30問についてはすべて解答する。 B 商法 5問 刑法 5問 労働法 5問 国際法 5問 の計20問については、15問を選択し解答する。 C 経済学・財政学 10問 の計10問については、5問を選択し解答する。 試験の水準は、大学の期末試験程度に過ぎず、きちんと単位をとっている者にとっては決して難しいものではない。履修科目の選択に当たって、上記科目を積極的に、かつできるだけ早期に履修することで、大学での勉強と両立させることが、ここでも上手な受験対策である。なお、近年は、各省庁は、採用決定に当たり、最終合格時の順位よりも、大学の専門科目の優の数を重視するので、履修する専門科目は必ず優をとるつもりで勉強しなければいけない。 B 1次試験に合格した者だけが2次試験を受験できる。5〜6割程度正解できれば合格できるというから、大学の入試よりはむしろ易しい。しかし、現実には受験者の95%〜99%が毎年、1次試験で落ちている。1次試験に合格した者は、近年はその7割までが最終合格できることを考えると、1次試験こそがこの試験における最難関である。また、この試験の結果は最終合格の判定の際にも重要な資料とされる。したがって、その表面的な易しさに油断することなく、慎重な準備をする必要がある。特に大学入試の際にしっかりと勉強してなかった教養試験科目の準備は大切である。 問題の量が非常に多く、のんきに読んでいると全問目を通さない間に試験時間が終わってしまう。普段の勉強にあたっては速いスピードで読む訓練は欠かすことができない。 1次試験の結果は、平成14年度の場合には6月20日に発表になったが、15年度は5月19日と大幅に早まった。16年度は5月14日(金)とさらに早くなる予定である。 (2) 2次試験 これは専門試験、総合試験及び人物試験の3つで構成される。専門試験及び総合試験は、従来は7月の第2日曜日に行われていたが、平成15年度には6月1日に早まり、それが16年度は5月23日(日)とさらに早まった。同じく、人物試験は、7月中旬から下旬にかけて行われていたが、平成15年度には、6月3日〜18日までになり、16年度は5月27日(木)〜6月11日(金)とさらに早まっている。 試験内容については、16年度は、15年度と若干変更されたので注意して欲しい。 @ 専門試験は論文式で行われる。憲法、行政法、民法及び国際法の4科目から1題ずつ、計4題が出題され、その中から任意の計3問について、3時間で論文を書く必要がある。15年度までは4問を3時間半で書くことになっていたから、時間的には楽になった。一般論として言えば、外務公務員を目指すなど、特別の動機があって、かなり国際法を勉強しているという人でない限り、国際法は選択しない方が得策である。 試験の水準自体は決して高くないが、大学の期末試験と違い厳しく採点が行われるから、普段からきちんとした論文を書く練習をしていないと、合格答案を確実に書くのは難しい。前述のとおり、平均的にみれば1次試験合格者の7割は最終合格できるが、本学の場合に限れば、合格率は5割以下である。これは論文式を苦手とする者が多いためである。ゼミや司法科の土曜答練その他で論文を添削してもらえるチャンスをどん欲に利用して、論文を書く技術を磨く要がある。 A 総合試験とは、「総合的な判断力、思考力などの能力についての筆記試験」とされており、実際には時事的な問題に関するかなり長文の問題文が2問出題され、そのいずれかを選択の上、それについての小論文を2時間で書くことを求められるものである。 内容的には、法律の勉強の傍ら、日経新聞などを日頃熟読するようにしていれば特に問題はない。しかし、2時間というかなり長い時間を与えられるので、問題文を1時間程度はかけて十分に分析した上で、自分の意見を構成する必要がある。いきなり思いつきを書き始めるような軽率な態度では合格点は期待できない。 B 人物試験は人柄について個別面接の形式で行われるが、普通の就職試験で行われるものと同様に志望動機などを尋ねられると考えればよい。 冒頭に述べた、公務員としての心構えについてしっかりと考えておくことが大事である。面接時には、聞かれたことに、はきはきと答えることが大切で、下を向いて黙ってしまったりするのは最悪である。最終合格の判定に当たり、大きな比重を占めるので、服装などには十分に注意しよう。 3 最終合格から採用まで 最終合格は、従来は8月の中旬に発表になっていたが、平成15年度は6月27日と、従来よりも2ヶ月近くも早まった。冒頭に記したとおり、16年度はこれよりさらに6日早まって、6月21日(月)となった。最終合格の判定に当たっては、1次試験と2次試験がそれぞれ5割のウェイトを持つ。1次試験については、一般教養が2割、専門科目が3割である。2次試験については、専門試験が2割、総合試験が1割、人物試験が2割の配点となっている。どの試験についても、手が抜けないことがわかると思う。 近年の各試験別の受験状況を見ると次の通りである。かっこ内は女性の数で、内数 15年度
14年度
13年度
12年度
11年度
10年度
11年度
しかし、合格即国家公務員になれるというのではないことに注意する必要がある。すなわち、16年度の場合、人事院では15年度と同様、採用予定者数の2.5倍を合格させることにしている。したがって合格者の6割は採用される見込みはないのである。各省庁では、最終合格者の中からその職員を採用する必要があるに過ぎない。国家公務員になるには、特定の省庁を選んでその面接を受け、採用されなければならない。したがって早くから各省庁を訪問して、それぞれの業務の特徴を把握し、どこが自分の一生を託するにもっとも適当か、慎重に検討する必要がある。どこの省庁でも、人事担当課では、業務概要を載せた小冊子を用意して訪問者を歓迎してくれるので、都心の大学で勉強している長所を生かして、遠慮することなく、1〜2年生のうちから官庁訪問を、繰り返し行いたいものである。詳しくは後述するが、4年生になると事実上官庁訪問は許されないのである。 また、各省庁のホームページには職員採用に関する情報が公開されているのが普通なので、必ずチェックしよう。各省庁のホームページに掲載されている程度の知識は持った上で官庁訪問を行わないと、熱意に欠けると判断されるので、その意味でもホームページの利用は大切である。各省庁のホームページにアクセスするには、いったん首相官邸のホームページに入って、そこからリンクを伝わっていくのが楽である。首相官邸ホームページのリンクページのアドレスは次の通りである。 http://www.kantei.go.jp/jp/link/server_j.html
実際問題として、都心大学で学んでいながら官庁訪問を行わない者は、熱意がないと判断されて不利に扱われる恐れが強い。すなわち官庁訪問は、諸君が省庁を選ぶ機会であるばかりでなく、省庁の方が諸君を選ぶ機会でもある。きちんとした服装をし、しっかりした態度を採ろう。ほぼ意中の官庁を決めた後の訪問に当たっては、相手の要求に応じてみせられるように、成績証明書を用意する程度の心がけはほしい。 現実にその年度の公務員試験を受験している学生に対する官庁訪問は、15年度から厳しい制約が課されることになった。16年度はそれが一段と強化され、第一次試験日から最終合格発表日までの間は、受験者に対する業務説明や面接等採用に向けた行為は一切行わないこととされている。この間は、人事院が主催する官庁合同業務説明会のみとされる。また、この間、毎日連続して同じ省庁を訪問してはならないなど、細かいルールが定められている。16年度に受験する者は、人事院のホームページで詳細を確認してほしい。
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1 U種試験とは これは、今日では完全に大学卒ないし大学院卒の者のための試験になっているが、本来は短大卒業程度の能力を念頭においたものなので、年齢基準がT種試験に比べて若干厳しく、平成15年度の場合、昭和50年4月2日から昭和58年4月1日までに生まれた者、および昭和58年4月2日以降に生まれた者で、大学・短大・高専を卒業したか、平成16年3月までに卒業見込みの者、ないしはそれと同等の者とされている。 試験そのものが地域単位で実施され、その地域に所在する各省庁の地方局に採用になる。本省に採用される場合もあるが、T種合格者と異なり、原則として他の地方へ転勤することはない。これは、最終的に各省庁本省の中級係員ないしは地方機関の幹部職員になる者を採用することを目的としている。いわば「国を支える」仕事をしたい者のための試験である。合格資格としては短大卒と大卒は同一であるが、実際には、俸給や昇進の上で、大卒を短大卒よりも有利に扱うのが通常である。大卒しか採用しない官庁も多い。この試験には12の試験区分があるが、法学部出身者の受験が妥当なのは行政職である。 以前は大学生にとっては易しい試験であったが、近年の就職戦線の厳しさから、前述の通り、最近ではかなり厳しい試験となっている。T種試験を目標にがんばれば運が悪くともU種には通る例が多いが、U種ないしそれと同等程度の試験だけを目標にしていると、総崩れになることが珍しくない。自分の適性としてはU種が良いと心の内で思っている人でも、それに確実に合格するためには、是非、T種を目指すと自分に暗示をかけてがんばって欲しい。 国家公務員の場合には、採用時の試験の種類で、ほぼ一生の進路が決まるので、どの試験を受けるかは慎重に検討し、決定する必要がある。U種試験合格者が採用後にT種試験に合格しても、普通、内部昇格は認められず、他省庁を受験する必要がある。 U種試験には12の試験区分があるが、法学部から受けるのに適しているのは行政職である。そこで、法学部で行っている受験指導も行政職だけとなっている。 2 U種行政職試験の内容 出願は、従来は、T種試験と共通の願書を用い、どちらも受ける人は、その旨の欄にレ点を打つことで、一回の出願で両方とも受験できることとなっていた。しかし、平成15年度から、前述のようにT種試験の期日が大幅に早まったのに対し、U種試験の期日の繰上げは後述のとおり比較的少なく、実施時期が大幅にずれたことから、別々に出願することに変わった。すなわち出願期間は、16年度の場合、T種の出願期間が終了した後の4月14日(水)〜4月23日(金)となっている。これは、始まりは15年と一緒だが、終わりは5日も早まって、期間が短縮されている。今後の年度でもこのような変更が予想されるので、注意する必要がある。 T種試験と同様、 第1次試験と第2次試験に分かれる。 (1) 第1次試験 従来は7月の第1日曜日行われてきたが、平成15年は若干はやまって6月29日となった。16年度はそれが6月20日(日)とかなり早まっている。 試験は、多枝選択式と小論文で行われ、多枝選択式はさらに教養試験と専門試験に分かれる。 ア 教養試験は、次の各分野から計55問が出題され、2時間30分で次の区分にしたがって、 計45問に解答する必要がある。 すなわち、 @ 文章理解 8問 判断推理 9問 数的推理 5問 資料解釈 3問 の計25問については、 全問解答する。 A 自然科学 10問 人文科学 10問 社会科学 10問 の計30問については、 そのうちから20問を選択の上、 解答する。 試験の内容については、 T種試験と同様なので、 そちらの説明を参照してほしい。 イ 小論文は、 1時間で 「一般的な行政に携わるものとして必要な文章による表現力、課題に関する理解力」を見るための論文を書く、 というものである。 T種試験における総合試験と同様のものだが、問題の文章が短く、その分若干易しいと考えればよいであろう。また、総合試験は最終合格を判定するに当たり1割のウェイトを持つ重要な試験であるが、小論文は合否の判定のみを行い、合格と判定されれば、それ以上、最終合格に影響することはない。 ウ 専門試験は、 平成10年度から大きく方式が変わった。 すなわち、従来は12科目から60問出題されるうち、 任意の40問を選択する、 というものであったが、現在は 13科目 (各科目7題、 計91問) 出題されるうち、 6科目を選択して、 そのすべての問 (すなわち42問) に答える、 という方式に変わった。 その13科目は次のとおりである。 憲法 行政法 民法 政治学 行政学 社会学 国際関係 財政学・経済政策 経済理論 経済史・財政事業 経営学 英語 (基礎) 英語 (一般) 従来は、 T種法律職とU種行政職間の試験科目の食い違いがかなり大きく、受験者にとって負担になっていた。そのため、本音としてU種が目標という人はT種では行政職を受験するため、いよいよT種合格が難しくなっていた。しかし、現行の方式に変更することで、憲法、 行政法、 民法、 経済学・財政学の4科目はほぼ共通になった。 後二つの科目については、英語の能力は、試験に合格するだけでなく、各省庁での採用時にもかなりの力点が置かれていることを考えると英語 (基礎) と英語 (一般) を選択するのが妥当であろう。 これにより、 T種とU種の併願が非常に容易になった。ただ、 このことには当然マイナス面もある。 誰もが少ない試験科目を十分に勉強して受験することになるので、 これまでよりも合格ラインが少なからず上がることになることである。 第1次試験の結果発表は、平成14年までは8月初旬であったが、15年度は7月25日と早まり、16年度は7月16日(金)とさらに1週間早まっている。 (2) 第2次試験 これは、人物試験だけである。 平成14年は8月7日〜23日までの間の1日に実施されていたが、15年度は8月1日〜19日となった。16年度は7月27日(火)〜8月12日(木)と若干早まったにとどまっている。 試験内容は、T種試験における人物試験と同様のものと考えておけば十分である。 (3) 最終合格者の発表は、従来は9月の中旬に行われてきたが、平成15年度は9月4日、16年度は8月31日(火)と少しずつ早まっている。最終合格の判定に当たっては、全体を7とした場合、1次試験の教養試験が2、専門試験が4、2次試験の人物試験が1という割合で考慮することとされている。 人事院は、どの程度の人数を合格させるかについて、T種試験では明確に合格者数は採用予定者数の2.5倍と公表しているのに対し、U種試験では明確にしていない。これまでと同様の割合と思われる。行政職に限ってみると、平均すれば2.3倍程度となり、T種試験と近い数字である。ただ、地方ごとに差違があり、沖縄地方が一番高く、ついで関東甲信越となり、それ以外の地方は概ね2.1倍程度である。16年度についても同様に、地方ごとのばらつきがあるものと予想される。 T種試験と違い、 U種試験の場合には、 最終合格発表前の内定ということは、従来はあまり行われていなかったようである。そこで、 本当にU種試験しか受けていない人の場合には、比較的近年まで、 最終合格の発表を見てから官庁訪問を始めても間に合っていた。しかし最近の民間企業の採用前倒し傾向や他省との競争などから、人材確保のため、少なくとも最終合格以前に一度も顔を見せていない人は、熱意に欠けるとして採用対象から除外する、という姿勢をとる官庁も増えている。希望官庁には、日頃から積極的に顔を出すなど頑張らねばならない。
要するに、わずか5年前には、現役合格が半数を占めていたのに、毎年着実に現役の割合が低下し、13年度14年度の場合には3割にまで激減して、全体の7割は、院生も含めて、大学既卒者となっていることが判る。また、院出身者の割合も毎年着実に増え手いる。普通の勉強では、現役合格は夢といえる状態にいまやなっているのである。国Uに現役で受かるためには、大学1年の時からのたゆまぬ努力が必要と言える。
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外務専門職試験と同様に、人事院の実施する試験ではなく、個別に試験を実施するものが幾つかある。代表的なものとしては、次のものがある。 B 裁判所事務官採用試験(T種、U種)及び家庭裁判所調査官補採用試験 ⇒ 最高裁判所 C 防衛庁職員採用試験(T種、U種及び幹部自衛官) ⇒ 防衛庁及び自衛隊 E 警察官 警察庁の場合、特別の試験があるわけではないが、身体的に特殊な条件が要求される。 F 法務省 特別の試験があるわけではないが、他の省庁とはかなり異なる処遇となるので紹介している。 その他、非常に多くの職種があるので、特別の希望のある者は、早期にそれらを所管する省庁に問い合わせて内容を確認し、その受験準備をする方が良い。 |
地方公務員試験
地方公務員の場合には、地方公共団体により名称が異なるが、一般に国家公務員採用T種試験に相当する試験を上級職試験、同じくU種試験に相当するものを中級職試験、V種試験に相当するものを初級職試験と呼んでいる。しかし、このうちでも特に、都道府県あるいは政令指定都市及び東京都23区の上級係員、研究員として技術、研究などの仕事に関わる職員を採用するための試験だけをさして地方上級公務員試験と呼ぶことが多い。 試験は、募集から採用まですべて各地方公共団体ごとに行われている。かつては、一口に『国家U種・地方上級』と称されて、ほぼ同程度の難度の試験と言われていた。しかし、最近では、若者の地方志向が高まったことに加え、地方上級公務員試験は採用枠が少ないため、全般的に競争率が高く、特に、東京都を中心とする関東地方及び近畿地方各県は、国家公務員U種をはるかにしのぐ難関となってきている。そのため、合格するには各地方自治体の試験傾向を早い時期から把握して、効率のよい学習をすることが必要である。 (1) 試験の実施方法 受験に際しては、希望する地方公共団体の人事委員会から申込用紙と募集要項を郵送で取り寄せるか、直接取りに行き、必要事項を記入して、各地方公共団体の人事委員会に申し込む。東京都など、一部の地方公共団体については、本学部就職指導課の窓口でも交付している。 申し込み受付期間などは各地方公共団体によって若干異なっているが、従来は5月中旬〜6月上旬にかけて行われていた。しかし、国家公務員試験が毎年確実に前倒しになっているのに対応して、試験日程を早めるところが増えている。たとえば、東京都の採用試験の日程は、16年度の場合、次のようになっている。 申込期間 4月上旬〜中旬 第1次試験 5月16日(日) 第1次合格発表 6月18日(金) 第2次試験 6月26日〜7月13日 最終合格発表 7月23日(金) これは、たとえば15年度の最終合格発表が8月22日(金)であったことでわかるとおり、申込期間を除くと、すべて15年度に比べ、1ヶ月の前倒しになっている。以下には、15年度までの全国の状況を述べておくが、日程については、おそらく多くの地方公共団体が東京都と類似の対応をするものと予想されるので、自らの志望先のホームページを早めに確認するなどの対応が必要である。 従来は、多くの自治体で、第1次試験は6月の最終日曜日に実施されていた場合が多かった。さらにこれに合格したものに対し、第2次試験が7月下旬から8月上旬にかけて実施され、最終合格発表は、8月中旬から9月上旬に行われていた。受験資格については、採用の年の4月1日現在、22歳〜29歳までとする地方公共団体が最も多いが、大学卒業者(卒業見込み者)に限定するところもある。 試験区分は地方公共団体によって分け方が多少異なるが、法学部の学生の受験に適している分野としては、行政又は事務(法律、経済など細かく区分されている場合もある)、学校事務、警察事務などがあげられる。
(2) 試験の概要 1 第1次試験 一般教養試験(択一式。短答式ということもある。)がすべての地方公共団体で、専門式(択一式)がほとんどの地方公共団体で実施されている。地方公共団体によっては、一般教養試験(記述式)、専門試験(記述式)、論文試験が行われることもある。 一般教養(択一式)では、政治・経済、社会、日本史、世界史、地理、文学・芸術、数学、物理、化学、生物、地学といった一般知識の外に、文章理解、判断推理、数的推理、資料解釈といった公務員試験独特の一般知能問題が出題される。 これらすべての問題に答えることを要求する地方公共団体と、いくつかの問題を選択して解答する出題方法(選択解答制)をとる地方公共団体とがある。一般に次第出身者は、この教養問題が弱いといわれているので、早い時期からの対策が必要であろう。 専門試験(択一式)は、政治学、行政学、社会政策、国際関係、憲法、行政法、民法、商法、刑法、労働法、経済理論、財政学、経済政策、経済史、経済学史、経済事情、等が出題される。教養択一試験と同様に、選択解答制を導入する地方公共団体が増えている。 専門試験(記述式)は2〜3割の地方公共団体が実施している。政治学、憲法、行政学、民法、経済原論、財政学などの主要科目のうちからテーマが与えられ、1〜3題くらいを選択する。 論文試験では、行政や社会的な現象などに関する課題が与えられ、自分なりの意見をわかりやすく文章にまとめる力があるかどうかが試される。 教養・専門の択一試験については、いくつかの地方公共団体ごとに同一の問題が出されていることがわかっている。出題傾向が同じ地方公共団体をひとまとめにして、@全国型、A関東型、B中部・北陸型に大別されている。 さらに全国型をベースに独自の問題を加えたり、選択解答制を導入している地方公共団体をC全国変形型に、同様に関東型をベースにしている地方公共団体をD関東変形型に分類することができる。 そのほか、一般行政軽食種に法律・経済の試験区分を設け、特にその専門科目にウエイトを置いた専門試験を課している地方公共団体をF独自出題型、と称している。 自分が志望する地方公共団体がどのような型の試験を実施しているかを把握し、それに対応した勉強をすることが大切である。 2 第2次試験 個別面接がほぼすべての地方公共団体によって行われている。そのほか、地方公共団体によっては、集団討議、論文試験、身体検査、体力測定などが実施されている。 個別面接は、3人ほどの面接官によって、15分〜30分程度行われるのが一般的である。志願動機、学校生活、ゼミ、卒論、友達、受験した地方公共団体に関する知識などについて質問される。あらかじめ質問項目を想定して、回答を考えておいた方がよい。 集団面接は、同時に数人の受験生に質問をする形式の面接である。個人的な事柄だけでなく、行政や社会的に問題となっている事柄について課題が与えられる。課題を解決することより、それについて討論して行く過程が重視されるので、積極的に発言しているか、問題を解決するための建設的な意見を述べているか、みんなの意見をまとめようとしているか、等が、評価の対象となる。 適性検査は、ほとんどの地方公共団体で実施されている。クレペリン検査やYG検査を行うところが多い。面接試験での補助的要素として活用されている。 3 最終合格から採用まで 国家公務員試験と同様、地方公務員試験でも、最終合格が、即、採用を意味しないことに注意しなければならない。内定通知をもらってはじめて採用が決定するのである。辞退者等を見込んで合格者を多めに出している地方公共団体では、最終合格しても採用されないことがあり得る。 最終合格から採用内定までの仕組みは、地方公共団体によって異なっている。最終合格者全員に内定通知が送られる地方公共団体もあるし、最終合格発表後、採用面接が行われ、その地方公共団体に来るかどうかの意思確認が行われたり、人事委員会の採用担当者の外に各部局の担当者との面接が行われるところもある。 これについても、自分の志望する地方公共団体について、自ら確認しておいた方がよい。
全国の地方自治体のHPにアクセスするには、次のHPに入って、目的の地方自治体を選択する方法が容易である。 http://www.nippon-net.ne.jp/cgi-bin/search/mapsearch/nn_MapSearch.cgi なお、東京都及びその近県の職員採用HPを参考までに次に示す。
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(1) 受験のタイムスケジュール この試験に合格するための最良の方法は、出来るだけ早くに出題される全分野を修得したうえで、さらにその知識を深めるための努力を重ねることである。 4年生の始めに試験があることを考えると、1年に入学してからすぐに勉強を始めても、勉強時間は3年間しかない。3年生が直前対策的に試験技術を磨く必要があることを考えると基礎的な勉強は2年生までに終えておかねばならない。大きく分けて、一般教養科目については大学の受験勉強の延長的な性格が強いので、1年生の時に、実力を合格水準まで高めるべく努力する必要がある。専門科目については、講義を通じての理解がやはり早道なので、履修登録をするかどうかは別として、受験に関わりのある科目の講義はすべて1〜2年生の間に聴講して法律全体の体系を把握するように努力しなければならない。 なお、合格したいあまり、早くから予備校に通うものが時々ある。しかし、予備校で教える論点整理は、それぞれの専門分野で体系的理解を持っていて初めて役に立つ。それ以前の予備校通いは、採用内定を得る際の最大の武器である大学の成績をいたずらに下げる役にしか立たず、公務員への道はかえって遠のく。予備校は、せいぜい模擬試験等を利用して自分の客観的な力量をはかる程度に押さえるべきである。 また、平成16年から法科大学院が開設されたが、これについて、政府では次のように述べている(採用試験の抜本改革の在り方=平成14年8月2日)。 「I種・II種事務系の国家公務員の採用に当たっては、学部等を卒業した段階の高いポテンシャルを有する有為な人材を引き続き獲得していくことが必要であるが、法科大学院も重要な人材ソースの一つとして捉えて対応していく必要がある。」 これを少し乱暴に言い直すと、学部の4年生で現役合格した場合には、有為な人材として積極的に採用するが、現役合格できなかった学生の場合には、単なる浪人は避けて、法科大学院を終了したものを積極的に採りたいということである。したがって、是が非でも国家公務員になりたいと考えている者の場合には、現役合格できなかった場合に備えて、法科大学院への進学も真剣に選択肢として考えるべきである。さいわい、公務員試験の一般教養試験は、LSATと共通の内容なので、その限りでは、法科大学院への進学は難しくない。
[参考] 国家公務員のうち特別の職種のための採用試験(大卒に適したもの) 国税専門官採用試験 人事院地方事務局(所)の他、各国税局、沖縄国税事務所 労働機基準監督官採用試験 人事院地方事務局(所)の他 、全国各地の労働局、労働基準監督署 法務教官採用試験 人事院地方事務局(所)の他、法務省各矯正管区、各少年院及び各少年鑑別所 航空管制官採用試験 人事院地方事務局(所)の他、航空保安大学校 外務省専門職員採用試験 外務省人事課採用班(電話(03)3580−3311(大代表)内線2131
) 防衛庁U種職員採用試験 防衛庁長官官房秘書課採用試験室
03-3268-3111(内25001,25002) 国立国会図書館職員採用試験 国立国会図書館総務部人事課任用係
03-3581-2331(内2156)03-3506-3315(直通) 衆議院事務局職員採用試験 衆議院事務局庶務部人事課
03-3581-6866(直通) 参議院事務局職員採用試験 参議院事務局庶務部人事課任用係
03-5521-7492(直通) 裁判所事務官採用試験 最高裁判所事務総局人事局任用課試験第一係
03-3264-8111(内3322) 郵政総合職採用試験 郵政事業庁総務部人事課郵政総合職採用担当 03-3504-4411(内線4622) その他、非常に多くの職種があるので、特別の希望のある者は、早期にそれらを所管する省庁に問い合わせて内容を確認し、その受験準備をする方が良い。 |
行政科研究室受講生の募集 (2) 公務員講座の開講 公務員試験に、確実に合格できるように、行政科研究室では次の措置を講じている。 1 課外講座の開設 ○総合講座
公務員試験には、国家公務員T種、U種、国税専門官、地方公務員上級職など、各種の試験が存在している。しかし、そのほとんどでは、一般教養および専門科目に関する多枝選択(短答)式試験を実施している。試験の難易度そのものはいろいろであるが、試験そのものは、どの試験でもほとんど共通の内容である。この公務員総合講座は、1年生からの全受験生を対象に、これら各試験に共通の内容を持つ多枝選択式試験に合格できる実力を育てるための講座である。 ○個別講座 総合講座では対応の困難な論文試験など、個々の試験の特徴に対応した個別講座を、国家T種法律職、国家U種行政職、国税専門官及び地方公務員上級職について開講している。その詳細については、行政科研究室が発行している公務員講座のパンフレットを参照してほしい。 ○答案練習会 これは、国家公務員T種及びU種試験で出題される全科目(地方公務員の場合もほとんどの科目が共通している)を対象として開講する。実際の試験と同じ試験方法により、自分の弱点を確実に発見し、補強することを狙いとする。
国家公務員試験T種法律職を目指す諸君へ 行政科研究室室生の募集 公務員試験受験講座受講生のうち、国家公務員T種試験受験志望者の、若干名を研究室室生に採用する。
入室試験の新規受験は原則として1年生から3年生までとしているが、研究室生で浪人してがんばりたいと思うや大学院生については特に考慮する。 室生の入れ替えは、 原則としてT種試験の最終合格発表後である10月であるが、 4月にも、 小規模な入れ替えを実施する。 この研究室生には大宮の諸君もなることができる。 その場合には、 ふだんの学期中に利用するというのは難しいだろうが、 休み期間中に三崎町にきて研究室を利用することで、 近所の図書館などで一人でしているのとは違う緊張感の中で勉強するのは有意義なことである。
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