漁父
和張志和詞
唐・無名氏
雪色髭鬚一老翁,
時開短棹拔長空。
微有雨,
正無風。
宜在五湖煙水中。
**********************
。
漁父
雪色の髭鬚
(ししゅ)
一老翁
(らうをう)
,
時に 短棹
(たんたう)
を 開きて 長空に拔く。
微
(かす)
かに 雨 有るも,
正に 風 無し。
宜
(よろし)
く 五湖の煙水の中に 在るべし。
******************
◎ 私感訳註:
※漁父:〔ぎょほ;yu2fu4○●〕。『漁歌子』ともいう。屈原の行為をを詠った『楚辞・漁父』「屈原既放,游於江潭,行吟澤畔,顏色憔悴,形容枯槁。漁父見而問之曰:『子非三閭大夫與?何故至於斯?』屈原曰:『舉世皆濁我獨淸,衆人皆醉我獨醒,是以見放。』漁父曰:『聖人不凝滯於物,而能與世推移。』」
に由来する。
※雪色髭鬚一老翁:雪のように真っ白い色をしたある一人の老人が。 ・雪色:雪のように真っ白い色をした。 ・髭鬚:〔ししゅ;zi1xu1○○〕鼻の下のひげとあごひげ。 ・一:とある。ある一人の。 ・老翁〔らうをう;lao3weng1●○〕年をとった男。老人(男)。おきな。
※時開短棹拔長空:時折、短かい棹を動かして、(舟を操るさまは棹を大空から抜き出すかのようである。 ・時:時々。時に。 ・開:動かす。 ・短棹:〔たんたうduan3zhao4●●〕短いさお。短い櫂。 ・拔:〔ばつ;ba2●〕抜き出す。 ・長空:大空。
※微有雨:わずかに雨があるものの。 ・微:わずかに。かすかに。 ・有雨:雨がある。
※正無風:ちょうど風がない(ので靄が流れていくことがなく)。 ・正:ちょうど。まさに。 ・無風:風がない。
※宜在五湖煙水中:ちょうど五湖の霧雨がつくり出した靄(もや)の中にいる。 ・宜在:…にいるのが適切である。 ・宜:よろしく…べし。…するのが適切である。 ・五湖:五つの湖。太湖または洞庭湖を五つに区切った呼び名。また、付近の湖を含めて呼んだもの。中唐・劉長卿の『餞別王十一南遊』に「望君煙水闊,揮手涙霑巾。飛鳥沒何處,青山空向人。長江一帆遠,
落日
五湖
春
。」
とある。 ・煙水:靄(もや)がかかった水面。水蒸気のたちこめた水面。
◎ 構成について
単調。二十七字。平韻一韻到底。韻式は「AAAA」。韻脚は「翁空風中」で詞韻。
●○○●●○,
(韻)
○
●●○○。
(韻)
○●●,
●○○,
(韻)
○
●●○○。
(韻)
2005.10.19完
2013. 6.11補
漢詩 填詞 詩餘 詩余 唐詩 元曲 宋詞
次の詩へ
前の詩へ
絶妙清風詞メニューへ
************
詩詞概説
唐詩格律 之一
宋詞格律
詞牌・詞譜
詞韻
唐詩格律 之一
詩韻
詩詞用語解説
詩詞引用原文解説
詩詞民族呼称集
天安門革命詩抄
秋瑾詩詞
碧血の詩編
李煜詞
辛棄疾詞
李淸照詞
陶淵明集
花間集
婉約詞:香残詞
毛澤東詩詞
碇豐長自作詩詞
漢訳和歌
参考文献(詩詞格律)
参考文献(宋詞)
本ホームページの構成・他
わたしのおもい
メール
トップ