huanying xinshang Ding Fengzhang de zhuye





                     
  菫山兒 

                                    
明末清初・呉偉業
                        
菫山兒,
兒生不識亂與離。
父言急去牽兒衣,
母言乞火爲兒炊作糜。
父母忽不見,
但見長風白浪高崔嵬。
将軍下一令,
軍中那得聞兒啼。
樓船何高高,
沙岸多崩摧。
榜人不能移,
擧手推墮之。
上有蒲與雈,
下有濘與泥。
十歩九倒迷東西,
身無袴襦。
足穿蒺藜,
叩頭指口惟言饑。
將船送兒去,
問以鄕里記憶還依稀。
父兮母兮哭相認,
聲音雖是形骸非。
傍有一老翁,
羨兒獨來歸。
不知我兒何處餵游魚,
或經略賣遭鞭笞。
垂頭涕下何纍纍,
吾欲竟此曲。
此曲哀且悲,
茫茫海内風塵飛。
一身不自保,
生兒欲何爲。
君不見菫山兒。



                             
    **********************
                菫山(きんざん)()

菫山(きんざん)兒,
()は生まれて ()らず  (らん)()とを。
父は「急ぎて去らん」と言ひて  兒の()()き,
母は言ふ「火を()ひて  兒の(ため)(かし)ぎて()(つく)らん」と。
父母 (たちま)ち見えず,
()だ見る 長風(ちゃうふう)  白浪(はくらう) 高くして崔嵬(さいくゎい)たるを。
将軍 一令を(くだ)す:
「軍中 (なん)ぞ  兒の()くを聞くを()ん」と。
樓船(ろうせん) (なん)ぞ高高たる,
沙岸( さ がん) 多く崩摧(ほうさい)す。
榜人(ばうじん) 移す(あた)はず,
手を()げて ()して(これ)()とす。
上に ()(くゎん)と有り,
下に (ねい)(でい)と有り。
十歩(じっぽ) 九倒(きうたう)  東西(とうざい)に迷ひ,
身に 袴襦( こ じゅ) 無し。
足は 蒺藜(しつれい)穿(うが)たれ,
頭を(たた)き 口を指して  ()()を言う。
船を()って 兒を送りて去らしめ,
()ふに 鄕里を以てするも  記憶 ()依稀(いき)たり。
父や 母や  (こく)して()ひ認め,
聲音(せいおん) ()なりと(いへど)も  形骸(けいがい) ()なり。
(かたは)らに 一老翁(らうをう) 有り,
兒の (ひと)來歸(らい き )するを (うらや)む。
知らず 我が兒  (いづ)れの處にか 游魚(いうぎょ)(くら)はれしや,
或ひは 略賣(りゃくばい)()て  鞭笞(べん ち )()ふかを。
(かうべ)を垂れ (なみだ) (くだ)ること  何ぞ纍纍(るゐるゐ)たる,
(われ) ()の曲を()へんと(ほっ)す。
()の曲 (あは)れにして ()(かな)し,
茫茫(ばうばう)たる 海内(かいだい)  風塵(ふうぢん) 飛ぶ。
一身 (みづか)(たも)たず,
兒を()みて 何をか()さんと(ほっ)する。
(きみ)()ずや 菫山(きんざん)()を。

             ******************




◎ 私感訳註:

※呉偉業:(明末)清初の人。明・萬暦三十七年(1609年)~清・康煕十年(1671年)。号して梅村。新王朝である清に出仕するも、すぐに退隠する。詩は二朝に仕えた複雑な感情を詠ったものが多い。

※菫山児:菫山(きんざん)の男の子供。 *浙江省の菫山(きんざん)での戦乱の被災児童の姿。 ・菫山:〔きんざん;Jin3shan●○〕赤菫山のこと。浙江省奉化市の東にある。杭州市の東南東130キロメートルのところ。寧波(ニンポー)近辺。『中国史稿地図集』下冊(郭沫若主編 中国地図出版社)93-94ページ「明末抗清闘争」では浙江省一帯は、清軍の侵攻や鄭成功軍の反清の攻撃、また、鄭成功軍に応じた地区があり、混乱したことがよく分かる。その間の出来事は『中国軍事史略』中巻(高鋭主編 軍事科学出版社)441-455ページ「清滅南明政権的戦争」に詳しい。

※菫山児:菫山(きんざん)の子供。

※児生不識乱与離:子供は(生まれてよりこのかた、)世の中が乱れて人々が離れ離れになるということを知らなかった。 ・不識:(知識として)知らなかった。 ・乱離:世の中が乱れて人々が離れ離れになる。また、国が乱れて心配事が多くなること。その場合は、「離」はうれいの意。ここは、前者の意。明末清初・呉偉業の『追悼』に「秋風蕭索響空幃,酒醒更殘涙滿衣。辛苦共嘗偏早去,
亂離知否得同歸。君親有媿吾還在,生死無端事總非。最是傷心看穉女,一窗燈火照鳴機。」とある。

※父言急去牽児衣:父は「急いで行こう」と言って、子供の着物を去牽児衣引っ張って。 ・牽:〔けん;qian1○〕引っ張る。引く。

※母言乞火為児炊作糜:母は、火種をもらってきて子供のために粥(かゆ)を作ると言った(まま)。 ・乞火:火種をもらう。 ・炊:〔すゐ;chui1○〕炊事する。飯を炊く。かしぐ。 ・糜:〔び;mi2(mei2)○〕かゆ。

※父母忽不見:父母(の姿)は突然見えなくなった。 ・忽:〔こつ;hu1●〕にわかに。突然。また、たちまち。 ・不見:姿を消す。見あたらなくなる。見えなくなる。

※但見長風白浪高崔嵬:(両親の姿は見えなくなって、)ただ、遠くから吹き寄せる風が、白い波を高く凹凸が激しくしているのだけが見えている。 ・但見:ただ…だけが見える。『古詩十九首』之十四に「去者日以疎,來者日以親。出郭門直視,
但見丘與墳。古墓犁爲田,松柏摧爲薪。白楊多悲風,蕭蕭愁殺人。思還故里閭,欲歸道無因。」とあり、初唐・張若虚の『春江花月夜』に「春江潮水連海平,海上明月共潮生。灩灩隨波千萬里,何處春江無月明。江流宛轉遶芳甸,月照花林皆似霰。空裏流霜不覺飛,汀上白沙看不見。江天一色無纖塵,皎皎空中孤月輪。江畔何人初見月,江月何年初照人。人生代代無窮已,江月年年祗相似。不知江月待何人,但見長江送流水。白雲一片去悠悠,青楓浦上不勝愁。誰家今夜扁舟子,何處相思明月樓。可憐樓上月裴回,應照離人妝鏡臺。玉戸簾中卷不去,擣衣砧上拂還來。此時相望不相聞,願逐月華流照君。鴻雁長飛光不度,魚龍潛躍水成文。昨夜閒潭夢落花,可憐春半不還家。江水流春去欲盡,江潭落月復西斜。斜月沈沈藏海霧,碣石瀟湘無限路。不知乘月幾人歸,落月搖情滿江樹。」とあり、盛唐・李白の『把酒問月』故人賈淳令余問之「靑天有月來幾時,我今停杯一問之。人攀明月不可得,月行卻與人相隨。皎如飛鏡臨丹闕,綠煙滅盡淸輝發。但見宵從海上來,寧知曉向雲閒沒。白兔搗藥秋復春,姮娥孤棲與誰鄰。今人不見古時月,今月曾經照古人。古人今人若流水,共看明月皆如此。唯願當歌對酒時,月光長照金樽裏。」とあり、後世、中唐・白居易の『送春』に「三月三十日,春歸日復暮。惆悵問春風,明朝應不住。送春曲江上,拳拳東西顧。但見撲水花,紛紛不知數。人生似行客,兩足無停歩。日日進前程,前程幾多路。兵刃與水火,盡可違之去。唯有老到來,人間無避處。感時良爲已,獨倚池南樹。今日送春心,心如別親故。」とある。 ・長風:遠くから吹き寄せる風。 ・崔嵬:〔さいくゎい;cui1wei2○◎〕山や建物の高大なさま。凹凸が激しいさま。また、石や岩のごろごろして嶮しい山。ここは、前者の意。盛唐・李白の『蜀道難』に「噫吁戲危乎高哉,蜀道之難難於上青天。蠶叢及魚鳧,開國何茫然。爾來四萬八千歳,不與秦塞通人煙。西當太白有鳥道,可以橫絶峨眉巓。地崩山催壯士死,然後天梯石棧相鉤連。上有六龍回日之高標,下有衝波逆折之回川。黄鶴之飛尚不得過,猿猱欲度愁攀援。青泥何盤盤,百歩九折縈巖巒。捫參歴井仰脅息,以手撫膺坐長歎。問君西遊何時還,畏途巉巖不可攀。但見悲鳥號古木,雄飛雌從繞林間。又聞子規啼夜月,愁空山。蜀道之難難於上青天,使人聽此凋朱顏。連峰去天不盈尺,枯松倒挂倚絶壁,飛湍瀑流爭喧豗,砅崖轉石萬壑雷。其險也如此,嗟爾遠道之人胡爲乎來哉。劍閣崢嶸而崔嵬,一夫當關。萬夫莫開,所守或匪親。化爲狼與豺,朝避猛虎,夕避長蛇。磨牙吮血,殺人如麻,錦城雖云樂。不如早還家,蜀道之難難於上青天,側身西望長咨嗟。」とある。

※将軍下一令:将軍は命令を下(くだ)して。  ・下令:命令を下(くだ)す。*「将軍下一令」と「将軍下令」と「将軍下一令」と、どうちがうのか。「将軍下一令」の方が「将軍下令」よりも具体性を帯びていよう。

※軍中那得聞児啼:軍中那得聞児啼:軍中で、子供の泣き声がどうして聞こえるのか?!(兵士は、女子供の鹵獲をやめよ!)。 *麾下の部隊に綱紀の粛正を図るように命じたということで、兵士が(乳幼児を連れた)女性を鹵獲していたことを禁じたと謂うこと。 ・那得:どうして…えるのか。*この疑問を表す「那」〔na3〕は、現代語では「哪」〔na3〕と表記することが多い。 ・聞:きこえる。耳に入ってくる。蛇足になるが、「聴」は聴き耳を立ててききとる。意識的にきくこと。 ・啼:泣き声。声をあげて泣く。

※楼船何高高:やぐらのある戦闘用の船は、なんと高々としていることか。 ・楼船:やぐらのある船。水上の戦争に用いる。 ・何:なんと。なんぞ。感嘆の表現。 ・高高:高々と。状態形容詞。一語(=一字)形容詞を重ね型(≒AA型)にした場合、強調や具体的な状況・状態を生き生きと描写する語感を帯びる。この外に、詩詞では語調を整える働き(=字数を揃える働き)がある。

※沙岸多崩摧:砂の岸は、真にくずれくだけやすい(ので)。 ・多:実に…な。まことに…な。なんと…だ。感嘆の表現。前出・対句の「楼船
高高」の「何」と同じ働き。 ・崩摧:〔ほうさい;beng1cui1○○〕くずれくだける。

※榜人不能移:船頭は(船中の鹵獲した女子供を岸に)降ろすことが出来ないので。 ・榜人:〔bang4ren2●○〕舟人(ふなびと)。船頭。舟子/船子。 ・榜:〔bang4●〕船をこぐ。船を進行させる。

※挙手推堕之:手を挙げて、彼等(=女子供)を(船から)おして(水中に)落とした。 ・推堕:おして落とす。 ・之:これ。ここでは、女子供らを指す。

※上有蒲与雈:上には、ガマとオギとがあり。 ・上有:上には…がある。 ・蒲:ガマ。 ・与:…と。「A与B」(「AとBと」)。 ・雈:〔くゎん;huan2○〕オギ。荻(おぎ)の十分に生長したもの。

※下有濘与泥:下には、ぬかるみと泥とがある。 ・濘与泥:ぬかるみとどろ。 *「下有…泥濘」とすべきところを、「泥」を韻脚とするために「濘泥」とし、語調を整えるため「与」を付け加え、「…濘与泥」とした。 ・濘:〔ねい;ning4●〕ぬかる。ぬかるみ。どろ。小さな流れ。 ・泥:〔でい;ni2○〕どろみず。ぬかるみ。どろ。
※十歩九倒迷東西:十歩、歩む内に九回倒れるほどによく倒れて、方角を見失い。 ・十歩九倒:倒れてばかりいる。十歩、歩む内に九回倒れる。 ・迷東西:方角を見失う。東や西が分からなくなる

※身無袴襦:身には、ももひきや肌着も無く。 ・袴:〔こ;ku4●〕ももひき。ズボン。 ・襦:〔じゅ;ru2○〕肌着。短い下着。じゅばん。よだれかけ。

※足穿蒺藜:足はハマビシ(の棘(とげ)を)踏み抜いて。 ・穿:うがつ。 ・蒺藜:〔しつれい(しつり);ji2li0(ji2li2)●○〕ハマビシ。ヒシの実の形をしたもの。

※叩頭指口惟言饑:頭をたたきつけて(叩頭(こうとう)の礼をして)、口を指さして、ただ、ひもじいとことばで言い表すだけだ。 *この句は。「〔叩・頭〕+〔指・口〕+〔言・饑〕」といった三重の動賓構造「〔VO〕+〔VO〕+〔VO〕」=(〔動詞・賓語(=目的語)〕+〔動詞・賓語〕+〔動詞・賓語〕)をとっている。 ・叩頭:〔こうとう;kou4tou2●○〕頭をたたきつける。ぬかずく。頭を地にたたきつけておじぎする、非常に敬意をこめた礼をする。叩頭(こうとう)の礼をする。=「大礼」。 ・惟:ただ。=唯。 ・饑:〔き;ji1○〕うえ。=飢。ひもじい。また、うえる。穀物が実らないこと。 ・言:ことばで言い表す。いいだす。

※将船送児去:船で子供を送っていった。 ・将:〔将+名詞〕…をもって。文言文の「以」、俗語の「把」と似た働きをする。 ・送…去:(…を)送っていく、の意。「送児去」は、「送去児」とはできない。

※問以郷里記憶還依稀:故郷をきいたが、記憶はまだぼんやりとしている(が)。 ・還:まだ。依然として。やはり。また。なお。 ・依稀:〔いき;yi1xi1○○〕ぼんやりとして明らかでない。似ている。晩唐・趙嘏の『江樓書感』に「獨上江樓思渺然,月光如水水連天。同來翫月人何處,風景
依稀似去年。」とあり、清・趙執信の『村舍』に「亂峯重疊水橫斜,村舍依稀在若耶。垂老漸能分菽麥,全家合得住烟霞。催風筍作低頭竹,傾日葵開衞足花。雨玩山姿晴對月,莫辭閒澹送生涯。」とあり、現代では、毛澤東の七律『到韶山』「別夢依稀咒逝川,故園三十二年前。紅旗捲起農奴戟,黑手高懸覇主鞭。爲有犧牲多壯志,敢敎日月換新天。喜看稻菽千重浪,遍地英雄下夕煙。 」がある。

※父兮母兮哭相認:お父さんよ! お母さんよ!と、声をあげて泣きながら(親子関係を)認めた。 ・兮:…よ。…や。語調を整える辞。文中、文末の助詞で、上古に多く使われた。 ・哭:声をあげて泣く。 ・相認:(親子関係を)認知する。知っている。認める。

※声音雖是形骸非:声色(こわいろ)は以前のままだったが、体つきが変わってしまっていた。 ・声音:ことばづかい。こわいろ。また、歌や音楽ここは、前者の意。 ・雖:…であるものの。いえども。 ・是-非-:(…は)よいが、(…は)まずい。 ・是:正しい。よい。 ・非:まずくなっている。よくないこと。亡くなっている。中唐・白居易の『商山路有感』に「萬里路長在,六年身始歸。所經多舊館,大半主人。」とあり、前出・文天祥の『金陵驛』に「草合離宮轉夕暉,孤雲飄泊復何依。山河風景元無異,城郭人民半已。滿地蘆花和我老,舊家燕子傍誰飛。從今別卻江南路,化作啼鵑帶血歸。」とあり、前出・薩都剌の『滿江紅』金陵懷古に「六代豪華,春去也、更無消息。空悵望,山川形勝,疇昔。王謝堂前雙燕子,烏衣巷口曾相識。聽夜深、寂寞打孤城,春潮急。   思往事,愁如織。懷故國,空陳跡。但荒煙衰草,亂鴉斜日。玉樹歌殘秋露冷,臙脂井壞寒螿泣。到如今、只有蒋山青,秦淮碧。」とあり、『搜神後記』卷一のトップにある漢代の道士・丁令威の故事に「丁令威,本遼東人,學道於靈虚山。後化鶴歸遼,集城門華表柱。時有少年,舉弓欲射之。鶴乃飛,徘徊空中而言曰:『有鳥有鳥丁令威,去家千年今始歸。
城郭如故人民,何不學仙塚壘壘。』遂高上衝天。今遼東諸丁雲其先世有升仙者,但不知名字耳。」とあり、清末~・黄遵憲の『日本雜事詩 舊藩邸宅』に「新綠在樹殘紅稀,荒園菜花春既歸。堂前燕子亦飛去,金屋主人多半。」とある。 ・形骸:〔けいがい;xing2hai2○○〕人の体。

※傍有一老翁:かたわらに老人がいて。 ・傍:かたわら。 ・老翁:おじいさん。老人。

※羨児独来帰:う子供がひとりで(よその土地から)帰って来たのを羨(うらや)ましがっていた。 ・羨:うらやむ。 ・独:ひとりで。 ・来帰:(よその土地から)帰って来る。また、夫の家に帰る。嫁にくる帰順する。 *ここは「来帰」よりも「帰来」のほうが、意味としてはより相応しいが、「帰」を韻脚とするためにこうした。

※不知我児何処餵游魚:我が子がどこで、水中を泳いでいる魚に食われているのやら、分からない。 ・不知:分からない。 ・何処:どこ。 ・餵:〔ゐ;wei4●〕食わす。えさを与える。 ・游魚:水中を泳いでいる魚。屈原の『楚辞・漁父』に「屈原既放,游於江潭,行吟澤畔,顏色憔悴,形容枯槁。漁父見而問之曰:子非三閭大夫與?何故至於斯?」屈原曰:「舉世皆濁我獨淸,衆人皆醉我獨醒,是以見放。」漁父曰:「聖人不凝滯於物,而能與世推移。世人皆濁,何不淈其泥而揚其波?衆人皆醉,何不餔其糟而歠其釃?何故深思高舉,自令放爲?」屈原曰:「吾聞之:新沐者必彈冠,新浴者必振衣。安能以身之察察,受物之汶汶者乎?寧赴湘流,
葬於江魚之腹中,安能以皓皓之白,而蒙世俗之塵埃乎?」漁父莞爾而笑,鼓枻而去。乃歌曰:「滄浪之水淸兮,可以濯我纓,滄浪之水濁兮,可以濯我足。」遂去,不復與言。」とある。

※或経略売遭鞭笞:或(ある)いは、かどわかされて売られて、むち打たれてひどいめに遭っているかもしれない。 ・略売:人をかどわかして売る。=掠売。 ・遭:(よくないことに)あう。 ・鞭笞:〔bian1chi1○○〕むち打つ。ひどいめに遭わせる。皮のむちと竹のむち。

※垂頭涕下何累累:うなだれて、涙を流して、何とやつれて気を落としていることよ。 ・垂頭:うなだれる。しょげこむさま。がっかり気を落とすさま。 ・涕下:涙くだる。 ・涕:〔てい;ti4●〕涙。 ・累累:〔るゐるゐ;
lei2lei2○○〕やつれて気を落としたさま。失意のさま。また、〔るゐるゐ;lei3lei3●●〕積み重なるさま。しばしば。重(かさ)ね重(がさ)ね。ここは、前者の意。

※吾欲竟此曲:私はこの詩歌を終えたい(というのは)。 ・欲:…したい。…ようと思う。望む。ほっする。 ・竟:〔きゃう;jing4●〕(動詞:)終わる。尽きる。また、(副詞:)ついに。とうとう。また、意外にも。こともあろうに。ここは、前者・動詞の用法。

※此曲哀且悲:この詩歌は、あわれでかなしい(からだ)。 ・哀且悲:あわれみ、そのうえ、かなしい。あわれでかなしい。 ・且:そのうえ。しかも。かつ。接続詞。

※茫茫海内風塵飛:果てしなく広々としている国内に、戦塵が飛び交(か)い。 ・茫茫:〔ばうばう;mang2mang2○○〕遥かなさま。ぼんやりとしてはっきりとしないさま。果てしなく広々としているさま。『古詩十九首之十一』の「廻車駕言邁,悠悠渉長道。四顧何茫茫,東風搖百草。所遇無故物,焉得不速老。盛衰各有時,立身苦不早。人生非金石,豈能長壽考。奄忽隨物化,榮名以爲寶。」や、東晋・陶淵明の『挽歌詩其三』「荒草何茫茫,白楊亦蕭蕭。嚴霜九月中,送我出遠郊。」とあり、東晉・陶潛『擬古・九首』其四「迢迢百尺樓,分明望四荒。暮作歸雲宅,朝爲飛鳥堂。山河滿目中,平原獨茫茫。古時功名士,慷慨爭此場。一旦百歳後,相與還北。松柏爲人伐,高墳互低昂。頽基無遺主,遊魂在何方。榮華誠足貴,亦復可憐傷。」とあり、盛唐・劉長卿の『平蕃曲』に「渺渺戍煙孤,
茫茫塞草枯。隴頭那用閉,萬里不防胡。」とあり、後世、北宋・蘇軾の『江城子』乙卯正月二十日夜記夢には「十年生死兩茫茫,不思量。自難忘。千里孤墳,無處話淒涼。縱使相逢應不識,塵滿面,鬢如霜。   夜來幽夢忽還鄕。小軒窗,正梳妝。相顧無言,惟有涙千行。料得年年腸斷處,明月夜,短松岡。」とある。 ・海内:四海の内。天下。国内。漢・高祖(劉邦)の『大風歌』に「大風起兮雲飛揚。威加海内兮歸故鄕。安得猛士兮守四方!」とあり、漢魏・蔡文姫の『悲憤詩 其一』に「漢季失權柄,董卓亂天常。志欲圖簒弑,先害諸賢良。逼迫遷舊邦,擁主以自彊。海内興義師,欲共討不祥。卓衆來東下,金甲耀日光。平土人脆弱,來兵皆胡羌。獵野圍城邑,所向悉破亡。…」とあり、初唐・王勃の『送杜少府之任蜀州』に「 城闕輔三秦,風烟望五津。與君離別意,同是宦遊人。海内存知己,天涯若比鄰。無爲在岐路,兒女共沾巾。」とある。 ・風塵:兵乱。戦乱。また、風と塵(ちり)。砂ぼこり。わずらわしく穢らわしい物事の喩え。浮き世。俗世界。俗事。地方官の務め。旅行の辛苦。遊女の身の上。ここは、前者の意。呉偉業の『遇南廂園叟感賦八十韻』に「薄暮難再留,暝色猶靑蒼。策馬自此去,悽惻摧中腸。顧羨此老翁,負耒歌滄浪。牢落悲風塵,天地徒茫茫。」とある。

※一身不自保:自分の身ひとつ自分で護れない(のに)。 ・自保:自分で護る。

※生児欲何為:子供を産んで、何をしたいのか。 ・欲何為:どうしたいのか。何をしたいのか。なにをかなさんとほっす。蛇足になるが、「何為」で、なぜ。どうして。なんすれぞ、の意もある。

※君不見菫山児:諸君、見たことがないのだろうか、菫山(きんざん)の子供達を。 ・君不見:諸君、見たことがありませんか。御覧になりませんでしたか。あなた、ご覧なさい。詩を読んでいる人(聞いている人)に対する呼びかけ、強調。樂府体に使われる。「君不聞」もあり、そこでは詩のリズムが大きく変化する。使用法は、七言が主となる詩では「君不見□□□□□□□」とする場合が多いが、「君不見…」の後(青字部分)は必ずしも一定でない。杜甫の『兵車行』「君不見青海頭,古來白骨無人收。新鬼煩冤舊鬼哭,天陰雨濕聲啾啾。」、岑参に「君不聞胡笳聲最悲,紫髯綠眼胡人吹。」、李白「君不見黄河之水天上來,奔流到海不復回。君不見高堂明鏡悲白髮,朝如靑絲暮成雪。」、顧況「君不見古來燒水銀,變作北山上塵。藕絲挂身在虚空,欲落不落愁殺人。」、李白の『將進酒』「君不見黄河之水天上來,奔流到海不復迴。君不見高堂明鏡悲白髮,朝如青絲暮成雪。人生得意須盡歡,莫使金樽空對月。」、白居易『新豐折臂翁』「君不聞開元宰相宋開府,不賞邊功防黷武。又不聞天寶宰相楊國忠,欲求恩幸立邊功。邊功未立生人怨,請問新豐折臂翁。」などがある。






◎ 構成について

韻式は「AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA」。韻脚は「兒離衣糜嵬啼摧移之泥西襦藜饑稀非歸魚笞累悲飛爲兒」で、平水韻上平四支(移為兒離悲之笞糜饑累)・五微(飛非稀衣依歸)・六魚(魚)・七虞(襦)など。次の平仄はこの作品のもの。

●○○,(韻)兒
○○●●●●○。(韻)離
●○●●○○○,(韻)衣
●○●●●○○●○。(韻)糜
●●●●●,
●●○○●●○○◎。(韻)嵬
○○●●●,
○○●●○○○。(韻)啼
○○○○○,
○●○○○。(韻)摧
●○●○○,(韻)移
●●○●○。(韻)之
●●○●○,
●●○●○。(韻)泥
●●●●○○○,(韻)西
○○●○。(韻)襦
●●●○,(韻)藜
●○●●○○○。(韻)饑
○○●○●,
●●○●●●○○○。(韻)稀
●○●○●○●,
○○○●○○○。(韻)非
○●●●○,
●○●○○。(韻)歸
●○○○○●●○○。(韻)魚
●◎●●○○○,(韻)笞
○○●●○○○。(韻)累
○●●●●,
●●○●○。(韻)悲
○○●●○○○,(韻)飛
●○●●●,
○○●○○。(韻)爲
○●●●○○。(韻)兒
2015.4.3
     4.4
     4.5
     4.6
     4.7

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