以前どこかに植草甚一氏が、アルバムジャケットデザインの良いものは中身のレコードも良い、と書かれていましたが、今回の「STREET LIFE」は、クルセイダーズのこれまでの「もうちょっとどうにかならないの」と思えたジャケットデザインのなかでは例外的に納得のいくもの、とはいえ勿論これまでの泥くさい作風のものも、いかにもクルセイダーズ風といえばいえないこともなかったのですが、今回のはとりわけシャレていまして、果たして中身も帯の宣伝文句にあるように、「メロウなサウンドに都会的なフィーリングがあふれる」傑作。
やはり植草氏のおっしゃる通り、ジャケットの良いものはレコードも良いってのは定説。いやこれは人にしても同断で、人は見かけによらぬものなんて言いますが、違いますネ、まさに人は見かけ通りでございますヨ。
大ヒットを記録した「STREET LIFE」は、確かに初期のウエインヘンダーソンとウイルトンフェルダー2管編成の手に汗握る迫力は薄れ、さしものサウンド愚連隊も鳴りをひそめた感なきにしもあらず、ひたすらソフィストケートされた感じではありますが、それはそれ、ここへきてクルセイダーズはいよいよ円熟味を増し、ジョーサンプルの硝子のような繊細なリリシズム、ウイルトンフェルダーのあっけらかんとした明るさと包容力、スティックスフーパーのレモンスカッシュのように爽やかなスティックさばきが見事三位一体となって結実しました。「STREET LIFE」は、まぎれもないメローファンクの大傑作でありましょう。
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