うつ病とは…
そもそも、うつ病とは一つの疾患単位、病名ではなく、疾患概念と考えるべきでしょう。
ある一つの特定の病気診断名と決めることは困難で、むしろ不適切であり、医師や病院、地域によっても診断が異なることがあるのはやむを得ず、ある程度は当然のことです。しかし明らかに間違ったとらえ方をしている場合が多く、診断をしている場合も少なくありません。今日、うつ病という病名ほど、精神科や患者によって、いい加減な使われ方をしている病名もおそらくないでしょう。
精神疾患、心の病気は身体の病気とは異なり、それぞれ独立した病気があるわけではなく、明確な区別があるわけでもないのです。人によって症状・程度もいろいろですが、症状が1つだけという人もいませんし、完全に健康な人もいません。精神の不健康・不調には、ある程度、典型的な例やパターンがあるので、便宜的な概念・名称としてうつ病といった診断名、病名があるに過ぎません。
例えば、内因性精神病のうつ病と心因性の抑うつ神経症の鑑別診断が必要だ、などと考える精神科医もかつてはよくいましたが、実際の病気に種類があるわけではなく、そのような区別は書物の上や精神科医の頭の中にあるだけです。うつ病を疾患単位と考えるのは誤りですが、単一の疾患と考える精神科医も少なくありません。
また、完全に健康な人も存在しませんし、どんな人でも多かれ少なかれ、病んでいると言うこともできます。したがって完治ということもありえず、完治といった概念自体が成立しません。寛快という言葉もありますが、これも極めて曖昧な使われ方をしています。
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