日影丈吉
1908年に東京は深川に生れる。「燻し銀」と称されるその文体は渋く、とても端正です。 何と言っても短編の名手。一度その魅力に魅せられた者はまちがいなく日影氏のとりこになるでしょう。代表作に短編集「恐怖博物誌」、長編では「女の家」が良い。戻る
植草甚一
言わずと知れたファンキーおじさん。雑学の先達。在りし日の植草甚一氏を思い起こす度に、つくづく学問って快楽だなァと感嘆久しくします次第。戻る
「野獣都市」
福田純監督。黒沢年男主演。当時流行ったブルーベルシンガーズの「昭和ブルース」に乗って始まります。一匹狼の大学生が射撃の名手となって、大手商社の取締役、三国連太郎の飼い犬となって働きますが、利害関係にある暴力団の罠にはまり滅亡の坂を転がり落ちていきます。ニヒルな大学生役の黒沢年男もはまり役なら、暴力団幹部の憎々しい青木義郎も良い。60年後半から70年初めにかけて作られたいわゆる東宝ハードボイルド路線の傑作。戻る
「野獣の復活」
井上梅次監督。三橋達矢主演。三橋達矢が後半、復讐のため単身敵陣のビルへ潜入し、次々と悪漢を倒し、大滝秀一演ずるボスの目前に達しました時、大滝曰く「もう、来たのか」の一言には、思わず笑ってしまいました。もちろんボスは、ソファーごと貫通した弾丸に倒れます。井上監督独自の快調なテンポでストーリー展開する快作です。戻る
「復讐のテクニック」
工藤栄一監督。これも批評家には不評を買いましたネ。でも僕は好きな映画です。マッチョな藤岡弘の一番の傑作と思います。ニヒルです。抑えたジャージーな映画音楽も良い。乾いたタッチの映像も良い。ラスト、機動隊に包囲され、マシンガンを乱射しながらのストップモーションもこれまたヨゴザイますよ。戻る
「爆発!暴走族」
石井輝男監督。岩城宏一主演。三保敬太郎の軽快な音楽にのって黒革ジャンの暴走族が疾走する。ラストの暴走族同志の激突シーンはまるで舞踏をみるよう。戻る
石井輝男監督
 今では石井ファンの語り草ともなっています土方巽氏主演の「恐怖奇形人間」は、いざ観てみますてぇと、なるほど聞きしに勝る異様な感動をもたらしてくれる肉体派の映画でしたヨ。
肉体派の映画ってぇのは、役者の演技よりも、むしろ役者の肉体そのものを映像で活写するようなもの。そこでは肉体のもつ性質が執拗にクローズアップされます。汗、メタモルフォーズ、運動、臭い、排泄物等が直接的にまれ、間接的にまれ映像の至る所に活力を与えているのです。
 かくいう僕は、石井輝男監督の大ファンでありますが、やはり石井氏の真骨頂はあのエログロ路線の真っ只中で撮られた作品群にこそあり、その頃の一連の残虐無比な映画でこそ独特の破廉恥の大輪の花々が開花したのだと思います。いまなお、精力的にメガホンを取られる石井監督に応援しましょうヤ。戻る
原田芳雄
「関東幹部会」で映画初登場。セリフ回しと演技が、投げやり的なのが良い。新しいヤクザ像を創出。 映画評論誌では「丹波哲郎と野坂昭如を足してニで割ったような容貌」と評されました。戻る
成田三樹夫
ドスの効いた流し目が良い。前髪をきちんと揃えた髪形が良い。低音の声音が良い。この人の御陰でどれだけ映画が面白くなったことでしょう。戻る
「流血の抗争」
長谷部安春監督。宍戸錠、藤竜也血みどろになっての殴りこみ。敵のアジトで流血の身でボスを待つ2人。時が経つにつれ、「寒い、寒い」と呟きながら、死のまどろみに沈んでいく竜也。長谷部監督の冴えた演出がクールなカメラワークともあいまって、これまでにないヤクザ映画の傑作を生み出しました。わっかるかナー、わっかんねェだろうな、なにわともあれ日本のフィルムヌワールも観てくださいヨ。戻る
内田良平
「ハチの武蔵は死んだのさ」なんて歌謡曲も書き、多才振りを発揮しました。ニヒルですが、人の良さそうな悪役。「俺の言うことは黙って聞くもんだぜ」なんて言いながら仇敵をちょっと助けてやるような、男気のあるヤクザを演じたら天下一品。戻る
内藤 陳
元トリオ・ザ・パンチで独特のアクションコントを演じていました。特異な風貌、最後までピストルを離さなかった、根っからのアクションファン。口癖の「ハードボイルドだど」は一時流行語にもなりました。意外でしたが、冒険小説には造詣が深く、山と積まれたコレクションを持たれるほどのマニアでありました。戻る
「ジャズサックスのすべて」
スイングジャーナル社1995年刊。サックスが好きなので、暇があれば読んでます。サックス・アルバムの辞典でもあり、重宝してます。戻る