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C62の組み立て(接着剤) その8

動力ユニットを組み立て、上廻りを仕上げて完成です。

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動力ユニット

前回2004年に発売されたC62までは、動力ユニットの左右のフレームを、ベーク板のベースプレートにネジ留めする方法でした。
今回はベースプレートを使わない方法に変わりました。左右のフレームを、絶縁ブッシュを介して直接ネジで接合しています。
なお今回のキットのパッケージには、この点が「動力ユニットリニューアル」と記載されているものと、されていないものがあります。おそらく記載されているものには、メーカーのWEBサイトで公表されている、モーターの取り付け向きの説明の誤りに修正が加えられているものと思います。

ギヤ側フレーム ギヤが取り付けられるほうのフレームは、2枚の部品からなります。
2枚の張り合わせ 2枚の板をぴったり合わせて張り合わせます。ここは本当はハンダ付けのほうがよいのですが、通電に関係する張り合わせではないので、接着剤でも大丈夫です。
フレームとモーターベース 反対側のフレームにはモーターベースが取り付けられますので、折り曲げて組み立てます。
モーターベースの取り付け モーターベースをフレームにぴったり重ねて接着します。ここも、通電させる必要のない部分なので、接着剤でもOKです。
センターボスの取り付け 裏側にセンターボスをしっかり接着します。できればエポキシ系接着剤などでがっちり接着したいです(ちょっとしたものは、接着剤の混合が面倒なんですよね…)。また、テンダーの上廻りとはこのボス1個で接合されるので、ここの接着が曲がっていると、テンダーが傾いてしまう原因になります。
車輪座 車輪座の軸受けに、車輪が無理なくはまって回転することを確かめます。ここでは丸ヤスリで軽くさらっています。広げすぎると走らなくなります。
(黄色いテープは、直径が2.5mmの位置に巻いてあります)
小ギヤ軸 小ギヤ軸が4個付属していますが、片側にネジを切ったときのバリが出ているので、平らに削っておきます。また、各種ギヤの表面にバリが出ていれば削っておきます。
車輪座の組立

車輪座に小ギヤ2個を取り付けます。小ギヤ軸を小ギヤに差し込み、ギヤベースをはさんで車輪座に重ね、外側からネジでしっかり留めます。
一度組み立てた動力ユニットは基本的に分解できなくなるので、このネジが緩んでしまうとおしまいです。

ギヤが指で軽く回ることを確かめます。

大ギヤの取り付け 組み立てた車輪座(矢印)をフレームに重ね、両ボス回転座とワッシャーをはさんで、大ギヤを取り付けます。このネジも緩まないようしっかり留めます。
車輪座を取り付けたフレーム 車輪座を取り付けた様子です。2つの車輪座が、大ギヤを中心に軽く首を振ることと、すべてのギヤが指で軽く回せることを確かめます。
モーター側フレーム モーター側フレームにも車輪座を固定しますが、こちらにはギヤがないので単純です。
左右のフレームの結合 左右のフレームを結合します。両方のフレームは、正・負別々の極性になりますから、直接接触するとショートしてしまいます。間に付属の絶縁ワッシャを挟み、さらに絶縁ブッシュを介してネジ止めします。
車輪の取り付け装

車輪を取り付けます。外側の2軸はゴムタイヤなし、内側の2軸には片方にゴムタイヤがつきます。

プラ製のギヤ軸の片側(小ギヤの反対側)に、車輪スペーサを忘れずに入れ、車輪座の軸受けに置きます。次に両側から車輪を少し差し込みます。

車輪の圧入 車輪の金属の軸が車輪スペーサの下に入り込んでいることを確かめてから、万力などで左右の車輪を止まる位置までゆっくり圧入します。
同様に他の車輪も圧入します。
回転の確認 モーターを取り付ける前に、線路上で転がしてみます。これまでの過程でギヤが軽く回っているのなら、特に問題なく転がります。
モーターの取り付け

モーターを取り付けます。説明書を見ても向きがよくわからず(モーターには「マーク」らしきものが2つある)、実際に回転方向を調べて取り付けました。

左右のフレームに、付属の導線(H-6)をしっかりネジ留めします。ここは通電するので接着してはいけません。先端をモーターの穴に差し込んで折り曲げ、しっかり押さえます。あまり接触が良くないので、できればハンダ付けするか、細いビニール線などを使ってねじって留めたほうがよいと思います。

また、写真左側の導線が、モーター側のフレームに近いので、絶対に接触しないよう注意します。

ウォームの取り付け

線路に乗せて通電し、モーターが回転することを確かめます。次にウォームギヤを差し込んでエポキシ系接着剤で接着します。瞬間接着剤では、少し加減を誤っただけでモーターの中に染み込んでしまうことがあります。

フレームの側面には、テンダーの上廻りと接触しないよう、テープ等を貼って絶縁しておきます。

上廻りの取り付け 動力ユニットをテンダー上回りに差し込み、センターボスをネジ留めします。このとき、テンダーの底面と側板が直角になっていないと、テンダーが傾いてしまいます。
床板の取り付け 左右の床板を前後2箇所のネジで留めます。後部にカプラーも取り付けておきます。ドライバーの先でテンダー側面の塗装をはがさないよう気をつけます。
台車枠の取り付け 4個の台車枠を車輪座の上に重ね、ネジ留めします。
石炭の積み込み 上部にウエイトを積み込み、給水口のパーツをはめ込みます。ゆるいときは小さい両面テープで貼り付けます。
これでテンダーは完成です。

仕上げ

試運転をして仕上げのパーツを取り付け、色入れして完成です。

試運転 機関車を連結して走らせてみます。今回はメインフレームがまっすぐに仕上がったらしく、動揺が全然なくて安定して走りました。音も結構静かです。
R280で走れるように走行調整したのでそれはOKでしたが、R249は先輪が脱線してだめでした。
空気作用管 せっかく付属しているので、空気作用管を取り付けます。後方の下がっている部分は手前で切り取ります。
かなり前に製作された部品なのか、サビみたいなものが浮いていてあまりきれいではありませんでした。しかしピカピカよりはよいかと思い、そのまま使いました。
配管サポートの色入れ ところどころに入っている配管サポートの表現には黒を入れておきます。以前は筆でプライマーと黒を塗っていたのですが、極細マジックでも見た目が大して変わらないことが最近わかりました。
空気作用管の取り付け コンプレッサーの蒸気管の部分は出っ張っているので、そこを避けるように空気作用管を少し曲げておくと、きれいに接着できます。
空気作用管はこの蒸気管の下を通っていることがよくありますが、蒸気管を浮かせていないかぎりそれができません。空気作用管を蒸気管の位置で前後に切り離し、蒸気管の前後から別々に接着するという方法もあります。
各部色入れ ヘッドライトなどに細筆で銀色を入れます。細筆が難しければ、爪楊枝の先などで入れてもいいと思いますが、先が固いのでこれはこれで使いにくさがあります。

ナンバープレートの磨き出し

塗装したナンバープレートを、400〜800番程度のサンドペーパーで磨き、縁取りと文字の部分の地金を出します。細かいところはナイフの先などでちょっと削るとよいです。そのあと、曇り止めにクリアー(ここではクレオスのメタルプライマー)を吹き付けておきます。

乾いたら、切り離してゴム系接着剤で貼り付けます。

透明プラ板などで窓ガラスも入れるとよいのですが、結構面倒なので省略することもあります。

完成

ようやく完成しました。20系などを牽かせると似合うでしょう。

完成したC62

後半、接着剤の硬化を待つ時間がとても長くなってしまったので、もしかしたら惜しまずに新しい接着剤を使っていくのがコツなのかもしれません。
接着剤による組み立てといっても、手順はハンダ付けの場合と何ら変わりません。Nゲージは小さくて軽いので接着剤の負担も少なく、通常の模型の取り扱いならば強度も問題ないようです。キットは薄く柔らかい金属でできているので、ぶつけたり落としたりすればへこんでしまうのは、接着剤だろうがハンダ付けだろうが同じです。そんな取り扱いはしないことです。

接着剤のほうがよかった点は、以前に接合した部品の直近に別な部品を接合しても、前の接合が溶けて外れることがないということです。逆にいえば、それができるのがハンダ付けのよさでもあります。
接着剤のほうが使いにくかった点は、小面積の接着では接着力が極端に落ちることと、柔軟性がないのでちょっとした仮付けの曲がりでも、手で曲げて直せないことでした。

(おわり)


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