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           李商隱

登樂遊原

向晩意不適,
驅車登古原。
夕陽無限好,
只是近黄昏。


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樂遊原に 登る
晩(くれ)に向(なんな)んとして  意(こころ) 適(かな)はず,
車を驅
(か)りて  古原に登る。
夕陽  無限に好し,
只だ是れ  黄昏に近し。

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◎ 私感註釈

※李商隠:晩唐の詩人。812年?(元和七年)〜856年?(大中十年)。字は義山。号して玉谿生。懐州河内(かだい)(現・河南省)の人。詩は寓意に富み、難解。宋代の西崑体の詩の祖といわれる。杜牧、温庭らと同時代人。

※樂遊原:地名。長安の東南にある遊覧の地で、高くなっており、長安を眺め渡すことのできる名勝地。漢の武帝のころからすでにそうであった。杜牧の『將赴呉興登
樂遊原』「�C時有味是無能,�闊、孤雲靜愛僧。欲把一麾江海去,樂遊原上望昭陵。」や、李商隱と同題の『登樂遊原』「長空澹澹孤鳥沒,萬古銷沈向此中。看取漢家何事業,五陵無樹起秋風。」等がある。この作品は、僅かの間、美しく輝く夕陽の素晴らしさを詠んでいる。人間の老境を詠っているともとれる。後者の意で「夕陽無限好,只是近黄昏。」の聯が現代でも使われる。

※向晩意不適:夕暮れ時、気分がすっきりとしない。 ・向晩:夕方。暮れ方。名詞。また、夕方に。暮れ方に。 ・意:思い。心。気分。 ・不適:調子がわるい。具合が悪い。不快感がある。かなわない。

※驅車登古原:車を駆って樂遊原に登れ(ば)。『古詩十九首之十三』に「
驅車上東門,遙望郭北墓。白楊何蕭蕭,松柏夾廣路。下有陳死人,杳杳即長暮。潛寐黄泉下,千載永不寤。浩浩陰陽移,年命如朝露。人生忽如寄,壽無金石固。萬歳更相送,賢聖莫能度。服食求�~仙,多爲藥所誤。不如飮美酒,被服與素。」 とある。 ・驅車:車を駆る。馬車に乗る。馬車を出し(て)。 ・古原:由緒ある古くからの原。ここでは長安の東南にあって長安を眺め渡すことができる景勝地。後世、清・王士�モヘ『即目三首其一』で「蒼蒼遠煙起,槭槭疏林響。落日隱西山,人耕古原上。」と使う。 ・無限好:限りなくよい。 「好」は:似合って形の良いことをはじめとして、口語では広く使われることば。蛇足になるが、「良」「佳」「善」「美」…等とは意味がすこしずつ異なり、使い分ける必要のあることば。

※夕陽無限好:夕日は、限りなくすばらしい(が)。 *後世、李清照は『雙調憶王孫』で、「湖上風來波浩渺,秋已暮、紅稀香少。水光山色與人親,説不盡、
無窮好。」と使う。 

※只是近黄昏:程なくたそがれになり、(その美しい夕日の姿も見えなくなる)。 ・只是:ただ…ではあるが(しかし)。ただし。だが。 ・近黄昏:たそがれに近い意。間もなくたそがれになる意。

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◎ 構成について

 平仄から言えば五言絶句なのかどうか? 平韻一韻到底。仄起式。韻式は「AA」。韻脚は「原昏」で上平十三元。この作品の平仄は次の通り。

   
●●●●●,第一句は全て仄になっている。
   
○○○●○。(韻)。「駆」は両韻だが、平声が主流。
   
●○○●●,
   
●●●○○。(韻)。
2001. 7.25
      7.26完
      8. 2補
2005. 4.23
     11.23
     12.27
2007. 4.25
2011. 3.20
2015. 5.9

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