このピンクに彩られたジャケットのライブ版「SCRATCH」を世紀末まで聞かなかったのは、我ながら情けない。『ジャズ・サックスのすべて』でも「全身をマッサージしてくれる傑作ライブ」と好評価、それを読んだ矢先に買わなきゃならなかったんでしょうが、このクルセイダーズ狂の私が何たる不覚。悔やまれてなりません。まさにそれほどまでにこのアルバムは大傑作だったのです。
「GOLDEN SLUMBERS」に続いてのビートルズナンバーの「ELEANOR RIGBY」。これを聴けば、クルセイダーズ版ビートルズメドレーを是非やって欲しかったと、叶わぬ願いとは知りながらも一縷の望みを込めて願わずにはいられません。
流れるように「HARD TIMES」へと移り、「OLD SOCKS」の時とはまた違った味わいのスローなアレンジ、ジョー・サンプルのリリカルなピアノが冴え、ウイルトン・フェルダーのサックスがジャブのように放たれます。そして「SO FAR AWAY」、Wilton FelderとWayne Hendersonの見事な1分間デスマッチロングトーン。
拍手喝采に続いて吐いた息を一気に吸い込む複式呼吸とピッタリ軌を一にして、
よくやったねとばかりにクルセイダーズ面々のサウンドの心音が高鳴り、やるせないまでにしびれさせてくれます。これぞ究極の応援歌。
ライブの最後を飾るのはもはや定番となった「WAY BACK HOME」。むせび泣くフェルダーのサックス、後半にかけて盛りあがる力強くも哀愁のプレイ。「SO FAR AWAY」も「HARD TIMES」もライブでは欠かすことのできない、クルセイダーズのスタンダードになりましたネ。何はともあれ、今回も大満足の逸品でした。
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