牛棚生活
兪平伯
未辨
一飽同,
黄棉襖子暖
。
三椅臥南窗下,
偶得朦朧半
功。
******
牛棚生活
未だ辨ぜず
一飽 同じく,
黄棉 襖子 暖
たり。
三つの椅
(いす)
を
(なら)
べ 南窗の下に 臥し,
偶
(たまた)
ま得たり 朦朧 半ば
功。
**********
◎ 私感註釈:
※兪平伯:『紅樓夢』の研究家。五十年代、ブルジョア的と批判され、以降批判され続けた。この作品は『在劫難逃』
の中で孫の韋
が記した「坎軻道路 坦蕩人生」の中から採録した。
※牛棚生活:題がないので、詠まれている内容を仮に題とした。味気ないものだとも思っているが。牛棚とは、“牛鬼蛇神”を収容した所を謂う。本来は牛小屋の意で、閉じこめておいた部屋、収容場所、留置場のこととして使われる。日本語で似た用法は「ブタ箱」?
※辨:弁別する。見分ける。“未辨”:いまだに弁別していない。弁別するチャンスに恵まれない、となるが、それに対して“不辨”:とすれば、弁別する意志がない。弁別しようとしない、になる。
※
:朝食。朝餉。
※
:夕食。夕餉。
※一飽:全部の食事。少しだけ満腹する。 ・一:まるまる全体。少しの ・飽:〔名詞〕食事。〔形容詞〕満腹になる。
※同:(朝食も夕食も内容は)同じ。或いは、孫の韋
は、“無定量,亦無佳肴,求飽而已。”と記しており、その意味は「(少しだけ満腹する情況は)同じ。」になる。何如勘考されるや。
※黄棉:黄ばんだわた。
※襖子:綿入れ(の着物)。あわせ。
※暖
:ぽかぽかとしている。二音節の形容詞では“悲慘”→“悲慘慘”という風に〔AB→ABB〕重ね型の表現がある。 ・
:(火で)あぶる。乾かす。暖める。
※
:並べる。
三椅:三つの椅子。椅子を三つ並べて即席の昼寝用の寝台を作る、ということ。昼寝は中国では大人でもする習慣。
※臥:(昼寝で)横になる。
※南窗下:南よりの(暖かい)窓ぎわで。
※偶得:たまには…と。
※朦朧:ぼんやりと(寝ぼけて)。朦朧として。
※半:なかばは。
※
功:ぼんやりとしている。 ・
:≒「惚」の意。恍惚としている。 ・功:(昼寝後の)しごと。今ひとつよく分からない。
◎ 構成について:
七言絶句。平韻一韻到底。韻式は「AAA」。正確に作られている。韻脚は「同
功」:平水韻上平一東。この作品の平仄は次の通り。
●●○○●●○,(韻)
○○●●●○○。(韻)
○○●●○○●,
●●○○●●○。(韻)
2002.10.13
10.14
10.15完
2004. 2. 8補
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