瑛子憶江南雁供養　碇豊長の詩詞　投稿

読者のページ

　この詩は瑛子女士の作品です。 ******************

憶江南　雁供養
　　　　　　　

津軽宙
千里水烟微
秋杪銜枝賓雁下
春初摯素勁兵歸
月魄照汀磯

　　　憶江南　雁(がん)供養( くよう)

津軽の宙(そら)
千里　水烟微( )なり
秋杪(しゅうしょう)　枝を銜(くわ)えて賓雁(ひんがん)下り
春初　素を摯(つか)んで勁兵(けいへい)帰る
月魄　汀磯(ていき )を照らす

憶江南：填詞（詞）の一。単調

　微韻

〇秋杪＝秋の末　　〇賓雁＝秋に来て春に去る雁　　〇勁兵＝強い雁　　　〇月魄＝月の魄・情

　　「雁風呂」（雁供養）という言葉を初めて知った。
　　月の夜，雁は、木の枝を口にくわえて北の国から渡ってくる。渡りの途中、飛び疲れると、波間に木の枝を浮かべ，その上に止まって羽を休めるという。そうやって津軽の浜までたどりつくと，いらなくなった枝を浜辺に落として，さらに南の空へと飛んでいく。
　　日本で冬を過ごした雁は，早春の頃、再び津軽に戻ってきて，自分の枝をひろって北国へ去っていく。
　　あとには、生きて帰れなかった雁の数だけ枝が残る。浜の人たちはその枝を集めて風呂をたき，不運な雁たちの供養をしたという。　そんなお話に感動して･･･