「貴族探偵」はいかに改造されたか?

ドラマ第8話 「むべ山風を」

2017.12.01 by SAKATAM

ドラマ「貴族探偵:第8話」までと、原作「むべ山風を」『貴族探偵対女探偵』収録)のネタバレがありますので、未読・未視聴の方はご注意ください

第8話 「むべ山風を」

放送日:2017年6月5日
原作:『貴族探偵対女探偵』の第3話「むべ山風を」

○あらすじ

 師匠・喜多見切子が遺した手帳から見つかった政宗是正という名前。その人物は、切子の死と、そして貴族探偵と、どのように関わっているのか。高徳愛香は鼻形雷雨を呼び出し、政宗是正について警察の力で調べてほしいと頼み込む……。
 大学時代の先輩・韮山瞳に電話で呼び出された愛香は、母校で准教授としてキノコの研究をしている瞳の研究室を訪ねるが、そこには光るキノコを瞳に見せてもらいに来たという貴族探偵とメイド・田中の姿が。推理の無能ぶりを指摘して愛香を怒らせた貴族探偵は席を外し、愛香が田中の淹れた紅茶を飲んでいると、突然女性の悲鳴が響き渡る。愛香が駆けつけてみると、研究室の院生・大場和典が何者かに絞殺されていた。
 警察による事件の捜査が始まる中、目の前で起きた事件が気になる様子の愛香に、貴族探偵が依頼を申し出る。だがその矢先、殺された大場と大学時代にトラブルのあった愛香が、重要参考人として警察に連行されてしまったのだ……。


○登場人物・舞台・事件の概要

[主要登場人物対照表]
原作ドラマ
高徳愛香高徳愛香(武井咲)
韮山瞳(准教授)韮山瞳(上原多香子)
田町(教授)
仁田(助手)
大場和典(博士一年)大場和典(松川尚瑠輝)
原木一昭(修士二年)原木一昭(中島広稀)
修善寺潤子(修士一年)修善寺潤子(樋井明日香)
長岡卓也(修士一年)
田京恵(学部四年*1田京恵(三浦透子)
三島純夫(学部四年)三島純夫(堀家一希)
大仁智史(学部三年)
牧之郷明(学部三年)
鼻形雷雨(生瀬勝久)
貴族探偵貴族探偵(相葉雅紀)
執事・山本(松重豊)
メイド・田中メイド・田中(中山美穂)
運転手・佐藤(滝藤賢一)

 まず原作とドラマの登場人物を比較すると、ドラマでは教授・助手・院生一名・学部生二名が削られ、だいぶ人数が減っているのが目を引きます。原作の人員構成は、一つの研究室としてもやや少なめかもしれませんが、一時間枠のドラマの登場人物としては多すぎると思われるので、(おそらくは)韮山瞳准教授が指導する学生を研究室から独立させる形で、大学側の登場人物を瞳の他に院生三名・学部生二名の少人数としたのは妥当ではないでしょうか。

 女探偵・高徳愛香は原作にも登場しますが、そちらでは、大学教授会のデータが盗まれた事件の依頼を受けて見事に解決(!)した帰りに、ガールフレンドの瞳を訪ねてきた貴族探偵と偶然出会って研究室に誘われ、そこで事件に遭遇することになります。つまり原作での愛香は、大学側の登場人物たちとは初対面で無関係です。

 それがドラマでは、舞台となる大学は愛香の母校に変更され、瞳は大学のミステリー研究会での愛香の先輩であり、二人の関係を知った貴族探偵の発案で瞳が愛香を研究室に呼び寄せた、という発端になっています。さらに、被害者となる大場和典*2もミステリー研究会での愛香の同級生で、その当時二人の間にはトラブルが発生*3し、愛香の師匠・喜多見切子が乗り出して事を収めたという因縁まで設定されています。というわけで、原作と違って被害者・大場と接点のあった愛香は、“女探偵”をつとめるどころか事件の最有力容疑者として所轄の警察に連行される羽目になる――といった、大胆なストーリーの改変が今回の見どころでしょう。

 そして、愛香に代わって今回の主役をつとめるのが何と、原作に登場しないドラマオリジナルのキャラクター、鼻形雷雨警部補です。お約束のカツ丼(苦笑)を抱えて取調室の愛香を訪ねてきた*4鼻形は、愛香の頼み*5を受けてその容疑を晴らすために“マル貴”を率いて捜査に奔走し、ついには愛香の代わりにサルーンで貴族探偵と対峙して推理を披露することになります。

 この“貴族探偵対女探偵”ならぬ“貴族探偵対鼻形警部補”は、もはや原作から完全に逸脱しているのですが、推測される改変の理由については後述するとして、原作に登場しないキャラクターが主役に据えられているにもかかわらず、意外なほど違和感のないドラマに仕上がっているのがお見事。もちろん、ストーリー上の主役とはいえ、探偵役としては“かませ犬”{失礼}なので代替しやすいということもありますが、鼻形自身が単なるレギュラーの脇役ではなく、回を重ねるにつれて愛香のワトソン役に近い立場を確立してきたことで、愛香の代役にも収まりやすかったところがあるのではないでしょうか。さらに、前回のドラマ第7話「ウィーンの森の物語」で愛香の師匠・切子との接点が描かれたことにより、鼻形の奮闘が“師匠に受けた恩を弟子に返す”という形で受け入れやすくなっているのもうまいところです。

 対する貴族探偵の側は、ドラマでは珍しく執事・山本と運転手・佐藤の出番は捜査情報のまとめ以降で、それまでは原作と同じくメイド・田中だけが登場します。愛香と言い合いになった後で貴族探偵がその場を離れ、愛香と田中が会話を交わすのも原作通りで、師匠の名前を口にした愛香に田中が“存じ上げております”と答える流れもほぼ同じ……ですが、ドラマは前回の結末の影響で原作よりもシリアスな雰囲気が漂い、田中が返事をする前の“間”が意味深長に感じられます*6し、原作ではその後に続いているなごやかなバンド談義もカットされています*7

*

 研究棟の一室で大場が殺害された事件の状況は、原作とドラマでほぼ同様ですが、細かいところでいくつかの違いがあります。

 まず、現場のドアが内側から施錠されていた――犯人は隣接する給湯室から逃亡した――のはどちらも同じですが、ドラマではドアに“使用中”のプレートがかけられています。これについてはドラマの冒頭に、貴族探偵がドアの前から立ち去ったあとにプレートが落ちているという意味ありげな一幕が挿入されており、その後に研究棟を訪れた愛香が何気なくプレートを拾ってドアにかけることで、プレートに愛香の指紋が残って疑われる原因となるところがよくできています。

 またドラマでは、使用済みのティーバッグがティーポットに入ったままで、捨てられていないのも原作との違いです。これは一見するとかなり地味な違いですが、原作をお読みになった方はお分かりのように、原作にあった手がかりが一つ減ることになるわけで、謎解きに大きな影響を与える改変といえます。ドラマでは登場人物(容疑者)がだいぶ少なくなっているため、それに合わせて絞り込みの条件を一つ減らしたということかもしれませんが、改変の意図はそれだけではないようにも思われます(後述)。

 さらに、研究室で用いられているティーカップが、原作では若竹色(院生男子)・レモン色(院生女子)・水色(学部生男子)・ピンク色(学部生女子)・黒(来客男性)・薄茶色(来客女性)の六種類なのに対して、ドラマでは五種類――来客用には男性と女性で黒のカップが共用されることになっています。この改変はもちろん、黒のカップによって男性だけでなく女性の来客まで、すなわち貴族探偵とともに愛香まで容疑者に含めるためで、必要最小限にして効果的な改変といえるでしょう。

*1: ドラマでは学部三年に変更されています。
*2: 原作では、他の登場人物と同じく名字を伊豆箱根鉄道駿豆線(→「伊豆箱根鉄道駿豆線 - Wikipedia」)の駅名からとった“だいば・かずのり”ですが、ドラマでは一般的な読み方の“おおば・かずのり”に変更されています。
*3: 高校時代のストーカー被害(→ドラマ第3話「トリッチ・トラッチ・ポルカ」)が原因で男性恐怖症気味だった愛香に、大場が強引に迫ってきたため。
*4: 所轄の刑事は“一課長からの指示”で取調室に鼻形を通したようですが、鼻形自身にそれほどの権限があるとは考えにくいので、やはりそこまで貴族探偵の意向が働いたのではないでしょうか。
*5: 鼻形も“お前、師匠にそっくりだな”と指摘しているように、愛香がワインと手柄で鼻形を釣ろうとして、ドラマ第7話での切子と同じ頼み方をしているところにニヤリとさせられます。
*6: 愛香が、切子と貴族探偵の間でやり取りされた“政宗是正”の名前にまでたどり着いたことは、“ギリ”こと秘書・鈴木を介して他の使用人たちにも伝わっていると考えていいでしょう。
*7: ドラマ第2話「加速度円舞曲」での、メイド・田中が作家・厄神春柾の熱烈なファンという設定は、このバンド談義の代わりに用意されたものではないかと思われます。

○原作の解決

 犯人が使った*8ティーバッグが間違ったゴミ袋に捨てられていたことから、“ゴミの分別の変更を知らない人物が犯人”という〈ゴミ袋の条件〉が、またシンクの水を張った容器に沈められたティーカップの種類から、“水色(学部生男子)・ピンク色(学部生女子)・黒(来客男性)のカップに該当する人物が犯人”という〈カップの条件〉が、それぞれ導き出されるところまでは犯人当ての教科書のようにオーソドックスな手順ですが、瞳の証言によって“大場が上座を譲る人物が犯人”という〈上座の条件〉が加わることで、順調に容疑者を絞り込んでいたはずが“犯人不在”となってしまうのが面白いところです。

[犯人の条件]
容疑者ゴミ袋
の条件
カップ
の条件
上座
の条件
韮山瞳(准教授)××
田町(教授)×
仁田(助手)×
原木一昭(修士二年)××
修善寺潤子(修士一年)××
長岡卓也(修士一年)×××
田京恵(学部四年)××
三島純夫(学部四年)×
大仁智史(学部三年)×
牧之郷明(学部三年)××

 左の表のように、〈ゴミ袋の条件〉で容疑者が“熊本組”に絞られ、さらに〈カップの条件〉で学部生の男女に絞られる結果、三島と大仁の二人だけが残ることになりますが、〈上座の条件〉によってその二人も除外されてしまい、すべての条件に当てはまる容疑者は(一見すると)一人もいなくなります。そこで愛香は、三つの条件につながる手がかりが犯人による偽装の可能性まで検討(これについては後述)した上で、盲点に入っていた人物――貴族探偵が“犯人”と推理します……が、貴族探偵自身が即座に反論しているように、この推理はいささかお粗末といわざるを得ません。

 貴族たる者、ティーバッグの紅茶など飲むはずがないというのもさることながら、やはり“大場が上座を譲る相手に紅茶を淹れさせるはずがない”という上座とティーバッグの矛盾*9が致命的で、〈上座の条件〉〈ゴミ袋の条件〉(の前提)との間に齟齬が生じているのですから、結局は犯人の条件に誤りが含まれていることになります。

 この誤りが生じたのは、〈上座の条件〉につながる瞳の証言が出てくるより前に、愛香がティーバッグの手がかりを〈ゴミ袋の条件〉へと完全に“変換”してしまっているためです。“大場が上下関係に厳しい”という情報が出たところでティーバッグの手がかりに立ち返っていれば、そこから“犯人は大場が紅茶を淹れさせる人物”という〈目下の条件〉が導き出され、〈上座の条件〉との矛盾が歴然としていたでしょうし、貴族探偵を容疑者に含めることもなかったはずです。

 もっともこれについては、“貴族探偵犯人説”が成立するように見せる作者の手腕が巧みというべきかもしれません。瞳の証言を、〈ゴミ袋の条件〉〈カップの条件〉によって三島と大仁が疑われたことに対する反証として持ち出すことで、ティーバッグの手がかりの解釈との間に時間差を設けてあるのがうまいところですし、前述のように愛香が“偽の手がかり”の可能性まで検討し、それを否定して手がかりが本物だと判断しているのも効果的でしょう。

 実のところ、愛香の“偽の手がかり”に関する検討は、ティーバッグについてはいいとして*10、ティーカップについては“開かれたままの蛇口”を介した間接的な検討にとどまり、ティーカップ自体が偽装である可能性が否定されているわけではありませんし、大場の座席については判断の根拠となる解釈(上座/下座)そのものが誤っていたことになります。結果としては、愛香が導き出した三つの条件のうち二つまでが偽装によるものだったわけで、推理の難しさ――というよりも作者の意地悪さ(失礼)が表れているというか何というか。

 対するメイド・田中の推理は、手がかりの矛盾によって〈上座の条件〉を否定するところから始まり、座席については犯人が大場を下座に移動させたと解釈しています。巧妙なのが、ここで口を挟んだ愛香の言葉を拾って“もっと直接的な偽装”――ティーカップの偽装の方を先に説明してある点で、手順を入れ替えて*11“ティーカップをシンクに入れたのは犯人以外の人物(おそらくは田京)”という推理を示し、いわば“枝葉”を整理しておくことで、“落ちて割れた犯人のカップを大場のものに見せかけるために大場を移動させた”という犯人に直結する推理を、愛香が(ひいては読者が)受け入れやすくなっているところがあると思います。

 かくして、ゴミ袋を間違う可能性のある“熊本組”で、大場と同じ若竹色のカップを使う院生男子の原木が犯人となります。そして大場が実際に使っていた方のカップは犯人が洗った、すなわち犯行時刻は断水前だったということでしょう。

*8: 被害者の大場は“熊本組”ではなく、ゴミ袋を間違えることはないと考えられるので、ティーバッグを捨てたのは犯人ということになります。
*9: 作中でメイド・田中は“上座とシンクのティーカップの矛盾”としていますが、黒いカップを使う来客男性には大場にとって目上の人物も含まれ得るのですから、それが矛盾するとはいえないはずです。あるいは、貴族探偵に当てはまる黒いカップは除外した上で、残る水色とピンクのカップが上座と矛盾する、という趣旨なのかもしれませんが、その前提となるのはやはり“上座とティーバッグの矛盾”にほかなりません。
*10: 愛香が指摘しているように、“熊本組”にも分別の変更が説明されるなどしているので、その上でなおかつ“熊本組”がうかつな間違いをしたと考えてもらえるとは期待しづらいでしょうし、“熊本組”でない(と想定される)犯人としてはすでに分別に慣れているため、ゴミ袋の間違い自体を思いつきにくいのではないでしょうか。
*11: 〈上座の条件〉を否定しただけでは、三島と大仁が容疑者として“復活”することになり、カップの偽装という考えを持ち込む根拠も必要もないので、愛香の言葉に対する反応とはいえ、やや唐突に感じられる方もいらっしゃるかと思います。実際の手順としては、〈上座の条件〉の否定から、“下座の割れたカップは犯人のもの”という推理を経由することでようやく、“シンクのティーカップは偽装”(大場のカップは若竹色なので)という結論が出てくるはずです。

○ドラマの解決と結末

 ドラマ「貴族探偵」ではご承知のように、原作『貴族探偵対女探偵』での(最終話「なほあまりある」を除いて)“愛香が毎回貴族探偵を犯人と推理する”趣向は放棄されている――というよりもむしろ、ドラマ第1話「白きを見れば」以外は“愛香が貴族探偵を犯人と推理しない”ように組み立てられている節があり、実際にドラマ第4話「幣もとりあへず」では愛香が指摘する“犯人”が改変されています。

 これは、『貴族探偵』の方に収録された原作では、貴族探偵を“誤った解決”での“犯人”とするのが難しいこと、またドラマでの愛香が(原作と違って)動機も考慮して推理しているため、貴族探偵を何度も“犯人”呼ばわりするのは不自然になってしまうこと、そしてもちろん愛香が探偵として“成長していない”印象を視聴者に与えてしまうこと、によるのではないかと考えられます*12。加えてドラマ第5・6話「春の声」の結末以降は、愛香が貴族探偵に“喜多見切子殺し”の疑惑をかけているので、そちらの真相を突き止める前に貴族探偵を“別件”で告発するのはいかにも収まりが悪い、ということもあるのではないでしょうか。

 しかし困ったことに、今回の原作「むべ山風を」の“誤った解決”は、第4話の原作「幣もとりあへず」に比べると改変が著しく困難です。原作「幣もとりあへず」の“誤った解決”では貴族探偵と女将の“共犯”で、どちらかといえば密室状況の現場に出入りできる女将の方が必須であるため、ドラマ第4話では事件の状況を少し改変することで“女将単独犯”を成立させてあるのですが、原作「むべ山風を」では(偽の)手がかりの黒いカップに該当する来客男性は貴族探偵ただ一人で、“犯人”の役割を振る先が他にありません。

 もう少し考えてみると、原作の“誤った解決”における、“愛香が導き出した三つの条件に当てはまる盲点の人物”という“犯人”の条件はまず動かせない*13ので、“犯人”となり得るのは来客のみ。しかし、貴族探偵を除外するために(偽の)手がかりを女性来客用の薄茶色のカップに変更すると、容疑者は愛香自身(当然、何らかの否定材料が用意されることになる)かメイド・田中(そもそもティーバッグで紅茶を淹れるはずがない上に、〈上座の条件〉に該当するか否か微妙*14)で、どちらも“犯人”としては不適切です。来客男性をもう一人増やし、貴族探偵は“ティーバッグの紅茶を飲まない”という理由で除外することも考えられますが、これは厳密にはもう少し詰める必要がある(後述)ので、推理が煩雑になってしまうきらいがあります。

 このように、原作「むべ山風を」の“誤った解決”を改変するのは難しいのですが、そこで、“犯人”ではなく“探偵”の方を変更するという大胆な方策が採用されたのが、ドラマ「貴族探偵」のすごいところ。何せ原作には――シリーズ全体を見渡しても――他に“探偵”となり得る人物がいない*15わけで、ここでドラマオリジナルキャラクターに“探偵”をつとめさせるために、ドラマ第1話から鼻形を登場させ続けて愛香のワトソン役に“育てる”とともに、前回のドラマ第7話「ウィーンの森の物語」ではドラマ全体の軸(愛香の師匠・切子と貴族探偵の謎)に関わるきっかけを用意して重要人物に押し上げておいた、ドラマ制作スタッフの深謀遠慮には脱帽せざるを得ません。

 ちなみに、各所で指摘されている*16ように、今回のドラマ第8話とドラマ第1話の間には、“誤った解決”で貴族探偵が“犯人”とされる、ポルチーニ(ドラマ第1話)と光るキノコ(ドラマ第8話)のキノコつながり、結末で貴族探偵が愛香に“アヴァンチュールのお誘いですか?”と尋ねる、といった共通点があり、今回のドラマ第8話は“ドラマ第1話の変奏曲”といえます。実をいえばドラマ第1話の放送当時、ポルチーニだけはどこからどうやって出てきたものかさっぱりわからず、妙な“異物”感があったのですが、これは原作でもキノコが登場するドラマ第8話と対になることを暗示する伏線だったということでしょう。そしてドラマ第1話にもう一つの“異物”として登場した鼻形が、キノコと同じく(?)ドラマ第8話での主役となる――というところにも、伏線が回収されたような感慨を覚えます。

*

 ということでドラマでは、連行された愛香の頼みを受けて鼻形率いる“マル貴”が捜査に乗り出しますが、常見慎吾刑事や鑑識係員・冬樹和泉*17はともかく、鼻形の聞き込みなどは何ともひどい有様{失礼}で、とても“大船乗り換えのつもりで”安心して(?)見ていられるようなものではありません{苦笑}。が、そこへ貴族探偵の意向を受けた使用人たちが登場し、執事・山本がティーカップについて、運転手・佐藤が動機につながる研究室内の人間関係について、そしてメイド・田中が殺された大場の座席の位置について、事件の情報を提供することでようやくミステリらしくなります。

[犯人の条件]
容疑者カップ
の条件
上座
の条件
韮山瞳(准教授)×
原木一昭(修士二年)××
修善寺潤子(修士一年)××
三島純夫(学部四年)×
田京恵(学部三年)×
高徳愛香○?

 提供された情報をもとに、鼻形は〈カップの条件〉〈上座の条件〉を導き出しますが、原作同様に〈カップの条件〉に当てはまる三島と田京の二人は〈上座の条件〉で外れる一方、常見が指摘しているように、来客である愛香は(一見すると)条件に当てはまるのが原作との違いで、“犯人不在”の状態から推理を出発させる原作の愛香に対して、ドラマの鼻形は――貴族探偵を“犯人”と告発する前に――まずは愛香の容疑を否定する根拠を示す必要があります。

 かくして関係者が集められたサルーン*18で、鼻形はまず〈カップの条件〉〈上座の条件〉を説明し、愛香が条件に当てはまるという指摘に対しては、被害者の大場は女性をなめている傾向があり、愛香に上座を譲ったりする人物ではない――と、運転手・佐藤が提供した情報だけでなく愛香が語った過去のトラブルをも手がかりに、大場の人物像からすれば納得できる推理を披露しているのがお見事。そして、原作での愛香と同様に盲点から貴族探偵を“犯人”として取り出しますが、探偵役が違うだけに台詞回しもまったく異なるのが見所で、“自分は刑事{でか}です。言うべきことは言わせてもらいます”と、“マル貴”の腕章も外して毅然とした態度で*19貴族探偵を告発する姿は、思わず胸が熱くなるものがあります。

 さて、この推理に関する部分では、〈ゴミ袋の条件〉がないところが原作と大きく異なっています。これは、容疑者を減らしたのに合わせて推理をやや簡略化したとも受け取れますが、前述のように原作で“貴族探偵犯人説”に無理が生じているのを避ける、という狙いもあったのではないかと考えられます。特にドラマの場合、鼻形が犯人の条件を導き出した際の再現映像がネックで、登場人物の思考をドラマ的に描写する一般的な手法としてドラマ「貴族探偵」でも採用されていますが、“(鼻形が演じる)犯人役が紅茶を淹れる”場面を映像で具体的に見せてしまうと、その後の“貴族探偵犯人説”が著しく説得力を失うおそれがあります。そのあたりまで含めて、ドラマで〈ゴミ袋の条件〉がカットされたのは正解でしょう。

 ただし、当然ながら原作にあった〈上座の条件〉との矛盾もなくなるため、致し方ない*20とはいえ、“誤った解決”の否定が苦しくなっているのは否めないところ。鼻形の推理に対するメイド・田中の、“御前様は見知らぬ誰かが淹れた紅茶(注:“ティーバッグの紅茶”でも同じ)を飲むようなお方ではございません”という反論には一理ありますが、ティーカップがすでに水につけられた現場の状況からすると、犯人が実際に紅茶を飲んだとは限らない――口をつけることなくシンクに流したとも考えられるので、鼻形の推理を否定する根拠として十分とはいえません。

 これについて補足しておくと、貴族探偵が犯人であった場合には、事件が発覚した際の給湯室の状況が違ってくることが推測されます。すなわち、カップを洗うなどという雑事を自ら行うはずはないので、メイド・田中がいなければ少なくとも蛇口が開かれることはない(カップを水につけるくらいはするかもしれませんが)と考えていいでしょうし、雑事を田中に任せた場合にはカップがシンクに残らない――田中の手元には、断水の最中にも紅茶を淹れられるだけのお湯があるので、カップを洗うことも可能――のではないでしょうか。そう考えれば、(手順が煩雑にはなるものの)鼻形の推理は否定することができるでしょう。

 いずれにしても、“貴族探偵犯人説”を否定してから始まる*21メイド・田中の推理は、大筋では原作そのままではあるものの、再現ビデオを巧みに利用した見せ方が見事。“愛香が犯人でなければ大場の上座に座る容疑者はいない”という理由(これについては後述します)で、再現ビデオでは被害者役(運転手・佐藤)が上座に着き、カップなしで殺害と死体の移動だけを見せてあり、死体の移動に大した意味がないという愛香のツッコミを誘発*22することで、“もっと直接的な偽装”へのつながりが原作よりもスムーズになっている感があります。

 その“直接的な偽装”――カップの偽装についても、原作のようにいきなり犯人以外の人物に言及されるのではなく、犯人役(メイド・田中)がカップを洗うところから順を追って説明されるのが親切ですし、この時点ではカップの色がわからないように真っ白なカップを使ったり、机から取り上げるカップをアップで撮ってカップの位置を隠蔽*23したりと、再現ビデオの芸が細かい演出が光ります。またこの部分については、事件発覚前に研究室に戻ってきた田京の、“ただごとならぬ何かがあった”ような表情という手がかりが追加されることで、再現ビデオでの田京役(執事・山本)の行動が補強され、田京の告白にまでつながっているところがよくできています。

 そして最後に、割れたのが大場ではなく犯人のカップであることを示すために、再現ビデオで犯行が最初からカップ付きで(カップが割れるところまで)再・再現される、という具合に、原作の小説ではやや煩雑でわかりにくいところもある推理の手順が丁寧に説明されてわかりやすくなっています。というわけで原作と同じく、大場と同じ緑のカップを使う院生男子・原木が犯人と名指しされて事件は解決されます。

 しかして、今回のクライマックスはやはりその後。事件関係者の大半がサルーンから退去した後も席にたたずみ、相変わらずの汚い字で手帳にびっしりと書き込んだ懸命の努力の跡*24をじっと見つめる鼻形の姿には、原作に存在しなかろうが何だろうが、心を動かされずにはいられません。そして、そこへ使用人たちが紅茶を出しながら――鼻形が貴族探偵を“犯人”と名指しした際の呆れ顔などなかったかのように(苦笑)――にこやかに微笑みかける、ドラマの中でも随一の感動的な場面はいつまでも記憶に残るものとなるはずです。

*

 事件が解決された後、光るキノコを抱えて帰ろうとする――のは雑事ではないのでしょうか――貴族探偵に、愛香はまず恒例(?)の〈御前ヒント〉を指摘します。研究室内の人間関係の方はさほどでもありませんが、死体が発見されて早々に“ずいぶん貧相なカップですね”と、割れたカップに着目している(ように見える)のは、なかなか絶妙なヒントだと思います。

 さらに愛香は、取り合わずに立ち去ろうとした貴族探偵を呼び止めて、警告のために自分を罠にはめたのではないかと尋ねていますが、冒頭のドアの前の一幕を知っている視聴者であればともかく、貴族探偵が自分を呼び出したことくらいしか知らないはずの愛香が、このような疑念を抱くに至るかどうか――まあ、毎回の〈御前ヒント〉の積み重ねを通じて、貴族探偵の“メタ推理”能力を確信しているということかもしれませんが……*25。いずれにしても、貴族探偵はその疑念を否定するような態度で、改めて愛香に忠告を与えて去っていきますが、そうなると冒頭の一幕の意味がよくわからないところがあります。

 その後、事務所にこっそりと訪ねてきた鼻形が、“政宗是正”について調べた結果を愛香にもたらしますが、公安にマークされている人物で“シンガポールを拠点に黒い活動をしている”こと以外はすべて謎と、次回以降に向けて油断のならない展開が用意されているのが絶妙。さらに、事務所の隣で(?)光るキノコを愛でる貴族探偵の姿に、前回ラストの燃え上がる“政宗是正”の名前を重ねた最後の映像は、抜群の演出効果といえるでしょう。

*12: 原作『貴族探偵対女探偵』のように、愛香が動機を考慮せず“消去法一本槍”を貫き、なおかつ(ほぼ)すべてのエピソードで貴族探偵を“犯人”とするよう徹底されていれば、また話は別だと思いますが……。
*13: “盲点の人物”でなければ、条件が示されただけで“犯人”が確定してしまうので不都合です。また“条件に当てはまらない人物”だとすると、その時点で愛香が導き出した条件に疑義が生じていることになり、その後のメイド・田中の推理に影響を与えてしまいます。
*14: 来客とはいえ明らかに使用人の立場だとすると、大場が上座をすすめるのかどうかも定かではありませんが、仮にすすめられてもメイド・田中ならば固辞しそうなので、〈上座の条件〉がかなり怪しくなります。
*15: ドラマで愛香の師匠として登場する切子も、愛香の代役として誤った推理をするのは適切ではないでしょう。
*16: 千街晶之「原作と映像の交叉光線{クロスライト}・出張版8/探偵と呼ばれる資格――『貴族探偵』」(探偵小説研究会「CRITICA vol.12」)など。
*17: 和泉が捜査情報をきれいにまとめていますが、メイド・田中によるまとめと比べてしまうと物足りなく感じられる……。
*18: よく考えてみると、貴族探偵を“犯人”と告発しようとしているにもかかわらず、その使用人たちに関係者を集めるよう頼むのは、少々図々しい気がしないでもありません(苦笑)……が、鼻形もすっかり“貴族ワールド”に取り込まれてしまったということでしょうか。
*19: ただ、“普通の刑事に戻らせてもらいます”(→「キャンディーズ#人気絶頂時の解散 - Wikipedia」)にはニヤリとさせてもらいましたが、若い視聴者には通じるのかどうか……?
*20: 否定材料を“後出し”すれば別ですが、そうでなければ“(誤った)解決”の説得力と否定しやすさは表裏一体で、反比例することになります。
*21: 貴族探偵を“犯人”と推理したことに憤慨して鼻形を席に追いやったり、紅茶を愛する者としての怒りで執事・山本ばりの長広舌……を貴族探偵に遮られたりと、メイド・田中の今までになく人間味あふれる姿には笑いを禁じ得ません。
*22: ドラマの愛香は推理を否定された立場ではなく、鼻形の推理でひとまず容疑が晴れて第三者的な立場となっていることもあって、原作での(自分でも)“云い訳がましく聞こえる”状態から冷静なツッコミへと印象が変わっています(推理を否定された鼻形の方は、変顔待機中でしょうか)。
*23: よく考えてみると、下座に移動された被害者役(運転手・佐藤)が伸ばした手の先なので、上座にあるカップが取り上げられたことがわかります。
*24: サルーンに関係者を集めて推理を始める段になっても、貴族探偵や執事・山本、愛香らの声も聞こえないくらいに集中していたところも印象的です。
*25: まさか、貴族探偵の能力が愛香に“伝染”しているなどということは……ないですね。

○ドラマの“真相”?

 ところで、この第8話には初見時にも小さな違和感が残る箇所があったのですが、録画したドラマを何度か見返すうちに色々なところが気になってきました。

 まず目を引くのが、犯人と名指しされた原木が罪を認めた際に、瞳が私のせいよね”と言い出すところで、恒例となった貴族探偵によるケアにつなげるためとしても唐突な印象が拭えません。さらにその後、警察に連行されていく原木が瞳に意味ありげな視線を向け、瞳が一礼までして原木を見送っていること、そしてそもそも犯人とされた原木が(これまでの犯人と違って)事件についてはほとんど何も語らないこと、なども踏まえると、秘められた関係の存在が匂わされているように思われます。

 一方、田京に罪をなすりつけようとした原木を厳しく罵倒しながら、濡れ衣を着せられそうになった田京の方はケアどころか完全に放置している貴族探偵も、“らしくない”行動を取っているように見えますし、ケアの対象を考えるとむしろ瞳が事件の主役であるかのような扱いです。さらに輪をかけて不自然なのが使用人たちで、捜査情報のまとめにはなぜか瞳に関する情報がない――瞳に言及されるのは、カップについて和泉が尋ねた時のみ――上に、メイド・田中の推理でも前述のように“大場の上座に座る容疑者”であるはずの瞳が無視されるという有様。これは、明らかに異常な事態といわざるを得ません。

 ドラマではなぜか完全にスルーされているので、ここで瞳を容疑者として検討してみると、〈上座の条件〉に問題なく当てはまるのはもちろんですが、〈カップの条件〉には当てはまらない……ように思われます。しかし、〈カップの条件〉は犯人の偽装だったことが――メイド・田中の推理だけでなく田京の告白によって*26――明らかになっているので、確実なのは犯行後に上座にピンクのカップが置かれたことだけ。つまり、犯行時の上座のカップは任意……どころか、二人分の紅茶が淹れられたようにティーバッグとティーポットを偽装(これにはさほど時間がかからないでしょう)すれば、カップなしでも、あるいは専用の水筒でもかまわないことになり、“上座に着いた瞳が、下座の大場を殺害した”可能性は否定できないのではないでしょうか。

 ……と考えてみたのですが、実は冒頭の犯行場面、逆光で撮影されているのでややわかりにくいものの、犯人が大場よりも窓側にいるように見えますし、窓際に置かれた観葉植物の影(画面右下)との距離感をみると、大場が上座で殺害されたことは間違いなさそうです。それでも、前述のようにドラマで匂わされている瞳と原木の関係をここで想定してみると、大場と原木が紅茶を飲んでいるところへ瞳が入ってきて、おそらくはトラブルになって瞳が大場を殺害し、原木が代わりにその罪をかぶった――すなわち“瞳が真犯人”という“真相”は、十分にあり得るのではないかと思われます。

 そもそも、原作では“ほぼアリバイが成立”*27して容疑者から外れていた瞳が、ドラマではアリバイがない状態*28となるようわざわざ改変されているところに、制作スタッフの意図がはっきりと表れているのではないでしょうか。単純に容疑者を増やそうとしたとは考えられません*29し、容疑者に含めておきながら推理では一切触れ(させ)ないところをみても、さらにいえば瞳と大場の間に“指導教官と学生”以上の接点を用意してあるところをみても、おそらくは原作の“目の前の瞳だって、かつて大場と極秘裏につきあっていた可能性がないわけではないのだ。”という一文をふくらませてもう一つの“真相”を作り上げ、ドラマの裏側に潜ませたのではないかと考えられます。

 対する貴族探偵の側は、前述のように使用人たちの情報提供や推理の中で瞳が“隠されている”ことを踏まえれば、もう一つの“真相”をしっかり見抜いた上で、瞳と原木が“妥協”できる最低限のライン*30で事件を“解決”してみせた、ということではないでしょうか。そしてそうだとすると、貴族探偵の犯人は君だねという決め台詞は原木を試したものであって、妙に潔く“はい、その通りです”と答えた原木の、“浅ましいにもほどがある”とは正反対の覚悟を認めて、あえて厳しく罵倒することで原木が犯人だと“確定”させた――というのは妄想が過ぎるでしょうか。

 “探偵”を名乗りながら、見抜いた真相を意図的に明かさないとはいかがなものか、と呆れる向きもあるかもしれませんが、麻耶雄嵩作品ではままあること(!)ですし、ほかならぬドラマ「貴族探偵」でもちょうど前回そのような行動を取った探偵が……。

*26: メイド・田中の推理では〈上座の条件〉の否定が出発点になっているので、大場の上座に座る容疑者について検討する場合はその推理を根拠とすることはできませんが、田京の証言があれば確実といっていいでしょう。
*27: 死亡推定時刻の初めの方に若干の空白がありますが、紅茶を淹れて飲んでいる最中の犯行とすれば、時間的余裕はないはずです。
*28: 中盤の“マル貴”による事情聴取の場面で、瞳は“呼ばれて学部長室に行ったが、学部長はいなかった”と証言し、常見がアリバイはないんですね”と念押ししています。
*29: 原作から研究室のメンバー(すなわち容疑者)がだいぶ減らされているわけで、もし容疑者が必要ならば、メイド・田中の推理に影響のない学部生(大仁智史・牧之郷明)や教員を残しておけばすむことです。また、どのみち〈カップの条件〉〈上座の条件〉で研究室側の容疑者は一旦いなくなってしまうので、ここで容疑者を増やすだけなら意味はないでしょう。
*30: 当初は田京に罪をなすりつけようとしていたわけですし、少なくとも愛香が登場してからは、愛香と大場の昔のトラブルを警察に知らせるなど、瞳は愛香に罪をかぶせようとしているようにも見えます。ちなみに、貴族探偵がその意を汲んで愛香を呼び出すよう提案した、とは考えにくいものがありますが、冒頭のドアの前の一幕がやはり気になります。

○まとめ

 原作「むべ山風を」は、私見では最もドラマ化しやすいエピソードです。『貴族探偵』収録作のように新たに多重解決をひねり出す必要がないのはもちろんのこと、「白きを見れば」ドラマ第1話)のように解決に“穴”もなく、「幣もとりあへず」ドラマ第4話)のような映像化しづらいトリックもなく、「なほあまりある」(ドラマ第10・11話)のように使用人たちを登場させるための謎解きの改変も不要なので、本来であればほぼそのまま*31ドラマ化することもできたはずです。

 ところが蓋を開けてみると、謎解きは(一見すると)ほぼそのままながら他の部分が大幅に改変され、ドラマ開始当初は誰一人として予想しなかったであろう“貴族探偵対鼻形警部補”が展開されるに至るという事態に。しかしそれは、あくまでも原作を尊重した上で、連続ドラマの中の一話として完成度を高めるために力を注いだ結果であり、改めて制作スタッフに頭が下がります。

 しかも、これは穿ちすぎかもしれませんが、“アレ”や“アレ”を思い起こさせる麻耶雄嵩らしい仕掛けまで盛り込まれている*32……ように見えるのが秀逸で、個人的にはあれこれ考えさせられた結果としての充実感と満腹感(苦笑)でいっぱいです。

*31: 原作に登場しない執事・山本と運転手・佐藤の出番を盛り込むのは難しくないでしょうし、多すぎる登場人物を減らすのも問題ないでしょう。
*32: 考えてみれば、犯人とされる人物が原作から二人も増えている(かもしれない)のもすごいところでしょう。

ドラマ第7話 ←   → ドラマ第9話


黄金の羊毛亭 > 雑文 > 「貴族探偵」はいかに改造されたか? > ドラマ第8話 「むべ山風を」