王昭君
賂等阮ヨ畫殃
昭君奉勅嫁匈王
黒薙|渺驚胡角
紅涙潸然注綺裝
可忘深宮爭内嬖
無輕少艾鎭邊疆
身成朽骨留冢
魄作飛鴻歸故ク
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賂等閑画殃を蒙り
昭君は奉勅して匈王に嫁ぐ
緑蕪縹渺胡角に驚き
紅涙潸然綺装に注ぐ
忘る可し深宮に内嬖を争うを
軽んずる無れ少艾の辺疆を鎮めるを
身は朽骨と成って青冢に留まるとも
魄は飛鴻と作って故郷に帰らん
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この「王昭君」は墓誌発見の約半年前の作で、玄宗皇帝の辞に曰く 「○」乃天常 哀茲遠方 形既埋於異土 魂庶帰於故郷」 と当時の絶対 権力者である玄宗皇帝の辞と、1300年後日本の一野老の詩の尾聯と、
心が一致したことに深い感銘を覚えた次第です。
また井真成と小生の筆名井古 との奇縁。 もし両者が同時代に生を受け たならば、天地の差があり、彼の早世を忖度する気持ちになりました。
故にこの「王昭君」の尾聯を用い「弔遣唐留学生井真生君」 を作ったのです。 のち月日をかけて墓誌文の解読を志した次第です。
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・ 賂=わいろ
・内嬖=側室
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